澪「それを捨てるなんて とんでもない!!」

梓「大丈夫、言ってみたかっただけです」

澪「そうか」

澪「後輩にいきなり呼び捨てにされたし、ちょっとドッキリしたよ」

梓「ところで、そんな澪先輩に相談があるのです」

澪「どんな澪先輩なんだ。まあ、いいよ。なんだい?」

梓「実はその…律先輩の事なんですけど…」

澪「律?あいつがどうかしたのか?」

梓「この間『もしも無人島にモノを3つまで持ち込めるとしたら』
  って話をしたじゃないですか」

澪「ああ…なんかしたね、そんなような話」

梓「あの時、律先輩は持ちこめる3つのものを
  『澪、唯、ムギ』って書きましたよね」

澪「うん…そうだったな」

澪「好きな漫画やDVDを持っていくって言う人もいるけど
  友達がいれば ずっと楽しいからな~とかナントカ言って」

梓「何故、私はそのリストに入ってないんでしょうか」

澪「え?」

梓「澪先輩が一番手に来るのは分かるとして
  三番手あたりに私がランクインしてもおかしくないですよね?」

澪「え?」

梓「律先輩…もしかして私の事が嫌いなんですかね…」

澪「ま、待て待て」

澪「別にそれで嫌いとかって事にならないだろう」

梓「でも…」

澪「大体お前、そこで『澪、唯、梓』って書いちゃったら
  ムギの深層心理がすごい事になっちゃうよ」

梓「いいじゃないですか!!あの人 お金持ちなんだから!!」

澪「そうだな」

澪「そもそも お前、自分が好かれてるかどうか気にしちゃうくらい
  律の事に関心があったの?」

梓「そりゃ…律先輩の事はわりとどうでもいいけど
  私だけないがしろにされてたらドタマに来るじゃないですか」

澪「ドタマ?」

梓「まぁ、前置きが長くなりましたが
  そういった経緯で一計を案じようと思うワケです」

澪「ふぅん」

梓「私は今まで部内で澪先輩をリスペクト、唯先輩にはツンデレというスタンスを保ってきました」

澪「うむ」

梓「ですが、しばらくの間、律先輩の私への好感度を高めるため
  律先輩をリスペクト路線に切り替えます」

澪「アイツを尊敬してるように振る舞うって事?」

澪「調子に乗るからあんまりおだて過ぎないようにな」

梓「はい、その辺りは心得ています」

梓「それで、ここからが本題なのですが」

澪「おお、なんだい?」

梓「えっと…」

澪「うん」



梓「これから律先輩を持ち上げるかわりに
  澪先輩の事をないがしろにしていいですか?」

澪「うん」



澪「うん?」


梓「これから律先輩を持ち上げるかわりに
  澪先輩の事をないがしろにしていいですか?」

澪「……?」


澪「お前は何を言っているんだ」

梓「す、すいません!!殴らないでください!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

澪「お、落ち着け。梓の中で私はどんな人物像に仕上がっているんだ」

梓「いや…自分を慕ってくれてた後輩が
  ある日いきなり別の人間を慕い始めたら
  嫉妬して最悪、殺害を謀るのでは、と…」

澪「謀るわけないだろ!!」

梓「ほっ」

澪「謀るわけないけど……」

梓「びくっ」

澪「律のご機嫌をとるのは分かったが、なぜ私をないがしろにするんだ」

梓「ほら来たああああああああ!!!!」

澪「何が来たんだ」

梓「秋が来た」

梓「やっぱり後輩が自分をないがしろにするなんて許さないんだ!!怒り猛っているんだ!!」ウギャアアアアアア

澪「落ち着け」



澪「そうじゃなくて
  律への応対を変えるからって私への接し方まで変えなくていいだろ」

梓「でも唯先輩にはツンデレ、澪先輩律先輩はリスペクト路線なのに
  ムギ先輩だけスルーしたらムギ先輩の深層心理が大変なことに…」

澪「いや、ムギの事もリスペクトしてやれよ」

梓「ムギ先輩の?どこを?」

澪「えっ」

梓「違うんですよ」

梓「いや、あのですね、じゃあ澪先輩がムギ先輩の後輩だとして
  どんな所を尊敬しますか?」

澪「そりゃお前…」

澪「ムギ先輩は毎日お菓子を持ってきてくださるだろ」

梓「えっ」

澪「あっ」

梓「ほ、ほらっ」

澪「い、いや、違うんだ違うんだよ」

梓「心の中ではあの人を『お菓子マン』って呼んでるんだ!!」

澪「えっ」

梓「違うです、違うんですったら」



澪「今の話は10年後くらいに改めて話し合おう」

梓「わかりました」

ガチャッ

律「うぃーっす!!」

唯「わぁ、あずにゃんだ!あずにゃんが私の街にやってきたんだ!!」

唯「あ~ずにゃん♪」ギュッ

梓「わぁっ、やってきたのは唯先輩じゃないですか~!!」

紬「あらあらまぁまぁハァハァ」

澪(話が終わらないうちにみんな揃ってしまったか…)

