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エンド1・魔理沙は大変な代価を払わされました 「…魔理沙」 ぽつりと、諏訪子がつぶやいた。 「一つだけ、頼みを聞いてくれない?」 「ああ、なんでもする」 「その髪飾り、早苗につけてやって欲しいんだ」 「あ…ああ」 髪飾りを持ったまま、魔理沙は早苗に近寄った。 つい数時間前と同じ顔。しかし、色は青白いし、もうその目は開かない。口から言葉が紡がれない。 魔理沙は、もう物言わぬ早苗に髪飾りをつけた。 「な…!?」 何かが抜けていく感覚。 「手が…!」 「無駄だよ、離れない」 諏訪子はそう言った。 「どういうことだ!?」 「人の命の代価は、命しかないってこと」 「まさか…」 「幸い早苗の魂はまだ、その体の中にいるんだ。足りないのは生命力。生命力がないままでばいずれ魂は離れていってしまう…」 「そこに、私の生命力を…」 「言ったよね、なんでもするって」 「ちょ…助けてくれ!」 魔理沙は神奈子に助けを求めるが、 「ごめん…早苗が戻ってくるなら…」 「そんな…私、死にたくない…」 「死ぬわけじゃないよ。魂のすべてを早苗に取り込ませるだけ。早苗の中で生きるの」 「あ…ぁ…」 魔理沙の声はだんだん小さくなっていった。 「あら?」 人形を作っていたアリスの元に来客があった。 「え?早苗!?」 「はい」 あの時、確かに死を確認したはずの早苗が、そこにいた。 「どうしてここに!?」 「恥ずかしながら、生き返ってまいりました」 「生き返るって…」 「それがですね…」 早苗の話によると(二柱に聞いた話なのだそうだが)「魔理沙が自ら生命力を譲渡することによって生き返った」そうだ。 「じゃあ、魔理沙は…」 「死んでなんかいませんよ。ちょっと、外に来てください」 言われたとおり外に出ると、早苗は真新しいスペルカードを取り出した。 「奇跡『ミラクルスパーク』!」 そう、その宣言とともに発射されたそれは、 「マスタースパーク…?」 「ええ。このとおり、魔理沙さんは私の中で生きています」 「でも…」 「私じゃ、ダメですか?」 「えっ?」 「私では、魔理沙さんの変わりにはなれないでしょうか?」 「早苗…」 「だから、そんなに落ち込まないでください。私まで悲しくなってきてしまいます」 「うん…」 それ以来、早苗とアリスは大層仲良くなったという。 -数年後- 「あー、あぅー」 「この子が早苗の?」 「ええ、元気な女の子ですよ」 一番の親友であるアリスに次代を担う長女を見せに行った早苗。 「でもこの子、緑というより黄緑色よね、髪の毛。やっぱり…」 「ええ、それに目元とかどことなく似ていますよね」 二人が似ているといった人物。それは、 「きっと、魔理沙さんの魂がこの子の体で生まれ変わってきたんですよ」 「そうよね、きっと…それで、この子の名前はなんていうの?」 「それなら、これを見てください」 そういって早苗が渡した一枚の紙。 それには早苗の筆跡でこう書いてあった。 「命名 東風谷 理早」 エンド2・魔理沙は大変な鬱になってしまいました 「……」 アリスは魔理沙の家の方を見ていた。 早苗が亡くなってから三日。 あの後魔理沙はすぐさまアリスに今まで借りてきたものを返しに来た。 「すまなかった」の一言とともに。 その後、大量の本を持って紅魔館のほうへ言って、戻ってきた。パチュリーの本も返したのだろう。 そして、それ以来一度も家から出ようとしなかった。 食事や睡眠もまともに摂っているか怪しかった。 このままではいけない。 「行ってみるしかないみたいね…」 と思ったその時、ノック音が聞こえた。 開けてみると、 「あ、魔理沙…」 そう、それは確かに魔理沙だったが、 「あの、ちょっと大事なお話があるんですが…」 どうも様子がおかしい。