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フランいぢめ:28スレ308」(2017/03/13 (月) 21:05:48) の最新版変更点

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私はフランドール・スカーレット。大体500歳くらい。 紅魔館の主、吸血鬼レミリア・スカーレットの妹だ。 ずっと長い間地下室に閉じ込められて、もう姉以外の肉親の顔など覚えていない。 けど最近、ようやく地下から出してもらえるようになった。 姉以外にも、 瀟洒なメイド長の十六夜咲夜、病弱だけど頭のいいパチュリー・ノーレッジ、 いまいち頼りないけど、明るくて優しい紅美鈴など、大勢の家族と共に暮らしている。 そして今日私は、姉に遊んでもらおうと、紅魔館の廊下を歩き、姉の部屋へと向かっていた。 フラン「お姉さまー!」 レミリア「あっ…!? フランか。どうしたの、何か用?」 そう言って部屋に飛び込むと、お姉さまは何かを書いていた…けど、私に気がつくと すぐに笑顔で返事をしてくれる。書いていた何か…それは手帳みたいだった。 フラン「お姉さま、それ何?」 レミリア「ん、ああこれ? なんでもないわ…ただの日記よ」 フラン「へぇ~、お姉さま、日記なんてつけてるんだ?」 レミリア「うん…それで、どうしたの? フラン「んっと、遊んでほしいなって…だめ?」 レミリア「ああ…ごめんね? まだやらないといけないことがあるから…美鈴とでも遊んでらっしゃい」 お姉さまはそう言って、頭を撫でてくれる…400年以上私を閉じ込めていた人と、同じ人物とは思えない。 そんなお姉さまを困らせても悪いので、言われたとおり美鈴と遊ぶことにした。 外は夜…私が外に出ても問題は無い。美鈴は秋になって徐々に冷たくなってきた空気をものともせず、門に立っていた。 フラン「美鈴ー! 遊ぼうー!」 美鈴「あ、妹様…私門番の仕事中なんですけど…」 フラン「いいじゃない、私も一緒に番するから~」 美鈴「う~ん、仕方ないですねぇ…」 美鈴は遊びをねだると、困った顔をするのだけれど…結局なんだかんだ言って遊んでくれる。 そして遊び疲れたころになると…大抵ナイフが飛んでくるのだ。今日もその例に漏れず、 銀のナイフが飛んできた。そして飛んできたほうを見ると、怖い笑顔の咲夜が居るのもいつものことだ。 咲夜「美鈴~? お仕事はどうしたのかしら?」 美鈴「げえっ!? 咲夜さん!? いやその、これはですね…」 フラン「私が遊んでって頼んだの! 美鈴は悪くないよ!」 咲夜「もう…妹様、あまり美鈴の邪魔をしないであげてくださいな」 フラン「あぅ…ごめんね、美鈴…」 美鈴「ふふ、いいんですよ。妹様。妹様の笑顔を見てると、私も楽しくなりますから」 フラン「えへ…ありがと、美鈴」 咲夜「はいはい、じゃあ門番も楽しくやってもらおうかしら?」 美鈴「は、は~い…」 そうしておしゃべりしていると、やがて夜明けが近くなる。夜の眷属である私は寝る時間だ。 私があくびを一つすると、咲夜が私を抱えて部屋まで連れて行ってくれる。 そうやって、毎日毎日が楽しく過ぎていく…これからもそうだと、私は信じている。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 次の夜、私は本を読もうと思って、図書館へと赴いた。 すると、中ではパチュリーが焦げていて、小悪魔はオロオロしていた。 …あんまり珍しい光景でもない。魔理沙がが本を強奪していったんだろう。 あの白黒も嫌いじゃないけど、こうやって家族を傷つけられるのは腹が立つ。 そう考えていると、小悪魔が声をかけてきた。 小悪魔「あ、フラン様…ごめんなさい、パチュリー様が見てのとおりで…」 フラン「うん…また魔理沙?」 小悪魔「はい…パチュリー様はかなり慌てていました。よほど大事な本だったのでしょうか…力尽くで取り返そうとして、これで…」 フラン「む~…よし、わかった! 私が取り返してくる!」 小悪魔「え、ですが妹様…!」 フラン「大丈夫! 私だって紅魔館の一員だもん、たまには皆の役に立ちたいの!」 私はそういい終えると、踵を返して図書館を出て…小悪魔がまだ何か言っていたけど気にしない。 窓から飛び出して、魔法の森、魔理沙の家を目指した。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 本は意外とすぐ取り戻せた。