平沢家

お通夜後

憂「やっぱり来てくれたんだね…ありがとう…」

梓「当り前だよ…だって大切な友達だった…もん…」ポロポロ

憂「梓ちゃん…」

梓「憂は強いね…お姉ちゃんが…死んじゃったのに…なのに…」

憂「私だって辛いよ…でも葬式の準備があって忙しいから…悲しんでる暇なんて無いよ…」

梓「憂…」

憂「それに私目標ができたから…だからそれもある…かな……」

梓「そっか…目標…か…」

憂「うん…きっとお姉ちゃんもそう望んでるはずだから…」

梓「そうだよね…私たちが悲しんでるところ…唯先輩はそういうの…喜ばないね…」

憂「…」

梓「ありがとう、憂。私も目標が見つかったよ。唯先輩がきっと喜んでくれる…そんな夢…」

憂「梓ちゃん…」

梓「私も頑張って叶える…そして天国の唯先輩に…笑ってもらうんだ…」

梓(見ててください…唯先輩…)



次の日

音楽室

紬「今日もずっとここにいたの…澪ちゃん…」

澪「ゆい…ゆい…」

律「ムギ…もう澪を傷つけるな…」

紬「よくそんなことが言えるわねー。りっちゃんもいじめてた張本人なのに」

律「なんだと…!」

律「お前も一緒にいただろうが!!同類だ!!共犯者だ!!」

紬「あら。私は一緒にいたけど手は出してないもの。だから私は悪くないの」

律「ムギ…お前…」

紬「だからもし何かあったとしても私は巻き込まないでね。だって無関係なんだもの」

律「そ、そんな自分勝手な言い分が通るとでも…!」

紬「いじめを見て見ぬふりもしている人もいじめているのと一緒」

律「え…?」

紬「それと一緒よ。私はただ見てただけ。」

紬「同じいじめる側でも罪の重さはりっちゃんと澪ちゃんとは比べ物にならないぐらい全然違うの」

律「ム…ギぃ…」ギリ



廊下

梓(唯先輩をいじめていた犯人を探す…そして…)

梓(優しい唯先輩の心を弄んだ人を…私は絶対に許さない…!)

梓(…それが…私の目標)

職員室

梓「失礼します」

梓(あれ…音楽室の鍵がない…今日は部活休みのはずじゃ…)

梓(…)



音楽室

梓(やっぱり…中に誰かいる…)

律『私は認めない!お前もいじめに参加してた!ただ手を出さなかっただけで!!』

律『精神的には一番追い詰めたんじゃないのか!!』

紬『りっちゃんは唯ちゃんが自殺したのは私のせいにしたいの!?』

律『そうじゃねーよ!同罪だって言ってんだよ!!』

紬『それでも私は澪ちゃんやりっちゃんとは…違うわ!!』

梓(いじめ…)



廊下

梓(やっぱりというか…手紙貰った時から察してはいたけど…)

梓(先輩たち3人が…唯先輩をいじめた犯人…)

梓(そして…殺した…私と同じ…殺人者…)

梓(でも私はこのままあの3人と同じ立場の殺人者にはならない…)

梓(唯先輩の未練は…私が晴らしますから…)

梓(澪先輩…律先輩…ムギ先輩…)

梓(全員…唯先輩への手向けにしてあげます…)



中野家

梓「ただいま…」

梓母「お、遅かったわね…心配したんだから…」

梓「ごめんなさい…」

梓母「部活…行ってきたの…?」

梓「…ごめん。今はまだ話したくない……食事はいらないから…」

トントントン(階段を上る音)

バタン

梓母「梓…」



梓の部屋

梓(殺すなら一人一人違う場所で…同じ日に殺さなきゃ…)

梓(凶器は人数分用意準備した…)

梓(まずは中二ぐらいの頃に買ったナイフ。七つ道具のやつだけど勢いよく刺すには問題ないよね…)

梓(次は化学実験室からもってきたヒ素…)

梓(これは食事の中に混ぜるから…よくお菓子を食べる律先輩に使うことになるだろう…)

梓(そしてこ最後は…)

カチャン

梓(唯先輩…)



次の日

梓「…」

純「あ、梓…おはよ…」

梓「…」

純「梓…」

梓(今日は7限目まである日か…時間が短すぎる…)

梓(殺すのは明日になりそうかな…)

梓(先輩…人生最後の一日…目いっぱい楽しんでくださいね…)



放課後

音楽室

梓(いつも通り…いつも通り…)

ガチャ

梓「こんにちは…」

澪「うっ…うぅ…」

律「お、おう…梓か…」

紬「…」

梓(澪先輩…よく私の前で泣けますね。この殺人犯め…)

