憂「さて、梓ちゃん」
梓「どうしたの、憂?」
憂「今日はお姉ちゃんを呼んで、何をしてたの?」
梓「別に大したことじゃないよ。色々と家のことを手伝ってもらっただけ」
憂「ふうん、そうなんだ~」
純(……風呂から出たら、いきなり険悪な雰囲気!?)
純(もう私には事情がさっぱり分からないけど、この空気は勘弁してほしい)
ピンポ-ン
純(ナイスタイミングで来客!)
澪「こんにちは、お邪魔します」
唯「あっ、澪ちゃん。どうしたの?」
澪「梓に呼ばれたんだ。お菓子を作るから手伝ってほしいって」
唯「お菓子を作るから、澪ちゃんを……?」
澪「何かおかしいか?」
唯「いや、お菓子だったらムギちゃんやりっちゃんの方が得意そうだし」
澪「私だって料理くらいできる!」
唯「えへへ、そうだよね。ごめんごめん」
澪「まぁ、私が呼ばれた理由は察しがついてるんだけどな」
唯「……?」
純「澪先輩、こんにちは!」
澪「あっ、純ちゃんも来てたのか」
憂「こんにちは」
澪「憂ちゃん……、あれ、何か嫌なことでもあった?」
憂「いえ、別に」
梓「来てくれてありがとうございます、澪先輩」
澪「今日は大人数だな。それで、お菓子って何を作るんだ?」
梓「はい、みんなでミルクプリンを作ろうと思って」
唯「あれっ、でも牛乳はさっき全部使っちゃったんじゃ」
澪「……なるほど、やっぱりね」
唯「……?」
梓「という訳で、みんなで仲良くミルクプリンを作りましょう!」
憂「みんなで仲良く、ね……」
澪(何があったんだろう?)
梓「材料はここに並べてあります」
純「ねぇ、肝心のミルクが見当たらないけど」
梓「じゃあ澪先輩、よろしくお願いします!」
澪「はいはい、っと」
ポロンッ
純「……えっ?」
唯「おぉ~、やっぱり澪ちゃんのおっぱいは大きいね!」
澪「あんまりジロジロ見ないでくれよ、もう」
純「いや、あの、なんで澪先輩は胸を露出してるんですか」
梓「服を着たままだと、ミルクを出せないでしょ」
純「はぇっ、ミルク、出す?」
澪「このボウルに絞り出せばいいのか?」
梓「はい、お願いします」
プシュ-ッ
純「あばばばばばばば!?」
唯「澪ちゃんのおっぱいから、純ちゃんの顔に、何か飛んでいった!?」
憂「まさか、母乳!?」
澪「ごめんごめん、暴発しちゃった。まだ慣れてなくてさ」
純「んぐっ、んぐっ……」
唯「純ちゃん、大丈夫?」
純「はい、ちょっと驚いただけです。ただ何か忌まわしいトラウマが蘇りそうな気が」
梓「あー、それで、味は!?」
純「……味、ねぇ」
梓「そうそう、澪先輩特製ミルクの味」
純「正直、すごく美味しい」
澪「そ、そうか、ありがとう」
純「いえ、その、澪先輩に気を遣って、とかじゃなくて。本当に美味しいです」
憂「そっか、美味しいんだ……」
純「うん、まろやかだけど深いコクがあって。明治の美味しい牛乳より、何倍も美味しい!」
梓「香り唯マン、味澪パイですね」
唯「へぇ、そんな言葉があるんだ!」
澪「梓の造語だろ。私たちはキノコかよ……」
梓「どちらも堪能できて、今日は幸せです」
憂「へぇ、梓ちゃん。堪能したんだね……」
純(殺意の波動!?)
