― けんけいほんぶ!


蔵間「ディクロニウスとは人類を滅亡に追い込ませることのできる新人類の名称で、

全てのディクロニウスは女性の姿をしています。

しかし我々との外見上の最大の違いは頭蓋骨にある骨の一部の対になる露出した角です。

また脳も通常とは違い、卵ほどの大きさに発達した松果体、

そして、ディクロニウスはベクターと呼ばれる見えない無数の腕を有しています」


「このベクターはベクターウイルスと呼ばれるレトロウイルスを持ち、人間の男にベクターを触れさせるだけでベクターウイルスを感染させます。

そしてその親から生まれてくる子供は、全て側頭部に対になる角を持ち、かつ生殖機能を持たないディクロニウスの女児になります」


蔵間「彼女たちは人類に対する憎しみを本能として持ち、3歳を過ぎベクターが発動するようになると、

些細な感情の昂りなどから周囲に危害を加えるようになります。

しかし人間に対する攻撃性は個体差もかなり大きく、今回の30番のように無暗に殺人を行わない個体もあります。

その反面、平静時においては他者への情愛も持ち合わせており、多重人格を持ち合わせた格好であるディクロニウスには

本能のみで人格形成がなされた、通称『DNAの声』なる別人格が発現するという脅威もあります。

『DNAの声』が発現している際の残虐性は類を見ず、12年前の神奈川のケースはまさにその『DNAの声』が関わっていると考えられます」


蔵間「そして、この憂慮すべき事態を収束させるためには県警のみなさんのお力が必要なのです」


警察官僚A「…」

警察官僚B「まさか…」

警察官僚C「何てことだ」

ザワザワザワ


― どこか


主任「くそ…もう限界だ…どうする…俺はもう終わりじゃないか…」

キィッ

主任「!?」

蔵間「30番は見つかりましたか?」


主任「く、蔵間室長!」

主任「…な、何故それを…」

蔵間「当然県警には応援要請は出していますよね?佐世保で持っている危機管理マニュアルの手順通り」

「どういった非常事態でどういった根拠に基づいた協力要請かも明確にして」

主任「あ、いえ…その…」

蔵間「…あなたは30番をどうやって見つける気だったんですか?」

主任「その…」

蔵間「…」

プッ プー ピッピッポッパッ

蔵間「蔵間です。30番の件ですが…」


蔵間「はい。はい。では。よろしくお願いします」ピッ


主任「…」

蔵間「…犠牲者が出かねないにも関わらず保身ですか」

主任「…ぐっ」


蔵間「…」スッ

主任「…ま、まさか…発信器か」

白河「そちらに引き渡す前に30番には発信器を埋め込んでおきましたので」

主任「アンタら…最初から気付いてたのか…」

主任「脱走してからずっと…あんたらは30番の場所を知ってたってのか」



― さくらがおかけいさつしょ!


刑事A「この写真の子は秋山澪で間違いないと思います」

係長「そうか…」

刑事B「係長。何なんです彼女」

係長「いや…非公式に要請のあった家出人の捜索って聞いてるが」

刑事A「それを所在確認しただけで終わりですか?」

刑事B「彼女は家出も何もしてませんよ」

係長「あ…まぁ…」

無線『プーップーッ 桜ヶ丘管内、殺害容疑事案発生に伴う緊急配備の発令―』

刑事A「何?」


…………


無線『―現在時間18時10分を以って広域手配へ移行。よって本件以外の通話規制を行う。

なおマル被は20歳前後の女、人着不明なるも、けん銃様のマル凶を所持している模様。

よって本件は更に重大事件に発展する可能性あり、各局にあっては防弾チョッキの着装―』


ガチャ

刑事C「マル被の写真が出たらしいです!」

刑事B「…早いな?」

刑事A「こ、これ、秋山澪じゃないですか!?」

刑事B「…行くぞ!」

…………


― げーせん!

