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魔理沙が化け物に 終:28スレ392」(2018/02/13 (火) 16:41:50) の最新版変更点

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-[[魔理沙が化け物に:26スレ936]] の続きです 完結 ※二次、三次設定ばかりです 跡形もありません ハッピーエンド?でも外伝もある ※魔理沙は既に死んでいて登場しません。慧音、文、萃香いじめ 魔理沙殺害事件の犯人は判明し、巫女はそれを処罰した。 一時期調子に乗っていた妖怪達も、今は鬼の恐怖に怯えてかなり大人しくなっている。 魔理沙の葬式の日程も決まり、事件は無事解決した。 かのように見えたが、事件のせいで未だに苦しめられている者もいた 真っ青な顔の 上白沢 慧音 は先程から、一人黙って自宅のちゃぶ台の前で、ぼうっと湯呑みを見つめていた。 表情は絶望の運命に苦悩するかのように暗く、その目は憂いと苦しみで薄く潤んでいる。 時折ぐずぐずと深いため息をついては、またぼうっと湯呑みを見つめるばかり。 そんな無益な行為をしばらく繰り返した後、慧音はぎゅっとスカートの裾を握りながら、背中を小さく丸めて 搾り出すような小さな涙声でぽつりと呟いた。 「どうしよう・・・紅妹・・・もこ・・・」 堪えていた涙がぽたりぽたりと流れ落ちて、慧音の青いスカートにいくつかの小さな染みを作る。 彼女の苦悩は、迷いの竹林にある住処に博霊の巫女が尋ねて来た時より始まった。 ある日の午後、子供達のテストの採点をしている最中、珍しく住処の玄関がノックされた。 慧音がゆったりと起き上がって玄関までに向かう僅かな間に 扉のノック音はドン、ドンドン、ドンドンドンドンと激しくなる。 慧音をこんな時間に訪ねる、遠慮なしのせっかちさん。 玄関の外に立っているのが誰なのか、慧音には簡単に予想が出来る。 きっと銀の髪にリボンの似合う、白と赤のあの娘。 「なんだー?もこかー?今、採点中でなー」 忙しい時に突然やって来る不躾な客、それでも慧音はどうしても緩んだ笑顔を隠せない。 慧音はそっと数十センチ玄関の扉を開き、その隙間から顔を出して来客の姿を覗き見る。 そこに立っていたのは、予想外の人物 博麗 霊夢 博麗の巫女だった。 瞬間笑顔が崩れ去り、ちょっと恥ずかしげな顔になった慧音に、彼女は不敵な笑みで微笑み返す。 「こんにちは。慧音、話があるのよ」 霊夢は家主の招きを待たず、玄関の扉をぐっと掴んで開いた。 客間を兼ねた居間、畳張りのその部屋に置かれたちゃぶ台の前 そこにひかれた座布団の上に、博霊霊夢は正座で座っている。 慧音は霊夢の前に茶の入った湯呑みと菓子がトンと置くと、自分もちゃぶ台を挟んだ向こう側に座った。 「それで、話ってなんだ?」 霊夢は、身振り手振りを使って話し始める。 「この前さ、人里で魔法使いが死ぬ事故があったじゃない?それでね」 事故?霊夢が魔理沙を殺した話か・・・読んだよ。 幻想郷全体にばら撒か…配布される 文々。新聞。 普段はそれをテキトーに斜め読みした後、子供達の習字の練習や炊きつけに使われるが あの記事はセンセーショナルで、慧音も最初から最後まで読んだ。 その上慧音はあの後村に駆けつけて魔理沙の死体だって確認しているし、閻魔の話も聞いた。 少女が嬲り者にされた後、残酷に殺されたと思われるあの死体を見て、慧音も吐き気を覚えたものだ。 慧音は 魔法使い?…ああ、などと適当に相槌を打つ。 霊夢の表情は、無表情の笑顔のような不機嫌なような引きつったような、よく感情を読み取れない。 彼女の話は続く。 「それでさ、呪いのせいで里の人間が襲われたり魔理沙が死んだりしたでしょ」  ・・・呪いで正気を失ったっていう魔理沙を、博麗の巫女が情け容赦無く即処分したんだったな。 そんな事をまた報告しに来たのか 熱心な事だな 慧音はまた、ああ と適当に相槌を打つ。 だが、霊夢の話はここで終わりではないらしい。 霊夢はちくちくと菓子を楊枝でつつきながら、気まずそうに喋り続ける。 「アイツのせいで、妖怪どもが調子に乗ったり村人が怖がったりしたじゃない?」 どうも話が見えてこないな?私に、下級妖怪から村を守って欲しいのか? 慧音は、うん、そうだなとまた適当に相槌を打った。 霊夢は視線を慧音に戻し、深遠な瞳で微妙な笑みをした。 「それでさ、大体の妖怪は私がシメて・・・博麗として処罰しておいたんだけどさ」 迷いの竹林に住む慧音は、霊夢の射命丸やパチュリーに対する暴力の話を聞いていない。 それをわざわざ報告に来てくれたのか? 「ああ、それじゃあ事件は解け・・・                「「でね!」」 霊夢はだんと強くちゃぶ台を叩きながら叫ぶように慧音の言葉を途中で遮る。 衝撃で、茶が少しだけ盆に零れ菓子も少し揺れた。 気まずい沈黙が走る 意外に大きかった打撃音に霊夢は少し動揺したようだ。 霊夢は再び気まずそうな様子になった。 先程から、茶にも菓子にもまったく手をつけている様子が無い。 普段、菓子を出されれば遠慮なくバクバクと食べておかわりを要求するぐらいなのだが。 「でもさ、村人の心の傷は消えないじゃない?妖怪も下級なのはさ・・・」 何かを伺うような上目遣いで、霊夢は言った。 心の傷?村人の心の傷は癒えているし葬式までもうすぐ、それに下級妖怪はいつでも本能で生きている。  ・・・なんの話なんだ? 慧音は、・・・あー と気の抜けたような返事をした。 霊夢はそろそろ分かって欲しいなといった感じの表情だ。 「そのせいで、神社と人里の連携が崩れたじゃない?」  ・・・?は? 微妙にソワソワしている霊夢を慧音はぼんやりと見つめる。 霊夢は みなまで言わせるな と言わんばかりだ。 「妖怪側と人里側、両方が戻って初めて事件解決なワケでしょ?」  ・・・まったく話が見えてこない。 今の慧音の顔は、まるで寺子屋で授業を受けている子供の表情そっくりだ。 つまらない、意味の感じられない長話、さっさと終わりにして欲しい。 慧音はぼんやりそんな事を考えながら、 そうなのかー と、どこかの妖怪のような事をつぶやいた。 霊夢の表情が急に引き締まる。 「ワーハクタク」 その一言にぼうっと失せかけていた慧音の意識はぐっと引き戻される。 霊夢は 上白沢 慧音 を慧音ではなくワーハクタクと呼んだ。 きっと、ここからが本題なのだろう。 あわてて目をぱちくりさせながら、崩れ気味の姿勢を正す。 霊夢は、冷めた茶を一気に飲み干すと 「魔理沙の歴史を隠しなさい」 とんでもない事を宣言した。 ようやく言いにくい事を言い終わったと言わんばかりに、霊夢はムシャムシャと菓子を食べ始める。 慧音は思わずポカーンとしてしまう。 は?魔理沙の魂の歴史を?そんなくだらない事で? 「そんな事で、魂を冒涜するような真似は出来ない」 慧音は、断固として言った。 霊夢はそんな慧音を見て、少しだけ煩わしそうな顔をした。 「そうは言ってもね、もう魔理沙はいないから私だけだし。村人が不安も拭えないじゃない?」 慧音は全く納得できない。このまま、一笑に付してしまおうか。そう思いかけた瞬間。 「困るのよね、誰かさんは人里を隠し損ねたりして頼りにならないし?」 巫女は慧音がなるべく考えないようにしていた事実を、痛いところを突いてきた。 だが一回目の強襲は、気配の微小な雑魚が急に襲ってきたので分からなかったのだ。 二回目は、もう暫くは来ないと思って妹紅とイチャイチャして送れたなんて・・・言える訳が無い。 もっとも、それは慧音の罪ではない。 慧音は使命を帯びた巫女とは違い、本来村を助ける義務など無い。 助けなくてもあたりまえ、助けたらその善意にとても感謝される。そういうものだ。 それどころか、襲撃の時間に慧音の寺子屋に生徒が居たお陰で 子供達の被害は少なく、その事を村人達は感謝ているぐらいだ。 慧音は自分の失態に一瞬顔を真っ赤にした後、悔しそうな、悲しそうな顔で霊夢から顔を背ける。 その口は、ぱくぱくと何かを言いたげにもごもごと動いていた。 だがそれも束の間。短い悔悛の後、正面に向き直った慧音の顔は、凛とした雰囲気を纏っていた。 慧音はそんな責めで落ち込んで、そのまま言いなりになる程弱くは無い。 意を決したように、そして挑むように霊夢に言った。 「私は、私は自分の罪を隠して逃げたりはしない!だからお前も・・・ だがその熱気に満ちたの言葉は、霊夢の気だるげな言葉に遮られた。 「竹林、燃やすわよ?」 突拍子も無い言葉、慧音はまた硬直し、その後深い溜息をついた。 もしかして、それで私が嫌がって応じると? 「そんな事をしても、お前が余計村人に嫌われるだけだぞ」 そんな呆れ顔の慧音に、霊夢は平然と言い返した 「竹林には、炎を操る術者が居たわよね」 慧音の時間は、三度硬直した。 慧音の凛とした表情はたちまち消え去り、顔から血の気が引いてゆく。 まとっている服が体に貼りつく程に、冷や汗が全身から滝のように流れ出した。 そんなワーハクタクのあからさまな動揺を読み取って、霊夢は更に一歩踏み込む。 「竹林に、魔力の失火があれば自動的に妹紅が犯人よ」 ちなみに計画を他人に喋っても同じよ などと釘を刺すのを忘れない。 慧音の瞳孔はぐっと開き、その焦点はがたがたと泳ぎ定まらない。 顔は自分の膝を見るように俯き、ぽつりと言った。 「妹紅は・・・もこは許して欲しい」 霊夢は、ズズッと茶を啜りながら言う。 「じゃあ、魔理沙の魂を隠す事ね?」 慧音は泣きそうな声で、霊夢に訴える。 「そんな・・・そんなの・・・いけない・・・」 そんな慧音に、霊夢はめんどくさそうに言った。 「あーあ、アイツの生き甲斐は村人との交流だったのに。誰かさんのせいでアイツの人生メチャクチャね?」 濡れ衣を着せられる妹紅。寄って集って口汚く罵られる妹紅。 それでも悔し涙を流す事しか出来ない妹紅。 か弱い微笑みしか浮かべる事の出来ない妹紅。笑顔を失う妹紅。 無実の罪で、村人に石を投げつけられる妹紅。 慧音の脳裏に、最悪の妄想が過ぎた。 だめだ!だめだ!だめだ!だめだ!そんなのだめだ! なんとかして霊夢を誤魔化さないと! 意識が思考と苦悩の奥に沈んだ瞬間、慧音は閃いた。 「霊夢、よく考えたら私は魔理沙の魂を見た事は無いから隠せないぞ?」 慧音は冷静な表情を繕いながら言う、だが声は若干上ずっていた。 してやったり とはいかなかった。霊夢は事も無げに茶を啜り、一瞥さえしなかった。 「予想してたわ。そんな事」 「満月の晩には、貴方はハクタクと化して幻想郷の全ての歴史を知る」 霊夢は淡々と告げた。彼女は博麗、最初からそこまで予想してここへやって来たのだ。 更に何かを思いついたように、ニヤリと笑う。 「その時ならば、魔理沙の魂を隠す事が出来る。そうだ、ついでに事故死の歴史も創って貰おうかしらね?」 あうう・・・。もうだめだ。 慧音の瞳が、しっとりと涙を帯びはじめる。 「あううう・・・あう・・・はうう・・・」 慧音はオロオロしながら頭を抱えている。 