挨拶代わりにドアをキュッとしたのもあるかもしれないが… 魔理沙が言うには、あんまり役立つ内容じゃなかったらしい。 私は大量の付箋が貼られたその本を抱え、紅魔館への帰り道についた。 フラン「そういえば、コレ何の本なんだろう…?」 パチュリーはいろいろ本を薦めてくれるけど、殆どが物語や絵本で、本格的な魔道書、というのは見せてくれなかった。 私だって魔法は使えるというのに、そういった本がある区画には入れてくれないのだ。 だから、ほんのちょっとだけ、その本をめくって、内容を読んでみることにした。 適当な場所に着地して、腰を下ろし、本を膝に乗せて表紙を開く。その表紙にはこう書かれていた。 フラン「ええっと…『吸血鬼生成、およびそれに伴う擬似記憶の植え付けに関しての経過レポート』…?」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  △月 ×日 最初の個体生成に成功。しかし一時間と持たず組成が崩壊した。やはり、一筋縄ではいかない。 だが、吸血鬼の生成という目標のため、この程度では挫けていられない。  □月 △日 二体目の個体生成に成功、組成崩壊の兆候もなし。だが、こちらからの呼びかけに一切反応せず。 生命体として生きてはいるものの、コレではただの人形である。いろいろ試みたが、結局反応は見せなかった。 サンプルとして保存し、実験に使うことを考えたが、結局廃棄処分とする。  ×月 ○日 三体目の個体生成に成功。擬似記憶の植え付けにも成功し、こちらの呼びかけに反応も見せた。 また、吸血鬼としての高い身体能力や、あらゆる物の弱点を手の上に持ってきて、握りつぶすことで 爆発させる、という特殊能力も持っていた。少々見た目は似ていないものの、スペックは申し分ない。 どうやら、妹様計画もようやく成功しそうだ。以後、レミィの妹として生活させ、経過を見ることとする。  ×月 ×日 駄目だった。妹様三号は突如発狂。紅魔館に甚大な被害を出した。やむを得ず処分する。 原因の究明と、その改善策を早急に考えなければならない。  ×月 △日 妹様三号の発狂を、擬似記憶によるものであると推定、500年分も詰め込めば、どこかで矛盾も出るだろうし、 それだけの情報を一気に詰め込んでしまうと、吸血鬼といえど精神が持たないのかもしれない。 矛盾が出ず、なおかつ情報の密度を薄くする方法が必要だ。  ○月 □日 これで完璧のはずだ。身体生成は三号をベースに、擬似記憶を改良した。 しかし念を入れて、当分の間は地下室で過ごさせることにする。 そのほうが、擬似記憶との矛盾も無くなるはずだ。 今度こそ、上手くいくことを願う。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー フラン「何よ…これ…」 そこに書かれていたのは、生命体…吸血鬼を人工的に作ろうとした試み、そしてその失敗の記録だった。 そして何より、そこに書かれた居たのは、明らかに自分のこと…けど、そんなはずは無い。 私は500年以上前に生まれている。コレはどう見てもここ数年に書かれた本だ。 私はお姉さまの妹として生まれて… フラン「あ…れ…?」 そうだ、吸血鬼は血を吸うこととで人間を眷族にし、仲間を増やす。だからそもそも姉妹という関係などあるはずが無い。 仮に親の吸血鬼が人間の姉妹の血を吸って眷族にしたとして、私がその妹だとするのなら、私は人間のときどんな人間だった? 私は誰に血を吸われた? その記憶が一切無い。 そもそもなんで私は地下室に居たんだろう? 気がふれてたからとお姉さまは言ったけど、私は至って正常だ。 周りの者を見ても私が特別狂っているとは思えない。大体狂っていたから閉じ込めてたのに、それがある日突然治り、 出歩いてよいということになるのだろうか? 考えてみれば、私とお姉さまとは髪の毛も翼もまるで違う。姉妹だというのに似ていない。 いや、似ていない姉妹なんていくらでも居る、私は間違いなくレミリア・スカーレットの妹で…500年近く閉じ込められていたんだ。 だから、人間を料理された形でしか知らなくて…じゃあ私は閉じ込められてる間何を食べてた? 直接人間を食べた記憶が無いから、 料理されたものを食べていたことになるはずだけど、咲夜は人間だから、400年以上前に居るはずがない、パチュリーだって200歳は超えてないはずだ。 じゃあ誰が、閉じ込めた私の世話をしていたんだろう…何だ、考えるまでも無い、お姉さまだ。