というかまるで別人のようなしゃべり方をしている。 「どういうこと…?」 「私です、早苗ですよ」 「は…?」 魔理沙は罪の意識で壊れてしまったのだろうか。 「落ち着きなさい魔理沙。いくら早苗のふりをしても早苗が帰ってくるわけじゃ」 「いやあの、ふりじゃなくてですね…ちょっと話を聞いてくれませんか?」 早苗の話を要約するとこうだ。 早苗は普通の人間ではなかったせいか、普通の幽霊にはならなかった。 かといって、恨みもないので祟り神にもならず、神霊のなり損ないのような妙な状態になってしまったという。 とはいえ、なり損ないのためか慣れない体(体、もうないんですけどね)に悪戦苦闘。 森で迷ってしまい、何とか魔理沙の家まで着いたのが昨晩。 「ただ黙りこくって、何もしようとはしなかったんで、心配になったんです」 幸い、今の早苗は人間になら憑依できるので魔理沙に憑いてみた。しかし、 「心を閉ざしているんです。私が何を言っても自分を責めるばかりで…」 そこでとりあえず、魔理沙の体に栄養補給をし、返却物を探すために物が散乱していた部屋を片付けたそうだ。 「ここから先が頼みなんです。今の状況を報告に神社まで行きたいんですけれど、慣れない体だけに飛んでる最中に落ちるかも知れません。それだと拙いので付き添いをお願いしたいんです」 「構わないけど…そもそも飛べるの?」 「主意識、つまり魔理沙さんがまったく干渉してこないんでそれは大丈夫です。ただ、魔理沙さんは生きること自体を放棄しているようで…」 飛び方はふらふらだったが、どうにか守矢神社に着いた。 早速事情を二柱に話す。 「なるほど…」 「魔理沙さんの意識を表層に引きずり出して欲しいんです。話を聞いてもらえないとどうにもならないので」 「わかった、やってみる」 十数秒後、(早苗の憑いている)魔理沙の表情が変わった。 「どういうことだ…私はもう疲れたんだ、全てがどうでもいい…」 すぐさま、同じ口から、 「いけません!あなたまで死ぬ気ですか!?」 「だって、何も悪くない早苗が死んで、人殺しの私が生きてるなんておかしいだろ?」 「そんなことはありません!あれは私の実力が足りなかった所為で…」 「でも、私が髪飾りを持って行った所為で早苗が死んだのは事実だ!私は生きていちゃいけないんだ!!」 会話の内容は真剣そのものなのだが、何も知らぬ物が見たらふざけているように見えてしまっただろう。 「…それなら、こういうのはどうでしょう」 どちら側がしゃべっているのかは話し方で分かる。今しゃべったのは早苗だろう。 「あなたの人生を半分私にください」 「どういうことだ?」 「あなたの体を借りて、私は今までどおり風祝として過ごします。残り半分は今までどおり、魔法使いとして過ごしてください。ただ、行き来が煩雑になるから神社に住んでもらうことになるでしょうが…」 「……」 「あなたの体で、もう一度私に人生をくれませんか?」 早苗とて、まだまだやり残したことがある。出来ることならもう一度生きたかった。 「…今までの私はもう死んだ」 しばらく黙っていた魔理沙は、ポツリとつぶやいた。 「え…」 「だけど、私ももう一度生きたい。やり直させてくれるか?」 「ええ、もちろん!」 「どうやら、決まったようだね」 「ああ。早速荷物を取ってくる」 「ということなので、一旦あちらに行ってきますね」 そう言って魔理沙は飛んでいった。 先ほどとは違う、いつもの速さで。 数ヶ月後。アリスの家の戸にノック音が響いた。 「こんにちは、アリスさん」 「あら、早苗。どうしたの?」 姿は魔理沙のものだったが、格好や口調から、今は早苗だということが見て取れた。 「ちょっと、伝えておきたいことがありまして。大事な話です」 「何かしら?」 「今の体だと、後継の風祝を産もうとしても、生まれるのは私の血とは関係のない魔理沙の子供なんです。