澪「なんだよ律、唯には内緒で四人で部室に集合だなんて……」

律「おぅ、澪に梓……やっぱり二人一緒に来たか」

梓「な、なんですかそれ……一緒に来ちゃまずかったですか?」

紬「まぁまぁ、とにかく澪ちゃんも梓ちゃんも座って?」

律「今日、唯に内緒で集まってもらったのは、澪と梓、お前らのことだ」

紬「……二人は付き合ってるのよね?」

澪梓「「!!」」

律「やっぱりそうか……最近やたら仲いいからなー」

梓「……部活中は自然にしてたつもりなんですけど……わかっちゃいましたか……」

澪「お、おい梓!」

梓「もう隠してもしょうがないですよ。それに、あの事もはっきりさせましょうよ」

紬「あの事……?」

澪「……そうだな……なら言わせて貰うけど、律、ムギ、そういうお前達も付き合ってるよな?」

律「!!」

紬「ほら、りっちゃん。澪ちゃん達は多分気づいてるって言ったでしょ?」

梓「やっぱり付き合ってるんですね?」

律「あぁ……2ヶ月ぐらい前からな。お前らは?」

梓「私達は3ヶ月程前からです」

紬「ごめんね?内緒にしてて……」

澪「ああいいよ。それはお互い様だからな」

梓「で、律先輩。唯先輩抜きで集まったということは……」

律「うん。今の軽音部の恋愛事情についてだ」

澪「部内でカップルが二組出来て、唯が一人になっちゃってるって事か?」

律「いや、私とムギは特に問題ないだろ。最初に言ったとおり澪と梓、お前らの事だ」

紬「唯ちゃんは梓ちゃんのことが好きでしょ?だから二人の関係を唯ちゃんが知っちゃったら……」

梓「ちょ、ちょっと待って下さい!」

澪「うん。私と梓の意見は違うぞ。唯は多分、ムギのことが好きだ」

紬「えぇっ!?」

梓「私と澪先輩でよく話してたんです。律先輩とムギ先輩が付き合ってることを

  もし唯先輩が知ったら……って」

律「いやいや、どう考えても唯は梓狙いだろー。いっつも抱きついたりしてるじゃん」

梓「あれはただ私が一番ちっちゃくて抱きつきやすいから引っ付いてきてるだけですよ」

澪「うん。唯はしょっちゅうムギのこと見てるぞ」

紬「そんな……わ、私、どうしよう……」

律「うーん……この際、唯が誰のこと好きなのかは置いとこう!」

紬「そ、そうね。実は今日集まったのはね?澪ちゃんと梓ちゃんが付き合ってる事を

  唯ちゃんに話したほうがいいんじゃないかって思って……」

澪梓「「えぇっ!?」」

律「私とムギは絶対に唯が好きなのは梓だと思ってたからな。唯の奴は恋愛沙汰には疎いけど

  最近の澪と梓のいちゃつきっぷりを見てたらいつかは気づいちゃうだろ。

  そしたらあいつすごいショックを受けると思うんだよ」

紬「それなら先に報告して、ちゃんとお話した方がいいんじゃないかって思って……」

澪「で、でも、私と梓の予想だと唯が好きなのはムギだぞ?ならお前達も……」

律「………そうだな………こうなったら二組まとめて報告するか?」

梓「で、でもそれって唯先輩にとってショックが大き過ぎませんか……?」

澪「唯の好きな人が梓にしろムギにしろ唯は結局、失恋しちゃうわけだしな……

  そこに加えて軽音部員が自分以外全員カップルになってるなんて知ったら……」

律「………あいつ、部活辞めちゃうかもな………」

紬「そ、そんな!そんなの絶対ダメよ!!やっぱりこの事は内緒に……!」

律「内緒にしてて後でバレた時のほうがキツイだろ。例えば唯が梓かムギに告白とかして……

  その時にこの事実を知っちまったら……」

梓「もしかしたら……じ、自殺とか………」

澪「バ、バカ!めったなこと言うなよ!ゆ、唯がそんな事するわけ……」

紬「そ、そうよ!そんな話やめてっ!!」

律「………まあ、とにかく。私としては私達二組のことを

  ちゃんと唯に報告するべきだと思う。みんなはどうだ?」

梓「………そうですね。早いほうがいいのかもしれません」

紬「で、でも……それで唯ちゃんが退部しちゃったら……」

律「そこはみんなで説得すれば大丈夫だろ」

澪「簡単にいうけど律……自分の好きな人が他の人といちゃついてる所にずっと一緒に居れるか?