霊夢は最後の茶菓子を口に放り込むと、スッと立ち上がった。 勘弁してくれないか、と言わんばかりに潤んだ瞳で霊夢を見上げるが 既に彼女の顔は能面のような普段の無感情に戻っており、もはやそれが崩れる事は無さそうだった。 「次の満月は、もうすぐね。また来るわよ」 あうう、などと情け無い嗚咽をあげながら、涙目でスルスルと這うように霊夢に寄ろうとする慧音。 だが霊夢はそれを避けるかのように足早に玄関に向かい、パタンと扉を響かせて、出て行ってしまった。 畳に這いつくばるような、まぬけなポーズで取り残された慧音。 立ち上がる気力も無く、そのまま力無くうな垂れ・・・ぽたぽたと水滴が畳を塗らした。 「助けて・・・もこ・・・もこ・・・」 ここは、妖怪の山近くの荒地。 特に目印となる木々や建物も無く、目に付く草や特徴的な地形さえ無い ただただ広がる大地の延長上の、何も無い場所。 そんな石くれだらけの土の上に、射命丸は正座をさせられている。 目の前には、恐ろしげな看守か警官のように、玉ぐしで自分の掌をトントンと叩く霊夢。 その霊夢が、正座している射命丸を立ったまま見下ろしている構図だ。 「あーやちゃーん?この謝罪広告、全然効果が無いみたいなんだけど?」 霊夢は漫才のツッコミを入れるように射命丸の額を、玉ぐしでパシッと叩く。 漫才と違う点は、その一撃で射命丸の額からたらたらと血が流れはじめた所だろうか。 射命丸は黙って俯いている。 「何とか言おうよ?射名丸?」 霊夢は少し苛立たしげに、今度は射命丸の頬を玉ぐしで張った。 パチン、と乾いたいい音が聞こえる。 「あの・・・謝罪広告が効果が出るまでには時間が掛かりまして・・・」 熱く腫れた頬を庇うように擦りながら、射命丸は気まずげに釈明した。 霊夢は、その返答に不機嫌そうだ。 「まさか、二ヶ月と半なんて言わないわよね?」  ・・・正直に言って、謝罪広告に効果など無い。霊夢の行為があまりに残酷すぎたのだ。 だからと言って、効果が出るか「分からない」などと正直に言えば 霊夢が射命丸にどんな仕打ちをするかも「分からない」だろう。 射命丸は泣きそうな顔で意を決したように立ち上がると そのまま霊夢に背を向け、一目散に逃げ出した。 「もう嫌です!許してください!」 いくらか羽根を抜かれたとはいえ、彼女は未だに幻想郷でトップクラスの速さを誇る。 少なくとも、霊夢よりは速かった。 射命丸は妖怪の山の方を目指し、その姿はどんどん小さくなってゆく、 だが、霊夢は慌てず騒がず。射命丸の背に向かって、数枚の札を投げつけた。 霊夢のこの札は、どんなに離れても目標を追尾し続ける性質を持つ。 広いようで狭い幻想郷、外の世界と違い無限の空と大地が広がる代物ではない。 射命丸がどこに逃げようと、霊夢は悠然と札の後を追い続けるだけでいい。 札は妖怪の山を目指し、その付近で今度は空の方向を目指し始めた。 しばらく札を追い続ける霊夢。 しかしある程度進んだところで、お札はピタリと止まり バチバチと機械がショートするように、お札は電流と煙を上げ 次の瞬間、ボッと音を立てて燃え尽きた。 顔を上げてみれば、眼前には泰然と佇む大鳥居。 ここは、妖怪の山の頂にある守矢神社。 霊夢は鳥居の前にスッと降り立つと、そのままズンズンと奥に進んでゆく。 別に、初めて来る場所でもない。この神社は何度も訪れた事がある。 境内中央には 東風谷 早苗 が、鳥居を潜ってやってくる霊夢を、待ち構えるかのように立っていた。 その後ろの奥、拝殿の賽銭箱の上にはこの神社の神 八坂 神奈子 が泰然とあぐらを組んで浮いており もう一人の神 洩矢 諏訪子 は、いたずらな笑みを浮かべて賽銭箱に寄りかかっている。 その陰から、包帯を巻いた射命丸が覗き見るように・・・ハッキリ言って、早苗を盾にするように隠れている。 そんな射命丸を霊夢がギッと睨み付けると、彼女はたちまち震え上がって奥に隠れた。 一瞬怯んだ早苗だが、それでも即座に気を取り直して、敢然と挑むように霊夢に問いかけた。 「射命丸さんを、散々いじめたそうですね」 そんな早苗に、霊夢は気だるげな顔を浮かべて言い返す。 「コイツはね、謝罪広告を書くよう私と約束してるの。あれは催促よ」 「知っていますよ、謝罪広告はちゃんと配布されていますし、私も拝見しています」 早苗は、懐から謝罪広告を取り出してみせる。 「射命丸さんへの数々の暴力、これは妖怪に対する虐待です!」 早苗はビシリと霊夢を指差す。 なるほど、霊夢が神社に辿り着くまでの数十分。 その間に射命丸は手当てをしてもらいながら事情を話したのだろう。 「射命丸を引き渡す気は無いって事ね?」 霊夢は、袴からスペルカードを取り出す。 不利な状況で強大な相手を倒すには、スペルカード戦に持ち込むに限る。 それに対抗するかのように、早苗も懐からサッとスペルカードを取り出した。思い通りだ。 (・・・大見得切ってしまいましたが、果たして私は自分だけの力で霊夢さんに勝てるのでしょうか?) 後方であぐらを組んでいた神奈子は、いつの間にか音も無くと立ち上がっており 諏訪子もいつのまにか賽銭箱に寄りかかるのをやめていた。 境内に対峙する巫女二人。 早苗は実力では自分に及ばないが、同じ巫女系統ゆえに長期の消耗戦を覚悟せねばならない、相性の悪い相手。 奥にいる神奈子と諏訪子の二柱は、れっきとした強大な神格。 仮に一対一の三回戦でも、神々が縄張り荒らしを口実に神遊びを拒否したなら勝ち目は全く無い。 仮に神遊びに応じてくれたとしても一対三の状況に持ち込まれたら、同じく勝ち目は無い。 剣士や銃士の決闘さながら、構えたままじりじりと距離を離す霊夢と早苗。 何かの拍子に、すぐにでも火蓋は切って落とされそうだ。 少々眩しかった斜陽の日差しが、急に和らいだ。 視線だけ見上げてみれば案の定、巨大なオンバシラが宙に浮かび、霊夢に向かって既に狙いを定めている。 巨柱は太陽を背負い、小さな日食の如き巨大な影は霊夢を包む。妙な遠近感で頭がグラグラした。 悠然と遠くからこちらを見下ろす神奈子の瞳は、ギラギラと残酷な神気に満ち満ちていた。 見渡せば、色濃くなった周囲の陰から、ざわめく鎮守の杜の奥から視線を感じる。 よく見れば、大地に映った霊夢自身の影さえ、既にいくつもの実体の無い異形のシルエットに包囲されていた。 その体中を撫でるような視線が、不審な一千の瞳が恐くて霊夢はゾッと震える。 いたずらな諏訪子の笑み、だがその深遠な瞳の奥に覗くてらてらとした光は、なお一層不気味だった。 最悪の展開のようだ。霊夢は勝てない勝負をする程、愚かではない。 霊夢は誤魔化すようにチッと舌打ちをしてスペルカードをしまうと、そのまま早苗に背を向けて早足で歩き出す。 そのまま鳥居を通り過ぎると、フワリと空を飛んで消え去った。 (勝負ありです!私、タイマン勝負で霊夢さんに勝っちゃいました!) 霊夢の姿が完全に消えたのを確認して、早苗はほぅっと安心したように溜息をついた。 振り向いた拝殿、神奈子と諏訪子は既に、まるで微動だにしていないかのように、何もしていないかのように 先程と寸分も変わらぬ姿勢と優しげな表情に戻っていた。 知らぬは早苗ばかりなり。 隠れていた射命丸は早苗に走りより、ブンブンと大げさな握手をする 「あのままだったら私、あの鬼に殺されてました、命の恩人ですぅ」 早苗はその言葉を聞いて、むふぅーっと胸を張り得意げだ。 射命丸は更に拝殿の方へ向き直り、跪いて指を組むと 瞳をうりゅうりゅさせながらおべんちゃらを使う。 「流石、神さま仏さま神奈子さまですぅー」 諏訪子が一瞬 え!?私は? と愕然したような気がする。 再び泰然と座禅を組んでいる神奈子は、半眼に構えた両目のうち、一方をスッと開き 偉大な神格らしい、威厳ある声を響かせる。 「守矢の神は、信奉者を見捨てはしない。以後も信仰を忘れぬよう」 諏訪子はムスッと膨れていた。 その後、射命丸は散々おべっかを使い、そのまま同じ妖怪の山にある棲家に直帰した。 守矢の神様達に頼る事を思いつかなければ、死んでいたかもしれません。危なかったです。 今日はもう、出かける気になれません。このまま大人しく家に帰って寝ましょう。 「あー、本当に散々な一日でした」 いつものように、自分の部屋の灯りをつける。  ・・・そこには、今最高に会いたくない巫女、紅白の巫女が目を瞑り座禅を組んで座っていた。 嫌な予感がして周囲を見渡せば、部屋の隅や壁の要所にはベタベタと、不気味な光を放つお札が貼られている。 恐怖で膝の力が抜けてへたりこんだ瞬間、以前聞いた一斉にガチャガチャという音が響いた。 知っている、全ての鍵がロックされた音だ、陣は完成した。 瞑っていた瞳が、カッと開かれる 「また会ったわね、射命丸」 逃げ道は・・・やはりどこにもない。へたりこんだ射命丸の瞳に、絶望の涙が浮かぶ。 悲しいかな、鳥頭。射命丸は同じ轍を二度踏んだ。 場所、時刻不明 「萃香は霊夢の変貌振りに不安を抱かない?」 伊吹 萃香はこの話題に触れられると、挙動不審になる。 今もそわそわと瓢箪を抱きしめながら、ふいっと横を向いてしまった。 「事実上貴方が、霊夢の一番近くにいるんでしょう?よく神社に居ついて」 萃香は気まずげに、瓢箪から酒をぐっと呑む。そしておろおろと目線を泳がせた後、またふいっと明後日のほうを向いてしまった。 「貴方が霊夢の心を支えてあげれば、霊夢の側にいて言い返してやればよかったんじゃない?」 萃香のそわそわは止まらない。この話題は切り上げて欲しいと言わんばかりに、気まずくもぞもぞと動く。 「萃香なら、霊夢がああなるのを止められたんじゃ?」 その言葉で萃香は逃げるように背を向けて、コソコソと離れようとする。 「それとも本当に霊夢が、人間から鬼の同胞に変貌するのを期待した?」 冗談だ。いくら人間が負の感情に囚われたからと言って、そうそう妖魔に変貌したりはしない。 鬼や魔縁と化した者、驕り昂ぶった強力な修験者の末路。 確かに霊力や法力を持った現世の人間が、何かの拍子に生きながら強大な妖怪に変じる事はある。 だがそういった変化の確率は非常に低い。そう、本当に冗談だったのだ。 しかし、その言葉に萃香は過敏に反応した。 「違う!そんな事考えてない!霊夢には人間でいて欲しいに決まってる!」 一瞬激昂したかのように見えた萃香だが、自分自身の言葉に打ちのめされたのか、すぐまたしょんぼりとうな垂れてしまった。 瓢箪を抱きしめるように抱え、うつむき気味。体を痙攣させるかのように小刻みに震わせる。 「声を、掛けられなかったんだ。思いつめたり怒鳴ったりする霊夢の雰囲気が辛くて」 深い憂いの表情。それは霊夢の力への恐怖か?それとも心地よい関係が壊れる事への恐怖か? もしかしたら、単なる呑みすぎなのかもしれないが。 「いくじなし」 萃香の小さな背中はビクリと大きく震える。 萃香は泣きそうな、怒り出しそうな、悔しそうな、悲しそうな・・・そして無力感を噛み締めるかのような憂いた表情だ。 「違うんだ!」 なけなしの勇気を振り絞ったらしい反論。 