それで、魔理沙さんに一つお願いをしたんです」 「どんなことを?」 「人間として死ぬことを放棄してくれないか、ということです」 「それって…」 「神性を得れば老いなどしなくなりますし、死ぬこともありません。そうすれば、子孫の問題も考えなくて済みますし」 「魔理沙はどう答えたの?」 「悩んだんだが、OKしたぜ」 「え!?」 急に口調が変わった。 「ハハハ!ぜんぜん気づかないからいつバラそうか迷ったぜ」 どうやら、魔理沙が早苗のふりをしていたらしい。 「あのね…。ややっこしいからそういうことしないでよ!」 「まあまあ、そう怒るなって。でも、今した話は本当だぞ」 「本当に、人間やめちゃうの?」 「まあな。ちょっと迷ったけど、こんだけ周りに楽しいやつらがいるのに、死ぬなんてもったいないしな。霊夢や咲夜も死ぬようなやつには見えないし」 「そうなの…」 「ま、というわけでこれからもよろしくな!」 その笑顔は、以前のような明るさを取り戻していた。 エンド3・魔理沙は大変な罪を償いました 「生き返らせることは出来ないのか!?」 「無理だよ…。死ぬ前ならどうにか出来たろうが、もう無理なんだ。命より重いものはない」 「そんな…どうにかできないのか…」 「…魔理沙」 ぽつりと、諏訪子がつぶやいた。 「一つだけ、方法はあるんだけど…」 「教えてくれ!出来る限り手伝う!!」 魔理沙は懇願した。 「早苗の魂はまだここにある。だけどこの体にはもう生命力がない。だから新しく体を作る必要があるんだけど…」 「どうすれば作れるんだ!?」 「それは普通に人間のお腹から生まれるしかないよ。だから…魔理沙に産んでもらえないだろうか」 「なっ…」 「私らは人間じゃないから、失敗する可能性があるんだよ。こんなことを頼めるほど親しい人間の知り合いなんて、他には霊夢くらいしかいないし…」 「…本当に、それで早苗が生き返るなら…私は享けるぜ」 思わぬ答えが返ってきた。 「本当に!?」 「ああ。私の所為で早苗は死んだんだ。それを生き返らせられるなら、何でもする。今ここで断ったら、償える機会が二度とこなくなっちまう!」 「血縁も何もない早苗を身ごもるんだから、拒否反応が出るんだよ?」 「それでも早苗に、死ぬのに比べればどうってことないさ」 魔理沙の顔は決意に満ちていた。 「どうする、諏訪子?」 「こうまで言ってくれるんだから、頼もうよ」 「…わかった。それじゃ、始めるよ」 魔理沙は早苗の横で仰向けになる。 「あっ…」 一瞬、自分の中に何かが入ってくる感覚がした。 「これだけか?」 「うん。でも大変なのは出産の方だよ」 「出産か…処女懐胎ってわけだな。私はSが余計だけどな」 「へ?どういうこと?」 「いや、マリアにしてはSが多いってことさ。私は聖母って柄じゃないけど」 「ああ…そういうこと」 日本の神だけあって、すぐには分からなかったようだ。 それから、魔理沙の生活は大きく変わった。 規則正しい生活と、バランスの取れた食事。 「私の不摂生で早苗の発育が悪くなるといけないからな」 日に日に大きくなるお腹をさすりながら、よくそう口にしていた。 そして… 「んう゛ー、ん゛っ、んあああぁっ!!」 10ヵ月後、ついにその日は来た。 「頑張って!」 「ここさえ乗り切れば全部終わりなんだよ!」 「ん゛はっ、あああぁっ!!」 死ぬのではないかという程の痛みが全身を走る。 しかし、早苗はこのくらいの痛みを味わいながら死んでいったのだ。 このくらいで音を上げるわけにはいかない。 何十分もの格闘の末、産声が部屋に響き渡った。 「生まれ、たんだな…」 「ああ、よく頑張ってくれたね」 「そんなことはないさ。私は…」 「まだそんなことを言うの?こうして早苗が戻ってきたんだ。もうその話はしなくていいんだよ」 「そんなことより、見てよ!かわいいでしょう?」 