梓「は~あ、眠い」

憂「これから部活だよ頑張ろ梓ちゃん!」

純「そうだよ、梓!唯先輩たちが卒業したんだから私たちが頑張らないと!」

梓「うん、そだね…」

憂「新入部員の直ちゃんとスミーレちゃんも入ったし!」

純「うんうん、新しいけいおん部のスタートだよ!」

梓「うん…部長の私が頑張らないとね、ありがと二人とも」

憂「その意気だよ梓ちゃん!」

純「うひひ」

バタン

菫「あ!先輩方お疲れ様です!」

直「お疲れ様です、先輩方」

梓「お疲れ~菫、直」

純「二人とも練習してた?」

菫「いえ、奥田さんと掃除してました」

憂「本当?ありがとー二人とも」

直「部室は綺麗な方がいいと思いまして」

菫「あ!そういえば梓先輩、掃除してたらこんなもの見つけたんです」

梓「え、何何?」

菫「はい、実は変なボタンを発見したんです!」

梓「ボタン?」

梓はそれを聞いて体に電気が走るような違和感を感じた

憂「ボタンって何のボタン?」

直「ボタンの上に説明みたいなものが書かれていますよ」

純「へ~どれどれ?」

菫「ど、どうぞ」

菫は見つけたボタンを差し出す

梓「なになに…」

このボタンを押すと一瞬で百万円貰えます。ただし、5億年間何もないところで過ごしてもらいます。自殺は出来ませんし、5億年間の記憶は消えます。押すなら覚悟して押してください。

梓「あっ!!?」

梓は思い出す

純「ど、どうした梓!?」

憂「梓ちゃんどうかしたの?」

菫「何か知ってるんですか先輩?」

梓「これは…5億年ボタン…」

純「5億年ボタン?何だそりゃ?」

直「梓先輩、このボタンは何なんですか?」

梓「う、うん、唯先輩たちがいた時に押した記憶がある…」

菫「お、押したんですか!?このボタンを!?」

梓「うん…でも…」

憂「でも…何梓ちゃん?」

梓「…覚えてない。なぜか覚えてないの」

純「はぁ?覚えてないってどういうこと?百万は出てこなかったの?」

梓「…分からない…ただ押した記憶はある」

憂「……」

純「…私、押してみよっかな」

梓「じゅ、純!?」

菫「え!?」

直「大丈夫なんですか?先輩?」

純「大丈夫だよ、押すぐらいなら!百万出たら儲けだし、5億年なんて非現実的なことあるわけないじゃん!」

梓「で、でも純、もし本当なら…」

梓は心のどこかにある不安を拭えない

純「大丈夫だよっ!えいっ!」

ポチ

梓「あっ!」

純「ンッ……………………………」

ーーーーーー

純「………」

憂「じゅ、純ちゃん!?大丈夫!?」

純「うん…」

ガチャ

梓「あっ!」

菫「ひゃ、百万が出てきましたよ!」

直「本当に百万…」

純「…や、やったー!百万だぁ!」

梓「純、何ともなかったの!?」

純「なーんにも!ボタン押したらこの通り!」

梓「う、嘘…」

憂「し、信じられないね、梓ちゃん…」

純「よっしゃ、もういっちょ!」

菫「せ、先輩そんな次々と」

ポチ

ーーーーー

ガチャン

純「やったー!一気に二百万♪」

梓「し、信じられない」

梓の不安は薄れる

憂「一体どうなってるんだろうね、そのボタン」

菫「でもこれなら私たちあっという間にお金持ちに…」

直「なれるね億万長者に」

純「うひひ、梓も押しちゃいなよ、欲しい物たくさんあるでしょ?」

純は両手に札束を持ち、梓を誘惑する

梓「た、確かに欲しいものはあるけど…」

純「じゃあ、押しちゃいなよ♪私たち一気にお金持ちだよー」

梓「…う、うん、そうだね…押してみよっかな」

憂「お、押すの梓ちゃん?」

菫「でもこんな大金が一瞬で手に入るなら…」

直「誰でも押しちゃうねきっと」

梓「…一回ぐらいなら…いいよね」

梓は恐る恐るボタンに手を伸ばす

純「大丈夫だよ…さっさと押しちゃいなよ梓」

純はにやにやしながら梓に催促する

憂「何か私までドキドキする…」

菫「………」

直「………」

ボタンを押すだけで百万が手に入る。梓はそう思っていた。

梓「………えい」

ポチ

梓はボタンを押した

梓「ンッ………」

突然何かに引っ張られるような感覚に陥る。

梓(う……きゃああああああああああああ!!!)