その声は、断固として言い切るようでいて、あいまいで濁すような、何かに懺悔するかのような、はたまた逃避の言い訳のようだ。 気まずい沈黙。重い空気の中、萃香はぽつりぽつりと洩らし始めた。 「昔、人間と鬼は仲良くやっていてさ」 「知ってる」 続けて? 「でもね、それは私達の一方的な思い込みだったんだ」 「知ってる」 続けて続けて 「私はね、人間との関係が諦め切れなかったんだ」 「それで?」 先へどうぞ?本題はここから? 「人間と仲違いしてからさ、鬼は地底の都に戻ったけど。私は時期を待ったんだ。畏れと恨みが風化してくれるまで」 「そして、時期を待ってから異変を起こしたの?終わらない宴会だったかしら?遠まわし?」 挑発するかのように、からかったようなわざとらしいイントネーションで聞いてみる。 「そういえば誘いもせず能力で皆を萃めて、霧散して宴会に混じるなんて、随分消極的?」 「うん・・・」 その挑発に気がついていないのか、それとも反発する気力が無いのか、はたまた現実を誤魔化す為に鈍感や無気力を演じているか? 萃香は、死んだ目でにへらっと笑う。 「それでな、やっと人間と仲良くなれたんだ。霊夢は淡白だけどいい奴でさ、私は相手してくれるのが嬉しくてさ」 「ようやく手に入れた、かけがいの無い相手だったのに、なんで?」 たちまち萃香の顔からへらへら笑いが剥げ落ちる。 誤魔化すように、瓢箪から酒をぐいっと呑んだ。 「そうやって、いつもお酒に逃げてる?」 「違う、違うんだ」 瓢箪を抱えた萃香の体の振るえは大きく、その背中はいつもより更に小さく見えた。 「霊夢に捨てられるんじゃないかって。また人間に嫌われるんじゃないかって」 萃香は搾り出すような声で、独白する。 「本当に辛そうな霊夢に声掛けてさ、でも『アンタ、ウザいから出て行って』って言われたらどうしようって」 ぽつりぽつりと小さく告げる。 思えば、泣き伏せている霊夢を前にして萃香は遠くから見つめる事しか出来なかった。 それを見守ると称するのは欺瞞に過ぎない。 「霊夢の心に踏み込めなかったんだ。距離を保ってないと、拒絶されそうでさ!」 声はだんだんと大きくなっていく。 宴会で誘って拒絶されていた『妖怪の山』の烏天狗や吸血『鬼』が自分みたいに見えて。 自分のときは、冗談では済まないんじゃないかって。 なんで霊夢は霊夢だって一言言ってあげなかった?種族の乖離を意識してくなかった? 違うアプローチもあっただろうに。 「表向きは馴れ馴れしく振舞えても・・・本当に踏み進んで、心を通わせようとして、失敗したらさ!」 苦悩するような、深く響く声。 酔ってるから本気じゃなかったって。容姿が幼い私の、子供の冗談だったって。 「あの時の、人間達みたいにさ!本当はウザかったって!迷惑だったって!」 最後はまるで叫ぶかのようだった。 「萃香なんかいらないって・・・うざったい鬼はいらないって!」 一気に消沈した。うるっとしたつぶらな瞳で、祈るように萃香は見上げる。 「やっぱり、いくじなし」  ・・・ッツ!! 萃香は今度こそ逃げるように背を向けて、そのまま走り出し 背中に突き刺さる視線さえ辛いのか、途中で無数に変化し、霧に散った。 数日後、満月 「さて、やって貰うわよ?慧音」 「な、なあ。やっぱりやめないか・・・わ、分かったよ」 満月の竹林、慧音の住処。佇むハクタクとそれを後ろから座って眺める紅白の巫女。 実は霊夢はあの後、少し罪悪感に苛まれていた。 今日、慧音の住処に辿り着く瞬間まで迷っていたのだ。 だがハクタクモードになった慧音の乳と尻が、ケモノ化の影響で更に豊かになるのをたった今思い出した瞬間 霊夢の中で一握りの容赦と悔悛の心は消え去った。 「早くしてもらえるかしら?今夜は永くは無いのよ」 霊夢はイライラと玉串で何かを払いのけるようなジェスチャーで、慧音を急かす。 慧音が観念して、両手を広げて大きく大気を吸った瞬間。 「何を考えているのですか!貴方達は!」 竹林のあった空間からスキマが裂け、その中を通って幻想郷の閻魔 四季映姫・ヤマザナドゥ と そのお供としてついてきたらしい死神 小野塚 小町 が 現れた。 「未だ裁かれていない魂の歴史を隠すなんて、何のつもりですか!」 映姫が怒る、その理由。 法事が行われる予定のある魂、仏道による救いのあるならば、閻魔が裁くのはそれを待ってからだ。 ただでさえ魔理沙の魂は壊れていて、本人から事情を聞きだす事が出来ない。 そうなると、周囲の感情や彼女の人生の事実から罪を裁定しなければならない。 残念な事に、彼女は第一の根拠となる船賃をろくに持っていなかったらしい。 大量に持っていればそれを善として評価出来るが、無い場合は評価しようが無い。 無いから悪なのかと言えば、孤独な善人や、蔑ろにされ幼くして死んだ幼児も悪になる。 意志の無い魂を河原で放置してもしょうがないので、小町が宴会で飲んだ酒の代金として  ・・・彼女はたまに酒を持ち寄って小町はそれをよく呑んだ。 その埋め合わせとして運んだらしいが、お陰で生前の彼女との貸し借りも棒引きだ。 周囲の感情・・・重要な証人になる筈だった、魔理沙と親しかった魔女二人は実行犯。 両親は、まだ少女に過ぎない彼女を勘当している。 それ以外に、彼女への感情・・・無礼だが憎めない、コソ泥だが許す、遊び相手。決め手にならないものばかりだった。 半人半妖の男と悪霊の魔女、二人ほど彼女を可愛がり愛情を注いでくれているものがいる。 だが、それは本来両親から注がれるべきものを少し埋めたに過ぎない。 せめて魔理沙の為に心から祈ってくれる親友や恋人がいれば、閻魔はその祈りを汲み取り決定的な根拠とする事が出来る。 しかし、残念な事に彼女にそのような人物はいないようだ。 彼女の人生、両親に勘当され人里に居られなくなった娘。妖怪の住まう森で一人暮らし。哀れな、人間の少女。 異変解決と称した妖怪への暴力という一面もある。しかしそれは義憤や公共心によるものか?あれば善で済むのだが・・・ 彼女自身からそれを吐かせる事は、もはや不可能。人生の事実からも、罪を裁定する事が出来ない。 だが最後の切り札、浄瑠璃の鏡は全ての罪を映し出す。裁定の間で鏡の力を全開に発揮させ そして閻魔の能力を全力で振るえば、不完全な情報の中でもなんとか白黒ハッキリ判別が出来るだろう。 ところが魔理沙の魂を隠されてしまっては、鏡に映し出す事さえ出来ない。そもそも見つからないのだから。 出来ないからずっと控えの間にて放置と言う訳にもいかない。 葬式を済ませたならば、魔理沙の順番はいずれやって来る。 能力を行使出来ぬまま審判を下す結果になり、そして僅かでも間違ったならば・・・悪夢だった。 脳裏に、苦い過去の記憶がまざまざと蘇る。 「邪な考えは捨てて、神社に帰って魔理沙の魂に心から祈るといい!それが今の貴方に出来る善行よ!」 映姫はドスドスと足音を踏み鳴らしながら、霊夢の眼前まで近づく。 冷静さを失い気味の映姫。霊夢はそこに隙を見出し、奇襲で一気に勝負を決めるべく 映姫の頭部を玉串で殴りつける。大気を切り裂き、霊力を纏い不気味な音を上げて映姫に襲い掛かる玉串。 だがその一撃はガシンッと鋭く重い音とそして散った火花と共に、映姫の持つ悔悟の棒で受け止められてしまった。 こうなっては後に引けない、返す刀ならぬ玉串でもう一撃見舞おうとした瞬間 がら空きの足元を、小町の長い鎌の柄で簡単に掬われた。 ドサッと音を立てて倒れる霊夢。土にまみれた顔で見上げた先には、悔悟の棒をこちらの眼前に突きつけた映姫が立っていた。 飛び上がろうにも、小町の鎌の柄は巧みに霊夢の体を押さえつけている。チェックメイトだ。 「この血まみれの玉串はどうしたのです?これは、神事に使う神聖な品の筈」 霊夢はぎゅっと唇を噛み締め、悔しそうに、そして追い詰められた表情で映姫を見上げるばかりだ。 「そう、貴方は少し妖怪達に暴力を振るい過ぎた」 悔悟の棒に、まばゆく輝く文字が浮かび上がる。 「これが、今回の貴方の罪の重さです。反省なさい!」 目には目を、ということだろうか?映姫は悔悟の棒を霊夢に振り下ろした。 バシリッ!と鋭い音が竹林中に響く。霊夢はその一撃で意識を失った。 「終わったようね?」 音の直後、またしても竹林のあった筈の空間からスキマが裂け、そこから八意 永琳が歩み出てきた。 「まったく、竹林に火を放とうなんて困った巫女さんね?たまたま妹紅が聞き耳を立てていなければどうなってたか」 ぐったりと地面に沈む霊夢を、爪先でうりうりと小突く永琳。薬師は思えない行為だ。 更もスキマから、担架と薬箱を抱えたうどんげとてゐがいそいそと駆け寄ってきた。 「思えば、哀れな娘なのですよ」 映姫は、同情と慈愛の眼差しと霊夢に送る。 「さて、手筈通りに彼女の記憶を消してあげなさい」 映姫は振り返り、楽しそうに霊夢の頭を爪先でチョイチョイと蹴る永琳に牽制の視線を送る。 永琳の脚で仰向けに反された霊夢、その瞳からは一筋の涙が流れていた。 今度は横に向き直り、唖然としている慧音に語りかけた。 「数日後、マリサの葬式が行われます。それが過ぎたら審判を下しますので、その後貴方は彼女の魂を隠してしまいなさい」 小町はその言葉に ヒュー!これが閻魔様のお言葉とは! など大げさにと驚いてみせる。 慧音もその意外な言葉に、更に唖然として・・・もはや呆れを通り越したのかフッと笑う。 「本当にいいのですか?閻魔様がそんな事言って」 「いいのよ、幻想郷と結界そして皆が不安のままよりはね。それに、どうせ魔理沙だし」 映姫もニヒルに笑い返した。 映姫は、今度は天の方角をギリッと睨みつける。 「巫女は記憶を失い、事件は全ては無かった事に。貴方の計画通りですか? 八雲紫 」 こうこうと金色に星空を照らす満月。 その横にもう一つの月、夜空に一段と暗い三日月が浮かんでいた。 紫はファンシーな傘を片手に、その空に裂いたスキマの三日月に悠然と座っている。 紫は傘をクルクルと回しながら、フワリと優雅に霊夢の横に降り立った。 「可哀想な霊夢、みんながいじめるからこんなに追い詰められて」 紫は自分の服が汚れるのを省みず、霊夢の上半身を抱えるように持ち上げると 顔の泥をハンカチで拭き落とし、指で涙を拭ってやる。 そしてぎゅっと抱きしめるように包み込み、長い黒髪に顔を埋め、少女の白い柔らかな頬に頬擦りをする。 そんな紫に、映姫は冷たい視線を送る。 「貴方も、その霊夢をいじめていたみんなのうちの一人でしょう?」 「しかも無意味に、粘着質に。むしろ自分の意思でいじめていたのは貴方だけ、閻魔にはお見通しよ」 その目は蔑みと卑しみに満ちていた。 紫は動かない霊夢に頬を寄せたまま、吊り上った口元が裂けたように、邪悪な顔で笑った。 「こんな機会で無ければ、私の可愛い霊夢にいじわるするなんて出来る訳が無いでしょう?」 嫌われちゃうじゃない?などとぬけぬけと言ってみせる。 「あまりに罪深い。審判の日を楽しみにしておくことですね」 もはや映姫の顔には何の感情も宿っていない。 だが紫は、全く堪えた様子は無い。 「事件は無かった事に、結界は磐石に戻り、村人も妖怪も恐怖を忘れ、巫女は元通り。