「おぉ、思い出すねえ、前に早苗が生まれた時のことを」 泣き疲れておとなしくなった早苗を見ているうちに、魔理沙にも自分が生んだという実感が沸いてきた。 「なあ…」 「ん?」 「私、この子の…早苗の母親だって思って、いいんだよな?」 「いまさら何を言っているの?魔理沙は立派な母親だろうに」 と、神奈子。諏訪子は 「あ、そうだ!」 何かを思いついたようで、手近にあった紙に何かを書き始めた。 「ほら!」 『東風谷 沙苗』 「魔理沙から一文字もらって、『沙苗』。どう?」 「私はいいと思うよ。魔理沙は?」 「答えはもう決まってる、大事な娘に一文字あげるくらい、普通のことだろ?」 ―数年後― 「それでなに、用事って?」 「忙しいんだから、さっさと教えなさいよ」 魔理沙に用事があるからと呼ばれたアリスと霊夢。 「まあ見てな。沙苗?」 「はーい!」 そういうと沙苗は、 「奇跡『ミラクルスパーク』!」 そう言って砲を放った。 「すごいだろ、私直伝だぜ?まだまだ威力は弱いけど、この歳でたいしたもんだろ?」 「…ねえ、霊夢?」 「…何?」 「案外魔理沙って親バカだったのね」 「そうね…」 「見てろよ霊夢、いずれ沙苗はお前を超えるぞ。ま、その頃には私は更にその上を行ってるだろうがな」 「親子鷹です!」 「よし。沙苗、帰ったら特訓の続きだぞ!」 「はいっ!」 魔理沙の人生は果たして良くなったのか悪くなったのか、それは分からない。 だが、二人とも今幸福であることは間違いなかった。 『沙苗を産んで良かった…』 ---- - なるほどなーw>Sが余計 -- 名無しさん (2009-06-09 21:49:38) - エンド1でお願いします -- 名無しさん (2009-06-09 22:36:47) - Sが余計・・・確かに &br()3のエンドはいいかも &br() -- 名無しさん (2009-06-09 22:51:14) - せっかくアリスが出てきたんだから &br()アリスの作った人形に魂を入れて復活っていうのもアリだと思う -- 名無しさん (2009-06-10 00:26:17) - 何でいい話になってんだろうなぁ &br()でもみんな救われるからいいけどね -- 名無しさん (2009-08-07 17:10:58) - エンド4 &br()「その髪飾り、早苗につけてやってくれないか?」 &br()「だが断る。 &br()早苗が死んだ今、この髪飾りは私のモノだッ!」 &br() &br()その後アリスと魔理沙の共同研究の末、通信機能付き人形が誕生し地霊異変にて大活躍したとさ。 &br() -- 名無しさん (2009-10-01 03:14:28) - ↑なんというエンドwwww -- 名無しさん (2009-10-07 13:47:58) - ↑じゃあ地霊殿のEXは誰なんだよww -- 名無しさん (2009-10-07 19:15:25) - ↑バカヤロウwwwww -- 名無しさん (2010-03-15 04:05:56) - ↑ちょwwww -- 名無しさん (2010-03-18 00:52:06) - ↑どういうことなのwwww -- 名無しさん (2012-03-03 19:52:08) - 個人的にエンド3を個別にもっと詳しく読みたひ -- 名無しさん (2013-10-09 12:14:20) - そーなのかー -- 名無しさん (2013-10-13 17:08:57) - ん?今何でもするって言ったよね? -- 名無しさん (2016-02-29 03:34:21) - どのエンドもいいな -- 名無しさん (2018-02-06 17:33:00) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)
