651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 14:20:44.83 ID:WmJAPMKKo



律「ハイサイ……だっけ? そっちじゃないのか?」

唯「ちっちっち、そっちじゃないんだぜ? 女性はハイタイ。男性はハイサイで分けられてるのさ」

律「なんか、面倒だな」

唯「面倒じゃないよ! 文化だよ!」

風子「唯さんのハイタイアタックを避けたよね」

律「あれは挨拶がてらの攻撃だったのか……」

唯「そうだよ。でもね~、みらいちゃんと同じ事務所のアイドルの子がハイサイって挨拶してるのを見ると、
  心の中でひっかかっちゃうんだよね~」

さわ子「あら、あの子はみらいちゃんの後輩だったのね」

唯「そうだす!」

風子「さわ子先生も飯山みらいと顔見知り……?」

さわ子「あの子も私の教え子なのよ」


目が光った。


唯「みらいちゃんの映画良かったよ~」

風子「周りの役者をも魅力的に演出するあの存在感は――」

梓「ちょ、会話に参加しないで私の話を聞いてくださいっ!」

風子「しょうがない……。梓ちゃんに強く言われたら動くしかないよね」

梓「な、なんで私が押し付けたみたいになってるんですか……!」

姫子「梓、ちょっといい?」

梓「は、はい……なんですか?」

姫子「これ、ちかから預かったんだけど。どうかな?」

唯「姫ちゃん! あずにゃんをネコじゃらしで気を引こうとするなんてストレートすぎるよ!」

梓「私が使うわけないじゃないですか!」

律「梓……本格的にネコになったのか……。憑かれているようには視えないが……」

梓「違います! こなつに使うんです!」

風子「そうだよね、一緒に遊ぶんだよね」

梓「そうですけど……なんとなく、追いかける方にまわされてるような……」

紬「みんな~!」


むぎさんの声にこの場に居るみんなが気付き、笑顔を作る。

652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 14:21:44.10 ID:WmJAPMKKo



律「いえーい!」

唯「フンス!」

さわ子「……」

風子「……」

梓「……ぃぇぃ」

姫子「……」

紬「瀬織さんも入ってくださーい」

瀬織「こ、ここでいいのかな?」

紬「オーケーです。撮りまーす。ハイチーズ!」


パシャッ

フラッシュが焚かれ、シャッターが下りる。


紬「みんないい笑顔でしたー。それでは~」

澪「む、むぎっ、私が撮るから!」

唯「わたしも~!」


むぎさんを追いかけるように澪ちゃんと唯ちゃんが駆けていった。

向こうで同じように写真を撮っている。


律「こなつって誰だ?」

梓「私が飼ってるネコの名前です。ちかさんが可愛がってます」

律「梓は可愛がってないのか?」

梓「……飼い主には懐いてくれなくて……夏のように少し生意気なんですよ」

律「だからこなつ……変な関係だな……」

姫子「生意気って……夏と同じこと言ってる」

風子「……うん」


それでもこなつちゃんと梓ちゃんはバランスが良くて、いい関係だと思う。

意味もなく近づいたりはしないけれど、決して離れたりはしない。


梓「そうだ。今の状況を夏にメールしておこうっと……」

律「なんで?」

梓「楽しい雰囲気を伝えられたら、なぜか悔しいですよね?」

律「あぁ……うん……」

梓「前にやられたから、今度は私がやり返す番です」

律「子供か……」

風子「子どもだよね」

梓「……」


釈然としない表情だね、梓ちゃん。

653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 14:22:45.48 ID:WmJAPMKKo



姫子「さっきの澪のカメラみて思い出したんだけどさ」

風子「?」

姫子「稚内で出会った人のこと」

風子「……うん」


豪快な雰囲気を纏っていて、私の鬱々とした気持ちに風を吹き込んだ人。


姫子「梓、ピック持ってる?」

梓「送信っと……。これでいいですか?」


上着のポケットから一枚のピックを取り出して姫ちゃんの手の平に乗せる。


姫子「これ……見覚えあるよね、風子」

風子「……」


無いけど……。あの人が持っていたピックと同じってことかな……?


