2011年 大学1回生

律「じゃ、そゆことで」

菖「うん、ちゃんと揃えとくから~」

律「よろしく~」

澪「お~い、律。話ってなんだ?」

菖「あ、澪ちゃん。楽しみにしといてね」

澪「え? 何が?」

律「ここで朗報です!」

澪「?」

律「近々、合コンを開催しようかと思っております!」

澪「!?」

菖「カッコイイ人揃えとくからね~」

澪「えっ!? ええっ!?」

律「菖の高校の時の同級生をセッティングしてもらおうかと思ってさ」

律「私たち高校は女子高だったからこういう異性との交遊は無かったし」

律「しかし今や花の女子大生なんだし、これくらいは楽しまないとって思って」

澪「だ、駄目駄目! 合コンだなんて!」

律「いや、大丈夫だって」

澪「だ、だって。合コンってあれだろ? お酒とか飲んじゃうやつだろ?」

澪「私たちはまだ未成年だから……。それに……」

菖「安心して澪ちゃん。その辺はちゃんと弁えた人選をするので」

律「そうそう。居酒屋でとかじゃなくて、皆でボーリングとか
  そういう健全な感じで遊ぶだけだって」

澪「け、けど。私、男の人ってちょっと……」

律「だからじゃん!」

律「ちょっとは慣れとかないと、この先しんどいぞ」

澪「いや、でも……」

菖「ちゃんと分別のある人選んでくるから」

律「男女でボーリングなんて今日日小中学生でも普通にしてるぞ」

澪「う……」

菖「普通に皆で遊びに行くってだけだよ」

澪「そ、そうだよな……」

律「じゃあ、けって……」

澪「や、やっぱり駄目!! なんだか私、上手く断れなくてそういうことになっちゃったら色々と押し切られそうだし!」

菖「澪ちゃん先見過ぎでしょ」

澪「それに、そういうお付き合いはお互い成人してからじゃないと!」

菖「今時珍しいなぁ」

律「はぁ……。もうこうなったら無理だわ」

菖「そっか。残念」

澪「うぅ……」

律「ほら、澪。合コンはやめやめ」

澪「ほ、ほんと?」

律「私だって、澪が男に言い寄られたらきっと断れないだろうなって心配だし」

澪「り、律……」

律「ダメッ! ヤダッ! やめて! いくら大きなおっぱいだからってそんなに吸っても出ないからっ!」

  ゴチン!!

澪「そういう想像も成人してからだっ!」

律「……」ヒリヒリ

菖(これだけ腕力あったら大丈夫なんじゃ……)