お姉さまが閉じ込めた私に、 人間を使ったケーキや料理を、長い間持ってきてくれたんだ。何百年もそんなことをしてくれるのは、私が実の妹だからで… いやまて、何でケーキにする必要がある? 何百年前といえば紅魔館はまだ外の世界にある、人間を狩って来るのに何の問題も無い。 私たちはもともと生きた人間から血を吸う種族だ。生きた人間を連れてくるのが一番のはずなのに…なんで私は調理された人間しか知らなかった? もし幻想郷の中でなら、割り当てられた人間を使って料理をすると言うのはわかるけど… フラン「違う…違う違う…そんなの違う…」 何度声に出しても、もう私の頭からその考えは消えてくれなかった。 私はレミリア・スカーレットの妹なんかじゃない。 私は作り出された吸血鬼、フランドールの名を与えられ、それらしい記憶を植えつけられた…人形なのだと。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー それからのことは、よく覚えていない…ただ、図書館に本を返して、それからすぐ自室に戻ったような気がする。 何度考えても、私が500年間生きてきた吸血鬼だとすると矛盾が生じる… しかもいやなことに、あの本の内容が正しいとすると、矛盾はスルリと無くなるのだ。 だとすると、あの皆の態度は何だったのだろう?  何で作り物の私を妹様として慕ってくれたのだろう? きっと聞いてもはぐらかされるだけだろう。 フラン「だったら…自分で調べるしか、無いよね…」 レミリアは日記をつけていた…アレを調べれば、何かがわかるかもしれない。 そう考えて…私はレミリアの部屋を調べることに決めた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 意外と、その時はすぐやってきた。あれから数日たった今夜、 レミリアはお偉いさんたちの会合に出て行って、咲夜もそれに付いていった。 パチュリーは相変わらず図書館に篭ったまま。美鈴は門番。 メイド達も、咲夜が居ないからそれぞれサボり中… 私は誰にも見咎められることなく、レミリアの部屋までたどり着いていた。 主の居ない部屋の中は整然と整っていて、あの手帳を探すのは簡単そうだった。 けど、あの手帳を見つけても意味が無い。もっと前の日記…残しているかもわからないけれど、 残っているとしたら何とかして見つけて、事の真相を確かめないといけない。 部屋の中をひっくり返して、机や棚を全部開けて。ようやく、あの手帳と同じものが、 まとめて保管されているのを見つけた。パラパラとめくってみると、やはり日記のようだった。 夜が終わらず、咲夜と一緒に飛び出したこと。春に雪が降って咲夜が出かけたこと、そんなことが書いてあった。 そして、その中で一番古いものを開き、読み始める…日付は数年前のものだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー △月△日 突如、周囲の風景が変わった。何が起こったのかはわからないが、 とにかくまず状況を調べないといけない。パチェに調査を頼むと共に、 夜になったら周りを見てみよう。 △月×日 とりあえず一晩あたりを調べたが、地形が完全に変わっている。 しかも時間がおかしい。10時間近くずれているような気がする。 信じがたいことだが、どうやら全くの別の地点に来てしまったらしい。 星座が同じように見えるから、少なくとも別世界ではないと思うが… △月○日 今日、日傘を持ち、紫色の服を着た子供と接触した。 同属ではないようだが、ただならぬ気配を放っていたので、話しかけてみた。 彼女が言うには、ここは幻想郷という土地で、私たちは「幻想入り」と呼ばれる 現象に巻き込まれたらしい。突拍子も無い話だったが、現状を見るに、信じるしかなさそうだ。 △月□日 パチェと今後の方針について相談する。忘れ去られたものが来ると言うこの世界… 情けない話だが、私達ももはや人間からは忘れられたのだろう。 実際、紅魔館にかつてのような活気は無い。たとえ元の世界に戻れたとしても、 いずれ滅び、朽ちていくだろう。ならばと、この新天地で再起を図ることにした。 パチェも賛成してくれた。そうと決まれば、早速行動しよう。 ×月△日 今のところ順調だ。近くの妖怪を力で従わせ、勢力は着々と拡大しつつある。 見込みのあるものは、私直属の部下にした。中には人間も居るが… 彼女の能力は何かと役に立つはずだ。このままこの世界を、スカーレット家の名の下、平定しよう。 ×月×日 無念だ。