―――――
――――
―――――

梓「………」

梓「………」

梓「……んん」

目を開けるとそこは部室ではなかった。

梓「な、何ここ…」

果てしない暗闇とタイルを敷き詰めたような床が広がっている

景色を見て梓は思い出す

梓「あ…あ…ああぁ…」

おそらく唯先輩たちがまだ在学していた頃にあのボタンを押した。うろ覚えだがそんな記憶がある。

梓「こ、ここには確か何もなくて、確かここで唯先輩たちと会って…

ここに来るのは多分初めてではない。でもここにいたことを忘れてしまったからまた押してしまったのだろう。

梓「…う、ううぅ」

梓は後悔し始める。これから先のことを考えると途方に暮れた

梓「わ、私どうしたら…」

梓「………」

じっとしててもしょうがない。梓は歩いてみることにした。

梓「…はぁはぁ」

どのくらい歩いただろう

梓「………はぁはぁ、何もない、何もないよぉ」

砂漠をさ迷うとこんな感じだろうか。どこまで行ってもやはり何もない。こんな不気味な空間が本当に実在しているのだろうか、と自問自答していた

梓「………うぅ」

梓「…ううぅ……うああああああああん!!!」

梓は泣き始めた。今度は激しい後悔の念が押し寄せてくる

梓「…うぅ…うぐ、うっう…私、私この先…」

信じられないほどの恐怖感だ。今までに味わったことがない。

梓「…うぐ…うぅ」

どれほど涙を流しても止まることはなかった。
ここにきて二週間が立った

梓「…えぃ、あっ左手の負けだ」

梓「よっと…」

梓は一人ジャンケン、靴飛ばし、色々な暇つぶし方法を考えて時間が過ぎるのを待った

梓「……やめてくださいよぉ唯先輩」

梓「憂、純、菫、直、これから新しいけいおん部で頑張ろうね」

時には妄想をした。唯がいた時のことや、新星けいおん部の活動を妄想して過ごした」

梓「…もー律先輩、やめて………う、ううぅ」

虚しい。感情が不安定になっている。突然深い悲しみにおそわれる。

1ヶ月後

梓「………」

梓「………」

梓「………」

意外に梓は飽きっぽかった。一人遊びも妄想も飽きていた。

梓「……ううぅ…うぅ」

それでも不安定な感情の波は押し寄せてくる

梓「うぅ………」

梓「………」

梓「………ん」

梓はまた歩き初めた。果てしない暗闇の中に。何もないと分かっていても新たな可能性に期待した。

歩き続けて1ヶ月が経過した。

梓「………」

梓「………」

どうせ何もない、期待したって損をするだけ、梓は何度も諦めかける

梓「………」

梓「……ん?」

梓「……向こう側に何かある」

目を疑う光景が飛び込んできた。ここから1~2km先ぐらいに何か物体のようなものが見える

梓「…あ…あああ!!!」

死んでいた精神が蘇る。何でもいい。何かあってほしいとずっと願っていた。

梓「はぁ…はぁはぁ…」

梓は走ってその物体に向かった

梓「…何、あれは何なの」

梓「……はぁはぁ」

梓「………はぁ!」

物体の前に着いた

梓「……と、扉!?」

梓は驚愕の表情を見せる。有り得ないことが起こった。何もないなんて嘘だった

梓「…と、扉だよぉ……扉があったああああああああああ!!!!」

梓は叫んだ、それほど嬉しい出来事だった。

梓「やった…やったよ……きっとここから出れるんだ!」

梓は古ぼけた扉のドアノブに手をかける

梓「はぁ…はぁ…これで出れるんだ、悪夢は終わる」

ドアを開けた瞬間眩い光が梓を包んだ

梓「うっ…眩しいっ!」

久々の光だった。中に入っても目が慣れてなくて周りがぼやける。」

梓「う……うぅ、ここは一体」

梓「………」

徐々に周りが見えてくる

梓「………あっ!!」

梓はその景色を見て歓喜した

梓「……や、やったあ!」

なんとそこには見慣れた景色が広がっていた
梓「ビル…車が走る音…人の話し声……ち、地球だ。地球に帰ってきたんだああああああ!!!」

何の変わりもない。平和な暮らしが目の前に広がっていた。ただ曇りのせいかちょっと薄暗く感じた

梓「…や、やった…帰ってきたんだ…うぅ……やった…やった」

ただうれしかった。地球に帰ってこれたことに。


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