みなさんこんにちは。平沢憂です。

最近、超能力を手に入れちゃいました。

見ただけで相手を性的快感を与えられる力です。

目覚めたのはつい最近。
確か、授業中だった。数学の先生が、梓ちゃんを指名した。
梓ちゃんは答えることができなくて、そうしたら梓ちゃんを叱り始めました。

「なんでこんなのもできないんだ」

「ちゃんと復習してないからだ」

…なにもそんなに言わなくていいのに。

挙げ句の果てに言ったのは。

「部活なんかにかまけてないでもっと真面目に勉強しろ」

…私までイヤな気分になりました。
だって、まるでお姉ちゃんがいる軽音部を否定されているような気がしたから。

梓ちゃんは顔を赤くしていて、少しだけ泣いていた。

…許さない。

私は殺気を込めて睨んだ。当たり前だけど、教師に何かできるわけない。

私は念じた。奴が、恥をかけばいい。

梓ちゃんを辱めたぶん、私も辱めてやりたい。
でも、奴がどうなれば恥をかく?二度と、教壇に立てないくらい、完膚無きまでに…。

あ、そうだ。卑猥な目に遭えばいいんだ。

私はイメージした。恥ずかしいイメージ。

奴がみんなの前で射精する感じの。しかも、声を出さずにはいられないくらいの快感。

奴はプライドの高い教師だ。京大出身だかなんだか知らないけど、私は奴を辱めてやりたい。
だから、きっとそんな目に遭えば…ざまあ。

するとどうだろう。

「……うっ…うう…」

唸り声が聞こえ始めたのだ。
私はイメージ、というか奴が卑猥な目に遭う妄想を目を閉じてしていて、奴の方を見た。

板書の途中だったのか…数式が中途半端な状態で、奴はというと向こうを向いて動かない。

…まさか。

汗だらだら、向こうを向いていてもわかるくらい火照っている肌。

私は驚かずにはいられない。ここまで妄想通りだったからだ。

…私のイメージではこの後、膝をがくがくさせて、喘ぎながら射精してもたれ、生徒が駆けつけてバレるというシナリオだ。

…さて。

結果は予想通り…いや、予想以上だった。
そのまま膝をがくがくさせて、おそらく奴はイった。証拠として喘いでいた。

しかし苦しむにしては快楽的な笑顔で、はっきり言って気持ち悪い。

予想以上だったのは、生徒は駆けつけなかった。
心配したクラスメートのうち、委員長だった人が違うクラスの教師を緊急で呼びに行ったのだ。

人の行動までどうこうする力ではないのだ。

人に快感を与える限定。


後日。例の教師は自主的に辞職したらしい。私はその一報を聞いて大喜びだった。

「じゃあね憂、また明日」

「あ、うん。バイバイ」

梓ちゃんと純ちゃんにさよならして帰路につく。

私の超能力は誰も知らない。教えていない。
まだまだ力は中途半端です。今日は帰りながら練習です。

道行く中学生。恋人連れ。
私はその中学生が射精するイメージをした。すると…

「…あっ、うっ…」

「え…どうしたの」

「あ…っ、なんでも…ああっ」

まあ、難なく予想通りになる。

この超能力、あまり使い勝手がよくない。辱め以外に何もいい報酬がないのだ。

…報酬。あ、そうだ。

私は帰って直ぐにチラシを作った。

『現役女子高生の声で気持ちよくなりたくありませんか?気になったら、ここまで連絡を→080-####-****』

現金前払いで銀行振込制。そして会員制。

携帯を新しく買い、さあ平沢ボイスプレイクラブの開店です。


駅前に一枚だけ貼っといたからあまり人目に付かないらしい。

それでめ電話がかかってきた。酔っ払いだった。お金を振り込んでくれるんでしょうか。
まぁ、実験台ということで。

『なに?君、テレクラ?出会い系?』

「出会い系でもなんでもないよー」

『気持ちよくなりたくありませんか、ってなんなの?』

「…気持ちよくなりたくありませんか?」

『君可愛い声だね。会おうよ今度』

「…会わないで気持ちよくなれちゃいますよ」

『はぁ?ならほら、やってみろよ。気持ちよくなりたいよオジサンは』

「じゃあパンツを脱いでください」

『はいよ』

「脱ぎましたか?」