それなりの勢力にはなったと思ったのだが…上には上が居るらしい。 この世界を治める、力の強い者達に一斉攻撃され、敗北を余儀なくされた。 取り潰しは免れたものの、敗れた今、力で周囲を従えてきた私たちに、 最早付いてくるものは居ないだろう。スカーレット家再興は、夢と消えた。 ×月○日 直属にしていた者のうち二人が、紅魔館に残ると言ってくれた…不覚にも、少し泣けた。 スカーレット家再興は果たせなかったが、彼女たちのためにも、 紅魔館を盛り立てないといけない。 ×月□日 恥を忍んで方々に頭を下げ、ここの流儀を教えてもらった。 どうやらここでは、人を襲ってはいけないらしい。 となると、まずい事になる…人が襲えないと、吸血鬼は仲間を増やせない。 このままでは、スカーレット家は私の代で断絶してしまう。それだけは避けなければ。 ○月△日 パチェから、計画の準備が整ったとの知らせがあった。 この方法なら、人を襲わず、吸血鬼の一族を維持できるだろう。 私の血から、人工的に吸血鬼を生成し、種を維持する…この「妹様計画」こそ、 幻想郷でスカーレット家が存続する唯一の方法…成功を祈るばかりだ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー フラン「嘘…こんなの嘘だよ…誰か、嘘って言ってよ…」 知らなければ良かった。変に張り切ったりせず、暢気に過ごしていればよかった。 本を取り返しに出たりしなければ、読んだりしなければ、 今頃私は咲夜が用意しておいてくれたご飯を食べて、美鈴に遊んでもらっていたのに。 私は、フランドール・スカーレット… 紅魔館の主、吸血鬼レミリア・スカーレットの血から作られた… ただ、スカーレット家を維持するためだけに存在する、哀れな人形だ。 -[[フランいぢめ救い:28スレ308]]へ続く - そんなバナナ -- 名無しさん (2010-04-01 10:05:16) - なん……だと……? -- 名無しさん (2010-05-23 20:23:19) - 彼女はレミリアの妹ではないのか? -- 名無しさん (2010-10-26 17:51:22) - セフィロース!! -- 名無しさん (2010-11-02 19:53:46) - タシロース!! -- 名無しさん (2011-06-14 20:50:47) - 魔理沙なぜその本そのままフランに渡した・・・ -- 名無しさん (2011-09-11 13:19:57) - あぁぁぁ~~~~!! &br()嘘だぁぁぁぁ!!! -- 名無しさん (2013-06-15 09:17:17) - そういう設定も &br()あり…なの? &br()フランちゃんカワイソス &br()( ノД`)… -- セプテット王女 (2015-03-14 08:56:11) - よかった…ゴミリアの妹じゃなくて本当によかった‼ &br() -- 名無しさん (2015-07-05 22:15:57) - な・・・なんだってーーーー!? &br() -- フランドール (2015-07-28 19:33:45) - ゴミリア言うな -- 名無しさん (2015-08-13 19:02:01) - フランが妹じゃなくて良かったねレミィ -- レミィ愛好家←← (2015-08-20 02:56:20) - レミィもフランも可愛いでいいではないか。 -- キング クズ (2016-05-10 21:44:42) - まじでか -- 名無しさん (2016-05-16 22:02:33) - 自分の正体が思ってたのと違うって怖いな… -- 名無しさん (2016-07-04 22:36:30) - フラン妹じゃないんだね! &br()おめでとうレミリア! &br()フランとかまじでしね &br() -- にこ (2016-07-10 19:24:45) - ↑ちょっと君、死んできなさい。 &br()↓の図みたいに。 &br()((((((((((っ・ωΣ[柱]ガコッ! -- ママチャリ担いだ勇儀 (2016-07-10 21:09:39) - だから羽の色や形が違うのか -- 醤油 (2016-07-24 10:37:13) - 気になったけど紫の服着てる日傘持った子供って誰だ?? &br()咲夜さん? &br()それとも旧作霊夢? -- 名無しさん (2017-01-17 22:00:15) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)
