梓「貰いにってどこに?」

憂「スーパーだけど」

純「ついてくのはいいけど手伝うことなんてないでしょ」

憂「3箱くらいほしいから」

梓「3箱ってビニール袋1つに収まるよね?」

憂「ちがうちがう」

憂「ダンボール3箱だよ」

梓「え゛っそんなに!?」

憂「そうだよー」

純「ていうか冷凍庫に入らないんじゃない?」

憂「大丈夫だよ。さっいこ?」

梓「えぇぇ」

純「ねえ梓、最近の憂ちょっとおかしくない?」

梓「うん……」


スーパー


憂「こっちこっち」コソコソ

梓「ちょ、ちょっと憂? そっちは業務員専用の……」

憂「シッ、静かに。あと3分で手薄になるから」

純「あ、これまずいやつだ。梓、撤収」

梓「う、うん!」

憂「え? あっ! 放してー!」

純「……で、何であんな窃盗みたいなことしようとしたの?」

憂「それは……アイスが必要だったから」

梓「あんなにいっぱい必要ないでしょ。ていうか買いなよ」

憂「毎回あれだけの量を買うなんてできなくて……」

純「そもそもあんなにいっぱいのアイス買ってどうするのよ」

憂「そ、それは……」

梓純「それは?」

憂「お姉ちゃんが欲しがってるから――」


平沢家


梓「唯先輩!!!!」

唯「うひあっ!?」

梓「一体どういうつもりなんですか!!?」

唯「あ、あの……何が?」

梓「何がじゃありませんよ! 憂にアイス3箱も要求するなんて!!」

唯「え、そんなに要求してないよ? 憂がスーパーに行くって言うからじゃあアイス買ってきてほしいなって言っただけで」

唯「もしかして3箱も買ってきてくれたの!? 憂ふとっぱら~♪」

梓「ダンボール3箱も買えるわけないでしょ!?」

唯「ダンボール3箱!?」

憂「あのっ、違うの!」

憂「お姉ちゃんに頼まれてダンボール3箱のアイスを用意してるわけじゃなくて……」

純「憂、正直に言ってみて」

憂「……わかった。段ボール3箱のアイスはそれぞれ別の次元にいるお姉ちゃんにあげるために用意したいの」

梓純唯「……?」

梓「うん、なに?」

憂「言ってもわからないと思うけど、ここは”成功した世界”なの」

純「へあ? 何に?」

憂「”ウォーカー”達を生み出さなかった世界。だから成功した世界」

梓「唯先輩、憂は昨日からこんなでしたか?」

唯「そんなことないと思う……」

憂「もぉ~! 絶対こうなるってわかってたから言わなかったのに!」

純「その前に窃盗団を結成した時点でこうなるから」

唯「それでウォーカーってなに?」

梓「え!? 続けるんですか!?」

唯「とりあえず聞いてみようよ」

憂「ありがとうお姉ちゃん。ウォーカーっていうのは……病気に感染した人、かな?」

梓「……それで別の次元で病気になった唯先輩にアイスをあげるために窃盗を?」

憂「うん。でもただの病気じゃなくてね、それに感染すると死んだ後に動き出して他の人を襲うようになるの」

梓純唯「……へ?」

憂「言ってしまえばゾンビみたいになるの。でもアイスを与えると不思議と凶暴性がなりを潜めるの。だから……」

唯「待って憂。あずにゃんも純ちゃんも顔がアレになってるよ」

憂「うぅ……」

梓「……はっ。えっとつまり、別次元の唯先輩にアイスが必要なんだね」

憂「そうなの」

純「梓……あんたすごいね」

唯「別次元の私ってゾンビになってるんだ……」

憂「うん。15の次元のうち11の次元でお姉ちゃんはウォーカーに……」

梓純「15!?」

唯「私そんなにゾンビになってるの!?」

憂「うん……」

純「ちょ、ちょーっと待って! 何でそんな、15の次元を憂が行き来してんの?」

憂「それはね、ウォーカーが生まれない世界を作ろうとして、14回失敗したから……」

梓「もう何が何やら……あ、唯先輩大丈夫ですか? 頭が」

唯「その言い方やだけど大丈夫だよ。話半分で聞いてるから」

梓「なるほど」

憂「あのね、一番最初の次元で世界中にそのウイルスの様な物が広がっていって、お姉ちゃんやみんなも感染して」

憂「感染して発症したお姉ちゃんに私襲われたの」

唯「えっ……ごめんね憂」

憂「ううん、大丈夫」

純「大丈夫じゃあないな」

憂「そんな危機的状況で思い出したの」