梓「さて、澪先輩。改めてミルクをお願いします」
澪「あぁ、しかし結構な量だから大変だ……」
憂「それにしても、澪さんが母乳を出せるなんて知りませんでした」
唯「私も全然知らなかったよ!」
澪「あぁ、つい最近の話だからな」
純「どんなきっかけで、そんな体質になったんですか?」
澪「きっかけって、そりゃ、赤ちゃんを授かったから……」
純「!?」
憂「!?」
唯「!?」
純「えっ、あっ、赤ちゃん、って」
唯「澪ちゃん、私たちまだ高校生だよ!?」
澪「あぁ、もう。だからみんなには隠しておきたかったのに」
唯「ひどいよ、私にも教えてくれなかったなんて!」
澪「唯にはちゃんとした場を設けて報告するつもりだったんだ。こんな形になっちゃって、ごめんな」
憂「そ、それで、父親は?」
澪「えっ、父親?」
憂「だから、その、誰の子どもなんですか?」
澪「誰って、そりゃ……、律だよ」
純「!?」
憂「!?」
唯「!?」
純「えーと、あの、澪先輩」
澪「うん」
純「私、今日は色々と意味不明な出来事がありましたけど、これがトップ賞です」
澪「えーと、よく分からないけど、ありがとう」
純「できれば私にも理解できるように説明してほしいなー、なんて」
澪「あっ、うん。何から説明すればいいのやら」
梓「要するに、律先輩が目覚めた特殊な能力で、澪先輩が妊娠しちゃったんだよ」
純「特殊な能力?」
梓「そう。律先輩のおでこに、自分のおでこを重ねた人が、一定の確率で妊娠しちゃう能力だよ」
澪「律の能力が発覚したのは、私が妊娠した後だった」
澪「そうとも知らず私は、風邪をひいた律の看病をしていて……」
澪「熱が下がったかどうか確かめるために、おでことおでこを接触させてしまったんだ」
澪「1日に6回も、すべてゴムを付けない生の接触だった」
澪「それだけ律におでこをくっつけたんだ。妊娠しない方がおかしい」
澪「お腹の子どもを極秘で産むために、ムギのお父さんの力をずいぶん借りちゃったよ」
唯「そうだったんだ……」
澪「ごめんな、唯。今まで黙ってて」
唯「ううん、いいよ。澪ちゃんも色々悩んだんだよね」
澪「ありがとう。そう言ってくれるだけで、救われる思いだ」
梓「ほら、澪先輩が2週間くらい学校を休んだ時がありましたよね」
唯「そう言えば……」
梓「あの時に出産してたんですよ、澪先輩が、律先輩の子どもを」
唯「あずにゃんは、どうして事情を知ってるの?」
梓「その2週間、何か怪しいと思って、勝手に事情を探ってみたんです。今思えば最低な行動でした」
澪「いいんだよ、もう。その時のことは忘れよう」
梓「澪先輩……」
唯「あっ!!」
憂「どうしたの、お姉ちゃん?」
唯「2週間の休み、ってことは、まさか……」
梓「さすがの唯先輩も、気付いちゃいましたね」
唯「最近……、ちょうど2週間くらい、りっちゃんが学校を休んでるのは」
澪「あぁ、3日前に無事出産を終えた。父親は私だ」
唯「そ、そうだったんだ……」
純「ちょっと待ってください!」
梓「純、どうしたの?」
純「それはおかしくないですか。だって、妊娠させる能力は律先輩しか」
梓「妊娠させる能力を手に入れたのは、律先輩だけじゃなかった」
純「……えっ?」
澪「私にも、あるんだ。その特殊な能力が」
純「つまり、澪先輩のおでこに自分のおでこを接触させた人は……」
澪「いや、私の能力は少し違うんだ」
純「えっと、どう違うんですか?」
澪「私の場合、私の母乳を飲んだ人が妊娠しちゃうんだよ」
憂「えっ、そんなものを料理に使っちゃ……」
梓「あぁ、安心して。火を通せば妊娠しないって、実験で証明されてるから」
澪「妊娠するためには、母乳の鮮度が重要らしいんだ。絞りたて生乳を直接飲んだりしない限り、問題ないよ」
梓「それだけ気をつければ、澪先輩の母乳はとっても美味しいからね」