エンド1・魔理沙は大変な代価を払わされました 「…魔理沙」 ぽつりと、諏訪子がつぶやいた。 「一つだけ、頼みを聞いてくれない?」 「ああ、なんでもする」 「その髪飾り、早苗につけてやって欲しいんだ」 「あ…ああ」 髪飾りを持ったまま、魔理沙は早苗に近寄った。 つい数時間前と同じ顔。しかし、色は青白いし、もうその目は開かない。口から言葉が紡がれない。 魔理沙は、もう物言わぬ早苗に髪飾りをつけた。 「な…!?」 何かが抜けていく感覚。 「手が…!」 「無駄だよ、離れない」 諏訪子はそう言った。 「どういうことだ!?」 「人の命の代価は、命しかないってこと」 「まさか…」 「幸い早苗の魂はまだ、その体の中にいるんだ。足りないのは生命力。生命力がないままでばいずれ魂は離れていってしまう…」 「そこに、私の生命力を…」 「言ったよね、なんでもするって」 「ちょ…助けてくれ!」 魔理沙は神奈子に助けを求めるが、 「ごめん…早苗が戻ってくるなら…」 「そんな…私、死にたくない…」 「死ぬわけじゃないよ。魂のすべてを早苗に取り込ませるだけ。早苗の中で生きるの」 「あ…ぁ…」 魔理沙の声はだんだん小さくなっていった。 「あら?」 人形を作っていたアリスの元に来客があった。 「え?早苗!?」 「はい」 あの時、確かに死を確認したはずの早苗が、そこにいた。 「どうしてここに!?」 「恥ずかしながら、生き返ってまいりました」 「生き返るって…」 「それがですね…」 早苗の話によると(二柱に聞いた話なのだそうだが)「魔理沙が自ら生命力を譲渡することによって生き返った」そうだ。 「じゃあ、魔理沙は…」 「死んでなんかいませんよ。ちょっと、外に来てください」 言われたとおり外に出ると、早苗は真新しいスペルカードを取り出した。 「奇跡『ミラクルスパーク』!」 そう、その宣言とともに発射されたそれは、 「マスタースパーク…?」 「ええ。このとおり、魔理沙さんは私の中で生きています」 「でも…」 「私じゃ、ダメですか?」 「えっ?」 「私では、魔理沙さんの変わりにはなれないでしょうか?」 「早苗…」 「だから、そんなに落ち込まないでください。私まで悲しくなってきてしまいます」 「うん…」 それ以来、早苗とアリスは大層仲良くなったという。 -数年後- 「あー、あぅー」 「この子が早苗の?」 「ええ、元気な女の子ですよ」 一番の親友であるアリスに次代を担う長女を見せに行った早苗。 「でもこの子、緑というより黄緑色よね、髪の毛。やっぱり…」 「ええ、それに目元とかどことなく似ていますよね」 二人が似ているといった人物。それは、 「きっと、魔理沙さんの魂がこの子の体で生まれ変わってきたんですよ」 「そうよね、きっと…それで、この子の名前はなんていうの?」 「それなら、これを見てください」 そういって早苗が渡した一枚の紙。 それには早苗の筆跡でこう書いてあった。 「命名 東風谷 理早」 エンド2・魔理沙は大変な鬱になってしまいました 「……」 アリスは魔理沙の家の方を見ていた。 早苗が亡くなってから三日。 あの後魔理沙はすぐさまアリスに今まで借りてきたものを返しに来た。 「すまなかった」の一言とともに。 その後、大量の本を持って紅魔館のほうへ言って、戻ってきた。パチュリーの本も返したのだろう。 そして、それ以来一度も家から出ようとしなかった。 食事や睡眠もまともに摂っているか怪しかった。 このままではいけない。 「行ってみるしかないみたいね…」 と思ったその時、ノック音が聞こえた。 開けてみると、 「あ、魔理沙…」 そう、それは確かに魔理沙だったが、 「あの、ちょっと大事なお話があるんですが…」 どうも様子がおかしい。というかまるで別人のようなしゃべり方をしている。 「どういうこと…?」 「私です、早苗ですよ」 「は…?」 魔理沙は罪の意識で壊れてしまったのだろうか。 「落ち着きなさい魔理沙。