梓「?」

 ――。

律「……それは面白い。やってみるか」

姫子「梓、前に……と言っても大分前になるけど……列車の旅の話をしてくれたよね」

梓「は、はい」

姫子「その話に出てくる人の雰囲気と同じだったから……」

風子「……梓ちゃんの話だったんだ」

姫子「多分ね」

梓「???」

姫子「このピックとコインを交換した人がいたって話だけど」

梓「あ、……はい。そうです。……え」

姫子「その人と、会ったよ。稚内駅で」

風子「うん。会った」

梓「そ、そうなんですか……」

さわ子「誰の話なのよ」

梓「星奈さん……だと思うんですけど、さわ子先生は会っていませんよね」

さわ子「そうね。私も話と……写真しか見てないわ。持ってなかった?」

梓「あれは、むぎ先輩の物ですから……私は持っていません」

風子「決定的証拠が無いね」

姫子「……うん」

梓「他人の空似だと思いますよ」


状況証拠だけだね。

間違いないと思っていただけに、自信が薄れていく。
姫ちゃんも同じように、確信が揺らいでいるようだった。

654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 14:23:40.33 ID:WmJAPMKKo



紬「姫ちゃん、この人?」

姫子「……」


携帯電話の液晶画面を差し出されて、食い入るように見つめる。


姫子「うん……ちょっと自信ないな」

紬「そう……」

姫子「話をしたのは数分だからね。風子はどう思う?」

風子「……」


後ろにあるのは雷門だから……浅草での集合写真になるのかな。


梓「懐かしいです! このデータ下さいッ!」

紬「うん、後で斉藤に送ってもらうわね」

澪「スキャンしてすぐにむぎの電話に送ったそうだ」

姫子「……すごいね」

さわ子「便利な世の中ね」

風子「……?」


どうしてすぐにこの画像が送られてきたんだろう。


律「星奈で間違いないぜ。梓、コイン貸してくれ」

梓「……はい」

律「……」


手の平にコインを乗せて、私たちの前に差し出される。


姫子「?」

 ――。

律「えっと、私の言う順番に並んでくれ」

紬「何をするの?」

律「面白いものを視せてくれるってさ」

澪「手品か?」

律「そう、手品。風子の隣に姫子が居て、梓、むぎ、澪、私で……輪を作ると……」

 ――。

律「……いや、視えない」

 ――。

律「むぎと梓はナニカ視えるか?」

紬「ううん」

梓「視えません」

律「ふむ……」

655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 14:24:37.77 ID:WmJAPMKKo



さわ子「何をしてるのよ? チャネリング?」

澪「チャネリングって?」

律「神霊的なモノと会話をするために行う儀式……みたいなものかな」

風子「悪魔とか悪霊とか宇宙人とか」

澪「嫌だッ!」

律「違うって……。もっといいものが視れる……らしい」

澪「怖いのはヤダ」

律「分かってるよ。怖くないって」

 ――。

律「唯-! 和ー!」


楽しく話をしている和さんたちを呼びつける。


唯「なんですか!? 楽しく話をしていたのに!」

律「ご、ごめん」

和「どうしたのよ」

律「えっと……」

 ――。

律「輪を作るんだ」

唯「大きな輪だね!」

姫子「……沖縄、ね」

唯「正解!」

風子「……」

紬「?」

梓「沖縄と大きな輪を掛けたんですよ」

紬「あぁ~」

さわ子「姫ちゃん、ちょっとそれはマズいわよ」

和「えぇ」

姫子「うん、言って損したな……」

澪「…………ブフッ」

 ――。

律「姫子と風子を入れ替えて、姫子の右隣に和、その隣に唯が来て、一つの輪だ」


私の左に梓ちゃん、むぎさん、澪ちゃん、りっちゃん、唯さん、和さん、姫ちゃんで一周。


さわ子「私も仲間に入れなさいよ」

律「さわちゃんは星奈に会ってないだろ。縁が薄いんだよ」

紬「えにし?」

律「あぁ、梓が星奈から貰ったコインを中央に持ってくると――」

 ――。

律「……」

656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 14:25:18.77 ID:WmJAPMKKo



