和「最近お風呂に入れてないわね……」





わりと最近。それはもう、まずしい、二人の女がおった。
お風呂なんてめったに入れないから、体中垢だらけだった。
ある日、和ちゃんが言いました。


和「ごめんね唯。私の家の借金を唯が肩代わりしたせいで」

唯「いいんだよ和ちゃん。私達二人で生きていこうって決めたじゃん。
  それに和ちゃんが貧乏なのは幼稚園の頃から知ってたよ」

和「それはそれでショックだわ」

和「それに私達は女同士……子供だってできないわ」

唯「それは……」

和「だからね、久しぶりにお風呂を使って垢を落として、それで人形でも作ってみない?」

唯「人形かぁ……私と和ちゃんの垢から作るって事は、それって私達の子供そのものだね!」


そうして二人はあかで人形を作りました。


和「名前は何がいいかしら」

唯「真っ黒だけどかわいいねえ。そうだ、『あかにゃん』と名付けよう」


唯がごはんをやると、あかにゃんは手を伸ばして、ぱくんと食べてしまいました。


和「!?」

唯「!?」


あかにゃんはとにかく食べて、食べた分だけ大きくなった。
ある日の事、あかにゃんが金棒を杖に立ち上がると和ちゃんはびっくり。


和「すごい力ね……これはもうあかにゃんじゃなくてちからにゃんね」

ちからにゃん「私、これから旅に出て、この力がどれくらい人の役に立つか試してみたいです!」




さて、ちからにゃんが都会を目指して行くと、
向こうから道一杯になるほど大きなモップを担いでくる子がいます。


ちからにゃん「これじゃあ通れないです」


ちからにゃんが金棒でモップを引きちぎると、女の子はまっかになり、


もっぷ「ちょっとお!? 私の髪の毛ちぎったわね! 日本一の力持ちのもっぷ――げぼぉぁ!?」

もっぷ「どうか、いっしょに、旅をさせて下さい」


と言った。



途中、自称力持ちのういにゃんにも一緒に旅をさせてほしいと言われ、三人は都会に向かった。
ところが、まっぴるまだというのに街には人っ子一人見当たらない。
しばらく歩くと、町一番の長者のむすめが一人うずくまっていた。


紬「ばけものが……こわいよう……」

ちからにゃん「ばけものですか……わかりました。私達が退治します」


やがて夜になると、そいつが姿を現しました。

もっぷがぶつかっていったが、ひょいとつまみあげられ飲み込まれてしまった。
ういにゃんが続いて飛び出したが、これも飲み込まれてしまった。


梓「ようし、今度は私が相手です!」


二人はえんさわんさともみ合ったが、勝負がつきません。
ちからにゃんは、いきなり相手を下からけりあげた。


「げぼぁぁ!」


そいつは、ぶはっともっぷとういにゃんを吐き出すと、ぼかぼかぼかっと、消えてしまいました。



街の人達は大喜び。
長者が出てきて、


紬父「おかげさまで……、お礼には何がよいでしょうか」


三人は顔を合わせて、くすくす笑い、


ちからにゃん「そうですね、大量のごはんが食べたいです」




政府から使いがやってきて、三人を雇いたいと言ったが、


ちからにゃん「私達はここで暮らす方が気楽ですから」


と、てんで相手にしなかった。
その後三人は、街に住みつき、力を合わせて働いたものですから、街はぐんぐん賑わっていった。

ちからにゃんは、助けた紬といっしょになり、和ちゃん、唯ちゃんをむかえた。
あとの二人も街の娘と一緒になり、そこでずうっと暮らしたそうな。

和ちゃんは、せんざいてきな、おかねもちだったのです。



おわり




和と唯の垢から生まれた梓は天才的なギターのセンスを持ち、自分を試すために旅に出る。
旅先でベースの純とギターの憂を仲間にしてやってきた都会で、悪徳芸能プロダクションを知る。
そんな悪徳芸能プロの所為で憂き目に遭う紬、律、澪を助けるために立ち上がる梓達。
音楽の力でこれを撃滅した梓達は都会で大フィーバー。
梓は紬と一緒になり、唯と和を都会に呼んだ。
純は澪と、憂は律といっしょになり、そこでずうっと暮らしたそうな。



END