いくら早苗のふりをしても早苗が帰ってくるわけじゃ」 「いやあの、ふりじゃなくてですね…ちょっと話を聞いてくれませんか?」 早苗の話を要約するとこうだ。 早苗は普通の人間ではなかったせいか、普通の幽霊にはならなかった。 かといって、恨みもないので祟り神にもならず、神霊のなり損ないのような妙な状態になってしまったという。 とはいえ、なり損ないのためか慣れない体(体、もうないんですけどね)に悪戦苦闘。 森で迷ってしまい、何とか魔理沙の家まで着いたのが昨晩。 「ただ黙りこくって、何もしようとはしなかったんで、心配になったんです」 幸い、今の早苗は人間になら憑依できるので魔理沙に憑いてみた。しかし、 「心を閉ざしているんです。私が何を言っても自分を責めるばかりで…」 そこでとりあえず、魔理沙の体に栄養補給をし、返却物を探すために物が散乱していた部屋を片付けたそうだ。 「ここから先が頼みなんです。今の状況を報告に神社まで行きたいんですけれど、慣れない体だけに飛んでる最中に落ちるかも知れません。それだと拙いので付き添いをお願いしたいんです」 「構わないけど…そもそも飛べるの?」 「主意識、つまり魔理沙さんがまったく干渉してこないんでそれは大丈夫です。ただ、魔理沙さんは生きること自体を放棄しているようで…」 飛び方はふらふらだったが、どうにか守矢神社に着いた。 早速事情を二柱に話す。 「なるほど…」 「魔理沙さんの意識を表層に引きずり出して欲しいんです。話を聞いてもらえないとどうにもならないので」 「わかった、やってみる」 十数秒後、(早苗の憑いている)魔理沙の表情が変わった。 「どういうことだ…私はもう疲れたんだ、全てがどうでもいい…」 すぐさま、同じ口から、 「いけません!あなたまで死ぬ気ですか!?」 「だって、何も悪くない早苗が死んで、人殺しの私が生きてるなんておかしいだろ?」 「そんなことはありません!あれは私の実力が足りなかった所為で…」 「でも、私が髪飾りを持って行った所為で早苗が死んだのは事実だ!私は生きていちゃいけないんだ!!」 会話の内容は真剣そのものなのだが、何も知らぬ物が見たらふざけているように見えてしまっただろう。 「…それなら、こういうのはどうでしょう」 どちら側がしゃべっているのかは話し方で分かる。今しゃべったのは早苗だろう。 「あなたの人生を半分私にください」 「どういうことだ?」 「あなたの体を借りて、私は今までどおり風祝として過ごします。残り半分は今までどおり、魔法使いとして過ごしてください。ただ、行き来が煩雑になるから神社に住んでもらうことになるでしょうが…」 「……」 「あなたの体で、もう一度私に人生をくれませんか?」 早苗とて、まだまだやり残したことがある。出来ることならもう一度生きたかった。 「…今までの私はもう死んだ」 しばらく黙っていた魔理沙は、ポツリとつぶやいた。 「え…」 「だけど、私ももう一度生きたい。やり直させてくれるか?」 「ええ、もちろん!」 「どうやら、決まったようだね」 「ああ。早速荷物を取ってくる」 「ということなので、一旦あちらに行ってきますね」 そう言って魔理沙は飛んでいった。 先ほどとは違う、いつもの速さで。 数ヶ月後。アリスの家の戸にノック音が響いた。 「こんにちは、アリスさん」 「あら、早苗。どうしたの?」 姿は魔理沙のものだったが、格好や口調から、今は早苗だということが見て取れた。 「ちょっと、伝えておきたいことがありまして。大事な話です」 「何かしら?」 「今の体だと、後継の風祝を産もうとしても、生まれるのは私の血とは関係のない魔理沙の子供なんです。それで、魔理沙さんに一つお願いをしたんです」 「どんなことを?」 「人間として死ぬことを放棄してくれないか、ということです」 「それって…」 「神性を得れば老いなどしなくなりますし、死ぬこともありません。