私はフランドール・スカーレット。大体500歳くらい。 紅魔館の主、吸血鬼レミリア・スカーレットの妹だ。 ずっと長い間地下室に閉じ込められて、もう姉以外の肉親の顔など覚えていない。 けど最近、ようやく地下から出してもらえるようになった。 姉以外にも、 瀟洒なメイド長の十六夜咲夜、病弱だけど頭のいいパチュリー・ノーレッジ、 いまいち頼りないけど、明るくて優しい紅美鈴など、大勢の家族と共に暮らしている。 そして今日私は、姉に遊んでもらおうと、紅魔館の廊下を歩き、姉の部屋へと向かっていた。 フラン「お姉さまー!」 レミリア「あっ…!? フランか。どうしたの、何か用?」 そう言って部屋に飛び込むと、お姉さまは何かを書いていた…けど、私に気がつくと すぐに笑顔で返事をしてくれる。書いていた何か…それは手帳みたいだった。 フラン「お姉さま、それ何?」 レミリア「ん、ああこれ? なんでもないわ…ただの日記よ」 フラン「へぇ~、お姉さま、日記なんてつけてるんだ?」 レミリア「うん…それで、どうしたの? フラン「んっと、遊んでほしいなって…だめ?」 レミリア「ああ…ごめんね? まだやらないといけないことがあるから…美鈴とでも遊んでらっしゃい」 お姉さまはそう言って、頭を撫でてくれる…400年以上私を閉じ込めていた人と、同じ人物とは思えない。 そんなお姉さまを困らせても悪いので、言われたとおり美鈴と遊ぶことにした。 外は夜…私が外に出ても問題は無い。美鈴は秋になって徐々に冷たくなってきた空気をものともせず、門に立っていた。 フラン「美鈴ー! 遊ぼうー!」 美鈴「あ、妹様…私門番の仕事中なんですけど…」 フラン「いいじゃない、私も一緒に番するから~」 美鈴「う~ん、仕方ないですねぇ…」 美鈴は遊びをねだると、困った顔をするのだけれど…結局なんだかんだ言って遊んでくれる。 そして遊び疲れたころになると…大抵ナイフが飛んでくるのだ。今日もその例に漏れず、 銀のナイフが飛んできた。そして飛んできたほうを見ると、怖い笑顔の咲夜が居るのもいつものことだ。 咲夜「美鈴~? お仕事はどうしたのかしら?」 美鈴「げえっ!? 咲夜さん!? いやその、これはですね…」 フラン「私が遊んでって頼んだの! 美鈴は悪くないよ!」 咲夜「もう…妹様、あまり美鈴の邪魔をしないであげてくださいな」 フラン「あぅ…ごめんね、美鈴…」 美鈴「ふふ、いいんですよ。妹様。妹様の笑顔を見てると、私も楽しくなりますから」 フラン「えへ…ありがと、美鈴」 咲夜「はいはい、じゃあ門番も楽しくやってもらおうかしら?」 美鈴「は、は~い…」 そうしておしゃべりしていると、やがて夜明けが近くなる。夜の眷属である私は寝る時間だ。 私があくびを一つすると、咲夜が私を抱えて部屋まで連れて行ってくれる。 そうやって、毎日毎日が楽しく過ぎていく…これからもそうだと、私は信じている。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 次の夜、私は本を読もうと思って、図書館へと赴いた。 すると、中ではパチュリーが焦げていて、小悪魔はオロオロしていた。 …あんまり珍しい光景でもない。魔理沙がが本を強奪していったんだろう。 あの白黒も嫌いじゃないけど、こうやって家族を傷つけられるのは腹が立つ。 そう考えていると、小悪魔が声をかけてきた。 小悪魔「あ、フラン様…ごめんなさい、パチュリー様が見てのとおりで…」 フラン「うん…また魔理沙?」 小悪魔「はい…パチュリー様はかなり慌てていました。よほど大事な本だったのでしょうか…力尽くで取り返そうとして、これで…」 フラン「む~…よし、わかった! 私が取り返してくる!」 小悪魔「え、ですが妹様…!」 フラン「大丈夫! 私だって紅魔館の一員だもん、たまには皆の役に立ちたいの!」 私はそういい終えると、踵を返して図書館を出て…小悪魔がまだ何か言っていたけど気にしない。 窓から飛び出して、魔法の森、魔理沙の家を目指した。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 本は意外とすぐ取り戻せた。挨拶代わりにドアをキュッとしたのもあるかもしれないが… 魔理沙が言うには、あんまり役立つ内容じゃなかったらしい。 私は大量の付箋が貼られたその本を抱え、紅魔館への帰り道についた。 フラン「そういえば、コレ何の本なんだろう…?」 パチュリーはいろいろ本を薦めてくれるけど、殆どが物語や絵本で、本格的な魔道書、というのは見せてくれなかった。 