世は全て事もなし」 紫は閻魔の言葉を逆に無視するかのように、無防備な顔で睡る霊夢の に口付けした。 「それで、いいではありませんか?」 おまけ ~これはかつて、映姫が審判を間違った時の事~ 是非庁の一室、大会議室。 広い部屋に、長テーブルが壁沿いにぐるりと一周するように並べられ、そこに複数の席が設けられている。 一番奥の上座には十王の一人、今会議において閻魔王を名乗る王の一人が座する。 基本的に席順は自由だが、閻魔の経歴や管轄の広さ、そして見えない派閥・・・ 派閥と言っても単なる閻魔達の個人的な付き合いや仲の良さであって影響力は無い、によって座席が決まるのが慣例だ。 「四季映姫、貴方は あきた - 作者の霊夢にたいする不快深い愛を感じた。しかし一番救いの無いのは魔理沙・・・w -- 名無しさん (2009-09-24 19:51:28) - 紫にやたらむかついたのは俺だけじゃないはず -- 名無しさん (2009-09-24 20:22:07) - 慧音が可愛すぎるwww -- 名無しさん (2009-09-24 21:29:46) - そこで終わるなよw -- 名無しさん (2009-09-24 21:31:03) - なにこれ胸糞わるい -- 名無しさん (2009-09-24 22:10:14) - こんなゆかりんは能力とられていじめられるべきだな。 &br()ねっちょりと。 -- 名無しさん (2009-09-24 22:20:17) - アリスがさりげなく逃げ切ったねwww &br()もともと霊夢が悪いんだしパチュリーも八つ当たりみたいなものだったけど -- 名無しさん (2009-09-24 23:50:58) - もともと悪いのは霊夢じゃなくて実行犯二人だろ? -- 名無しさん (2009-09-25 00:12:15) - これで魔理沙が葬式後棺桶内で蘇ったら涙目だろうなw &br()誰も覚えてないし墓標も刻まれてないんだぜ? -- 名無しさん (2009-09-25 04:29:33) - いやいやこれは…さすが紫、良い仕事をなさる。なかなか良かった。楽園の鬼畜で外道な巫女も、所詮は人間だなww &br() -- 名無しさん (2009-09-25 05:38:39) - アリスの拷問も見たかった。だがとても面白かったです -- 名無しさん (2009-09-25 11:20:23) - 誰か萃香に触れてやれよ…… -- 名無しさん (2009-09-25 13:33:52) - 霊夢以外全員死ねばいいのに…… -- 名無しさん (2009-09-25 20:16:21) - 三途の川の底でじっとしてろ &br()誰かとは言わない -- 名無しさん (2009-09-26 00:15:28) - しかしなんだ…霊夢が生き残るとは残念だ -- 名無しさん (2009-09-26 00:25:29) - いや霊夢も死んでいいだろ -- 名無しさん (2009-09-26 09:01:25) - とりあえず紫とアリスをだな -- 名無しさん (2009-09-26 19:45:09) - 個人的にレミリアが一番ムカつくw典型的スネ夫w -- 名無しさん (2009-09-30 00:20:59) - 外伝で紫ボコボコにならねぇかなあ &br()無理かなあ -- 名無しさん (2009-09-30 10:26:05) - やんでるなあ^^: &br()うんまあヤンデレは嫌いじゃないんだが、どうもこれはなあ・・・ -- こいし (2009-09-30 22:38:07) - 霊夢記憶戻って紫とアリス全力でいじめないかな -- 名無しさん (2009-10-03 00:21:38) - 萃香の話で萃香に語りかけてるのは紫? &br()とりあえずレミリアはこの話唯一の癒しポイント -- 名無しさん (2009-10-07 14:52:21) - なんだかんだ言ってもところどころに胸への怒りが見える霊夢かあいぃw -- 名無しさん (2009-10-07 22:52:11) - 皆死ねばいいのに。 -- 名無しさん (2009-11-01 08:22:30) - 萃香、エヴァのシンジくんかよw -- 名無しさん (2010-02-15 18:56:38) - あきた じゃねーよwwwwwwwwww>作者 -- 名無しさん (2010-02-24 19:10:09) - アリスは魅魔様にこってり絞られると予想 &br()しかしこのレミリアはかわいいな -- 名無しさん (2010-03-01 09:57:26) - アリスたん逃げられて良かったね!!! -- 名無しさん (2010-03-01 23:33:11) - アリスと紫とパチュリーと文死なねえかな &br()ゴールドエクスぺリスレクイエムで何万回でも死ねといいたい -- 名無しさん (2010-07-21 11:36:01) - 慧音の能力欲しいなあ -- 名無しさん (2010-07-22 02:18:03) - 文がどこまでも不憫だ…… -- 名無しさん (2010-11-01 22:12:57) - 魔理沙が死んだ事を悔やむ霊夢を見るたび泣いてしまった・・・ &br() -- 名無しさん (2011-07-06 18:40:50) - 霊夢こわい ^^; …ヤンデレ好きだけど…殺りすぎ…てか魔理沙ww ほとんどでてない…レイマリ…なの?………と言うかすげー泣いた.*(°´д`°)*. -- 名無しさん (2012-10-29 22:48:39) - 飽きるな作者wwwwww -- 名無しさん (2012-11-01 00:13:02) - 「どうせ魔理沙だし」…名言ですな -- 名無しさん (2012-11-11 15:07:06) - いやぁ、面白かったあ -- 名無しさん (2013-01-12 12:40:03) - ごらんのありさまだよ!!! -- 名無しさん (2013-05-23 15:30:51) - 霊夢は色々と少しやりすぎたようですw(俺的に) &br()射命丸が可哀想だったなぁと思ひし今日です -- 名無(ry (2013-08-27 22:28:43) - とりあえずアリスと紫は( ´∀`)Ьイッテ……( ´∀`)p ヨシ! -- カールグスタフ (2013-09-04 22:36:57) - 魔理沙の死を悲しむ素振りも無く自己保身の言い訳ばかりの霊夢には同情できん。 &br()てか魔理沙死んでも誰も悲しんでない、最強の魔理沙虐めw -- 名無しさん (2013-10-15 03:41:45) - アリスはともかくパチュリーに呪われたのは魔理沙の自業自得。呪いが重なったのは単なる事故。親友を手にかけたストレス+周り中からイジメられた霊夢の暴走には酌量の余地がたっぷりとある。 &br()となると、やっぱり新聞をバラ撒いた文と村を守って貰ったのに霊夢を排斥した村人の罪が一番重いかな。 &br()バケモノ化した魔理沙の姿を見た村人が全員死亡したわけじゃあるまいし、霊夢の行動の妥当性を無視してただ「結果的に人を殺した」という部分だけを注視して騒いだわけだから、霊夢のスタンスを勘違いしたが故の間違った友愛行動だった文よりも悪意に塗れてる。 &br()結局の所、「人間が殺された」というショッキングな事実を、コミュニティ外の者に犯人役を押し付けるという安易な手段で消化しようとしたのが問題の根源じゃないかと思う。 &br()まぁ、そういった事件の成り立ち部分を無視して罪だけをっていうか自分の下す判決の間違って無さ(決して正しさではない)ばかり気にしているヤマダも相当なもんだけど。 &br()そして早苗とモンペア二神がめっさウザい。 -- 名無しさん (2014-02-17 06:19:27) - 早苗と村人と文かねー、うざいの。 &br()村人は殺した事ばかり騒ぐし、 &br()文もほぼ殺した事だけを新聞に載せるし、 &br()早苗に至ってはそれを良い事に善者ぶって調子に乗ってるカス。 &br()ただの偽善者だろ… -- 名無しさん (2014-05-16 17:43:22) - 事件の概要だけで見ると魔理沙の小さい悪事が大元で、後は事故なんだよな。 &br()霊夢は被害者。加害者は村人というか無責任無自覚な集団の悪意というべきか。 &br()閻魔の言い分もちょっとおかしいよな。 -- 名無しさん (2014-06-30 18:29:04) - 全員頭のネジが悪い方向にズレてるな &br()主題がキャラ苛めだとしてもちょっとアレだわ &br()もう全員惨殺エンドでよかったじゃん、と思う -- 名無しさん (2014-07-07 21:30:31) - こめ欄くそうぜー &br()霊夢死ね死ね死ね死ね霊夢が一番悪い死ね &br()結局自分をよくみせたいがために妖怪を脅しやがって &br()霊夢死ね死ね死ね死ね死ね死ね -- 名無しさん (2014-12-06 15:30:50) - ↑一番悪いのは呪いをかけた実行犯二人貴方はそこまで解釈するべきです。確かに霊夢も悪い点はありますが全て霊夢が悪い訳ではない。この話に関わった人達のほとんどが悪人です。貴方はもう少し頭を使って考えてから発言して下さい。 -- 元幻想郷出身者 (2014-12-16 23:30:24) - 霊夢、酷すぎるよ。 &br() -- 名無しさん (2015-01-06 09:29:14) - 胸くそ悪すぎありすどした作者最悪最低 -- 名無しさん (2015-05-06 22:13:37) - 魔理沙生きてて強くて全員に復讐するの誰か書いてくれないかなチラッ[壁]_-)それとこの作者魔理沙ばかにしすぎ最低 -- 名無しさん (2015-05-24 21:55:08) - コメ欄の奴ら魔理沙バカにすんな最悪最低 -- 名無しさん (2015-05-24 21:57:12) - そして放置されているアリスさんェ… -- 名無しさん (2015-08-04 18:50:28) - ヒャッハー!くずなカラスと魔女(七色)は粛正だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! -- くぁwせdrfgyふじこlp (2015-10-09 18:51:30) - 霊夢は、こんなに酷くないよ!!! -- マウンテンバイクに乗ったこいし (2015-10-20 07:54:49) - コメ荒らしが多いなぁ。コメ荒らしは全員死なないかなぁ。 &br()あ、これじゃあ俺もコメ荒らしだな。ちょっと霊夢に粛正されて来る。 -- 俺パチュリーだよ〜ん! って友達に言ったらウケタ (2016-06-18 05:17:30) - とりあえず霊夢は醜いってことはわかった -- 名無しさん (2016-08-07 06:18:44) - 霊夢も酷いが一番酷いのは紫だな -- 名無しと化す程度の能力 (2016-11-30 18:08:52) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)