そうすれば、子孫の問題も考えなくて済みますし」 「魔理沙はどう答えたの?」 「悩んだんだが、OKしたぜ」 「え!?」 急に口調が変わった。 「ハハハ!ぜんぜん気づかないからいつバラそうか迷ったぜ」 どうやら、魔理沙が早苗のふりをしていたらしい。 「あのね…。ややっこしいからそういうことしないでよ!」 「まあまあ、そう怒るなって。でも、今した話は本当だぞ」 「本当に、人間やめちゃうの?」 「まあな。ちょっと迷ったけど、こんだけ周りに楽しいやつらがいるのに、死ぬなんてもったいないしな。霊夢や咲夜も死ぬようなやつには見えないし」 「そうなの…」 「ま、というわけでこれからもよろしくな!」 その笑顔は、以前のような明るさを取り戻していた。 エンド3・魔理沙は大変な罪を償いました 「生き返らせることは出来ないのか!?」 「無理だよ…。死ぬ前ならどうにか出来たろうが、もう無理なんだ。命より重いものはない」 「そんな…どうにかできないのか…」 「…魔理沙」 ぽつりと、諏訪子がつぶやいた。 「一つだけ、方法はあるんだけど…」 「教えてくれ!出来る限り手伝う!!」 魔理沙は懇願した。 「早苗の魂はまだここにある。だけどこの体にはもう生命力がない。だから新しく体を作る必要があるんだけど…」 「どうすれば作れるんだ!?」 「それは普通に人間のお腹から生まれるしかないよ。だから…魔理沙に産んでもらえないだろうか」 「なっ…」 「私らは人間じゃないから、失敗する可能性があるんだよ。こんなことを頼めるほど親しい人間の知り合いなんて、他には霊夢くらいしかいないし…」 「…本当に、それで早苗が生き返るなら…私は享けるぜ」 思わぬ答えが返ってきた。 「本当に!?」 「ああ。私の所為で早苗は死んだんだ。それを生き返らせられるなら、何でもする。今ここで断ったら、償える機会が二度とこなくなっちまう!」 「血縁も何もない早苗を身ごもるんだから、拒否反応が出るんだよ?」 「それでも早苗に、死ぬのに比べればどうってことないさ」 魔理沙の顔は決意に満ちていた。 「どうする、諏訪子?」 「こうまで言ってくれるんだから、頼もうよ」 「…わかった。それじゃ、始めるよ」 魔理沙は早苗の横で仰向けになる。 「あっ…」 一瞬、自分の中に何かが入ってくる感覚がした。 「これだけか?」 「うん。でも大変なのは出産の方だよ」 「出産か…処女懐胎ってわけだな。私はSが余計だけどな」 「へ?どういうこと?」 「いや、マリアにしてはSが多いってことさ。私は聖母って柄じゃないけど」 「ああ…そういうこと」 日本の神だけあって、すぐには分からなかったようだ。 それから、魔理沙の生活は大きく変わった。 規則正しい生活と、バランスの取れた食事。 「私の不摂生で早苗の発育が悪くなるといけないからな」 日に日に大きくなるお腹をさすりながら、よくそう口にしていた。 そして… 「んう゛ー、ん゛っ、んあああぁっ!!」 10ヵ月後、ついにその日は来た。 「頑張って!」 「ここさえ乗り切れば全部終わりなんだよ!」 「ん゛はっ、あああぁっ!!」 死ぬのではないかという程の痛みが全身を走る。 しかし、早苗はこのくらいの痛みを味わいながら死んでいったのだ。 このくらいで音を上げるわけにはいかない。 何十分もの格闘の末、産声が部屋に響き渡った。 「生まれ、たんだな…」 「ああ、よく頑張ってくれたね」 「そんなことはないさ。私は…」 「まだそんなことを言うの?こうして早苗が戻ってきたんだ。もうその話はしなくていいんだよ」 「そんなことより、見てよ!かわいいでしょう?」 「おぉ、思い出すねえ、前に早苗が生まれた時のことを」 泣き疲れておとなしくなった早苗を見ているうちに、魔理沙にも自分が生んだという実感が沸いてきた。 「なあ…」 「ん?」 