憂「はぁ……ただいまぁ」

唯「おかえり~」

憂「あれお姉ちゃん帰ってたんだ」

唯「うん。今日泊まってくよ」

唯娘「ういおばさんおかえり!」

憂「わぁただいま~」

――――

唯娘「おやすみー」

憂唯「おやすみ」

唯「……じゃあ飲もうか。美味しそうなワイン買ってきたんだ」

憂「わぁい、グラスとおつまみ用意するね」

トクトクトクトク

唯「んっ……んっ……んーちょっとシブかったかな」

憂「そう? 美味しいよ」

憂「それにしても大きくなったよね~」

唯「娘の話? 今度5年生だからね」

憂「そっかー」

唯「それでさーこの前『私もうお父さんとお風呂入らない!』とか言われててさーあはは」

憂「お義兄さんも大変なんだね」

唯「そういえば憂は? あの人とまだ続いてるの?」

憂「あーうん」

唯「結構長いよね」

憂「んー……そだね」

唯「年下だよね。何歳だっけ?」

憂「今31歳だよ」

憂「本当はそろそろ……って思ってるんだけど向こうはそういう話全然振ってこないし」

唯「そっかー」

憂「うん……」

唯「もう憂が言っちゃえばいいんじゃない?」

憂「わ、私が?」

唯「うん。別に女の人からプロポーズしたって全然いいでしょ」

憂「うーん……それはそうなんだけど」

唯「やっぱり向こうに言ってほしい?」

憂「それはそうだよー」

憂「でもそうかー、私からかぁ……そういえばお姉ちゃんはどうだったの?」

唯「私? 旦那がじゃあそろそろ……って言うからそうだね~って」

憂「いいなぁ」

唯「憂からそういう感じの話ふってみればいいじゃん」

憂「……そうだね、そうしてみる」

唯「あーでもそうなると祝儀がかさむなぁ」

憂「も、もぉー」

――――

憂(それとなく結婚の話題を振って、上手くいけば……)

憂(よ、よし)

憂(それにしても遅いなあ)

彼「うー」

憂「あっ遅かったね」

彼「んーごめん。ちょっと出ちゃってさ」クイックイッ

憂「またパチンコやってたのー?」

彼「副業だからね。空腹との戦いだったよ」

憂「もー。はやくいこ? 美味しいお店なんだぁ」

美味しいお店


憂「おいしいでしょ?」

彼「うん。あー今日も人手不足で大変だったよ」

憂「お疲れ様」

彼「そっちはどう?」

憂「うーん、ぼちぼちかな?」

憂(いつもここから仕事の話ばっかりになっちゃうしここは上手く方向転換しないと)

憂「そういえば前回のボーナスちょっと減ってたなぁ」

彼「あー、俺もだ」

憂「一軒家の夢が遠のいちゃったなぁ……」チラッ

彼「君の家一軒家じゃん」

憂「え、まあそうなんだけど……ほら! 自分の家って欲しくならない?」

彼「んーどうかなー。俺今住んでるアパートわりと気に入ってるしなー」

憂「そ、そっかー。でも1人以上で住むとちょっと狭くない?」

彼「と言われても俺1人暮らしだし。それに不況だし手取り少ないし」

憂「だ、だよねー」

憂(うぅ……)

憂「で、でもさ、不況だからこそ例えば2人で住むと色々節約できたりも……」

彼「憂は実家暮らしでその辺楽そうでいいよな」

憂「……そう、だね」

彼「それ食べないの? 貰っていい?」

憂「あ、うん……そういえばこの前実家にお姉ちゃんが帰ってきたの。姪っ子も一緒で」

彼「へー」

憂「かわいいんだよぉ。いいなぁー」

彼「でも子育てって大変そうだよね。それに俺の知り合いとか大体共働きで大変そうなんだよねー」

憂「でっでも共働きなら何とかなるよね! 私の友達も共働きで上手くやってるよ」

彼「そうかー、子供は欲しいけどなぁ」

憂「だっだよね! やっぱり子供ほしいよね!」

彼「俺の収入じゃちょっとなぁ」

憂「そこはほら、共働きで」

彼「いやでも生まれてくる子供に不憫な思いはさせたくないし」

憂「……」

憂「あ、あのさ、将来の事ってどういうふうに考えてるの?」

彼「え? んー…………」

憂「……考えてないんだ」

彼「まあ、現状だなぁ。現状」

憂「…………結婚とかは?」

彼「……今の現状じゃ色々難しい部分があるよね」

憂「……」

――――

憂「――っていう感じで……」

唯「……憂」

憂「うん」

唯「あのね、最後は憂が決める事なんだけどね、そろそろ決断する時期なのかもしれないよ」

憂「それは……うん」

唯「憂は結婚したいんでしょ?」

憂「したいよぉ」

唯「結婚するにしても子供を産むにしてもさ、時間は限られてるんだし」

憂「うん……」

唯「どちらにせよガツンと言っちゃいなよ! そしたら前に進めるんじゃないかな」

憂「……そうだよね」

――――

彼「誕生日おめでとう」

憂「ありがと~」

憂「……」

彼「どした?」

憂「あ、あのね……そろそろちゃんと将来の話しようと思うんだけど」

彼「……」

憂「私は……結婚したいと思ってるんだけど」

彼「……うん。……ちょっとまって」

憂「うん……」

彼「…………決断するのは来年の3月まで待ってほしい」

憂「え……」

彼「今結婚して俺と憂が幸せになれるかどうかをよく考えたいんだ」

憂「あの……来年の3月って……今2月だよ? 1年も……?」

憂「その、生活の面は2人の収入を合わせれば……」

彼「それもあるんだけど………………」

憂「……」

彼「……」

憂「……わ、私とじゃ結婚したくないかなぁ」ポロポロ

彼「そういう訳じゃないけど…………」

『そろそろ決断する時期なのかもしれないよ』

『結婚するにしても子供を産むにしてもさ、時間は限られてるんだし』

憂「……あのね、私考えてたんだけど――」

彼「ごめん、今は……正直言って自信がないんだ」

憂「自信?」

彼「やっぱり結婚を考えるなら共働きにしてももう少し稼ぎが欲しいし」

彼「それに何より憂を幸せに出来るかどうかが不安で……」

憂「そ、そんなっ、私はきっと大丈夫だよ!」

彼「……俺の問題でもあるんだ。勝手だと思うけど……もうすこしだけ……」

憂「……」

憂「……しょうがないなぁ」


そうして私は待つ事に決めました。

それから3ヶ月が経ち半年が経ち、私達の関係は特に変わらず、
それでも約束の日まで待ってみようと思います。
お姉ちゃんは心配してくれてるけど、私もそれ以上は待てないし、望まない結果だとしても……
そしたら次にいけばいいもん。
まだ大丈夫だよ……きっと。

ただ、もしも知り合いが同じ境遇に置かれていたとしたら私は別れるように言ってしまうかもしれません。
時間はどんどん過ぎていっちゃうんだから、その気がないような人といたらだめだよ。
……なんて私が言えることじゃないよね。

今日もいつもと変わらないデートが始まります。

彼「昨日は臨時収入があったから今日は美味しい物食べに行こう」

憂「はぁ」

彼「どしたの?」

憂「ねぇそろそろ……ううんなんでもない!(プロポーズしてよぉ……)」



END