私だって魔法は使えるというのに、そういった本がある区画には入れてくれないのだ。 だから、ほんのちょっとだけ、その本をめくって、内容を読んでみることにした。 適当な場所に着地して、腰を下ろし、本を膝に乗せて表紙を開く。その表紙にはこう書かれていた。 フラン「ええっと…『吸血鬼生成、およびそれに伴う擬似記憶の植え付けに関しての経過レポート』…?」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  △月 ×日 最初の個体生成に成功。しかし一時間と持たず組成が崩壊した。やはり、一筋縄ではいかない。 だが、吸血鬼の生成という目標のため、この程度では挫けていられない。  □月 △日 二体目の個体生成に成功、組成崩壊の兆候もなし。だが、こちらからの呼びかけに一切反応せず。 生命体として生きてはいるものの、コレではただの人形である。いろいろ試みたが、結局反応は見せなかった。 サンプルとして保存し、実験に使うことを考えたが、結局廃棄処分とする。  ×月 ○日 三体目の個体生成に成功。擬似記憶の植え付けにも成功し、こちらの呼びかけに反応も見せた。 また、吸血鬼としての高い身体能力や、あらゆる物の弱点を手の上に持ってきて、握りつぶすことで 爆発させる、という特殊能力も持っていた。少々見た目は似ていないものの、スペックは申し分ない。 どうやら、妹様計画もようやく成功しそうだ。以後、レミィの妹として生活させ、経過を見ることとする。  ×月 ×日 駄目だった。妹様三号は突如発狂。紅魔館に甚大な被害を出した。やむを得ず処分する。 原因の究明と、その改善策を早急に考えなければならない。  ×月 △日 妹様三号の発狂を、擬似記憶によるものであると推定、500年分も詰め込めば、どこかで矛盾も出るだろうし、 それだけの情報を一気に詰め込んでしまうと、吸血鬼といえど精神が持たないのかもしれない。 矛盾が出ず、なおかつ情報の密度を薄くする方法が必要だ。  ○月 □日 これで完璧のはずだ。身体生成は三号をベースに、擬似記憶を改良した。 しかし念を入れて、当分の間は地下室で過ごさせることにする。 そのほうが、擬似記憶との矛盾も無くなるはずだ。 今度こそ、上手くいくことを願う。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー フラン「何よ…これ…」 そこに書かれていたのは、生命体…吸血鬼を人工的に作ろうとした試み、そしてその失敗の記録だった。 そして何より、そこに書かれた居たのは、明らかに自分のこと…けど、そんなはずは無い。 私は500年以上前に生まれている。コレはどう見てもここ数年に書かれた本だ。 私はお姉さまの妹として生まれて… フラン「あ…れ…?」 そうだ、吸血鬼は血を吸うこととで人間を眷族にし、仲間を増やす。だからそもそも姉妹という関係などあるはずが無い。 仮に親の吸血鬼が人間の姉妹の血を吸って眷族にしたとして、私がその妹だとするのなら、私は人間のときどんな人間だった? 私は誰に血を吸われた? その記憶が一切無い。 そもそもなんで私は地下室に居たんだろう? 気がふれてたからとお姉さまは言ったけど、私は至って正常だ。 周りの者を見ても私が特別狂っているとは思えない。大体狂っていたから閉じ込めてたのに、それがある日突然治り、 出歩いてよいということになるのだろうか? 考えてみれば、私とお姉さまとは髪の毛も翼もまるで違う。姉妹だというのに似ていない。 いや、似ていない姉妹なんていくらでも居る、私は間違いなくレミリア・スカーレットの妹で…500年近く閉じ込められていたんだ。 だから、人間を料理された形でしか知らなくて…じゃあ私は閉じ込められてる間何を食べてた? 直接人間を食べた記憶が無いから、 料理されたものを食べていたことになるはずだけど、咲夜は人間だから、400年以上前に居るはずがない、パチュリーだって200歳は超えてないはずだ。 じゃあ誰が、閉じ込めた私の世話をしていたんだろう…何だ、考えるまでも無い、お姉さまだ。お姉さまが閉じ込めた私に、 人間を使ったケーキや料理を、長い間持ってきてくれたんだ。何百年もそんなことをしてくれるのは、私が実の妹だからで… いやまて、何でケーキにする必要がある? 何百年前といえば紅魔館はまだ外の世界にある、人間を狩って来るのに何の問題も無い。 私たちはもともと生きた人間から血を吸う種族だ。