-[[魔理沙が化け物に:26スレ936]] の続きです 完結 ※二次、三次設定ばかりです 跡形もありません ハッピーエンド?でも外伝もある ※魔理沙は既に死んでいて登場しません。慧音、文、萃香いじめ 魔理沙殺害事件の犯人は判明し、巫女はそれを処罰した。 一時期調子に乗っていた妖怪達も、今は鬼の恐怖に怯えてかなり大人しくなっている。 魔理沙の葬式の日程も決まり、事件は無事解決した。 かのように見えたが、事件のせいで未だに苦しめられている者もいた 真っ青な顔の 上白沢 慧音 は先程から、一人黙って自宅のちゃぶ台の前で、ぼうっと湯呑みを見つめていた。 表情は絶望の運命に苦悩するかのように暗く、その目は憂いと苦しみで薄く潤んでいる。 時折ぐずぐずと深いため息をついては、またぼうっと湯呑みを見つめるばかり。 そんな無益な行為をしばらく繰り返した後、慧音はぎゅっとスカートの裾を握りながら、背中を小さく丸めて 搾り出すような小さな涙声でぽつりと呟いた。 「どうしよう・・・紅妹・・・もこ・・・」 堪えていた涙がぽたりぽたりと流れ落ちて、慧音の青いスカートにいくつかの小さな染みを作る。 彼女の苦悩は、迷いの竹林にある住処に博霊の巫女が尋ねて来た時より始まった。 ある日の午後、子供達のテストの採点をしている最中、珍しく住処の玄関がノックされた。 慧音がゆったりと起き上がって玄関までに向かう僅かな間に 扉のノック音はドン、ドンドン、ドンドンドンドンと激しくなる。 慧音をこんな時間に訪ねる、遠慮なしのせっかちさん。 玄関の外に立っているのが誰なのか、慧音には簡単に予想が出来る。 きっと銀の髪にリボンの似合う、白と赤のあの娘。 「なんだー?もこかー?今、採点中でなー」 忙しい時に突然やって来る不躾な客、それでも慧音はどうしても緩んだ笑顔を隠せない。 慧音はそっと数十センチ玄関の扉を開き、その隙間から顔を出して来客の姿を覗き見る。 そこに立っていたのは、予想外の人物 博麗 霊夢 博麗の巫女だった。 瞬間笑顔が崩れ去り、ちょっと恥ずかしげな顔になった慧音に、彼女は不敵な笑みで微笑み返す。 「こんにちは。慧音、話があるのよ」 霊夢は家主の招きを待たず、玄関の扉をぐっと掴んで開いた。 客間を兼ねた居間、畳張りのその部屋に置かれたちゃぶ台の前 そこにひかれた座布団の上に、博霊霊夢は正座で座っている。 慧音は霊夢の前に茶の入った湯呑みと菓子がトンと置くと、自分もちゃぶ台を挟んだ向こう側に座った。 「それで、話ってなんだ?」 霊夢は、身振り手振りを使って話し始める。 「この前さ、人里で魔法使いが死ぬ事故があったじゃない?それでね」 事故?霊夢が魔理沙を殺した話か・・・読んだよ。 幻想郷全体にばら撒か…配布される 文々。新聞。 普段はそれをテキトーに斜め読みした後、子供達の習字の練習や炊きつけに使われるが あの記事はセンセーショナルで、慧音も最初から最後まで読んだ。 その上慧音はあの後村に駆けつけて魔理沙の死体だって確認しているし、閻魔の話も聞いた。 少女が嬲り者にされた後、残酷に殺されたと思われるあの死体を見て、慧音も吐き気を覚えたものだ。 慧音は 魔法使い?…ああ、などと適当に相槌を打つ。 霊夢の表情は、無表情の笑顔のような不機嫌なような引きつったような、よく感情を読み取れない。 彼女の話は続く。 「それでさ、呪いのせいで里の人間が襲われたり魔理沙が死んだりしたでしょ」  ・・・呪いで正気を失ったっていう魔理沙を、博麗の巫女が情け容赦無く即処分したんだったな。 そんな事をまた報告しに来たのか 熱心な事だな 慧音はまた、ああ と適当に相槌を打つ。 だが、霊夢の話はここで終わりではないらしい。 霊夢はちくちくと菓子を楊枝でつつきながら、気まずそうに喋り続ける。 「アイツのせいで、妖怪どもが調子に乗ったり村人が怖がったりしたじゃない?」 どうも話が見えてこないな?私に、下級妖怪から村を守って欲しいのか? 慧音は、うん、そうだなとまた適当に相槌を打った。 霊夢は視線を慧音に戻し、深遠な瞳で微妙な笑みをした。 「それでさ、大体の妖怪は私がシメて・・・博麗として処罰しておいたんだけどさ」 迷いの竹林に住む慧音は、霊夢の射命丸やパチュリーに対する暴力の話を聞いていない。 それをわざわざ報告に来てくれたのか? 「ああ、それじゃあ事件は解け・・・                「「でね!」」 霊夢はだんと強くちゃぶ台を叩きながら叫ぶように慧音の言葉を途中で遮る。 衝撃で、茶が少しだけ盆に零れ菓子も少し揺れた。 気まずい沈黙が走る 意外に大きかった打撃音に霊夢は少し動揺したようだ。 霊夢は再び気まずそうな様子になった。 先程から、茶にも菓子にもまったく手をつけている様子が無い。 普段、菓子を出されれば遠慮なくバクバクと食べておかわりを要求するぐらいなのだが。 「でもさ、村人の心の傷は消えないじゃない?妖怪も下級なのはさ・・・」 何かを伺うような上目遣いで、霊夢は言った。 心の傷?村人の心の傷は癒えているし葬式までもうすぐ、それに下級妖怪はいつでも本能で生きている。  ・・・なんの話なんだ? 慧音は、・・・あー と気の抜けたような返事をした。 霊夢はそろそろ分かって欲しいなといった感じの表情だ。 「そのせいで、神社と人里の連携が崩れたじゃない?」  ・・・?は? 微妙にソワソワしている霊夢を慧音はぼんやりと見つめる。 霊夢は みなまで言わせるな と言わんばかりだ。 「妖怪側と人里側、両方が戻って初めて事件解決なワケでしょ?」  ・・・まったく話が見えてこない。 今の慧音の顔は、まるで寺子屋で授業を受けている子供の表情そっくりだ。 つまらない、意味の感じられない長話、さっさと終わりにして欲しい。 慧音はぼんやりそんな事を考えながら、 そうなのかー と、どこかの妖怪のような事をつぶやいた。 霊夢の表情が急に引き締まる。 「ワーハクタク」 その一言にぼうっと失せかけていた慧音の意識はぐっと引き戻される。 霊夢は 上白沢 慧音 を慧音ではなくワーハクタクと呼んだ。 きっと、ここからが本題なのだろう。 あわてて目をぱちくりさせながら、崩れ気味の姿勢を正す。 霊夢は、冷めた茶を一気に飲み干すと 「魔理沙の歴史を隠しなさい」 とんでもない事を宣言した。 ようやく言いにくい事を言い終わったと言わんばかりに、霊夢はムシャムシャと菓子を食べ始める。 慧音は思わずポカーンとしてしまう。 は?魔理沙の魂の歴史を?そんなくだらない事で? 「そんな事で、魂を冒涜するような真似は出来ない」 慧音は、断固として言った。 霊夢はそんな慧音を見て、少しだけ煩わしそうな顔をした。 「そうは言ってもね、もう魔理沙はいないから私だけだし。村人が不安も拭えないじゃない?」 慧音は全く納得できない。このまま、一笑に付してしまおうか。そう思いかけた瞬間。 「困るのよね、誰かさんは人里を隠し損ねたりして頼りにならないし?」 巫女は慧音がなるべく考えないようにしていた事実を、痛いところを突いてきた。 だが一回目の強襲は、気配の微小な雑魚が急に襲ってきたので分からなかったのだ。 二回目は、もう暫くは来ないと思って妹紅とイチャイチャして送れたなんて・・・言える訳が無い。 もっとも、それは慧音の罪ではない。 慧音は使命を帯びた巫女とは違い、本来村を助ける義務など無い。 助けなくてもあたりまえ、助けたらその善意にとても感謝される。そういうものだ。 それどころか、襲撃の時間に慧音の寺子屋に生徒が居たお陰で 子供達の被害は少なく、その事を村人達は感謝ているぐらいだ。 慧音は自分の失態に一瞬顔を真っ赤にした後、悔しそうな、悲しそうな顔で霊夢から顔を背ける。 その口は、ぱくぱくと何かを言いたげにもごもごと動いていた。 だがそれも束の間。短い悔悛の後、正面に向き直った慧音の顔は、凛とした雰囲気を纏っていた。 慧音はそんな責めで落ち込んで、そのまま言いなりになる程弱くは無い。 意を決したように、そして挑むように霊夢に言った。 「私は、私は自分の罪を隠して逃げたりはしない!だからお前も・・・ だがその熱気に満ちたの言葉は、霊夢の気だるげな言葉に遮られた。 「竹林、燃やすわよ?」 突拍子も無い言葉、慧音はまた硬直し、その後深い溜息をついた。 もしかして、それで私が嫌がって応じると? 「そんな事をしても、お前が余計村人に嫌われるだけだぞ」 そんな呆れ顔の慧音に、霊夢は平然と言い返した 「竹林には、炎を操る術者が居たわよね」 慧音の時間は、三度硬直した。 慧音の凛とした表情はたちまち消え去り、顔から血の気が引いてゆく。 まとっている服が体に貼りつく程に、冷や汗が全身から滝のように流れ出した。 そんなワーハクタクのあからさまな動揺を読み取って、霊夢は更に一歩踏み込む。 「竹林に、魔力の失火があれば自動的に妹紅が犯人よ」 ちなみに計画を他人に喋っても同じよ などと釘を刺すのを忘れない。 慧音の瞳孔はぐっと開き、その焦点はがたがたと泳ぎ定まらない。 顔は自分の膝を見るように俯き、ぽつりと言った。 「妹紅は・・・もこは許して欲しい」 霊夢は、ズズッと茶を啜りながら言う。 「じゃあ、魔理沙の魂を隠す事ね?」 慧音は泣きそうな声で、霊夢に訴える。 「そんな・・・そんなの・・・いけない・・・」 そんな慧音に、霊夢はめんどくさそうに言った。 「あーあ、アイツの生き甲斐は村人との交流だったのに。誰かさんのせいでアイツの人生メチャクチャね?」 濡れ衣を着せられる妹紅。寄って集って口汚く罵られる妹紅。 それでも悔し涙を流す事しか出来ない妹紅。 か弱い微笑みしか浮かべる事の出来ない妹紅。笑顔を失う妹紅。 無実の罪で、村人に石を投げつけられる妹紅。 慧音の脳裏に、最悪の妄想が過ぎた。 だめだ!だめだ!だめだ!だめだ!そんなのだめだ! なんとかして霊夢を誤魔化さないと! 意識が思考と苦悩の奥に沈んだ瞬間、慧音は閃いた。 「霊夢、よく考えたら私は魔理沙の魂を見た事は無いから隠せないぞ?」 慧音は冷静な表情を繕いながら言う、だが声は若干上ずっていた。 してやったり とはいかなかった。霊夢は事も無げに茶を啜り、一瞥さえしなかった。 「予想してたわ。そんな事」 「満月の晩には、貴方はハクタクと化して幻想郷の全ての歴史を知る」 霊夢は淡々と告げた。彼女は博麗、最初からそこまで予想してここへやって来たのだ。 更に何かを思いついたように、ニヤリと笑う。 「その時ならば、魔理沙の魂を隠す事が出来る。そうだ、ついでに事故死の歴史も創って貰おうかしらね?」 あうう・・・。もうだめだ。 慧音の瞳が、しっとりと涙を帯びはじめる。 「あううう・・・あう・・・はうう・・・」 慧音はオロオロしながら頭を抱えている。 霊夢は最後の茶菓子を口に放り込むと、スッと立ち上がった。 勘弁してくれないか、と言わんばかりに潤んだ瞳で霊夢を見上げるが 既に彼女の顔は能面のような普段の無感情に戻っており、もはやそれが崩れる事は無さそうだった。 「次の満月は、もうすぐね。