―中野邸・前―

律「よーし、見てろ」

梓「ど、どこへ行くんですか律先輩」

律「決まってらぁ。アイサツがわりに火を放ってやるのよ」

梓「;;」

澪「お、おい いきなり飛ばしすぎだ」

紬「そうよ、さすがの私も家と人命と世間体は弁償出来ないわ」

唯「一度に多くの大切なモノが失われるよ~!!」


梓「うわ~ん、うわ~ん、うわあああん;;」

唯「あずにゃんがいきなり泣き出した」

律「嘘ウソ冗談。アタシが可愛い梓にそんなことするわけないだろ?」

ナデナデ

梓「にゃっ…!?」

紬「ウホッ、頭をなでなでしこしこ」

梓「り、律先輩…///」グニャグニャ

唯「骨抜きあずにゃん、土に還る」

梓「いや、還りませんけど…」

澪「えらいぞ~梓~」ナデナデ

梓「ふ、ふにゃん///」ゴロゴロ

唯「骨抜きあずにゃん、海に還る」

梓「いや、還りませんけど…」


澪「ま、そんなことより家の中に入れてくれないか」

唯「10月の夜風は冷たいもんね」

紬「でも唯ちゃん、アイス好きでしょ?」

唯「あっ、アイス好き!!」

紬「アイスは冷たいわよね」

唯「うん、アイスは冷たいよ」

紬「じゃあ梓ちゃん、中に入れてくれる?」

梓「えっ、あっ、はい」



ガチャッ

梓「あだいま~」

澪「えっ」

律「なぁムギよ。結局アイスの話はどこから来て、どこに行ったんだ?」

紬「待って。梓ちゃん、『あだいま~』って何?」

唯「アイス」

梓「アイスただいま」

律「お持ちしま~す」

澪「待て!!みんな好き勝手に喋るんじゃない!!」

梓「正解は『あずさただいま帰りました』の略でした」

澪「変な人だなあ」

梓「まあ、そんな事はどうでもいいんですよ」

律「お?」

唯「どうしたの、あずにゃん」

梓「ここで律先輩に選択してもらいます」

律「何を?」

紬「家を燃やすか燃やさないか?」

唯「燃やそう燃やそう!」

梓「やれるもんならやってみろよ!?」


梓「さっき、なんか言ってたでしょう」

梓「律先輩が無人島に3つだけ何か持っていけるとしたら何を持っていくかって…」

澪「ああ?」

唯「なんか言ってたね」

梓「あの続きをやるですよ!!」

紬「あ?」

梓「今から律先輩は中野家に3つしかモノを持ち込めない事とします!!」

律「なにっ」

澪「何様なんだアイツは」

梓「さあ、律先輩。中野家に何を持ち込むかを宣言してください」

紬「ちなみにお前の戯れ言を無視したら、どうなるの?」

ゲシッ

ゲシッ

梓「痛い!!足を蹴らないでください!!」


梓「ここでは私の作ったルールは絶対です」

梓「だってここは私の家だから」

紬「一理あるわね」

澪「性格には梓の親の家だと思うけどね」

梓「私のルールに従わない者はなんぴとたりとも家に上がることは許されないのです!!」

律「お前、中学時代に友達いた?」

梓「えっ、いましたよ」

紬「それ、梓ちゃんの体だけが目当てだったのよ?」

梓「う、嘘だ…」

律「さて、どうする?」

澪「そうだなあ」

唯「りっちゃんが3人選んだら
  1人だけあずにゃんハウスに入れないんだね」

紬「あんな子ほうっておいて別の誰かの家に行かない?」

唯「あっ、私 ムギちゃんの家に行ってみたいよー」

紬「あっ、それはダメ」

唯「なんでー?」


紬「ダメだから」


唯「わかったー」

澪「物分かりいいなあ」


律「まあアレだ。ここまで来て、他の家に行くのも しんどい」

紬「そうね」

律「だからアタシはお前らの中から3人選ぼうと思っているぜ」

唯「選ばれなかった人は?」

澪「背中丸めて帰るしかないな」

梓「ハハハハ!!」

紬「蹴りたい背中」

ゲシッ

梓「痛っ!?蹴りたくてもガマンして下さい!!」



律「1人目に選ぶのは梓だ」

梓「やった!!」

律「さすがに梓を抜いて中野家に上がり込む勇気はないからな」

紬「勇気と無謀は違うものね」

唯「あと、あずにゃんを可愛いがってる私だけ帰るのも なんだか妙な話だよね」

律「そうか~?」

唯「そうだよ~」


律「そうだな~」

唯「えへへ~」

律「あはは~」

澪「お前たちはアヘン常習者だ」


紬「田井中りっちゃん」

律「はい」

紬「りっちゃんはもしかして最終的に仲のいいもん順に選ぼうとしてないかしら」

律「それは ありうる話だな」

紬「でも、よく考えて」

紬「一番仲が良くない子が、この上さらに中野家の前で置き去りにされたらどうなるかを」

律「どうなるんだ?」

紬「きっと その子は2度と紅茶を淹れてくれないし、お菓子も持ってこないわ」

澪「それ、もう、ムギの事じゃないか」

唯「一番嫌われてる自覚はあったんだね」

紬「ちょちょちょっ!?言い方がおかしい!!」

紬「嫌われてるというか、唯ちゃんや澪ちゃんに比べて絡みが少ないんじゃないかしらと、ふと思っただけよ」

律「うーむ」

梓「ハハハハ!!」

紬「唯ちゃん、アイツにマッスルリベンジャーを仕掛けるから最初だけ手伝って」

唯「な、なにをすればいいの?」

澪「最初だけ手伝えば出来るのか」

梓「くっ、律先輩!!私が倒れたら家に入るどころではないですよ」

律「わかったわかった」



律「おい、みんな」

唯「なぁに、りっちゃん」

律「そろそろ面倒になったからアタシはおもむろに結論を出したぜ」

紬「えっ」

梓「誰ですか!?律先輩は誰を置き去りにするですか!?」

律「それは…」

唯「ごくっ…」



律「おめえの出番だぞ、澪」



澪「!?」

唯「えっ」

紬「澪ちゃん!?」

梓「カッwwwwまさかの澪先輩が置き去りっ」


ゴッ

梓「にっ!?」

ドサッ


澪「おい、律っ!!どういう事だっ」

唯(なぐった…)

紬(澪ちゃんが梓ちゃんの鼻面をベースで殴った…)


律「まあ落ち着けよ。昔から言うだろ」



律「澪捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」



澪「お前っ、それが言いたかっただけだろっ!」


ゴッ

律「りっ」

ドシャ

唯(蹴った…)

紬(澪ちゃんがりっちゃんの鼻面に飛び膝を入れた…)


律「お、落ち着くんだ澪」

澪「うん、わかった!」

唯「物分かりいいな~」

律「別にお前、アレ、私は澪が嫌いだから置き去りにするんじゃない」

律「一番深い繋がりがあるからこそ、置き去りにしても私たちはいつも繋がっているんですよ?というアレさ」

澪「律…」

梓「うっ、くっ…」

唯「あずにゃん?」

梓「ハッ、繋がり?そんなカタチの見えないものなんて私は信用しませんよ!!」

紬「コイツはなんなの?」


律「私と澪は離れていても繋がっている…その証拠に、見ろ!!」

カチ

唯「カチ?」




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