和「何が始まるの?」

唯「手品だって」

姫子「……」

風子「……」

梓「なんでしょうね」

紬「わくわく」

澪「びくびく」


薄っすらとだけど、ナニカが私たちを結ぶのが視えた。


澪「ヒッ――!」

律「動くなよ! これが――縁、だ」

紬「まぁ……!」

梓「これが、えにし……!」

唯「おぉ~」

和「……」


白くて今にも空気に溶けてしまいそうな糸は、頼りなくも儚い存在だけど、
確実に私たち一人ひとりを結び、私の隣に居る姫ちゃんと梓ちゃんに繋がっている。

人によってはその糸の厚さが違うみたいで、姫ちゃんと私の間には糸がいくつも絡まっていく。
梓ちゃんとむぎさんは紐のような太さ。
和さんと唯さん、澪ちゃんとりっちゃんの糸も同等な太さになっていた。

その線がそれぞれを紡いでいって、私たちを繋いだ一つの輪が出来上がっていた。


姫子「……こ、これ」

 ――。

律「縁というのは、人と人の間に生まれ紡がれるものだ。
  今、みんなが視ているものがその証」

梓「でも……どうして星奈さんのコインから?」

律「私たちを紡がれたこの輪が出来た事、それが姫子と風子の二人が星奈に会った証拠なんだぜ」

姫子「……!」

風子「すれ違っただけだよ……?」

律「えっとー」

 ――。

律「えっと……」

紬「袖触れ合うも他生の縁。その諺通りね」

律「あれ、むぎも幸御霊の声が聞こえるのか?」

紬「ううん、聞こえないよ?」

律「偶然か……」

風子「……」

さわ子「視えないわよ?」

律「さわちゃんがこの輪に入ったら、糸は消えるんだってさ」

さわ子「ブーブー」

657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 14:25:57.65 ID:WmJAPMKKo



 ――。

律「じゃあ、サービスってことで。みんな後ろ見てくれ」

紬「?」

梓「あ……!」

姫子「……これは……?」


私たちから伸びた儚い糸は元クラスメイトへとそれぞれ伸びていた。

私は、英子ちゃん、なっちゃん。

姫ちゃんはいちごちゃん、春子さん。信代さん。


風子「これも縁なの?」

律「あぁ、クラスを紡ぐ、縁だ」

紬「わぁ……!」

澪「すご……あ」

律「終わったか」

 ――。

律「と、まあ、そういう訳で、コインを媒介にした縁の手品でしたぁ」

唯「凄いよりっちゃん!」

律「私の力じゃないけどな。赤い糸って本当にあるみたいだぜ」

瀬織「良いものを視せてもらったわね」

さわ子「視えたの?」

瀬織「えぇ、無数に広がる糸が細かく繊細な様だったのよ」

風子「無数に……?」


そんなに視えなかったけど……。


律「人によっては視える限度というものがあるからな」

風子「りっちゃんは?」

律「瀬織と同じ。無数に伸びた糸が視えた」

紬「私も……。厚さの違いに意味はあるの?」

 ――。

律「あんまり関係無い……らしい。糸……があるだけで充分な繋がりだってさ」

姫子「……難しい話だね」

風子「……うん」

唯「わたしはそんなにハッキリとは視えなかったよ」

和「私も。それほど霊感が強いわけじゃないのね」

律「霊感とは違うけど……まぁ、いいか」

梓「あれ、ということは……?」

紬「星奈さん……逢いたいわね」

律「変わってなさそうだけどな」

658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 14:26:27.68 ID:WmJAPMKKo



