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古明地さとりの日記 ○月×日 私の能力が使えなくなった。何の前触れもなく。 もちろん、変なものも食べていないし、変なことをした覚えもない。 いったい、私の体に何が起こったのだろう。 ○月◎日 昨日から、私の能力を使えなくするにはどのような方法があるか考えていた。 その結果、不可能ではないことが分かった。 ……例えば、こいしなら可能だと思う。 能力を使うためのノウハウを無意識下に置けば、能力をどうやって使用すればいいか分からなくなる。 でも、あの子が実の姉にそんなことをする理由が思いつかない。 ○月□日 能力が使えなくなって三日が経ったが、特に困ったことは無い。 普通は『心が読める程度の能力』なんて無いのだから、ただ普通の妖怪と同じようになっただけの話。 こいしに至っては元々能力が通じないのだから、今までと何ら変わりは無いと言える。 ○月△日 最近、お燐とのコミュニケーションが上手くとれていない。 そもそもお燐が私を避けているような気がする。何が理由かは分からないが。 おかげで会話も弾まない。一言二言で終わることもしばしば。 一応おくうやこいしにも心当たりはないかと訊いてみたが、検討もつかないと言っていた。 ○月☆日 お燐とうまく話せない理由が、なんとなく分かった。 おくうは思ったことをそのまま口に出す。反面、お燐はそうでもないのだ。 だから、お燐が何か言い淀んでいても、心が読めないせいで彼女の機微を分かってあげられない。 今まではそのあたりも分かっていたから、話が円滑に進んでいたらしい。 『らしい』というのは、今更そのことに気付いたからだ。 普段はお燐やおくうの心を読むクセがついていたから、常に相手の建前と本心が混ざってしまっていた。 でも能力の無い今は、自分で推測するということを覚えて、その差が分かるようになった。 もっとも、分かるようになったところで、元通りの会話になるわけではないが…… ●月×日 能力が使えなくなって、一ヶ月が経った。 お燐との会話がはかどらない原因は分かったが、結局今も上手くいかないままだ。 心が読めない私、つまり私個人とお燐では、単純にソリが合わないのかもしれない。 そんなことは考えたくないが、そうとしか思えない。 ●月◇日 お燐は段々よそよそしくなって、今日はあからさまに避けられた。 それどころか、最近はおくうとの会話までぎこちなくなっている。 その理由を知りたいが、残念ながらそのための能力はいまだに使えないままだ。 こいしはこんな私の相談にも乗ってくれる。少し救われた。 ●月◎日 今日はお燐とおくう、両方に無視された。挨拶すらしない。 しかし、二人が私を避ける理由は分かったような気がする。 心を読めない私は、会話が下手だ。相手の話の腰も折るし、言ってはいけないことも言う。 こうされたら不快に思う、という相手の心を、能力無しには理解できないのだ。 誰がそんな者と付き合いたがるというのか。 ……今や、私とまともに話をしてくれるのは血の繋がった妹だけになってしまった。 その妹にもいつ避けられるのか、と思うと怖くてしょうがない。 ●月◆日 私を避ける。私をいないものとして扱う。そんな二人の姿に、私は見覚えがある。 地上にいた頃、多くの妖怪や人間たちが、私にそんな態度をとった。 そして、私は地底に逃げ込んだ。 なら、今の私はどこに逃げればいいのだろう。 ……答えは決まりきっているが。情けない姉だ。 ●月▼日 もう我慢の限界。今日、あの二人を地霊殿から追い出した。 そんなに気に食わないなら出ていけと言ったら、二人とも寂しそうな顔をした。 申し訳ないとでも思っているのだろうか。自分たちから避けたくせに。その偽善者ぶりに腹が立った。 ペットがいれば寂しくないかと思って飼い始めたが、結局何の意味も無かった。 やはり動物に頼ったのが間違いだったようだ。 ■月★日 こいしと話そうと思い地霊殿中を探してみたが、どこにもいない。 どうやらふらっと出かけてしまったらしい。こうなると、当分は帰らないだろう。 あの子も私が嫌いになってしまったのだろうか。嫌だ、そんなのは嫌だ。 ■月○日 誰もいない地霊殿はこんなにも静かだったのかと、今更実感した。 もっとも、こいしはともかくあの二人はいたところで私を避けるだけだから、後悔はしていない。 ■月▽日 退屈だったので、地霊殿の掃除をしてみた。一人だとやっぱり大変だった。 ■月◎日 夢をみた。お燐を拾ってきた時の夢。 あの時お燐は、なぜか地霊殿の前に倒れていた。それに、ずいぶんと衰弱していたと思う。 私も焦って何をすればいいのか分からなかったが、体を温めたり牛乳をあげたり、思いつくものは全部やった。 回復して、私があげた餌を美味しそうに食べるお燐を見て、私も幸せな気持ちになったっけ。 ……そこで目が覚めた。なぜか憂鬱な気持ちになった。 ■月◇日 寂しい。こいしに早く帰ってきてほしい。 ■月▲日 こいしは今頃、どこでどうしているのだろう。 こんなことなら、こいしがどこにも行かないように結界でも張っておけば良かった。 △月○日 こいしが帰ってきた。自分でも驚いたことに、思わず抱きついて泣いてしまった。 あと、一人で寂しかったと言ったら、こいしはもうどこにも行かないと約束してくれた。 嬉しい。私たちは姉妹なのだから、ずっと一緒にいればいい。こいしも、きっとそう思っている。 ―――の日記 △月○日 やっと二人きりになれた。嬉しい。 - 原作だとさとりんってお燐やお空に避けられてるよね -- 名無しさん (2010-03-12 13:38:31) - やはり、こいしが仕組んだのか… -- 名無しさん (2010-03-12 18:53:01) - こいしって結構頭良さそうだな。 -- 外道 (2010-03-12 23:49:23) - こいし「計画通り」 -- 名無しさん (2010-03-13 07:16:44) - これってペットいじめのような気がしないでもない -- 名無しさん (2010-03-13 14:59:26) - ↑×5 &br()避けられてるというより畏れられてたっていう方が適当なのでは。 -- 名無しさん (2011-06-06 11:53:27) - いや、待てよ。 &br()もしかしたら、こいしが能力を使ってさとりの存在をお空達に認識できなくさせてたのでは…((( ;゚Д゚))) -- 名無しさん (2013-08-25 22:55:57) - 追い出されたお空とお燐は、どうなったんだ。 -- 動かぬ探求心 (2013-10-02 17:55:08) - さとり~ww -- 紅い悪魔 レミリア・スカーレット (2015-01-24 12:25:58) - こいし→ヤンデレ化→こうなるw -- 名無しさん (2016-12-07 07:50:53) - 自分がお燐やお空の立場なら、さとりに対して「お前のような未熟者などいらん!」って言いそう。 -- 名無しさん (2018-11-29 02:55:43) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)
古明地さとりの日記 ○月×日 私の能力が使えなくなった。何の前触れもなく。 もちろん、変なものも食べていないし、変なことをした覚えもない。 いったい、私の体に何が起こったのだろう。 ○月◎日 昨日から、私の能力を使えなくするにはどのような方法があるか考えていた。 その結果、不可能ではないことが分かった。 ……例えば、こいしなら可能だと思う。 能力を使うためのノウハウを無意識下に置けば、能力をどうやって使用すればいいか分からなくなる。 でも、あの子が実の姉にそんなことをする理由が思いつかない。 ○月□日 能力が使えなくなって三日が経ったが、特に困ったことは無い。 普通は『心が読める程度の能力』なんて無いのだから、ただ普通の妖怪と同じようになっただけの話。 こいしに至っては元々能力が通じないのだから、今までと何ら変わりは無いと言える。 ○月△日 最近、お燐とのコミュニケーションが上手くとれていない。 そもそもお燐が私を避けているような気がする。何が理由かは分からないが。 おかげで会話も弾まない。一言二言で終わることもしばしば。 一応おくうやこいしにも心当たりはないかと訊いてみたが、検討もつかないと言っていた。 ○月☆日 お燐とうまく話せない理由が、なんとなく分かった。 おくうは思ったことをそのまま口に出す。反面、お燐はそうでもないのだ。 だから、お燐が何か言い淀んでいても、心が読めないせいで彼女の機微を分かってあげられない。 今まではそのあたりも分かっていたから、話が円滑に進んでいたらしい。 『らしい』というのは、今更そのことに気付いたからだ。 普段はお燐やおくうの心を読むクセがついていたから、常に相手の建前と本心が混ざってしまっていた。 でも能力の無い今は、自分で推測するということを覚えて、その差が分かるようになった。 もっとも、分かるようになったところで、元通りの会話になるわけではないが…… ●月×日 能力が使えなくなって、一ヶ月が経った。 お燐との会話がはかどらない原因は分かったが、結局今も上手くいかないままだ。 心が読めない私、つまり私個人とお燐では、単純にソリが合わないのかもしれない。 そんなことは考えたくないが、そうとしか思えない。 ●月◇日 お燐は段々よそよそしくなって、今日はあからさまに避けられた。 それどころか、最近はおくうとの会話までぎこちなくなっている。 その理由を知りたいが、残念ながらそのための能力はいまだに使えないままだ。 こいしはこんな私の相談にも乗ってくれる。