―――憂の部屋―――

ガチャ

フラフラッ……ドサッ

憂(やっぱり駄目……か。覚悟はしてたけど……やっぱり寂しいな)ズキッ

憂(お姉ちゃん……そうだよね、私あんなひどい事したんだもん……自分がやられて、慰めてもらおうなんて虫が良すぎるよね……)

憂(仲直りしたかったな……ううん、せめて面と向かって謝りたかったな……)

憂(望めるなら……もう一回……抱きしめて欲しかったな)ポロポロ

憂(憂は自慢の妹だよなんて言って、頭撫でてもらって……)ポロポロ

憂(なーんて、そんなの無理だよね……もう、疲れちゃった……)

憂(これ以上お姉ちゃんを傷付けたくないよ……梓ちゃんならお姉ちゃんを傷付けずに守ってくれるかな?)

憂(夢の中なら、お姉ちゃんと仲直りできるかな……?目が覚めない眠りなら……ずっとお姉ちゃんと一緒にいられるかな?)

憂「うっ……ヒック……お姉ちゃん……ごめんね……ごめんね……」ポロポロ



―――唯の部屋―――

梓『唯先輩……落ち着きましたか?』

唯「うん……ごめんね、あずにゃん」

梓『いえ。やっぱり憂は手を出してきたですか……』

唯「……」

梓『唯先輩、そこは危ないかもしれないです。私の家に来た方がいいんじゃないですか?』

唯「え?……今日は……いいよ。ご飯も用意してあるし……」

梓『……わかったです。くれぐれも気を付けるですよ?』

唯「うん……じゃあねあずにゃん…」

梓『はいです!また明日です!』

唯「憂……どうして……」ガチャッ

梓『ツー…ツー……チッ』


グゥー

唯「お腹減ったな……晩御飯食べよ。スプレーを持ってと……」

トントントントントン

唯「はぁ……おっ、今日の晩御飯は……オムライスだぁー!」

唯「私、ケチャップで字を書くの大好きなんだよね!」

唯「えへへ、何て書こうかn……」

唯「!!!!!!!!!!!!」


お姉ちゃん、ごめんなさい


唯「え……?これ……え……?」


―――
――――
――――――

憂『違うの!何かするつもりじゃないの!暫くこのままでいさせ』

唯『いやあぁぁああ!!』

唯(あ…あぁ…)


憂『……お姉ちゃん……開けてよ…グスッ……話を聞いてほしいの……抱き締めてほしいの……お姉ちゃぁん!』

唯『あ、あずにゃん!?憂が、憂がおかしいの!!』

唯(う……うぅ…う)


憂『違うの!お姉ちゃん…グスッ…話を聞いてほしいの!何もしない!!……何もしないからぁ……』ガチャガチャ

唯『ひっ!来ないで!!どっか行ってよ!!!』バンッ!

唯(そんな……憂は本当に…ただ…私に……)

――――――
――――
―――


唯(それなのに……私……私……)

唯「っ!!」ダダッ

ドタドタドタドタ

コンコン

唯「憂……入っていい?」

………

唯「憂、私も憂とお話がしたいの……駄目……かな?」

………

唯「ひどいことしちゃったよね……私も……許して……なんて……言えないよね……」グスッ

………オ……ネェ…チャン?

唯「憂?……入るね?」

唯「!!!!!!!」

憂「……」

唯「えっ…?嘘っ……何で……憂ぃぃ、嘘だよね?」

憂「オネェチャン……ゴメンネ…ゴメ…ン…ネ……モウ……ニドトシナイ……カラ……ユ……ル…シテ」ポロポロ

唯「やだっ……やだよ憂!あ…救急車呼ばないと!」

憂「……」

唯「やだっ……やだよ!憂……やだよおおぉぉおぉ!!」

唯「憂いいいいぃぃぃぃい!!」



―――病院――――

唯「せ、先生!憂は!憂は大丈夫なんですか!?」

医師「……まだ……予断を許さない状況です……覚悟だけはしておいてください……」

唯「そんな……っ!!」ダッ

看護師「あ!ちょっと平沢さん!」

唯「憂!!やだよ!!!私まだ謝ってないよ!!!」

看護師「落ち着いて!落ち着いてください!!」

唯「死んだりなんかしたら絶対許さないから!!一生……一生許さないから!!!」

医師「妹さんは絶対安静なんだ!静かにしなさい!!」

唯「離して!離してy」スパーン!