生きた人間を連れてくるのが一番のはずなのに…なんで私は調理された人間しか知らなかった? もし幻想郷の中でなら、割り当てられた人間を使って料理をすると言うのはわかるけど… フラン「違う…違う違う…そんなの違う…」 何度声に出しても、もう私の頭からその考えは消えてくれなかった。 私はレミリア・スカーレットの妹なんかじゃない。 私は作り出された吸血鬼、フランドールの名を与えられ、それらしい記憶を植えつけられた…人形なのだと。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー それからのことは、よく覚えていない…ただ、図書館に本を返して、それからすぐ自室に戻ったような気がする。 何度考えても、私が500年間生きてきた吸血鬼だとすると矛盾が生じる… しかもいやなことに、あの本の内容が正しいとすると、矛盾はスルリと無くなるのだ。 だとすると、あの皆の態度は何だったのだろう?  何で作り物の私を妹様として慕ってくれたのだろう? きっと聞いてもはぐらかされるだけだろう。 フラン「だったら…自分で調べるしか、無いよね…」 レミリアは日記をつけていた…アレを調べれば、何かがわかるかもしれない。 そう考えて…私はレミリアの部屋を調べることに決めた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 意外と、その時はすぐやってきた。あれから数日たった今夜、 レミリアはお偉いさんたちの会合に出て行って、咲夜もそれに付いていった。 パチュリーは相変わらず図書館に篭ったまま。美鈴は門番。 メイド達も、咲夜が居ないからそれぞれサボり中… 私は誰にも見咎められることなく、レミリアの部屋までたどり着いていた。 主の居ない部屋の中は整然と整っていて、あの手帳を探すのは簡単そうだった。 けど、あの手帳を見つけても意味が無い。もっと前の日記…残しているかもわからないけれど、 残っているとしたら何とかして見つけて、事の真相を確かめないといけない。 部屋の中をひっくり返して、机や棚を全部開けて。ようやく、あの手帳と同じものが、 まとめて保管されているのを見つけた。パラパラとめくってみると、やはり日記のようだった。 夜が終わらず、咲夜と一緒に飛び出したこと。春に雪が降って咲夜が出かけたこと、そんなことが書いてあった。 そして、その中で一番古いものを開き、読み始める…日付は数年前のものだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー △月△日 突如、周囲の風景が変わった。何が起こったのかはわからないが、 とにかくまず状況を調べないといけない。パチェに調査を頼むと共に、 夜になったら周りを見てみよう。 △月×日 とりあえず一晩あたりを調べたが、地形が完全に変わっている。 しかも時間がおかしい。10時間近くずれているような気がする。 信じがたいことだが、どうやら全くの別の地点に来てしまったらしい。 星座が同じように見えるから、少なくとも別世界ではないと思うが… △月○日 今日、日傘を持ち、紫色の服を着た子供と接触した。 同属ではないようだが、ただならぬ気配を放っていたので、話しかけてみた。 彼女が言うには、ここは幻想郷という土地で、私たちは「幻想入り」と呼ばれる 現象に巻き込まれたらしい。突拍子も無い話だったが、現状を見るに、信じるしかなさそうだ。 △月□日 パチェと今後の方針について相談する。忘れ去られたものが来ると言うこの世界… 情けない話だが、私達ももはや人間からは忘れられたのだろう。 実際、紅魔館にかつてのような活気は無い。たとえ元の世界に戻れたとしても、 いずれ滅び、朽ちていくだろう。ならばと、この新天地で再起を図ることにした。 パチェも賛成してくれた。そうと決まれば、早速行動しよう。 ×月△日 今のところ順調だ。近くの妖怪を力で従わせ、勢力は着々と拡大しつつある。 見込みのあるものは、私直属の部下にした。中には人間も居るが… 彼女の能力は何かと役に立つはずだ。このままこの世界を、スカーレット家の名の下、平定しよう。 ×月×日 無念だ。それなりの勢力にはなったと思ったのだが…上には上が居るらしい。 この世界を治める、力の強い者達に一斉攻撃され、敗北を余儀なくされた。 取り潰しは免れたものの、敗れた今、力で周囲を従えてきた私たちに、 最早付いてくるものは居ないだろう。スカーレット家再興は、夢と消えた。 ×月○日 直属にしていた者のうち二人が、紅魔館に残ると言ってくれた…不覚にも、少し泣けた。 スカーレット家再興は果たせなかったが、彼女たちのためにも、 紅魔館を盛り立てないといけない。 ×月□日 恥を忍んで方々に頭を下げ、ここの流儀を教えてもらった。 どうやらここでは、人を襲ってはいけないらしい。 となると、まずい事になる…人が襲えないと、吸血鬼は仲間を増やせない。 このままでは、スカーレット家は私の代で断絶してしまう。それだけは避けなければ。 ○月△日 パチェから、計画の準備が整ったとの知らせがあった。 この方法なら、人を襲わず、吸血鬼の一族を維持できるだろう。 私の血から、人工的に吸血鬼を生成し、種を維持する…この「妹様計画」こそ、 幻想郷でスカーレット家が存続する唯一の方法…成功を祈るばかりだ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー フラン「嘘…こんなの嘘だよ…誰か、嘘って言ってよ…」 知らなければ良かった。変に張り切ったりせず、暢気に過ごしていればよかった。 本を取り返しに出たりしなければ、読んだりしなければ、 今頃私は咲夜が用意しておいてくれたご飯を食べて、美鈴に遊んでもらっていたのに。 私は、フランドール・スカーレット… 紅魔館の主、吸血鬼レミリア・スカーレットの血から作られた… ただ、スカーレット家を維持するためだけに存在する、哀れな人形だ。 -[[フランいぢめ救い:28スレ308]]へ続く - そんなバナナ -- 名無しさん (2010-04-01 10:05:16) - なん……だと……? -- 名無しさん (2010-05-23 20:23:19) - 彼女はレミリアの妹ではないのか? -- 名無しさん (2010-10-26 17:51:22) - セフィロース!! -- 名無しさん (2010-11-02 19:53:46) - タシロース!! -- 名無しさん (2011-06-14 20:50:47) - 魔理沙なぜその本そのままフランに渡した・・・ -- 名無しさん (2011-09-11 13:19:57) - あぁぁぁ~~~~!! &br()嘘だぁぁぁぁ!!! -- 名無しさん (2013-06-15 09:17:17) - そういう設定も &br()あり…なの? &br()フランちゃんカワイソス &br()( ノД`)… -- セプテット王女 (2015-03-14 08:56:11) - よかった…ゴミリアの妹じゃなくて本当によかった‼ &br() -- 名無しさん (2015-07-05 22:15:57) - な・・・なんだってーーーー!? &br() -- フランドール (2015-07-28 19:33:45) - ゴミリア言うな -- 名無しさん (2015-08-13 19:02:01) - フランが妹じゃなくて良かったねレミィ -- レミィ愛好家←← (2015-08-20 02:56:20) - レミィもフランも可愛いでいいではないか。 -- キング クズ (2016-05-10 21:44:42) - まじでか -- 名無しさん (2016-05-16 22:02:33) - 自分の正体が思ってたのと違うって怖いな… -- 名無しさん (2016-07-04 22:36:30) - フラン妹じゃないんだね! &br()おめでとうレミリア! &br()フランとかまじでしね &br() -- にこ (2016-07-10 19:24:45) - ↑ちょっと君、死んできなさい。 &br()↓の図みたいに。 &br()((((((((((っ・ωΣ[柱]ガコッ! -- ママチャリ担いだ勇儀 (2016-07-10 21:09:39) - だから羽の色や形が違うのか -- 醤油 (2016-07-24 10:37:13) - 気になったけど紫の服着てる日傘持った子供って誰だ?? &br()咲夜さん? &br()それとも旧作霊夢? -- 名無しさん (2017-01-17 22:00:15) - ↑紫じゃない?? &br()しかし、この設定は面白いね。姉妹じゃなくても、2人とも可愛いから良いと思うよ。 &br() -- 名無しさん (2017-03-13 21:05:48) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)

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