憂「そっか、安心だね。じゃあ後で、私にも飲ませてください」
澪「お安い御用だよ」
純「……あれっ?」
梓「実は、まだあるんです」
憂「えっ?」
唯「あずにゃん……」
梓「澪先輩も知らない話ですが、他にも3人の能力者が確認されてるんです」
澪「そ、そうなのか!?」
梓「1人は私、中野梓」
唯「1人は私、平沢唯」
憂「お姉ちゃんも!?」
梓「そしてもう1人は、平沢憂」
憂「……って、私!?」
澪「信じられない……」
唯「最初は私も驚いたけど、どうやら本当みたい」
澪「ゆ、唯こそ私に黙ってたんじゃないか」
唯「私だって最近わかったんだもん。私と憂だけがこんな能力を持ってると思ってたし」
憂「ちょっと待って、なんで私も……」
梓「順番に説明します。まず、私をペロペロした人は妊娠します」
唯「だから私のお腹には、たぶんあずにゃんの子どもがいる」
梓「唯先輩はすべてを知ったうえで、私をペロペロしてくれたんです」
憂「……今、何を?」
梓「憂、落ち着いて、冷静に聞いてね」
唯「たぶん憂のお腹にも、あずにゃんの子どもがいる」
憂「!?」
唯「私と憂の間には、シンクロニティが働くから……」
梓「妊娠という未知の感覚も、おそらく共有されてしまう」
唯「だから憂も、私と一緒に赤ちゃんを産むことになるの」
憂「~~~」
バタン
澪「憂ちゃん!?」
唯「気絶しちゃった……」
梓「ショックが大きすぎたんですね。現実を受け入れるためには、ゆっくりと時間をかける必要があると思います」
澪「……話を戻そう」
梓「はい、次は唯先輩と憂の能力です」
澪「2人とも能力があるのは、シンクロニティとやらの作用なのか?」
梓「はい。その内容は……」
唯「おまんこから噴いた潮を浴びた人が、妊娠しちゃう能力だよ」
梓「唯先輩も、憂も、この同じ能力を持っています」
唯「澪ちゃんの母乳と同じで、至近距離で直接浴びるようなことがなければ、まず妊娠しないけどね」
純「……あれ?」
澪「ってことは私たち、みんな能力を持っていて……」
梓「みんなその能力で妊娠してる、って訳です」
澪「ふふっ」
梓「くすっ」
唯「えへっ」
澪「な~んだ、隠す必要なんてなかったんじゃないか!」
唯「そうだよ、私たちはみんな仲間なんだから!」
梓「特殊な能力があっても、高校生で妊娠しちゃっても、大丈夫です!」
アハハハ...
憂「」
純「」
それから2年後。
律と澪は、お互いの子どもを育てるため、生計を共に暮らしている。
梓は唯の子どもを産んだが、憂に配慮して唯とは同居せず、シングルマザーの道を選んだ。
憂は一時、精神的に不安定な状態に陥った。
だが唯のサポートもあって、どうにか現実を受け入れ、無事に梓の子どもを産んだ。
唯は憂と一緒に、それぞれが産んだ梓の子どもを育てている。
紬は能力を持たないが、いつの間にか律の子どもを妊娠して、大騒動になった。
紬がシングルマザーになることで騒動は終結したが、今でも澪との間に亀裂が残っている。
純は同時に唯・憂・澪の子どもを3人も身籠ってしまい、その負担に耐えきれず死亡した。
棺桶には献花のかわりに、たくさんのモップが詰め込まれたという。
妊娠編おわり
紬「私、みんなを妊娠させる能力者になるのが夢だったの~♪」
――少女はやがて大人になり、念願を叶えた
憂「妊娠の、感染爆発【パンデミック】……!?」
――歪んだ形に、その姿を変えて
澪「私の、母乳を、飲めええぇぇっっ!!」
律「純ちゃんのところに、お前も送ってやるよ」
和「私の初任給は53万円です」
唯「イくっ、イっちゃうぅうぅぅっ!!」
プシャアアァアァ
――最後の戦いが、今始まる
梓「唯先輩のおまんこの匂いが、世界を包んでいく……」
お楽しみに!(予定は変更される場合があります)
最終更新:2011年04月29日 18:49