また来るわよ」 あうう、などと情け無い嗚咽をあげながら、涙目でスルスルと這うように霊夢に寄ろうとする慧音。 だが霊夢はそれを避けるかのように足早に玄関に向かい、パタンと扉を響かせて、出て行ってしまった。 畳に這いつくばるような、まぬけなポーズで取り残された慧音。 立ち上がる気力も無く、そのまま力無くうな垂れ・・・ぽたぽたと水滴が畳を塗らした。 「助けて・・・もこ・・・もこ・・・」 ここは、妖怪の山近くの荒地。 特に目印となる木々や建物も無く、目に付く草や特徴的な地形さえ無い ただただ広がる大地の延長上の、何も無い場所。 そんな石くれだらけの土の上に、射命丸は正座をさせられている。 目の前には、恐ろしげな看守か警官のように、玉ぐしで自分の掌をトントンと叩く霊夢。 その霊夢が、正座している射命丸を立ったまま見下ろしている構図だ。 「あーやちゃーん?この謝罪広告、全然効果が無いみたいなんだけど?」 霊夢は漫才のツッコミを入れるように射命丸の額を、玉ぐしでパシッと叩く。 漫才と違う点は、その一撃で射命丸の額からたらたらと血が流れはじめた所だろうか。 射命丸は黙って俯いている。 「何とか言おうよ?射名丸?」 霊夢は少し苛立たしげに、今度は射命丸の頬を玉ぐしで張った。 パチン、と乾いたいい音が聞こえる。 「あの・・・謝罪広告が効果が出るまでには時間が掛かりまして・・・」 熱く腫れた頬を庇うように擦りながら、射命丸は気まずげに釈明した。 霊夢は、その返答に不機嫌そうだ。 「まさか、二ヶ月と半なんて言わないわよね?」  ・・・正直に言って、謝罪広告に効果など無い。霊夢の行為があまりに残酷すぎたのだ。 だからと言って、効果が出るか「分からない」などと正直に言えば 霊夢が射命丸にどんな仕打ちをするかも「分からない」だろう。 射命丸は泣きそうな顔で意を決したように立ち上がると そのまま霊夢に背を向け、一目散に逃げ出した。 「もう嫌です!許してください!」 いくらか羽根を抜かれたとはいえ、彼女は未だに幻想郷でトップクラスの速さを誇る。 少なくとも、霊夢よりは速かった。 射命丸は妖怪の山の方を目指し、その姿はどんどん小さくなってゆく、 だが、霊夢は慌てず騒がず。射命丸の背に向かって、数枚の札を投げつけた。 霊夢のこの札は、どんなに離れても目標を追尾し続ける性質を持つ。 広いようで狭い幻想郷、外の世界と違い無限の空と大地が広がる代物ではない。 射命丸がどこに逃げようと、霊夢は悠然と札の後を追い続けるだけでいい。 札は妖怪の山を目指し、その付近で今度は空の方向を目指し始めた。 しばらく札を追い続ける霊夢。 しかしある程度進んだところで、お札はピタリと止まり バチバチと機械がショートするように、お札は電流と煙を上げ 次の瞬間、ボッと音を立てて燃え尽きた。 顔を上げてみれば、眼前には泰然と佇む大鳥居。 ここは、妖怪の山の頂にある守矢神社。 霊夢は鳥居の前にスッと降り立つと、そのままズンズンと奥に進んでゆく。 別に、初めて来る場所でもない。この神社は何度も訪れた事がある。 境内中央には 東風谷 早苗 が、鳥居を潜ってやってくる霊夢を、待ち構えるかのように立っていた。 その後ろの奥、拝殿の賽銭箱の上にはこの神社の神 八坂 神奈子 が泰然とあぐらを組んで浮いており もう一人の神 洩矢 諏訪子 は、いたずらな笑みを浮かべて賽銭箱に寄りかかっている。 その陰から、包帯を巻いた射命丸が覗き見るように・・・ハッキリ言って、早苗を盾にするように隠れている。 そんな射命丸を霊夢がギッと睨み付けると、彼女はたちまち震え上がって奥に隠れた。 一瞬怯んだ早苗だが、それでも即座に気を取り直して、敢然と挑むように霊夢に問いかけた。 「射命丸さんを、散々いじめたそうですね」 そんな早苗に、霊夢は気だるげな顔を浮かべて言い返す。 「コイツはね、謝罪広告を書くよう私と約束してるの。あれは催促よ」 「知っていますよ、謝罪広告はちゃんと配布されていますし、私も拝見しています」 早苗は、懐から謝罪広告を取り出してみせる。 「射命丸さんへの数々の暴力、これは妖怪に対する虐待です!」 早苗はビシリと霊夢を指差す。 なるほど、霊夢が神社に辿り着くまでの数十分。 その間に射命丸は手当てをしてもらいながら事情を話したのだろう。 「射命丸を引き渡す気は無いって事ね?」 霊夢は、袴からスペルカードを取り出す。 不利な状況で強大な相手を倒すには、スペルカード戦に持ち込むに限る。 それに対抗するかのように、早苗も懐からサッとスペルカードを取り出した。思い通りだ。 (・・・大見得切ってしまいましたが、果たして私は自分だけの力で霊夢さんに勝てるのでしょうか?) 後方であぐらを組んでいた神奈子は、いつの間にか音も無くと立ち上がっており 諏訪子もいつのまにか賽銭箱に寄りかかるのをやめていた。 境内に対峙する巫女二人。 早苗は実力では自分に及ばないが、同じ巫女系統ゆえに長期の消耗戦を覚悟せねばならない、相性の悪い相手。 奥にいる神奈子と諏訪子の二柱は、れっきとした強大な神格。 仮に一対一の三回戦でも、神々が縄張り荒らしを口実に神遊びを拒否したなら勝ち目は全く無い。 仮に神遊びに応じてくれたとしても一対三の状況に持ち込まれたら、同じく勝ち目は無い。 剣士や銃士の決闘さながら、構えたままじりじりと距離を離す霊夢と早苗。 何かの拍子に、すぐにでも火蓋は切って落とされそうだ。 少々眩しかった斜陽の日差しが、急に和らいだ。 視線だけ見上げてみれば案の定、巨大なオンバシラが宙に浮かび、霊夢に向かって既に狙いを定めている。 巨柱は太陽を背負い、小さな日食の如き巨大な影は霊夢を包む。妙な遠近感で頭がグラグラした。 悠然と遠くからこちらを見下ろす神奈子の瞳は、ギラギラと残酷な神気に満ち満ちていた。 見渡せば、色濃くなった周囲の陰から、ざわめく鎮守の杜の奥から視線を感じる。 よく見れば、大地に映った霊夢自身の影さえ、既にいくつもの実体の無い異形のシルエットに包囲されていた。 その体中を撫でるような視線が、不審な一千の瞳が恐くて霊夢はゾッと震える。 いたずらな諏訪子の笑み、だがその深遠な瞳の奥に覗くてらてらとした光は、なお一層不気味だった。 最悪の展開のようだ。霊夢は勝てない勝負をする程、愚かではない。 霊夢は誤魔化すようにチッと舌打ちをしてスペルカードをしまうと、そのまま早苗に背を向けて早足で歩き出す。 そのまま鳥居を通り過ぎると、フワリと空を飛んで消え去った。 (勝負ありです!私、タイマン勝負で霊夢さんに勝っちゃいました!) 霊夢の姿が完全に消えたのを確認して、早苗はほぅっと安心したように溜息をついた。 振り向いた拝殿、神奈子と諏訪子は既に、まるで微動だにしていないかのように、何もしていないかのように 先程と寸分も変わらぬ姿勢と優しげな表情に戻っていた。 知らぬは早苗ばかりなり。 隠れていた射命丸は早苗に走りより、ブンブンと大げさな握手をする 「あのままだったら私、あの鬼に殺されてました、命の恩人ですぅ」 早苗はその言葉を聞いて、むふぅーっと胸を張り得意げだ。 射命丸は更に拝殿の方へ向き直り、跪いて指を組むと 瞳をうりゅうりゅさせながらおべんちゃらを使う。 「流石、神さま仏さま神奈子さまですぅー」 諏訪子が一瞬 え!?私は? と愕然したような気がする。 再び泰然と座禅を組んでいる神奈子は、半眼に構えた両目のうち、一方をスッと開き 偉大な神格らしい、威厳ある声を響かせる。 「守矢の神は、信奉者を見捨てはしない。以後も信仰を忘れぬよう」 諏訪子はムスッと膨れていた。 その後、射命丸は散々おべっかを使い、そのまま同じ妖怪の山にある棲家に直帰した。 守矢の神様達に頼る事を思いつかなければ、死んでいたかもしれません。危なかったです。 今日はもう、出かける気になれません。このまま大人しく家に帰って寝ましょう。 「あー、本当に散々な一日でした」 いつものように、自分の部屋の灯りをつける。  ・・・そこには、今最高に会いたくない巫女、紅白の巫女が目を瞑り座禅を組んで座っていた。 嫌な予感がして周囲を見渡せば、部屋の隅や壁の要所にはベタベタと、不気味な光を放つお札が貼られている。 恐怖で膝の力が抜けてへたりこんだ瞬間、以前聞いた一斉にガチャガチャという音が響いた。 知っている、全ての鍵がロックされた音だ、陣は完成した。 瞑っていた瞳が、カッと開かれる 「また会ったわね、射命丸」 逃げ道は・・・やはりどこにもない。へたりこんだ射命丸の瞳に、絶望の涙が浮かぶ。 悲しいかな、鳥頭。射命丸は同じ轍を二度踏んだ。 場所、時刻不明 「萃香は霊夢の変貌振りに不安を抱かない?」 伊吹 萃香はこの話題に触れられると、挙動不審になる。 今もそわそわと瓢箪を抱きしめながら、ふいっと横を向いてしまった。 「事実上貴方が、霊夢の一番近くにいるんでしょう?よく神社に居ついて」 萃香は気まずげに、瓢箪から酒をぐっと呑む。そしておろおろと目線を泳がせた後、またふいっと明後日のほうを向いてしまった。 「貴方が霊夢の心を支えてあげれば、霊夢の側にいて言い返してやればよかったんじゃない?」 萃香のそわそわは止まらない。この話題は切り上げて欲しいと言わんばかりに、気まずくもぞもぞと動く。 「萃香なら、霊夢がああなるのを止められたんじゃ?」 その言葉で萃香は逃げるように背を向けて、コソコソと離れようとする。 「それとも本当に霊夢が、人間から鬼の同胞に変貌するのを期待した?」 冗談だ。いくら人間が負の感情に囚われたからと言って、そうそう妖魔に変貌したりはしない。 鬼や魔縁と化した者、驕り昂ぶった強力な修験者の末路。 確かに霊力や法力を持った現世の人間が、何かの拍子に生きながら強大な妖怪に変じる事はある。 だがそういった変化の確率は非常に低い。そう、本当に冗談だったのだ。 しかし、その言葉に萃香は過敏に反応した。 「違う!そんな事考えてない!霊夢には人間でいて欲しいに決まってる!」 一瞬激昂したかのように見えた萃香だが、自分自身の言葉に打ちのめされたのか、すぐまたしょんぼりとうな垂れてしまった。 瓢箪を抱きしめるように抱え、うつむき気味。体を痙攣させるかのように小刻みに震わせる。 「声を、掛けられなかったんだ。思いつめたり怒鳴ったりする霊夢の雰囲気が辛くて」 深い憂いの表情。それは霊夢の力への恐怖か?それとも心地よい関係が壊れる事への恐怖か? もしかしたら、単なる呑みすぎなのかもしれないが。 「いくじなし」 萃香の小さな背中はビクリと大きく震える。 萃香は泣きそうな、怒り出しそうな、悔しそうな、悲しそうな・・・そして無力感を噛み締めるかのような憂いた表情だ。 「違うんだ!」 なけなしの勇気を振り絞ったらしい反論。 その声は、断固として言い切るようでいて、あいまいで濁すような、何かに懺悔するかのような、はたまた逃避の言い訳のようだ。 気まずい沈黙。重い空気の中、萃香はぽつりぽつりと洩らし始めた。 「昔、人間と鬼は仲良くやっていてさ」 「知ってる」 続けて? 「でもね、それは私達の一方的な思い込みだったんだ」 「知ってる」 続けて続けて 「私はね、人間との関係が諦め切れなかったんだ」 「それで?」 