梓「姫ちゃんさん達は星奈さんに会ったんですか!?」

律「その話だっただろ! なんで今更ビックリしてんだよ!?」

梓「風子さんの……冗談かと……」

風子「私は冗談言ったことないよ」

梓「ソウデスヨネ」


梓ちゃんの反応が冷たい。

さっきまではちゃんと返してくれたのに。


姫子「豪快な人だったね」

風子「うん。なんだか、一緒に居て楽しいような気分になったね」

澪「ど、どこで会ったんだ……?」

風子「稚内駅で。澪ちゃんはニアミスだね」

澪「あ…あぁー……!」

律「運が無いな、澪は……」

和「星奈……ね。懐かしいわね」

梓「私もさとみさんに会いたいです」

和「東京に行けば会えるわよ」

梓「中々時間が……」

和「彼女も本を書くので忙しいからね」

さわ子「ベストセラー作家のさとみちゃんね、懐かしいわね」

澪「……あの旅のDVD持って来てますから、どこかで見ましょう」

律「お、懐かしいな!」

梓「それじゃあ、私の部屋でどうですか!?」

紬「賛成~!」

唯「よ~し、今日は徹夜だー!」


それは楽しそう……。


風子「梓ちゃん、マイク借りるね」

梓「?」

風子「そろそろ演奏してもらおうかなって」

梓「ちょ、今はDVD鑑賞の予定を決めているんですから、もう少し待ってください!」

律「えー……」


ヒョイと、梓ちゃんの手からマイクを取る。


みんながお喋りをしている部屋の中心、そこが照明によって照らされている。

ダンスクラブなので音響設備が整っている。


風子『お集まりの皆さん、少しだけ注目をお願いします』

659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 14:27:38.54 ID:WmJAPMKKo



ザワついていた部屋の中が静まり返る。


風子『今日はお集まりいただいて、ありがとうございます。
   それでは早速ですが、軽音部のみなさんの演奏です! どうぞー!』


「準備してねえよ!」
「待ってくれ!」
「無茶言わないでください!」
「やーるぞー!」
「おー!」


離れた場所から5人の声が上がる。


信代「無茶振りでしょ、風子」


ちか「あははははっ!」

三花「あははっ!」


風子『準備が出来るまで幹事の挨拶を――』


愛「これって台本があるの?」

ちづる「うーん、どうなんだろ」

姫子「風子のアドリブだから」

ますみ「……意外」



風子『忙しい時間の中、こうやってみんなが集まれたことはとても大切なことだと思います。
   これからもこの時間を積み重ねて行きたいと思いますので、よろしくお願いします』


少し離れた場所にいる姫ちゃんに伝えるように。


姫子「……」


風子『今日は楽しんでいってください。演奏の準備が出来次第、またアナウンスしますので、
   しばらくの間お待ちください』


挨拶をそこそこにマイクを切る。

まだ始まったばかり。


姫子「堂に入った司会だね」

風子「プレゼンより全然楽しいよ」

唯「風ちゃん、マイクを貸してくださいな」

風子「?」

唯「ドラムの設置が時間かかるから、わたしが時間を稼ぐんだよ」


この建物にはバンドのライブ施設もあって、そこからドラムは借りている。

あとはそれぞれ楽器を持参してもらいました。

660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 14:28:18.25 ID:WmJAPMKKo



姫子「それって三味線?」

いちご「……三線」

姫子「サンシン?」

唯「沖縄の伝統楽器ですたい。いちごちゃん、オジーに教えてもらった曲を演奏するよ!」

いちご「……ほんと?」

唯「うん! だから前で見て欲しいな~」

いちご「……うん!」

姫子「……!」


いちごちゃんの嬉しそうな表情。

唯さんの住む沖縄へいちごちゃんは旅行で遊びに行った。

本当は私も行くはずだった旅行。


唯『え~、ごほんごほん。えーワタクシ、元軽音部の元ボーカル、元唯です!』

律「今のおまえは誰だよ!」

唯『えへへ~、りっちゃんのツッコミが聞けて嬉しいよ~』

律「……嬉しいことを言ってくれるじゃねえか」

澪「私にばっかりさせていないでおまえも手を動かせ」

律「へい」


遊んでいたりっちゃんが叱られた。


唯『えっとね、今沖縄に住んでいるんだけど~、仕事が終わって、
  週に2、3回オジー……ちゃんから三線を習っているんだぁ~』

風子「いちごちゃんも知ってる人……だよね?」

いちご「……うん。唯さんに紹介してもらって、たくさん話を聞いた」

唯『教えてくれた曲を、みんなの準備が整うまでサン太と一緒に演奏したいと思います』


三線……三太。

661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 14:28:57.79 ID:WmJAPMKKo