『おう…って、あれ…たってる』

私はイメージする。ほれ、イけ。

『ああああああっ……!?』

性交…じゃなかった、成功です。
電話は直ぐに切られました。イかせ損です。
まぁいいや。


そんなこんなで開店から一週間、お金も入ってくるようになりました。
口コミで存在は知られるようになり、1日に50人の人と相手をしています。

最近はサービスで、私も矯声を出して疑似セックスをしています。

ある日。いつものように、電話に出ました。

『…あの…』

あれ…この声は。

『…私…』

…答えることができない。なぜなら、この声はよく知っている人だったから。

私は部屋を出て、隣の部屋のドアに耳をつける。

『…聞いてる?はやく…』

…お姉ちゃんです。お姉ちゃんからの電話でした。

『ねえ、聞いてるの…早く、気持ちよくなりたいよぉ…』

開いた口がふさがらない。なんで、お姉ちゃんが…。

「…え゛っど…」

私はガラガラ声にして、私ではないふりをしました。まさか妹が風俗を営業してるだなんて、気付かれたくない。

『気持ちよく、して…女相手はだめだった?』

「い゛い゛でずよ。では、パンツをぬ゛いでぐだざい」

『は、はい……』

私はイメージする。…お姉ちゃんが気持ちよくなる姿を。
…あれ。私までなんか…ムラムラしてきてるし。

『ああっ……ほ、本当だぁ…あっ、はっ…』

お姉ちゃんの喘ぎ声です。まさか…こんな形で聞けるだなんて。

「…はぁ、はぁ、はぁ……」

私は知らず知らずのうちに発情していた。愛する姉が、受話器の向こう側で気持ちよくなっているんだ。


私はイメージする。
お姉ちゃんの胸が、胸の先端が指でいじられる姿。
お姉ちゃんのあそこが、秘蜜で溢れる姿。
お姉ちゃんがイってしまう姿。
私が想像すればするほど、お姉ちゃんは息をあらげていく。

『ひゃあぁぁあん…ああああ、ああ…』

知らず知らずのうちに私も発情していた。
知らず知らずのうちに手が伸びていた。

「はぁ、はぁ、はぁぁ…あああっっ」

『ひゃあ、ふぅ、い、イっちゃいますぅん……』

私はイメージする。
今までフィニッシュは、向こうが勝手にイっている姿だった。
真っ白な寂しさを私が声で受け止める、ただそれだけだった。

でも今回はちがった。この力を、自分にも使ったのだ。

姉と私が、ともに果てる姿を妄想した。


『ひゃあああああああ~っ!!』

「んんんんんっ……!!!」

どっと疲れる。受話器の向こう側でも、激しい呼吸がしていた。

『…本当だったんだぁ…今日、友達に教えてもらったんですよ。“声で気持ちよくなれる天使”の話』

…なんだそれ。噂は羽までついてそんな風になっているんだ。

『あ……お金、振り込まなきゃ…』

「…え、前払いですよ」

今月は沢山の相手をしたから、よく確認できていなかった。

『…また、かけてもいいですか…ちゃんと払うから…』

「……」

私は何を言おうとしているんだろう。今から言うことは、営業とは無関係だ。
むしろ、営業外どころではない。

「…お金はいいです…」

『…え?』

「……あなたなら、いくらでもお相手します」

お客様は沢山います。

『すまない、必ず支払うから一分で抜いてくれ。このままじゃ仕事にならん』

なにやらサラリーマンのおじさんから。

『はぁはぁ、天使たんの声気持ちいいお…っ』

ヒッキーのおじさんまで。あ、ちなみに天使とは私のことだそうです。
天使と言うならば堕天使ですけどね。

『本当、不思議だねー。ねぇ、今度会わない?』

よく誘われます。無論無視。

そして。

『…また、かけちゃった』


「こんにちは」

『えへへ。天使ちゃんに電話するとわくわくしちゃって』

お姉ちゃんです。お姉ちゃんは、週一でかけてきます。

『でも、本当にいいの?私だけなんでしょ?無料で…』

「いいんですよ。女性のお客様はあまりいないですから」

『そっか…』

『でも似てるなー』

「何にですか?」

『うんとね…妹の声によく似てるんだ、天使ちゃんの声』

え…。バレてる…?