医師「妹さんはっ!今闘っているんだ!今だけじゃない!!この状態に追い込まれるまで色んな事と闘ってきたんだ!」

唯「っ……でも!!」

医師「君も……闘いなさい。妹さんは絶対安静なんだ。叫びたい気持ちもわかる、でも今は黙って無事を願うのが君の闘いだ、そうだろ?」

唯「……でも……でもぉ」

医師「何、安心しなさい。私は名医だからね。妹さんの命は今は私が守ってあげよう。そのかわり、無事退院したあとは君が守るんだ。わかったね?」

唯「……無理だよ……」

医師「……えっ?」

唯「だって!憂は私のせいでこんなになったんだもん!!私が……私が駄目なお姉ちゃんだから……」

唯「お料理もできないし、洗濯もできないし……勉強もスポーツも……朝だって起きれないし……」

唯「妹の……!憂の気持にも気づいてあげれなくて!!!!ひどいこといっぱい言って!!ひどい事…いっぱいして……」ポロポロ

医師「……君の妹さんだがね、手術中ずっと「お姉ちゃん」って言ってたよ。麻酔で眠っている時の夢にまで見るほど君の事が好きなんだろうね」

唯「……グスッ」

医師「どんなにひどい事したと思ってても、妹さんにしてみれば君は大好きなお姉ちゃんなんだ。」

唯「う…ん……」

医師「……自分が嫌いなら、自分と闘いなさい。お姉ちゃんには意地があるんだろう?」

唯「……私、頑張ります。駄目なお姉ちゃんだけど頑張ります。だから……憂の事、よろしくお願いします」

医師「うん、何たって私は名医だからね。君の妹さんは治してみせるよ。さ、今日はもう遅いから家に帰りなさい。」



―――憂の部屋―――

唯「憂……私って駄目なお姉ちゃんだよね……私って最低だよね……グスッ」

唯「うん?……机の上に紙がある……なになに?」

   「お姉ちゃんへ」

唯「私に……?なんだろ……見てもいい……かな?」





――――お姉ちゃんへ――――

私とお姉ちゃんは小さい時から一緒だったよね?覚えてるかな?

幼稚園に一緒に通ってた時、私がお姉ちゃんと一緒じゃなきゃ嫌だってご飯の時ぐずった事があったよね?
その時お姉ちゃんは嫌な顔一つせずに私のところに来てくれて一緒にご飯を食べてくれた

小学生の時、お姉ちゃんが卒業しちゃって私が寂しがってたら、お姉ちゃんは毎日私と一緒に手を繋いで登校してくれたよね
朝も少しゆっくりできるようになったのに「憂のためなら早起きなんてよゆーだよー」って笑ってくれた
とっても嬉しかったよ

中学生の時、私が家事をやり始めた頃、私はよく失敗してたよね
でもお姉ちゃんはどんな物作っても「憂のならなんでも美味しいよ」って言ってくれた
私が頑張れたのはお姉ちゃんのおかげだよ

お姉ちゃんが高校生になって軽音部に入って、とっても忙しそうだったよね
ギターも天才だとか言われてたけど、家で誰よりも練習してたの私は知ってる
お姉ちゃんのギターの音を聞くのが私の毎日の楽しみでもあったんだよ?知ってたかな?