 2013年 成人の日

律「ふぁ~っ……。市長の話長すぎだろ。もう疲れちゃったよ」

澪「折角の振袖なんだから、もっとお淑やかにしろよ」

律「へいへい」

澪「まったく……」

律「それにしても、やっぱり澪はそういう晴れ着似合ってるよな」

澪「律は似合わないな」

律「……さいですか」

「あれ? もしかして田井中?」

律「ん? あ、確か中学の時の」

「久しぶりだな。ってことは……、やっぱり秋山さんも一緒だ!」

澪「こ、こんにちは……」

「いや~。秋山さんに会えるなんて、本当に来た甲斐があったよ!」

律「お前、私と澪とのテンションの差がありすぎだろ」

「それは仕方ないだろ」

律「むぅ……」

「そうだ、これから同じ中学の奴らで集まるんだけど、2人もどう?」

律「お、本当だ。あ~懐かしい顔ばっか」

「ね、秋山さん」

澪「え、えっと……」

律「私はどうなんだよ」

「田井中も来たかったら来てもいいけど」

律「なんだそのオマケみたいな扱いは」

「冗談だって。まぁ、なんだ。田井中と会えたのも嬉しいっちゃ嬉しいし」

律「お、おい。急にそんなこと言われたらなんか照れるじゃん」

「ね! 秋山さんも皆と話したいよね?」

律「急に矛先変えやがって……」

澪「え。で、でも……」

「秋山さん中学の時と全然変わらないよな。その田井中の影に隠れちゃうようなところとか」

「でも、まぁそこが可愛いっていうかそそられるってか」

澪「うぅ……」

律「はいはい、ストップ!」

「そうそう。秋山さんからかうといつだって田井中が間に入って邪魔するんだよな。実に懐かしい」

「その辺も含めてさ、中学の頃の話で皆で盛り上がろうよ」

澪「……」

律「いや、ちょっと私たちは先約があって」

唯「お~い。りっちゃん、澪ちゃん」

律「高校のときの仲間と集まる約束してんだわ」

「へ~。確か女子高だよな? もしあれだったら後で合流しない? そっちのお友達も含めて」

律「う~ん」

「これ俺のケー番だからさ。もし時間があったら掛けてきてよ。結構遅くまでつるんでると思うし」

律「んー。考えとく」

「じゃあな」

唯「お友達?」

律「まぁ、中学んときのな」

唯「へ~」

紬「りっちゃん、澪ちゃん! 大ニュース!」

澪「き、急にどうしたんだよ」

紬「なんと信代ちゃんが、今年結婚するらしいです!」

唯「ええっ!?」

律「中島酒店の2代目主人誕生か!」

紬「3代目らしいわ!」

唯「どっちにしてもおめでとう!」

律「しかし、もう結婚か~」

唯「どんな人なんだろ~」

紬「幼馴染って言ってたわ。年上なんだけど、お相手の大学の卒業を待っての結婚なんだって」

澪「なんか前々から決まってたって感じだな」

紬「どうもそうらしいの」

律「へ~。結構やることやってたんだな、信代は」

唯「私、その噂のお相手の写真見せてもらってこよ~」

紬「あ、私も!」

律「冷やかし甲斐があるってもんだよな」

澪「ち、ちょっと律!」

律「なんだよ。澪も早く行こうぜ」

澪「あの、さっきの……」

律「さっき?」

澪「中学のときの……」

律「それが?」

澪「行くの?」

律「そうだな~。もうそれこそ会う機会も無いだろうし」

澪「そ、そうだよな……」

律「それに」

澪「それに?」

律「いつだったか、澪が『お付き合いは成人してから』って言ってたろ?」

澪「……うん」

律「今日は何の日?」

澪「……成人式」

律「だからさぁ~。この若く滾った熱い魂をだな」

澪「だ、駄目だ!! お付き合いは大学卒業して就職してから!!」

律「延びちゃったよ……」

澪「だ、だって……」

律「はいはい、わかってるよ。本当、澪ちゃんはお子ちゃまなんだから」

澪「そ、そういう問題じゃないだろ」

律「まぁ、あいつ、中学のときからチャラかったけど、更に拍車がかかってたしな」

澪「……昔から苦手だったんだ」

律「知ってるよ」

澪「でも、もし律がどうしてもって言うなら……」

律「いいって。あんなことやそんなことは就職するまでおあずけでもさ」

澪「へ、変なこと言うな!」

律「あれあれ? 変なことっていったいどういう事を想像したんですか? 秋山さん」

澪「せ、成人したんだからそういうことを想像したっていいんだ!」

律「なんじゃそりゃ……」

 202X年

律「カンパーイ!」

澪「乾杯」

律「んぐっ、んぐっ、んぐっ、ぷはぁ~!」

律「仕事終わりのこの一杯が堪らん!」

澪「オヤジみたいなこと言うなよ」

律「いいじゃん、これくらい、ケチ臭いこと言うなよ」

澪「はいはい」

澪「にしても、まさか聡が結婚とはな」

律「弟に先を越されるとは……」

澪「聡にも乾杯してやるか」

律「……そだな」

律「唯は大学の卒業と同時に結婚しちゃったし」

澪「あれにはビックリした」

律「この前の梓の結婚式は凄かった」

澪「なんかミュージシャン一杯来てたもんな」

律「来年のムギの結婚式の時のこと考えると恐ろしくなるな」

澪「大っきな会社の一人娘なんだし、それは凄いことになるだろうな」

律「ご祝儀とかいくら包めばいいんだ……」

澪「さぁ……」

律「そうじゃなくても最近会社の人間でも私らくらいの年齢のやつは
  申し合わせたかのように多いってのに」

澪「なんか、仲間内じゃ私たちくらいだよな。そういうのが無いのは」

律「……あのさ」

澪「ん?」

律「実は、澪に話があってさ」

澪「お、おい。この流れはまさか……」

律「同じ職場の人なんだけど」

澪「……」

律「この前も2人で飲んでた時偶然会っただろ?」

澪「……」

律「実はその人に……」

澪「だ、だめ……」

律「お前と一緒にいた黒髪ロングの美人紹介しろってせがまれてて!!」

澪「ややこしい切り出し方するなっ!!」ゴチン!!

律「おぉう……」ヒリヒリ

澪「まったく」

律「もういい大人なんだから、グーで人の頭を叩くのはやめましょうや、秋山さん」

澪「それは、お前が……。律が結婚とか、そんな大事な話だと思ったのに、変に茶化すから」

澪「だから、律が悪い」

律「でも、実際問題、私たちもどうよって話だけどな」

澪「そ、それは……」

律「澪だって、職場の人に言い寄られたりしてるだろ」

澪「そういうのは、全部無視してる」

律「今はまだいいけどさ。ずっとそういう訳にもいかないだろ?」

澪「別に……私はいいもん」

律「はぁ……。私だって、まったくそういう話も無いわけじゃないぞ」

澪「!?」

律「だからさ……」

澪「だ、駄目だ!! お付き合いはドモホルンリンクルを使い始めるようになってから!!」

律「……」

 202X年

「じゃあね、律おばちゃん」

律「ああ」

「澪お姉ちゃんもバイバイ」

澪「バイバイ」


律「あ~、やっと帰ったか」

澪「せっかく姪が会いに来てくれてるんだから」

澪「にしても可愛いよな」

律「いや、可愛くない」

澪「なんでだよ、自分の姪っ子なのに」

律「あいつ、私のことは律おばちゃんなのに
  なんで澪のことは澪お姉ちゃんなんだよ」

澪「子供は正直なんだよ。本当に可愛いよな」

律「来年のお年玉は無しだな」

澪「かわいそうに」

律「もし私が結婚して、子供が出来たらあんなもんじゃ済まないだろうな」

律「だって、聡の子供があれだけ可愛いんなら、美少女である私から産まれた子は
  もっと可愛いに違いない」

澪「やっぱり可愛いって思ってるじゃないか。あと自分で美少女とか言うなよ」

律「いやいや、マジでそう思ってますが」

澪「……やっぱりさ、結婚して、子供が出来て」

澪「律はそんな幸せに憧れる?」

律「そりゃあな」

澪「だよな……」

律「まぁ、その気になれば私だったら明日にでも妊娠しちゃうぜ!」

澪「!?」

律「なんちゃて……」

澪「だ、駄目だ!! お付き合いは四十肩になってから!!」

律「……」


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