梓「澪先輩…大丈夫ですか…?」

澪「唯…唯ぃ…」

律「放っておいてやってくれ…唯が死んで辛いのはみんな一緒だから…」

梓「はい、わかりました…すみません…」

梓(みんな一緒…?憂と私の気も知らずに…)ギリ

梓(それに一番つらかったのは唯先輩なのに…)

梓(く…はやく殺したい…殺したくてしかたがないよ…)



次の日

下駄箱

ザーーー

律「ふー、結構濡れちまったな…」

紬「髪の毛がくりくりだわ…」

律「…!」

紬「ん?どうしたのりっちゃん」

律「…お前か?」

紬「え?何が…?」

律「いや、なんでもない。教室行こうぜ」



2年教室

ザーー

梓(長かった…もうこれでやっと苦しみから解放される…)

梓(そして唯先輩の未練も晴らされる…)

梓(見ていてください、唯先輩…!私うまく殺りますから…!)

ザーー

梓(今日は雨…か…)

ザーー



放課後

地学教室

律「…」

梓「あ、律先輩…」

律「なんだ…呼び出したのお前かよ…」

梓「え?私も呼び出されてここにきて…」

律「なんだ?梓もか?」

梓「…はい」


梓「でも誰なんでしょうね。私たちを呼んだ人って」

律「“用はすぐに終わります”って書いてあるから来たのに…遅すぎるだろ!」

梓「…」

梓「あ…そのポケットからはみ出してるの、手紙ですか?」

律「ああ…ってあれ?これ私のじゃないぞ。私のは…」

ゴソゴソ

律「ほら。これ」

梓「おかしいですね。私もほら。持ってます」

律「じ、じゃあなんなんだよこれ…」

梓「あ、開けてみましょうか…?」




『悪いのは 全部 けいおん部  みんな 嫌い 嫌い 嫌い  おねがい 私 と いっしょに』

律「な、なんだよこれ…気味悪いな…本当にお前じゃないのか…?」

梓「違いますよ…こんなことする理由もないですし…」

律「でもこの字どこかで見た事あるような…」

梓「…」

梓「あれ?その手紙まだ下に続きがあるみたいですよ?」

律「ほ、本当だ…」ピラ

『平沢 唯』




梓「て、手の込んだ悪戯ですね…」

律「悪戯じゃない…これは唯の字だ…」

梓「ま、まさか…」

律「間違いない…」

梓「ゆ、唯先輩の呪いとか言い出すんじゃ…」

律「あ、ありえないだろ……」ガクブル

梓「…」

梓「…うっ!うぅぅぅ…あぁぁ!」

律「おい!梓!?しっかりしろ!梓!おい!」

梓「く、苦しい…!あぁぁぁ!!ああああああ!!!」

律「ど、どうすれば…!ほ、保険の先生呼んでくる!」

梓「だ、大丈夫です…!だから…傍に…いてくだ…さい…」

律「あ、梓…わかった!」

たたた(梓に駆け寄る律)

梓「はぁ…はぁ…」

律「しっかりしろ…!梓!梓!」

梓「はぁ…はぁ…く……くくっ…………」

ざくっ

律「え…」ドクドク

梓「…」

梓(ビニール傘を開いてっと…)

ヌプッ…ブシュシュウウウ

律「ぅぁぁぁぁぁ…ぁぁぁぁ…」

梓「肺刺しましたから。もうあまり大きな声は出せませんよ」

律「あ…アズサ…おマエ…」

梓「唯先輩の敵です。おとなしく死んでください。」

律「ぁぁ…」ピヒューピヒュー


梓「実に滑稽ですね。唯先輩に見せてあげたかったです。」

律「あ…あず…」

梓「でもまだ肺だけです。まだ私の言うことをおとなしく聞けば助かるかも知れませんよ」

梓「まず、唯先輩に謝ってください。こころをこめて。お願いします」

律「ご、ごめんな…い…ゆ…い…ごめ…な…い…」

梓「…」

ざくっ ざくっ ざくっ



音楽室

梓「こんにちはー。あれ。まだムギ先輩だけですか?」

紬「澪ちゃんは隣の音楽準備室にいるわ。一人になりたいからって…」

梓「そうですか…」

梓(ヒ素って複数回服用しないと死なないんだね…知らなかったよ…)

紬「とりあえず、お茶でも飲む?」

梓(もうさっきと同じナイフで…きれいに拭いたし…)

紬「梓ちゃん…?」

梓「あ、はい…お願いします…」

梓「…」

紬「どう?梓ちゃん?」

梓「まずいです」

紬「えっ…?」

梓「おいしくないって言ったんです。殺人犯の入れたお茶なんて」

紬「な、何を言ってるの…?」


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