お姉ちゃんはいっつもニコニコして色んな話をしてくれたよね
軽音部の人の話とか、学校であった事とか……
少し寂しかったけど、お姉ちゃんの話なら何でもおもしろかった

いつごろからだったかな……お姉ちゃんの話を聞いても素直に楽しいって思えなくなったのは
今までは二人だけの話題で話せてたのにって、ご飯の時は二人だけの時間だったのにって……
正直軽音部の皆さんには嫉妬してた

お姉ちゃんが誰かに取られちゃいそうで、私のお姉ちゃんじゃ無くなっちゃいそうで怖かった
不安だった、寂しかった
だから……ううん、こんなの言い訳だよね
私もどれだけお姉ちゃんが傷ついたかわかったから……謝っても許してもらえない位の事したってわかったから……

私はもう、お姉ちゃんのそばにはいられないよ……
でも、大丈夫。お姉ちゃんはやればできるって知ってるから
それに梓ちゃんもいるしね?
梓ちゃんならきっとお姉ちゃんの事傷付けたりなんてしないよ

最後に
お姉ちゃんのこと、傷付けちゃってごめんなさい
お姉ちゃんのこと好きになっちゃってごめんなさい
今もまだお姉ちゃんの事が好きでごめんなさい
お姉ちゃん、こんな妹でごめんなさい
大好きだよ
                             ―――憂―――





唯「……」ポロポロ


―――
――――
――――――

――小学生――

―浴室―

シャー

唯「んー、なかなか今日の心霊特集は怖かったかな?」

憂「お姉ちゃーん……一緒にお風呂入っていい……?」

唯「ん?憂?いいよー、おいでおいで」

憂「うん///ありがとお姉ちゃん」

唯「あははっ、怖い番組見てお風呂に入れなくなるなんて憂はかわいーねー」

憂「だって……怖いんだもん……」

唯「ごめんごめん。今日はお姉ちゃんが体とか洗ってあげるから許して?」

憂「うん!」

唯「髪さらさらだねー、いいなー」ワシャワシャ

憂「えへへ、ありがと///……あ、お姉ちゃん……今日一緒に寝ていい?」

唯「ん、憂は甘えんぼさんだなー。うりうりー」こちょこちょ

憂「ん…あはは、くすぐったいよお姉ちゃーん!!」

唯(結局あの後ずっと一緒にお風呂に入って、一緒に寝てたんだっけ……)



――中学生――

憂「よ……っと。」ポーン

唯「おぉー!すごいね憂!!天才だよ!!!」

憂「えっ///そうかな?///ホットケーキすぐできるから待っててね!」

唯「うん!楽しみだなー」

憂「お姉ちゃんもいっぱいお手伝いしてくれたもんね!」

唯「えへへ///」

憂「お姉ちゃんもやってみる?案外簡単だよー?」

唯「おおー!やるやる!!」

憂「かるーく上にポーンって感じであげるんだよ」

唯「んっと…そいや!!」ポン

  ベシャッ

憂・唯「……」


――――――――――
唯「グスッ……せっかく憂が作ってくれてたのに……ごめんね……」

憂「お姉ちゃん!大丈夫だよ!!ほらほら、出来てるのが冷めないうちにたべようよ!」

唯「うん……」

憂「パクッ……ん、お姉ちゃんが作ってくれた生地とっても美味しいよ。ほら、あーんしてお姉ちゃん、あーん。」

唯「あーん……パクッ。美味い!!」

憂「良かったね、お姉ちゃん。」

唯「うん!憂の焼き方もとっても上手だよ!!」

憂「ふふっ。あ、お姉ちゃん……」

唯「なーに?」ムグムグ

憂「私にもあーんして欲しいな///なんて……」

唯「お安い御用だよ!!ほら、あーん」

唯(そうだ、憂は甘えんぼさんなのに、私ったら……)グスッ




――高校生――

唯「それでねー、りっちゃんてばねー」

唯「その時みおちゃんがねー」

憂「あ……今日はお姉ちゃんの好きなカレーだよ……?もういらないの……?」

唯「今日はムギちゃんのお菓子沢山たべたからお腹減ってないんだー!むぎちゃんのお菓子はいっつもおいしくてー……」

憂「……そっか、良かったねお姉ちゃん!ムギさんにちゃんと感謝しなきゃ駄目だよ?」

唯「うん!あ、私ギターの練習するから先お風呂入っててね!ごちそーさまでしたー!」

憂「……うん、頑張ってね!」

唯(私……高校になって上手くやってるって教えたくて……ううん、言い訳だね。最低だなー、私)ポロポロ

――――――
――――
―――


唯(私……憂……このまま……お別れなんて……絶対嫌だよぉ)