梓「何を?」

憂「私に秘められた事象、とでも言えばいいのかな」

純「ふーん」

憂「それからの私はウォーカーのいない世界で再び平和に暮らすために新しい次元へ向かったの」

純「どうやって――」

梓「ちょっと純!」

純「あん?」

梓「これ以上ややこしくしないでおこうよ」

純「……それもそうか」

憂「けど別の次元でもゾンビ化は必ず起こってて……原因を排除しなきゃいつまでたっても同じだって気が付いたの」

梓「はい」

憂「それに気付いたのが5次元目で」

純「なんか授業みたい」

梓「しっ」

憂「それから9回は原因を突き止めるために動いたり私がやられちゃったりして、やっと原因を潰したのがこの次元なんだよ」

純「はい」

憂「この次元でお姉ちゃんと平和に暮らせるのは嬉しいんだけど、私のせいでああなってしまったお姉ちゃんたちを放っておけなくて……」

憂「だからお姉ちゃんたちにアイスが必要だったの!」

梓純「はい」

憂「何とかしてアイスを……」

梓「(よくわからないけど)かといって窃盗はダメでしょ」

純「次元超えられるのにアイスを揃えられんのか」

憂「それは……私よりも大きな存在があって、今の私でも出来ない事もあって……」

梓「そもそもなんで憂にそんなことができるの?」

純「えっ聞くの?」

梓「気になっちゃって……」

憂「その説明をするには……うーん……」

純「なに、また別次元の話?」

憂「次元っていうか、世界っていうか、理そのものが違う……そう、私にとって紀元前のお話なんだけど」

梓純「はい」

憂「その世界ではとある……ウイルスでいいかな。ウイルスが蔓延して世界の女性の殆どが変化したの」

梓「変化?」

憂「そう。女の子にアレがついちゃうの」

純「あれってち○こ? ぷふっ」

梓「なっ何言ってんのよ!」

憂「そうだよ」

梓「あおお……」ブルブル

憂「そこで……う。やっぱりこの話はやめにしよう?」

梓「……うん」

純「……」

憂「とにかく、お姉ちゃんの為にアイスが必要で――」

唯「まったく、憂ってば……困った時はお姉ちゃんが助けてあげるって言ったでしょ?」

憂「え……? それって……えっまさか!?」

唯「憂が昔話するから思い出しちゃった」

憂「あ……お……おねいちゃんッ!!!」がばっ

唯「おっと。はは、相変わらず甘えんぼさんだなぁ」

憂「おねいちゃん……おねいちゃぁん!!」

唯「よしよし」

梓純「Д……」

唯「どれどれ……んー確かに15個あるね」

憂「うん……時間を戻そうと思ったらこうなってて」

唯「他の世界には悪いけど一つにまとめちゃおうか」

憂「えっ!?」

唯「えいっ」

憂「あ……!」

唯「これで一件落着かな?」

憂「ありがとうお姉ちゃん!」

梓純「は……?」

唯「さてと……それじゃあ」

憂「やっぱり私の記憶消しちゃうの?」

唯「そりゃあね。私もあずにゃんも純ちゃんも消すから大丈夫だよ」

憂「でも……」

唯「ふふ、私はどんな時でも憂の妹だよ! あっでも泥棒はだめだからね」

憂「うん……うんっ!」

唯「という訳であずにゃん達の記憶もちょこっと消していいかな? ダメって言われてもやっちゃうけどね」

梓「はあ……」

純「ふうん……」

唯「あはは、二人とも画面の前のキミみたいな顔になってるよ」

唯「それじゃいくよー。憂、これからもよろしくね!」

憂「うんっ!」




憂「梓ちゃーん純ちゃーんアイス買いに行くから手伝って?」

純「ついてくのはいいけど手伝うことなんてないでしょ」

憂「あれ……そうだよね」

梓「憂?」

憂「あれ? あれ?」

唯「おっちょこちょいだなー憂はー」

憂「おかしいなぁ……」

梓「あれ? 唯先輩いつの間にここに?」

唯「……あれ? 何で私ここにいるんだろう? と思ったらここ私の家じゃん」

梓「あ、本当だ」

純「なんで私達憂の家にきたんだっけ?」

唯憂梓純「……?」

唯「そんなことよりアイス食べたくなっちゃった」

憂「ごめん、買ってないや」

唯「それじゃみんなで食べに行かない?」

純「いいですねそれ!」

憂「うんっ」

梓「いきましょうか」

唯「よーしアイス食べにいこー!」

憂梓純「わーい!」



END