梓「姉さん?」

澪「え?」

澪(?)「姉さん!」ガバッ

澪「ぎゃあ!」

律「おおい!?澪から離れろ!」

澪(?)「あ、あっ!はい!」バッ

梓「え」

紬「あら」

憂「ちょ、ちょっと待ってください」

唯「ほえ?」



― ふぁみれす

店員「いらっしゃいませー!6名様ですね」

………

澪「で…」

澪(?)「はじめまして。妹です」

律「は?」

唯「ね、ねっ、名前は?」

澪(?)「国立生態科学研究所、ベクター実験体30番です」

紬「30番?」

30「30番です」

澪「どういうこと…」

唯「じっけんたい?」

紬「国立生態科学研究所…?」



― かいそうのけんきゅうしょ!


『320Jクリア!』

『330J!』


ピーッ バコン ヒュン! 

ドシャァッ!

30番「あがっ…!」


……

研究員A「30番やっぱ、330Jが限界ですね」

研究員B「しかし射程の長さを考えるとかなりのバランスだ」

研究員A「脱走されたらシャレになりませんね」

研究員B「ま、ルーシーと違って30番はおとなしいからな。大丈夫だろ」

研究員A「ああ、そういえば30番があの奇跡の子の片割れらしいですよ」

研究員B「ああ、例の双子か…」

研究員A「30番が確か妹になるんだったような?」


30「…姉さん?」

「私の…姉さん…」

「会いたいな…」

……

30「鉄球をぶつけられたり針で刺されたり色々な目に遭いましたが…」

澪「…」グスッ

唯「か、かわいそう…」ヨヨヨ

紬「なんて残酷なの…」グス

30「幼いころ聞いた姉さんの存在を心の頼みに頑張ってきました」

律「うわあああ泣ける…」グスッ

憂「ううっ」エグッグスッ

梓「か、感動の再会じゃないですか!」

30「あ、そういえば姉さんって名前なんて言うの?」

澪「あ…ああ。澪だよ。秋山澪」

30「澪って言うんだね。姉さん」

店員「お待たせしましたぁ。マヨコーンピザのお客様ぁ」

紬「あ、はーい」

店員「失礼しまぁす」

コトッ

紬「あ、遠慮しないで食べていいよ」

30「いいんですか!?」

店員「辛口チゲのお客様ぁ」

律「あ、はーい」

店員「ミックスピザのお客様ぁ」

澪「はい」

店員「失礼しまぁす。チゲはお熱いのでお気を付け下さぁい」

30「おいしー!」はむっ はふはふ、はふっ!!

唯「これおいしいね!」

澪「唯!お前が食ってどうする!」


店員「失礼しましたぁ」

憂「ところで…どうして外に出られたんですか?」

30「むんーふぉもご?ふごごもむもぉももんぐ?」

澪「食べてからでいいよ…」

30「あ、脱走しました」

梓憂澪紬「「「「「脱走!?」」」」」



― かいそう!


警備員E「このお!」

ゴキッ

警備員E「ぐああああっ」

警備員F「うわぁっ」ドサッ

警備員A「ベクターがある限り近づけないぞ!」


警備員B「警棒じゃ勝てません!」

ゴキッ

警備員G「ぎゃああああ」ドサッ

警備員H「ちくしょう!」

警備員A「B班!後ろからガス弾をぶち込め!」

警備員C「後ろからそっと狙えよ!」

警備員D「はい!」


警備員D「…」ジャキッ ポカッ


30「ぐあっ!」

ドン!

警備員D「後頭部に直撃!」

警備員A「くっそ!効きやしねぇ!痛覚がないんじゃないのか!?」


30「…」キッ

警備員B「ベクターが来るぞ!」


ドガン バリバリバリバリ

警備員C「うわっ」

警備員A「電源ケーブルがやられた!」

警備員B「何も見えない―」


………

………

研究員A「今の30番の人格は間違いなく『DNAの声』によるものです!

完全に意識がDNAに持ってかれる前に止めないと!」

無線『B班とC班は全滅です!発砲許可を願います!』

研究員B「このままじゃ間違いなく脱走されます!せめて警報を出して発砲許可を!」

主任「ダメだ!そんな事をしたら大事になる!」

無線『ダメです!30番が外に!外に出ます!』

主任「止めろ!何としても止めろ!」

無線『せめて実弾を!』

研究員A「このままじゃ死人が出ます!主任は30番を侮りすぎです!」

無線『もうダメです!』

………
……


― ひらさわけ!