  私なら耐えられない。唯に部活に残るように強要するのはあまりにも酷だと思う」

梓「………そうですね………唯先輩が『もう軽音部には居られない』って言うなら……

  それは仕方が無いのかもしれません………」

紬「そ、そんな……!私、唯ちゃんのことが好きよ?その……りっちゃんに対する

  気持ちとは違うけど、大切なお友達だもの!」

律「それはみんな同じだよムギ……」

澪「あぁ……私もだよ。唯には絶対辞めて欲しくないしずっと友達でいたい。けど……」

梓「………………」

律「……よし、明日だ。明日、唯に全部話そう。その結果どうなっても……覚悟はいいな?」

澪「………あぁ」

梓「………はい」

紬「………わかったわ」グスッ



 ———翌日———



唯「やっほーみんなー♪あ、私が最後か〜。遅くなってゴメンねー♪」

律「唯。今日はお前に大事な話があるんだ」

唯「ほぇ?どうしたのりっちゃん?真剣な顔して似合わないよ〜♪」

紬「………唯ちゃん。お茶淹れるから、とにかく座って?」

澪「………………」

梓「………真面目な話なんです。座ってください、唯先輩」

唯「?……はーい……」


 _________



律「———と、いうわけで私はムギと、澪は梓とそれぞれ付き合ってるんだ」

唯「………………」

梓「……すいません、今まで内緒にしてて……」

紬「………唯ちゃん………」

澪「ゴメンな、唯……びっくりしたよな……」

唯「う、うん……そりゃあびっくりしたよ……み、みんな女の子が好きだったんだ………」

律「………へ?」

唯「あ、でも大丈夫だよ!みんながどーせいあいしゃでも、私はずっと友達だよ!

  みんなの恋を応援する!!」フンス!

紬「ゆ、唯ちゃん?」

唯「うーん……みんなが話してくれたんなら、私も内緒にしてちゃ悪いよね………

  実は私も彼氏がいます!!」

梓「か、彼っ……!?」

唯「えへへ……実はもう一年以上前なんだけどね?一年生の時の学園祭ライブに中学の時の

  同級生が見に来てまして……その時に告白されて付き合ってます!『ホントは中学の時に

  告白したかったんだけど勇気がなくて……』なーんて言われちゃって♪……でへへ」

澪「おま、彼?い、一年の時!?な、なんで今まで黙ってたんだよ!」

唯「だって恥ずかしかったし………それにみんなだって付き合ってる事

  今日まで内緒にしてたんだからお相子じゃん!」ブーブー

澪「そ、それはそうだけど………」

唯「そっかー……みんなが付き合ってるとは………………あのね?怒らないで聞いて欲しいんだけど

  ……みんな先の事、真剣に考えてお付き合いしてるのかなぁ?」

律「さ、先の事?」

唯「うん。みんなの恋を応援するとは言ったけど……やっぱり、女の子同士って色々大変だと思うんだぁ。

  日本じゃ法律上結婚もできないし……世間の目もやっぱりまだまだ厳しいと思うの」

梓「そ、それは………」

唯「それに、りっちゃん以外の三人は一人っ子でしょ?やっぱり、ちゃんと男の人と結婚して

  子供を産んで、お父さんとお母さんに孫の顔を見せてあげるのが親孝行だと思うし」

紬「そ、そうよね………」

唯「女子校にいると女の子同士の恋愛もあるって聞くけど………周りに男子がいないから

  擬似恋愛的にそういう関係になるとか………あっ!ゴ、ゴメンね!?みんながそうだって

  言ってるんじゃないよ!?」アタフタ

澪「あ、あぁ……わかってるよ………」

唯「みんなが真剣にお付き合いしてるなら、私も真剣に応援するからっ!!」フンス!

梓「は、はい……ありがとうございます……」

唯「だから私の恋も応援してね♪」

律「あ、ああ、もちろん……ははっ……」

唯「……えーっと、それで早速なんですが……実は今日、彼氏の誕生日でして……

  部活終わったら出来るだけ早く彼の家に行く、って約束をしておりまして……

  その、今日はもう、帰ってもいいかなぁ……?」

律「あ、あぁ!」

梓「い、いいんじゃないでしょうか?」

澪「か、彼氏によろしくな!」

紬「よ、よかったら、このケーキ持っていって?」

唯「わーい!ありがとうムギちゃん!みんなもゴメンね?明日はちゃんと練習するから!」バタン!


律「………………」

紬「………………」

澪「………………」

梓「………………」


律「よ、よかったな」

梓「………なにがですか?」

律「いや、ほら、唯が部活辞めちゃうかもって言ってたじゃん?そんな心配なくて……」

澪「………そうだな………」

紬「………私、今すっごく恥ずかしいんだけど………」

梓「………言わないで下さい。みんなそうですよ………」


律「………今日はもう帰るか………」


澪「………ああ………」





おわり