先へどうぞ?本題はここから? 「人間と仲違いしてからさ、鬼は地底の都に戻ったけど。私は時期を待ったんだ。畏れと恨みが風化してくれるまで」 「そして、時期を待ってから異変を起こしたの?終わらない宴会だったかしら?遠まわし?」 挑発するかのように、からかったようなわざとらしいイントネーションで聞いてみる。 「そういえば誘いもせず能力で皆を萃めて、霧散して宴会に混じるなんて、随分消極的?」 「うん・・・」 その挑発に気がついていないのか、それとも反発する気力が無いのか、はたまた現実を誤魔化す為に鈍感や無気力を演じているか? 萃香は、死んだ目でにへらっと笑う。 「それでな、やっと人間と仲良くなれたんだ。霊夢は淡白だけどいい奴でさ、私は相手してくれるのが嬉しくてさ」 「ようやく手に入れた、かけがいの無い相手だったのに、なんで?」 たちまち萃香の顔からへらへら笑いが剥げ落ちる。 誤魔化すように、瓢箪から酒をぐいっと呑んだ。 「そうやって、いつもお酒に逃げてる?」 「違う、違うんだ」 瓢箪を抱えた萃香の体の振るえは大きく、その背中はいつもより更に小さく見えた。 「霊夢に捨てられるんじゃないかって。また人間に嫌われるんじゃないかって」 萃香は搾り出すような声で、独白する。 「本当に辛そうな霊夢に声掛けてさ、でも『アンタ、ウザいから出て行って』って言われたらどうしようって」 ぽつりぽつりと小さく告げる。 思えば、泣き伏せている霊夢を前にして萃香は遠くから見つめる事しか出来なかった。 それを見守ると称するのは欺瞞に過ぎない。 「霊夢の心に踏み込めなかったんだ。距離を保ってないと、拒絶されそうでさ!」 声はだんだんと大きくなっていく。 宴会で誘って拒絶されていた『妖怪の山』の烏天狗や吸血『鬼』が自分みたいに見えて。 自分のときは、冗談では済まないんじゃないかって。 なんで霊夢は霊夢だって一言言ってあげなかった?種族の乖離を意識してくなかった? 違うアプローチもあっただろうに。 「表向きは馴れ馴れしく振舞えても・・・本当に踏み進んで、心を通わせようとして、失敗したらさ!」 苦悩するような、深く響く声。 酔ってるから本気じゃなかったって。容姿が幼い私の、子供の冗談だったって。 「あの時の、人間達みたいにさ!本当はウザかったって!迷惑だったって!」 最後はまるで叫ぶかのようだった。 「萃香なんかいらないって・・・うざったい鬼はいらないって!」 一気に消沈した。うるっとしたつぶらな瞳で、祈るように萃香は見上げる。 「やっぱり、いくじなし」  ・・・ッツ!! 萃香は今度こそ逃げるように背を向けて、そのまま走り出し 背中に突き刺さる視線さえ辛いのか、途中で無数に変化し、霧に散った。 数日後、満月 「さて、やって貰うわよ?慧音」 「な、なあ。やっぱりやめないか・・・わ、分かったよ」 満月の竹林、慧音の住処。佇むハクタクとそれを後ろから座って眺める紅白の巫女。 実は霊夢はあの後、少し罪悪感に苛まれていた。 今日、慧音の住処に辿り着く瞬間まで迷っていたのだ。 だがハクタクモードになった慧音の乳と尻が、ケモノ化の影響で更に豊かになるのをたった今思い出した瞬間 霊夢の中で一握りの容赦と悔悛の心は消え去った。 「早くしてもらえるかしら?今夜は永くは無いのよ」 霊夢はイライラと玉串で何かを払いのけるようなジェスチャーで、慧音を急かす。 慧音が観念して、両手を広げて大きく大気を吸った瞬間。 「何を考えているのですか!貴方達は!」 竹林のあった空間からスキマが裂け、その中を通って幻想郷の閻魔 四季映姫・ヤマザナドゥ と そのお供としてついてきたらしい死神 小野塚 小町 が 現れた。 「未だ裁かれていない魂の歴史を隠すなんて、何のつもりですか!」 映姫が怒る、その理由。 法事が行われる予定のある魂、仏道による救いのあるならば、閻魔が裁くのはそれを待ってからだ。 ただでさえ魔理沙の魂は壊れていて、本人から事情を聞きだす事が出来ない。 そうなると、周囲の感情や彼女の人生の事実から罪を裁定しなければならない。 残念な事に、彼女は第一の根拠となる船賃をろくに持っていなかったらしい。 大量に持っていればそれを善として評価出来るが、無い場合は評価しようが無い。 無いから悪なのかと言えば、孤独な善人や、蔑ろにされ幼くして死んだ幼児も悪になる。 意志の無い魂を河原で放置してもしょうがないので、小町が宴会で飲んだ酒の代金として  ・・・彼女はたまに酒を持ち寄って小町はそれをよく呑んだ。 その埋め合わせとして運んだらしいが、お陰で生前の彼女との貸し借りも棒引きだ。 周囲の感情・・・重要な証人になる筈だった、魔理沙と親しかった魔女二人は実行犯。 両親は、まだ少女に過ぎない彼女を勘当している。 それ以外に、彼女への感情・・・無礼だが憎めない、コソ泥だが許す、遊び相手。決め手にならないものばかりだった。 半人半妖の男と悪霊の魔女、二人ほど彼女を可愛がり愛情を注いでくれているものがいる。 だが、それは本来両親から注がれるべきものを少し埋めたに過ぎない。 せめて魔理沙の為に心から祈ってくれる親友や恋人がいれば、閻魔はその祈りを汲み取り決定的な根拠とする事が出来る。 しかし、残念な事に彼女にそのような人物はいないようだ。 彼女の人生、両親に勘当され人里に居られなくなった娘。妖怪の住まう森で一人暮らし。哀れな、人間の少女。 異変解決と称した妖怪への暴力という一面もある。しかしそれは義憤や公共心によるものか?あれば善で済むのだが・・・ 彼女自身からそれを吐かせる事は、もはや不可能。人生の事実からも、罪を裁定する事が出来ない。 だが最後の切り札、浄瑠璃の鏡は全ての罪を映し出す。裁定の間で鏡の力を全開に発揮させ そして閻魔の能力を全力で振るえば、不完全な情報の中でもなんとか白黒ハッキリ判別が出来るだろう。 ところが魔理沙の魂を隠されてしまっては、鏡に映し出す事さえ出来ない。そもそも見つからないのだから。 出来ないからずっと控えの間にて放置と言う訳にもいかない。 葬式を済ませたならば、魔理沙の順番はいずれやって来る。 能力を行使出来ぬまま審判を下す結果になり、そして僅かでも間違ったならば・・・悪夢だった。 脳裏に、苦い過去の記憶がまざまざと蘇る。 「邪な考えは捨てて、神社に帰って魔理沙の魂に心から祈るといい!それが今の貴方に出来る善行よ!」 映姫はドスドスと足音を踏み鳴らしながら、霊夢の眼前まで近づく。 冷静さを失い気味の映姫。霊夢はそこに隙を見出し、奇襲で一気に勝負を決めるべく 映姫の頭部を玉串で殴りつける。大気を切り裂き、霊力を纏い不気味な音を上げて映姫に襲い掛かる玉串。 だがその一撃はガシンッと鋭く重い音とそして散った火花と共に、映姫の持つ悔悟の棒で受け止められてしまった。 こうなっては後に引けない、返す刀ならぬ玉串でもう一撃見舞おうとした瞬間 がら空きの足元を、小町の長い鎌の柄で簡単に掬われた。 ドサッと音を立てて倒れる霊夢。土にまみれた顔で見上げた先には、悔悟の棒をこちらの眼前に突きつけた映姫が立っていた。 飛び上がろうにも、小町の鎌の柄は巧みに霊夢の体を押さえつけている。チェックメイトだ。 「この血まみれの玉串はどうしたのです?これは、神事に使う神聖な品の筈」 霊夢はぎゅっと唇を噛み締め、悔しそうに、そして追い詰められた表情で映姫を見上げるばかりだ。 「そう、貴方は少し妖怪達に暴力を振るい過ぎた」 悔悟の棒に、まばゆく輝く文字が浮かび上がる。 「これが、今回の貴方の罪の重さです。反省なさい!」 目には目を、ということだろうか?映姫は悔悟の棒を霊夢に振り下ろした。 バシリッ!と鋭い音が竹林中に響く。霊夢はその一撃で意識を失った。 「終わったようね?」 音の直後、またしても竹林のあった筈の空間からスキマが裂け、そこから八意 永琳が歩み出てきた。 「まったく、竹林に火を放とうなんて困った巫女さんね?たまたま妹紅が聞き耳を立てていなければどうなってたか」 ぐったりと地面に沈む霊夢を、爪先でうりうりと小突く永琳。薬師は思えない行為だ。 更もスキマから、担架と薬箱を抱えたうどんげとてゐがいそいそと駆け寄ってきた。 「思えば、哀れな娘なのですよ」 映姫は、同情と慈愛の眼差しと霊夢に送る。 「さて、手筈通りに彼女の記憶を消してあげなさい」 映姫は振り返り、楽しそうに霊夢の頭を爪先でチョイチョイと蹴る永琳に牽制の視線を送る。 永琳の脚で仰向けに反された霊夢、その瞳からは一筋の涙が流れていた。 今度は横に向き直り、唖然としている慧音に語りかけた。 「数日後、マリサの葬式が行われます。それが過ぎたら審判を下しますので、その後貴方は彼女の魂を隠してしまいなさい」 小町はその言葉に ヒュー!これが閻魔様のお言葉とは! など大げさにと驚いてみせる。 慧音もその意外な言葉に、更に唖然として・・・もはや呆れを通り越したのかフッと笑う。 「本当にいいのですか?閻魔様がそんな事言って」 「いいのよ、幻想郷と結界そして皆が不安のままよりはね。それに、どうせ魔理沙だし」 映姫もニヒルに笑い返した。 映姫は、今度は天の方角をギリッと睨みつける。 「巫女は記憶を失い、事件は全ては無かった事に。貴方の計画通りですか? 八雲紫 」 こうこうと金色に星空を照らす満月。 その横にもう一つの月、夜空に一段と暗い三日月が浮かんでいた。 紫はファンシーな傘を片手に、その空に裂いたスキマの三日月に悠然と座っている。 紫は傘をクルクルと回しながら、フワリと優雅に霊夢の横に降り立った。 「可哀想な霊夢、みんながいじめるからこんなに追い詰められて」 紫は自分の服が汚れるのを省みず、霊夢の上半身を抱えるように持ち上げると 顔の泥をハンカチで拭き落とし、指で涙を拭ってやる。 そしてぎゅっと抱きしめるように包み込み、長い黒髪に顔を埋め、少女の白い柔らかな頬に頬擦りをする。 そんな紫に、映姫は冷たい視線を送る。 「貴方も、その霊夢をいじめていたみんなのうちの一人でしょう?」 「しかも無意味に、粘着質に。むしろ自分の意思でいじめていたのは貴方だけ、閻魔にはお見通しよ」 その目は蔑みと卑しみに満ちていた。 紫は動かない霊夢に頬を寄せたまま、吊り上った口元が裂けたように、邪悪な顔で笑った。 「こんな機会で無ければ、私の可愛い霊夢にいじわるするなんて出来る訳が無いでしょう?」 嫌われちゃうじゃない?などとぬけぬけと言ってみせる。 「あまりに罪深い。審判の日を楽しみにしておくことですね」 もはや映姫の顔には何の感情も宿っていない。 だが紫は、全く堪えた様子は無い。 「事件は無かった事に、結界は磐石に戻り、村人も妖怪も恐怖を忘れ、巫女は元通り。世は全て事もなし」 紫は閻魔の言葉を逆に無視するかのように、無防備な顔で睡る霊夢の に口付けした。 「それで、いいではありませんか?」 おまけ ~これはかつて、映姫が審判を間違った時の事~ 是非庁の一室、大会議室。 広い部屋に、長テーブルが壁沿いにぐるりと一周するように並べられ、そこに複数の席が設けられている。 