澪「3人とも遅かったなぁ」

唯「うん、澪ちゃんが教室から出てったあと
  和ちゃんが急に『モード反転、裏コード、ザ・ビースト!!』とか叫び出して大変だったんだよ~」

澪「なんだ、それは」

律「知らん」

紬「あと、一枚ィィィィ~!!とか叫びながら唯ちゃんの制服を口で剥ぎ取っていく
  戦闘に特化した和ちゃん獣化形態は2012年のベストバウトに入るアレだったわ」

澪「ああ…それで唯の制服がビリビリに引き裂かれているのか」

唯「えへへ~」

梓「そんなリアクションで済ませちゃう唯先輩って素敵だなぁ」



澪「まあ、いいや。そんな事より、さっさと練習を始めよう」

唯「えええ~」

律「おいおい、こっちは和を押さえつけて体力を消耗してるんだ」

律「少しは休憩させてくれよ」

澪「そんなこと言ってまた部活終わるまで休憩する気なんだろ」

律「おい唯、相撲とろっぜ~!!」

唯「よし来たりっちゃん!!」ドスコ~イ

澪「話の途中で相撲とるんじゃないよ!?そして女の子が気軽におっぱじめる遊びでもないよ!?そして疲れてるから休ませろといった直後に相撲ってどうなの!?」

律「見ろよ、流れるような突っ込みだぜ」

唯「大丈夫だよ澪ちゃん。相撲は早ければ1秒でケリがつく最速の競技だから」

澪「じゃあ1秒で終わらせてすぐ練習を始めるぞ」

律「ちぇ~」

梓「……」

梓「い、いいじゃないですか澪先輩。
  律先輩たちも一息ついてから練習した方が、効率がいいかも…」

律「おっ!話が分かるな~!今日の梓はなんか いいぞ~!!」ヨシヨシナデナデ

梓「あっ、えへへ…///」

澪「うオおおォォォォォォオォッ!!???」


ガシャーンッ

梓「ぎゃっ」

唯「あぁっ、あずにゃーん!!」

紬「澪ちゃん!!梓ちゃんをドラムセットに叩きつけないで!!」


澪「ドラムは叩きつける楽器だよ」

律「人間を叩きつける楽器じゃないハズだ」

澪「でもよく言うだろ?ウニを最初に食べようと思った人はすごいとか」

唯「?」

紬「そうね、確かにウニは美味しいけど中身は一見グロテスクだものね」

澪「それと同じで500年後くらいに
  『初めてドラムに人間を叩きつけようと思った人ってすごいよな』なんて
  言われる日が来るかも知れないよ」

律「なるほど」

唯「一理あるね!」

紬「はたしてそうかしら」



梓「うぅっ…」フラフラ

唯「大丈夫?」

澪「ごめんな梓、悪気は無かったんだ…」

澪「だって悪いのはお前だから」

律「ムチャクチャな理屈だ」

紬「そもそも理屈として成立してるかすら怪しいわ」

唯「ひどいよ澪ちゃん!あずにゃんが何をしたっていうの!?」

澪「いや…だって練習したいという私の意志をないがしろにして
  律の肩を持ったから…」

律「あっ、ハハーン…」

律「もしかして梓が澪よりも
  アタシを慕い始めたと思って不安になったんだな~?」

紬「ふふっ、澪ちゃんたら」


紬「りっちゃんを慕う人間なんているわけないのに」


唯「澪ちゃんは本当に怖がりだね~」

澪「こ、怖くなんかないぞ!!」

律「ハハハハ!!!」



梓「り、律先輩…」

律「ん、なんだ?」

梓「これで無人島に連れてってくれますか…?」ニコッ

律「なんの話だ?」

梓「ひ、ねええぇ!?」

紬「ど、どうしたの梓ちゃん」

梓「ここまでやったのにダメなんですか!?」

梓「私も無人島に連れてってくださいよ!!」

澪(ああ…そういえばそんな話してたな)

澪(まあ、どうでもいいよね面倒だし☆)

梓「無人島無人島無人島!!!」ワー

律「梓のヤツどうしちゃったんだ?」

紬「頭を打って気が狂ったんじゃないかしら」

唯「あははは!!あはははは!!おもしろいね!!おもしろいねりっちゃんちゃん!!!!」パァンパァン(手拍子)

律「お、お前も気が狂ってるんじゃないのか」

唯「どうなのかなあ」

紬「本当は狂っているのは、りっちゃんの方かも知れないわよ?」

律「そうなのかなあ」

律「澪はどう思う?」

澪「どうなんだろうなあ」

梓(うぅっ…また先輩たちだけで和気あいあいとして…!!)


梓「律先輩!!どうやったらムギ先輩の代わりに
  私を無人島に連れていってくれるんですか!?」

律「知るか」

唯「りっちゃん、ムギちゃんと無人島に行く予定があるの?」

律「知らん知らん」

紬「もしかしてHな話?」ワクワク

律「知らないよ」

澪「やれやれ…いや、アレだよ」

澪「どれだけか前に無人島の話をしただろ?」

律「知らないって言ってるだろ!?」

澪「うオおおォォォォォォオォッ!!???」

ガシャーンッ

律「ぎゃっ」

唯「あぁっ、りっちゃーん!!」

紬「澪ちゃん!!」


紬「りっちゃんをドラムセットに叩きつけていいわ」



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