春子「ギー太は振られたのか~?」

唯『失敬な! いつも一緒だよギー太とは! サン太は……そう! あずにゃんの弟だよ!』

梓「初耳ですよ?」

いちご「どの曲を弾くの?」

唯『有名なアーティストの曲だよ~。それでは聴いてください! 三線の花!』


カン カカカン カカカン カカカン


初めて聞く楽器の音が流れ始める。


いちご「……」

和「……」

姫子「……」


みんな聴き入っていた。


唯『 いつしか忘れられた オジーの形見の三線
   床のまで誕生祝の 島酒にもたれて

   ほこりを指でなでて ゆるんだ糸を巻けば
   退屈でたまらなかった 島唄が響いた     』


左手で時を刻む時計を掌で包む。


唯『 鮮やかによみがえる あたなと過ごした日々は
   やわらかないとしさで この胸を突き破り
   咲いたのは 三線の花            』



唯『 テレビの斜め向かいの あなたが居た場所に
   座ればアルミの窓から 夕月が昇る

   家族を眺めながら 飲む酒はどんな味
   眠りに着く前の 唄は誰の唄         』


お祖父ちゃんを思い出した。
いつも座っていた場所。
その隣にわたしも座っていた記憶が蘇る。



唯『 この空もあの海も 何も語りはしない
   この島に暖かな 風となり雨を呼び
   咲いたのは 三線の花            


   秋に泣き冬に耐え 春に咲く 三線の花    』


カン カカカン カカカン カカカン


目元を拭って、拍手を送る。


パチパチパチ


拍手が次第に大きくなり響く。



パチパチパチパチ!

662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 14:29:45.60 ID:WmJAPMKKo



唯『ありがと~!』


和「唯がこんな演奏をするなんてね……」


拍手を送る和さんの表情はとても強く凛々しかった。


唯「みんな、準備できた~?」

梓「出来ましたよ」

澪「あぁ、いつでもいいぞ」

律「バッチこーい!」

唯「むぎちゃんは?」

紬「いつでもいいよ~。何から始めましょうか?」

澪「あ……」

姫子「?」


澪ちゃんの視線が姫ちゃんを捉えた。


澪「唯、あの曲から始めよう」

唯「え、でも……」

澪「みんな、ちょっと集まってくれ」


澪ちゃんを中心に円陣が組まれる。


663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 14:30:57.76 ID:WmJAPMKKo



風子「……」

澪「姫子はこれから、旅に出る」

律「うん……それで、どうしてあの曲なんだよ?」

澪「大切な曲なんだ。だから私たちで励まそう」

梓「……」

紬「励ます……ということは、それなりの旅路になるの?」

澪「あぁ……。もう、必要ないみたいだけどな」

唯「どういうこと?」

澪「姫子は強いってことだ」

唯「分かったよ!」

律「いや、いまいち分からないんだけど」

梓「でも、私たち……今日が久しぶりの演奏なんですよ?」

澪「……そうだな」

紬「そうね。五年間、一度も演奏していないわ」

律「うん……」

唯「……そうだよね~」

澪「……安全に、慣れている曲から始めるか?」

紬「あのね」

律「ん?」

紬「なんだか、わくわくするの」

唯「……うん、失敗したらどうしようって、緊張するけど」

梓「ですね。一度も合わせていない曲をぶっつけで演奏する。これって挑戦ですよね」

律「……いいな!」

澪「私たちに出来ること、姫子にも見せよう!」

紬「どんとこいです!」

梓「やってやるです!」

唯「フンスッ!」

律「よーし、軽音部、やるぞー!」

澪紬梓唯「「「「 オー! 」」」」

風子「おー!」

律「6人目!?」

梓「ほら、離れててください」

風子「おっとっと」

和『みんなお待たせ。軽音部の準備が整ったわ』

澪「司会代わってる!」

和「はい、澪」

澪「う、うん」

紬「澪ちゃん、女性パートを私も唄っていいかしら」

澪「助かる」

664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 14:43:27.13 ID:WmJAPMKKo



隣に戻ってきた。
姫ちゃんが訊いてくる。


姫子「なにしてたの?」

風子「打ち合わせ」

姫子「ふーん」


きっと驚く。



澪『えっと、誰かの為に演奏をするというのは、なんだかおこがましいけれど……二人で唄いたいと思います』

紬『私たちが演奏する曲は〝Con Te Partiro"というタイトルのイタリア語で、〝あなたと共に旅立とう〟です』



姫子「――!」

風子「……」



紬『それでは――』

澪『聴いてください――』







ずっとずっと続いていく 

長い長い道のり


それでも私たちは歩いていく



例え、苦しい道になったとしても

誰かと一緒に

支えあいながら進んでいくのだろう





いつもひとりじゃないのだから







―― Time To Say Good Bye!


665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 14:44:53.06 ID:WmJAPMKKo





これで心置きなく終われます。
終わり終わり詐欺も終わりです。

ありがとうございました。



姫子「グッド・ラック」