「私、この子の…早苗の母親だって思って、いいんだよな?」 「いまさら何を言っているの?魔理沙は立派な母親だろうに」 と、神奈子。諏訪子は 「あ、そうだ!」 何かを思いついたようで、手近にあった紙に何かを書き始めた。 「ほら!」 『東風谷 沙苗』 「魔理沙から一文字もらって、『沙苗』。どう?」 「私はいいと思うよ。魔理沙は?」 「答えはもう決まってる、大事な娘に一文字あげるくらい、普通のことだろ?」 ―数年後― 「それでなに、用事って?」 「忙しいんだから、さっさと教えなさいよ」 魔理沙に用事があるからと呼ばれたアリスと霊夢。 「まあ見てな。沙苗?」 「はーい!」 そういうと沙苗は、 「奇跡『ミラクルスパーク』!」 そう言って砲を放った。 「すごいだろ、私直伝だぜ?まだまだ威力は弱いけど、この歳でたいしたもんだろ?」 「…ねえ、霊夢?」 「…何?」 「案外魔理沙って親バカだったのね」 「そうね…」 「見てろよ霊夢、いずれ沙苗はお前を超えるぞ。ま、その頃には私は更にその上を行ってるだろうがな」 「親子鷹です!」 「よし。沙苗、帰ったら特訓の続きだぞ!」 「はいっ!」 魔理沙の人生は果たして良くなったのか悪くなったのか、それは分からない。 だが、二人とも今幸福であることは間違いなかった。 『沙苗を産んで良かった…』 ---- - なるほどなーw>Sが余計 -- 名無しさん (2009-06-09 21:49:38) - エンド1でお願いします -- 名無しさん (2009-06-09 22:36:47) - Sが余計・・・確かに &br()3のエンドはいいかも &br() -- 名無しさん (2009-06-09 22:51:14) - せっかくアリスが出てきたんだから &br()アリスの作った人形に魂を入れて復活っていうのもアリだと思う -- 名無しさん (2009-06-10 00:26:17) - 何でいい話になってんだろうなぁ &br()でもみんな救われるからいいけどね -- 名無しさん (2009-08-07 17:10:58) - エンド4 &br()「その髪飾り、早苗につけてやってくれないか?」 &br()「だが断る。 &br()早苗が死んだ今、この髪飾りは私のモノだッ!」 &br() &br()その後アリスと魔理沙の共同研究の末、通信機能付き人形が誕生し地霊異変にて大活躍したとさ。 &br() -- 名無しさん (2009-10-01 03:14:28) - ↑なんというエンドwwww -- 名無しさん (2009-10-07 13:47:58) - ↑じゃあ地霊殿のEXは誰なんだよww -- 名無しさん (2009-10-07 19:15:25) - ↑バカヤロウwwwww -- 名無しさん (2010-03-15 04:05:56) - ↑ちょwwww -- 名無しさん (2010-03-18 00:52:06) - ↑どういうことなのwwww -- 名無しさん (2012-03-03 19:52:08) - 個人的にエンド3を個別にもっと詳しく読みたひ -- 名無しさん (2013-10-09 12:14:20) - そーなのかー -- 名無しさん (2013-10-13 17:08:57) - ん?今何でもするって言ったよね? -- 名無しさん (2016-02-29 03:34:21) - どのエンドもいいな -- 名無しさん (2018-02-06 17:33:00) - エンド3 &br()が一番 &br()いいですね😃 -- 桜🌸 (2020-02-16 15:48:19) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)

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