『…ね、もうしてほしいな…』

「…あ、はい…」

バレてるのか。まさか…でも、ね。
バレてるなら流石に日常生活でお姉ちゃんはおかしな態度になるはずだ。

今日もまた、空想のベッドで姉と戯れるのだった。

『はぁー気持ちよかったー』

「お疲れ様でした」

『ね……天使ちゃんて何者なの?』

…妹だよ。だとは死んでも言えなそうだ。

「…普通の女子高生ですよ」

『いいなー…不思議な力があるんだね』

「いえ…社会福祉だと思ってくだされば」

なぜか普通に会話していた。

『ねぇ、天使ちゃん…お友達になってほしいな』

…はい?

「おはよー、ういー」

「おはよう」

朝、普通に何食わぬ顔でまたお姉ちゃんと会話する。
夜の仕事以外は普通に家事をこなし、勉学に励む毎日だ。

「えへへ…憂、聞いて。不思議な友達ができたの」

…私じゃん。

そんなこんなで、今日もお姉ちゃんと登校。
学校に着き、自分の席に着く。
あれ、携帯に着信が入ってる。誰から?いつもの常連さん?

私はトイレに行き、電話をかけなおす。

『えへへ…かけてみたよ』

…お姉ちゃん。何してるの。

「私、学校があるので…」

『あ、そうなのー?うちもね…』

――――キーンコーン…

予鈴がなった。
まずい。まずいことになった。授業開始がまずいのではない。

『あれ?チャイム、同じ時間に鳴るんだね…』

「っ…」

私は電話を切った。

まずい。
お姉ちゃんがもし、私と同じ時間に予鈴がなったと言えば。
お姉ちゃんなら多分気づかないだろう。でもそれを聞いた誰かが噂にすれば…

“電話の天使が桜高生”

バレてしまう。

チャイムの時間がかぶる学校なんて、全国探せばいくらでもあるだろう。
でも私は最初のビラを、地元に貼ったわけで。

…まずいんじゃないのかな、これ。

私だとはバレないだろう。
でも、変態が確実にうちの高校に群がる気がする。
最悪、事件になるかもしれない。

ああ…バカだ。お姉ちゃんと友達になる、だなんて…。嬉しかったんだけども。

昼休み、私から今度はかける。相手はもちろん、お姉ちゃんだ。

「もしもし…」

『あ……ちょ、ちょっと待って…今誰もいないとこに行くから…』

この口振りだと、お姉ちゃんは私の性サービスを受けているとは誰にも言っていないようだ。

ちなみに私は会議室にいる。
今の時間、誰も使わないのでよくここを利用して昼のお客様の相手している。

『あ…そうだ、会議室に行けば誰もいないや…』

…え?

私は走って会議室を逃げ出した。流石、姉妹だ。同じ発想をしちゃうもんだね。

私は屋上に出て、息を整えた。

『はい、いいよ…どうしたの、天使ちゃん』

「…今朝のことなんですが。同じ時間にチャイムがなった件…」

『天使ちゃんって、桜高生だったんだね!』

…バレてる。

否定しなくちゃ、そう思った。
でも…お姉ちゃんに嘘をつこうという気にはどうしてもなれなかった。

「…誰にも、言っちゃいけないですよ」

『うん!わかったよ、絶対言わないよ』

…ちょっと心配だ。

『あ…ねぇ、今プレイしてもらえる?』

何を言ってるんだお姉ちゃんは。

「今はダメです…あなただって会議室でイったら大変でしょう?後始末が」

『えへへ…病み付きなんだもん』

奇妙な関係は続いた。
毎日の沢山のおじさんの相手と、週一の唯一の女性の相手。

毎週金曜日の夜、必ずお姉ちゃんからかかってくる。

『今日ね、部活の時間に天使ちゃんの話題で盛り上がってねー。
あ、もちろん内緒にしてあるよ?』

「へぇ…」

『りっちゃ…友達がなんか都市伝説だーって言ってて。伝説じゃないのにね!
それ聞いた友達がね、やたら興味もって聞いてたよ』

…だいたい、予想がつく光景だ。

『もしかしたら、誰かかけたりして!」

律さんあたりふざけてかけてきそうだ。
たまに、イタ電はくる。
そいつらも無条件でイかせて黙らせるだけだ。
紬さんあたりもかけてきそう…常連さんになったりして、ね。


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