ウィーン

唯「あーっ!落ちる落ちる!!」

律「急げ唯!」

唯「ダメだよー!もう平沢チキン2世の片足しか掴めてない!」


澪「このようにだ。UFOキャッチャーってなかなか難しい物で―」

30「そうなんだね~」

30「…唯さん…ちょっと待って~♪」

唯「みおにゃん?」

ヒョイヒョイ ガコッ

澪「おい」

律「うは!ベクターすげぇ!」

唯「わーい平沢チキン2世だ!」

澪「おい!」

梓「なんて言うか…あれはチートというより犯罪…」


………

梓「次はどこに行くんですか?」

律「そうだな…そろそろ暗いし―」


ガーッ


パウウウウ ウウウウウウ パウウウウ ウウウウウウ

澪「何だ?」

梓「パトカー、随分走っていきましたね」

紬「ま、まさかみおにゃん…」

律「…戻ろう」

30「はい!」

………

梓「そういえばみおにゃんさん、今日はどこに泊まるんですか」

律「あ…それも考えてなかったなぁ…」

紬「あ、じゃあ今日は私の家じゃダメかな」

澪「そうだな。私の家じゃ騒ぎになるし」

唯「えー、私の家でいいよ!」

梓「唯先輩。なんかそろそろ憂が怒り出しそうな気がします」

唯「えー」ブー

紬「唯ちゃんも泊まる?」

唯「泊まる泊まる!」

30「じゃ、じゃあ…今日はムギさん家にお邪魔していいですか!?」

?「30番!見つけたぞテメェ!」

澪「うわっ!?」グイッ

律「え?」

30「ひっ!」


澪「だ、誰!?」

主任「おい!」グッ

澪「だ、だっ誰!?」

律「澪!?」

紬「澪ちゃん!?」


主任「散々手こずらせくれたなぁ!バケモノめ!」ジャキ

澪「ひっ!」


30「姉さんを離せ!」

シャシャシャッ

主任「ぐあ!?」ガッ

律「このおっ!」ゲシッ

紬「えい!」ギュッ

主任「ぎゃああ!」

唯「澪ちゃん!」

澪「なんなんだよ!」バッ


梓「!」ピッピッポッパッ

梓「けけけけ警察ですか!?」


主任「ま、待て!お前ら!俺の話を聞け!」

律「なんだよ変態?」

紬「動いたら潰しますよ」

主任「お、おい。まぁ聞けよ。あいつ…30番は人間じゃないんだぞ」

澪「だからなんだ!?」

主任「…そうか…お前か…あの双子の片割れ…」

澪「…」

30「…」

主任「確かに間違えるほどそっくりだ…」

紬「なんなの…?」

律「?」

梓「?」

唯「え?え?えっと?」

主任「…お前らよく覚えとけ…こいつはディクロニウス。人類に害をなす存在だ」

唯「でぃくろにうす?」

主任「新人類だよ…俺達人類を…ホモサピエンス、こいつらは今の人類を滅ぼすんだよ…」

紬「え?」

律「変な嘘ついてんじゃねぇ!」

主任「見えない手、ベクターを使うんだぞこいつらは!」

唯「…みおにゃんは違うよ」

主任「違わん!ディクロニウスの凶暴性は並じゃない!」


主任「こいつらのせいで今まで何人死んでると思ってるんだ!こいつだって脱走するまでに何人も傷つけてきてんだよ」

30「違う…わ、私は…」

紬「でもみおにゃんは違う!」


30「違う!違う違う!」ヘタッ

律「み、みおにゃん…」


主任「!」

バキィッ

律「うぐっ」ドサッ

主任「バケモノが人間ぶろうったってな!そうはいかないんだよ!」ザッ

紬「りっちゃん!?」

主任「どけ!」

バシィッ

紬「きゃっ」ドッ

唯「ムギちゃん!」ダッ

30「ムギさん!」

主任「はぁ…こんのクソガキが…」ジャキッ

唯「みおにゃん危ない!」

バン! カラン


30「…」

30「…ふふふふふ」

バババババッ

主任「な!?」

バババッ


唯「え!?」

澪「…何だあれ」

律「ベクターが見える…」

紬「あれは…みおにゃんじゃない…」

梓「これが…ディクロニウスって事?」

30「…死ね!」


主任「ひっひいいいっ!」



ドシャン

澪「やめろ!」


30「うっ!?」ヘタッ

ババババババッ ピタッ


梓「ベクターが止まった」

澪「…はぁ」

30「!」ハッ

30「まさか…私…」


唯「み…みおにゃん」

主任「あひゃっ…ひゃぁ…」


パウウウウ ウウウウウウ パウウウウ ウウウウウウ 
パウウウウ ウウウウウウ パウウウウ ウウウウウウ

ファンファンファンファン キキッ


律「警察…」

梓「…遅い」

澪「…お…おい…みおにゃん…」スッ

30「…私は…私は…」

30「…私は」キッ

澪「…だいじょ―」


ウウウウウウウウウ― キキキキキッ

ガラガラッ ドカドカドカドカ

班長「いたぞ!確保しろ!」

機動隊員A「了解!」 ドカドカバタバタドカドカバタバタバタ

機動隊員B「進めー!」ドカドカバタバタドカドカバタバタバタ

30「!?」

梓「機動隊!」

紬「まさか!」

30「私に近づくな!」ババババッ

ドドドドドン

機動隊員A「う、うわぁ!?」

機動隊員B「化け物だ!」

機動隊員C「ど、どうなってるんだ!」


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