一番奥の上座には十王の一人、今会議において閻魔王を名乗る王の一人が座する。 基本的に席順は自由だが、閻魔の経歴や管轄の広さ、そして見えない派閥・・・ 派閥と言っても単なる閻魔達の個人的な付き合いや仲の良さであって影響力は無い、によって座席が決まるのが慣例だ。 「四季映姫、貴方は あきた - 作者の霊夢にたいする不快深い愛を感じた。しかし一番救いの無いのは魔理沙・・・w -- 名無しさん (2009-09-24 19:51:28) - 紫にやたらむかついたのは俺だけじゃないはず -- 名無しさん (2009-09-24 20:22:07) - 慧音が可愛すぎるwww -- 名無しさん (2009-09-24 21:29:46) - そこで終わるなよw -- 名無しさん (2009-09-24 21:31:03) - なにこれ胸糞わるい -- 名無しさん (2009-09-24 22:10:14) - こんなゆかりんは能力とられていじめられるべきだな。 &br()ねっちょりと。 -- 名無しさん (2009-09-24 22:20:17) - アリスがさりげなく逃げ切ったねwww &br()もともと霊夢が悪いんだしパチュリーも八つ当たりみたいなものだったけど -- 名無しさん (2009-09-24 23:50:58) - もともと悪いのは霊夢じゃなくて実行犯二人だろ? -- 名無しさん (2009-09-25 00:12:15) - これで魔理沙が葬式後棺桶内で蘇ったら涙目だろうなw &br()誰も覚えてないし墓標も刻まれてないんだぜ? -- 名無しさん (2009-09-25 04:29:33) - いやいやこれは…さすが紫、良い仕事をなさる。なかなか良かった。楽園の鬼畜で外道な巫女も、所詮は人間だなww &br() -- 名無しさん (2009-09-25 05:38:39) - アリスの拷問も見たかった。だがとても面白かったです -- 名無しさん (2009-09-25 11:20:23) - 誰か萃香に触れてやれよ…… -- 名無しさん (2009-09-25 13:33:52) - 霊夢以外全員死ねばいいのに…… -- 名無しさん (2009-09-25 20:16:21) - 三途の川の底でじっとしてろ &br()誰かとは言わない -- 名無しさん (2009-09-26 00:15:28) - しかしなんだ…霊夢が生き残るとは残念だ -- 名無しさん (2009-09-26 00:25:29) - いや霊夢も死んでいいだろ -- 名無しさん (2009-09-26 09:01:25) - とりあえず紫とアリスをだな -- 名無しさん (2009-09-26 19:45:09) - 個人的にレミリアが一番ムカつくw典型的スネ夫w -- 名無しさん (2009-09-30 00:20:59) - 外伝で紫ボコボコにならねぇかなあ &br()無理かなあ -- 名無しさん (2009-09-30 10:26:05) - やんでるなあ^^: &br()うんまあヤンデレは嫌いじゃないんだが、どうもこれはなあ・・・ -- こいし (2009-09-30 22:38:07) - 霊夢記憶戻って紫とアリス全力でいじめないかな -- 名無しさん (2009-10-03 00:21:38) - 萃香の話で萃香に語りかけてるのは紫? &br()とりあえずレミリアはこの話唯一の癒しポイント -- 名無しさん (2009-10-07 14:52:21) - なんだかんだ言ってもところどころに胸への怒りが見える霊夢かあいぃw -- 名無しさん (2009-10-07 22:52:11) - 皆死ねばいいのに。 -- 名無しさん (2009-11-01 08:22:30) - 萃香、エヴァのシンジくんかよw -- 名無しさん (2010-02-15 18:56:38) - あきた じゃねーよwwwwwwwwww>作者 -- 名無しさん (2010-02-24 19:10:09) - アリスは魅魔様にこってり絞られると予想 &br()しかしこのレミリアはかわいいな -- 名無しさん (2010-03-01 09:57:26) - アリスたん逃げられて良かったね!!! -- 名無しさん (2010-03-01 23:33:11) - アリスと紫とパチュリーと文死なねえかな &br()ゴールドエクスぺリスレクイエムで何万回でも死ねといいたい -- 名無しさん (2010-07-21 11:36:01) - 慧音の能力欲しいなあ -- 名無しさん (2010-07-22 02:18:03) - 文がどこまでも不憫だ…… -- 名無しさん (2010-11-01 22:12:57) - 魔理沙が死んだ事を悔やむ霊夢を見るたび泣いてしまった・・・ &br() -- 名無しさん (2011-07-06 18:40:50) - 霊夢こわい ^^; …ヤンデレ好きだけど…殺りすぎ…てか魔理沙ww ほとんどでてない…レイマリ…なの?………と言うかすげー泣いた.*(°´д`°)*. -- 名無しさん (2012-10-29 22:48:39) - 飽きるな作者wwwwww -- 名無しさん (2012-11-01 00:13:02) - 「どうせ魔理沙だし」…名言ですな -- 名無しさん (2012-11-11 15:07:06) - いやぁ、面白かったあ -- 名無しさん (2013-01-12 12:40:03) - ごらんのありさまだよ!!! -- 名無しさん (2013-05-23 15:30:51) - 霊夢は色々と少しやりすぎたようですw(俺的に) &br()射命丸が可哀想だったなぁと思ひし今日です -- 名無(ry (2013-08-27 22:28:43) - とりあえずアリスと紫は( ´∀`)Ьイッテ……( ´∀`)p ヨシ! -- カールグスタフ (2013-09-04 22:36:57) - 魔理沙の死を悲しむ素振りも無く自己保身の言い訳ばかりの霊夢には同情できん。 &br()てか魔理沙死んでも誰も悲しんでない、最強の魔理沙虐めw -- 名無しさん (2013-10-15 03:41:45) - アリスはともかくパチュリーに呪われたのは魔理沙の自業自得。呪いが重なったのは単なる事故。親友を手にかけたストレス+周り中からイジメられた霊夢の暴走には酌量の余地がたっぷりとある。 &br()となると、やっぱり新聞をバラ撒いた文と村を守って貰ったのに霊夢を排斥した村人の罪が一番重いかな。 &br()バケモノ化した魔理沙の姿を見た村人が全員死亡したわけじゃあるまいし、霊夢の行動の妥当性を無視してただ「結果的に人を殺した」という部分だけを注視して騒いだわけだから、霊夢のスタンスを勘違いしたが故の間違った友愛行動だった文よりも悪意に塗れてる。 &br()結局の所、「人間が殺された」というショッキングな事実を、コミュニティ外の者に犯人役を押し付けるという安易な手段で消化しようとしたのが問題の根源じゃないかと思う。 &br()まぁ、そういった事件の成り立ち部分を無視して罪だけをっていうか自分の下す判決の間違って無さ(決して正しさではない)ばかり気にしているヤマダも相当なもんだけど。 &br()そして早苗とモンペア二神がめっさウザい。 -- 名無しさん (2014-02-17 06:19:27) - 早苗と村人と文かねー、うざいの。 &br()村人は殺した事ばかり騒ぐし、 &br()文もほぼ殺した事だけを新聞に載せるし、 &br()早苗に至ってはそれを良い事に善者ぶって調子に乗ってるカス。 &br()ただの偽善者だろ… -- 名無しさん (2014-05-16 17:43:22) - 事件の概要だけで見ると魔理沙の小さい悪事が大元で、後は事故なんだよな。 &br()霊夢は被害者。加害者は村人というか無責任無自覚な集団の悪意というべきか。 &br()閻魔の言い分もちょっとおかしいよな。 -- 名無しさん (2014-06-30 18:29:04) - 全員頭のネジが悪い方向にズレてるな &br()主題がキャラ苛めだとしてもちょっとアレだわ &br()もう全員惨殺エンドでよかったじゃん、と思う -- 名無しさん (2014-07-07 21:30:31) - こめ欄くそうぜー &br()霊夢死ね死ね死ね死ね霊夢が一番悪い死ね &br()結局自分をよくみせたいがために妖怪を脅しやがって &br()霊夢死ね死ね死ね死ね死ね死ね -- 名無しさん (2014-12-06 15:30:50) - ↑一番悪いのは呪いをかけた実行犯二人貴方はそこまで解釈するべきです。確かに霊夢も悪い点はありますが全て霊夢が悪い訳ではない。この話に関わった人達のほとんどが悪人です。貴方はもう少し頭を使って考えてから発言して下さい。 -- 元幻想郷出身者 (2014-12-16 23:30:24) - 霊夢、酷すぎるよ。 &br() -- 名無しさん (2015-01-06 09:29:14) - 胸くそ悪すぎありすどした作者最悪最低 -- 名無しさん (2015-05-06 22:13:37) - 魔理沙生きてて強くて全員に復讐するの誰か書いてくれないかなチラッ[壁]_-)それとこの作者魔理沙ばかにしすぎ最低 -- 名無しさん (2015-05-24 21:55:08) - コメ欄の奴ら魔理沙バカにすんな最悪最低 -- 名無しさん (2015-05-24 21:57:12) - そして放置されているアリスさんェ… -- 名無しさん (2015-08-04 18:50:28) - ヒャッハー!くずなカラスと魔女(七色)は粛正だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! -- くぁwせdrfgyふじこlp (2015-10-09 18:51:30) - 霊夢は、こんなに酷くないよ!!! -- マウンテンバイクに乗ったこいし (2015-10-20 07:54:49) - コメ荒らしが多いなぁ。コメ荒らしは全員死なないかなぁ。 &br()あ、これじゃあ俺もコメ荒らしだな。ちょっと霊夢に粛正されて来る。 -- 俺パチュリーだよ〜ん! って友達に言ったらウケタ (2016-06-18 05:17:30) - とりあえず霊夢は醜いってことはわかった -- 名無しさん (2016-08-07 06:18:44) - 霊夢も酷いが一番酷いのは紫だな -- 名無しと化す程度の能力 (2016-11-30 18:08:52) - ↑違うよ一番酷いのはおまけを途中でやめた作者だよww -- 名無しさん (2018-02-13 16:41:50) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)

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