少し救われた。 ●月◎日 今日はお燐とおくう、両方に無視された。挨拶すらしない。 しかし、二人が私を避ける理由は分かったような気がする。 心を読めない私は、会話が下手だ。相手の話の腰も折るし、言ってはいけないことも言う。 こうされたら不快に思う、という相手の心を、能力無しには理解できないのだ。 誰がそんな者と付き合いたがるというのか。 ……今や、私とまともに話をしてくれるのは血の繋がった妹だけになってしまった。 その妹にもいつ避けられるのか、と思うと怖くてしょうがない。 ●月◆日 私を避ける。私をいないものとして扱う。そんな二人の姿に、私は見覚えがある。 地上にいた頃、多くの妖怪や人間たちが、私にそんな態度をとった。 そして、私は地底に逃げ込んだ。 なら、今の私はどこに逃げればいいのだろう。 ……答えは決まりきっているが。情けない姉だ。 ●月▼日 もう我慢の限界。今日、あの二人を地霊殿から追い出した。 そんなに気に食わないなら出ていけと言ったら、二人とも寂しそうな顔をした。 申し訳ないとでも思っているのだろうか。自分たちから避けたくせに。その偽善者ぶりに腹が立った。 ペットがいれば寂しくないかと思って飼い始めたが、結局何の意味も無かった。 やはり動物に頼ったのが間違いだったようだ。 ■月★日 こいしと話そうと思い地霊殿中を探してみたが、どこにもいない。 どうやらふらっと出かけてしまったらしい。こうなると、当分は帰らないだろう。 あの子も私が嫌いになってしまったのだろうか。嫌だ、そんなのは嫌だ。 ■月○日 誰もいない地霊殿はこんなにも静かだったのかと、今更実感した。 もっとも、こいしはともかくあの二人はいたところで私を避けるだけだから、後悔はしていない。 ■月▽日 退屈だったので、地霊殿の掃除をしてみた。一人だとやっぱり大変だった。 ■月◎日 夢をみた。お燐を拾ってきた時の夢。 あの時お燐は、なぜか地霊殿の前に倒れていた。それに、ずいぶんと衰弱していたと思う。 私も焦って何をすればいいのか分からなかったが、体を温めたり牛乳をあげたり、思いつくものは全部やった。 回復して、私があげた餌を美味しそうに食べるお燐を見て、私も幸せな気持ちになったっけ。 ……そこで目が覚めた。なぜか憂鬱な気持ちになった。 ■月◇日 寂しい。こいしに早く帰ってきてほしい。 ■月▲日 こいしは今頃、どこでどうしているのだろう。 こんなことなら、こいしがどこにも行かないように結界でも張っておけば良かった。 △月○日 こいしが帰ってきた。自分でも驚いたことに、思わず抱きついて泣いてしまった。 あと、一人で寂しかったと言ったら、こいしはもうどこにも行かないと約束してくれた。 嬉しい。私たちは姉妹なのだから、ずっと一緒にいればいい。こいしも、きっとそう思っている。 ―――の日記 △月○日 やっと二人きりになれた。嬉しい。 - 原作だとさとりんってお燐やお空に避けられてるよね -- 名無しさん (2010-03-12 13:38:31) - やはり、こいしが仕組んだのか… -- 名無しさん (2010-03-12 18:53:01) - こいしって結構頭良さそうだな。 -- 外道 (2010-03-12 23:49:23) - こいし「計画通り」 -- 名無しさん (2010-03-13 07:16:44) - これってペットいじめのような気がしないでもない -- 名無しさん (2010-03-13 14:59:26) - ↑×5 &br()避けられてるというより畏れられてたっていう方が適当なのでは。 -- 名無しさん (2011-06-06 11:53:27) - いや、待てよ。 &br()もしかしたら、こいしが能力を使ってさとりの存在をお空達に認識できなくさせてたのでは…((( ;゚Д゚))) -- 名無しさん (2013-08-25 22:55:57) - 追い出されたお空とお燐は、どうなったんだ。 -- 動かぬ探求心 (2013-10-02 17:55:08) - さとり~ww -- 紅い悪魔 レミリア・スカーレット (2015-01-24 12:25:58) - こいし→ヤンデレ化→こうなるw -- 名無しさん (2016-12-07 07:50:53) - 自分がお燐やお空の立場なら、さとりに対して「お前のような未熟者などいらん!」って言いそう。 -- 名無しさん (2018-11-29 02:55:43) - 最初はさとり鬱エンドかと思ったけど……… &br()やっぱりこいしだったというw -- 名無し (2018-12-09 07:46:03) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)

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