唯(憂……ごめんね。大事な人がいなくなるのって本当に怖いんだね。私、今初めて憂の気持がわかったよ……)

唯「うっ…ひっく……うぐっ……」ボロボロ

プルルルル……プルルルル…

唯「……ん?……あずにゃんからだ」ズズッ

ピッ

唯「……どうしたの?」

梓『唯先輩……泣いてたんですか?』

唯「えっ?う、うん少しね」

梓『……憂ですか?』

唯「えっ……?あっ……ちがっ」

梓『隠さなくてもいいです。明日憂と話をするです。唯先輩は何も気にしなくていいです。』

唯「あずにゃん!ちがっ…ブツン」ツーツー

唯(このままじゃ、憂とあずにゃんは仲良くできないよ……憂、あずにゃんに嫌われたらきっと悲しむよね)

唯(でも……どうしよう……憂は……グスッ……あの状態だし……どうしよおおおぉぉぉお)ポロポロ



――3日後――

唯(結局3日も引き伸ばしてしまった……私ってだめだめだなぁ……)

ヴー…ヴー

唯「憂の携帯に着信……?純ちゃんからだ……出なきゃ変だよね……」

唯「もしもし?」

純『ういー?3日もさぼって何やってんの?風邪でもひいた?』

唯「う、ううん!大丈夫だよ!!明日は行けそうだよ!!」

純『おおー、本当に?待ってるよん』

唯「う、うん」(ああああああ!!どうしよう!!!どうしよおおおおお!!!)

純『憂……私は憂の味方だからね?いつでも頼っていいんだよ?』

唯「え……?う、うん」

純『じゃね!楽しみにしてるよ!!』

唯(純ちゃん……あんなに心配してくれるなんていい子だなぁ)

ヴー…ヴー

唯「また?……あずにゃんからだ」

唯「もしもし?」

梓『憂?何やってるの?早く学校来なよ』

唯「う、うん。ごめんねあず……さちゃん」

梓『明日は絶対来てくれなきゃ、い や だ よ ?』

唯「うん、明日は……行くよ。」

梓『ふふっ、楽しみにしてるね?ふふふ』

唯「うん、じゃ明日学校でね」

唯(……よし。私が憂に変装して誤解を解こう。それで、憂が帰ってきたらもう一度話しをして謝ろう……それで……)

唯(変わるんだ、私。立派な憂のお姉ちゃんになってやるんだ。それで……それで……zzz)スピー



――次の日――

唯「うん、完璧!どっからどう見ても憂にしか見えないよ!」

唯「おっぱいにはちょっと物詰めたけど……さて、今日は放課後にあずにゃんとお話だったね」

唯「憂の代わりに授業受けるのもなあ……でも去年やったんだし、わかるよね?よし、お見舞いに行ってから行こう。ちょうどいい時間になるはず」



――病院――

唯「そうですか……憂はまだ起きないですか……グスッ」

医師「うん、でも多分大丈夫だよ」

唯「名医だから……ですか?」

医師「ああ、この僕に任せたまえ。ところで、君は制服を着てどこに行くんだい?」

唯「妹の代わりに学校に行くんです。憂の友達が心配してるみたいで……」

医師「なるほど、あまり褒められる事じゃあないが、常識破りは大好きなんだ」

唯「えへへ、じゃ、行ってきまーす」タッタッタッタッタ


4