憂「どんどん食べて下さい!じゃんじゃん作りますから」

律「鍋って楽しいな!」

澪「ああ…」

30「美味しいです!」


唯「でしょー?憂の料理は世界一だよ!」

梓「んー」モグモグ


………

30「やだなぁ律さんこそ!」

律「いやぁ、澪とは大違いだな」

澪「うっさい!」

唯「そうだよ~澪ちゃん。ねっ…」

律「ん?」

憂「どうしたの?」

30「うめー」モグモグ

唯「そういえば…今まで名前呼んだことないよ…」

律「名前…?」

紬「…そっか」

30「?」ゴクッ

唯「…なんて呼べばいいのかな?」

30「あ、私ですか。私も30番30番って言われたことしかないから…」

憂梓「…」

30「あっ、ごめんなさい急に盛り下げちゃって!ホラ!みなさん―」

澪「な、なら―」

唯「そっか!みおにゃんだね!」

律「え?」

澪「ちょ、ちょっと待て」

唯「え?ダメかな?」

律「ま、みおにゃんでいっか。澪そっくりだし」

澪「完全に私と名前が被ってるぞ!」

30「…ありがとう唯さん」

紬「みーおにゃん」

30「はーい」

………


憂「…とりあえず今日のところは、遠慮せず皆さん泊まってって下さい」


唯「いいの!?」

憂「みおにゃんさんがいるし、せっかくだから」

律「おお、憂ちゃんかたじけない!」


憂「あ、泊まる人は着替えや歯ブラシ、各自取りに行ってくださいね」

憂「その間に私はお風呂入れておきますから」


………


― そと!


律「憂ちゃんにはなんか迷惑をかけるなぁ」

澪「全くだ…」


唯「あれ?工事中だって」

律「ん?」

澪「あ、みんな段差気をつけろよ」

律「これ、もうちょっと平らにしろよなー」


梓「えっ!?」ズルッ

澪「梓!?」

律「危ない!」

30「梓さん!」


唯「あ…あずにゃん?」

梓「あれ?」

紬「うそ…?」

唯「浮いてる…」

律「…なんで?」


30「これが…私の力です…見えない手…ベクター」


― こうえん!


30「ベクターとは…やって見せた方が早いです。私も口で説明できるほど理解できているわけじゃないので」

30「憂さん。そこのベンチにペットボトルを置いてもらえますか」

憂「はい」トン

30「私は10メートルほど離れます」スタスタ


30「見ててください」

グシャッ

憂「…わっ!?」

唯「すごーい!」

梓「ペットボトルが…」

律「嘘だろ…?」

澪「ちょ、超能力か?」

紬「今のって…」

30「…手です」

唯「て?」

30「ベクターはこうやって潰すこともできれば…」スッ


スパッ ガササッ

梓「え…枝が…」

30「物を切断することもできます…この手は…例え銃弾だって弾けます…」


30「私は異常な存在なんです…人じゃない…存在…」

澪「…」


………

………


律「うーん。全員の家回ると結構遠かったな」

澪「結局ムギと梓帰っちゃったしな」

律「まぁムギは家も遠いし仕方ないか…」

30「残念ですけど」

唯「あれ?家の前に止まってるの…うちの車じゃないよ…」

澪「ん?」

律「なんだろうな?」

憂「誰だろう?」


刑事A「こんばんは」

刑事B「やぁ。こんばんは。警察なんだけどね。秋山澪さんだよね?」ザッ

律「え?み、澪?」

澪「え?私?」

刑事A「あ、気張らなくていいよ?君の家に行ったら

お母さんが平沢さんの家にいると教えてくれたんだ」

澪「な、何のご用ですか?」


刑事A「いや…取り立てて何かあるわけじゃなくて…所在確認みたいなものだよ」

刑事B「うん。とりあえず会えたから問題ないんだ。ところで後ろの子はご姉妹かな?」

澪「あ、まぁ…親戚です」


刑事A「そっくりだね。まぁ、とにかく僕らは帰るから。ごめんね。水差しちゃって」

刑事B「じゃあ、失礼しました」

ガチャ バタン ブロロロロロロ


澪「警察?」

律「…まさかバレたのか?」

30「ど、どどどどうしよう!?」

唯「お、落ち着こう!とにかく家に入ろう!?」


…………
………
……


― ほうかご!


律「…結局あの後は警察来なかったなぁ」

澪「…でもタイミングが良すぎるぞ」

紬「みおにゃんってやっぱり脱走したのかな…?」



唯「みおにゃん!あれがトンちゃんだよー」

30「わぁ、可愛いですね!」


梓「それにしてもよく紛れ込ませましたね。制服まで着せて…」

律「落とし物集めてそれっぽく仕立てたら案外簡単だったぞ」

梓「な、なんてことを…」

和「それで、あの子はなんなのかしら?」

唯「えへへへ。みおにゃんだよ」

30「えっと、お世話になってます」ペコ

和「…は、はい」

………

唯「ふわふわ時間~♪」ジャジャーン


唯「どう!?」

澪「どうだ?」


30「すごいです!」


律「だろ?」

30「私もやってみたいです!」

澪「あ、じゃあ私が」

………

唯「ねぇねぇ!もっといろんな場所連れて行ってあげようよ!」


30「いいんですか!?お願いします!」

澪「よ、よし!」

律「まずはどっから行くか」

紬「はいはい!駄菓子屋さん!」

梓「じゃあとっと行きましょうよ」

和「羽目は外したら駄目よ?」

律「わかってるって!」


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