592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/29(土) 18:52:25.47 ID:AmXg8dhyo




姫子「風子」


風子「うん」




拳を軽くつき合わせる。一緒に見た映画のワンシーンを再現していた。




姫子風子「「 グッド・ラック 」」








593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/29(土) 18:59:02.94 ID:AmXg8dhyo



終わりました。読んでくれた方、ありがとうございました。


ツバメのモデルは以下三人。
どちらも不幸体質ですが、支えがあって強いです。

相馬轍 (風雨来記)
倉上進矢 (コンチェルトノート)
五日市圭治 (とっぱら~ざしきわらしのはなし~)


色々とアレでしたが、読んでくだされば幸いです。

なんというか、もっと精進します。

595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 13:22:17.94 ID:WmJAPMKKo



読んでくれてありがとうございます。報われました!


おまけを投下します。

その前に、



≪一目で分かる! ヴェガシリーズ一覧表!≫


【分岐】=紬の声を失う回避


八月 ――       紬「超特急ヴェガ?」    ―【分岐】→     夏目「超特急ヴェガ?」紬「超特急ヴェガです」

                                               

八月下旬 ――                                 奏「極上生徒会です」紬「軽音部です」



九月 ――   紬「いつかみた、あの大好きな、空の下で」  



二年後 ――                                    姫子「グッド・ラック」



五年後・9月28日 ――                 beginning



五年後・大晦日 ――  紬「ウィンタージャーニー」                 ―

596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 13:23:53.86 ID:WmJAPMKKo




紬「超特急ヴェガ?」 (ものすごく長いです)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1301931951/

紬「いつかみた、あの大好きな、空の下で」 (場面構成が滅茶苦茶で読むのがキツイです)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314870947/

紬「ウィンタージャーニー」 (いつかみた~を知っていないとワケワカランです)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322729683/


【分岐】


夏目「超特急ヴェガ?」紬「超特急ヴェガです」 (色んな作品のクロスで大変です)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322674018/

奏「極上生徒会です」紬「軽音部です」 (極上生徒会を知らないとキツイです 主人公:律)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341449513/

姫子「グッド・ラック」



【瀬織】

男「……」影女「あけましておめでとうございます」 (とっぱら~ざしきわらしのはなし~)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1325359507/


由美さんに言わせなければいけない台詞を書き忘れていたので、強引に瀬織を登場させました。(ごり押し宣伝)



【参考にした曲のアーティスト】

Sarah Brightman & Andrea Bocelli
The Band Apart、bump of chicken、松たか子、元ちとせ、山下達郎、
折笠富美子、ケツメイシ、ROSSO、小田和正、平原綾香、東京エスムジカ
Schroeder-Headz、dreams come true、LOST IN TIME


ここまでが本編。

ここからがおまけのヴェガシリーズ完結編です!>>26ありがとう、の画像を参考にどうぞ!

完全に自己満足の世界です。気にしない!!!!(ヤケクソ)


597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 13:26:16.43 ID:WmJAPMKKo



― ― biginning ― ―


ドアを開いて、みんなの居る場所へ戻る。



風子「見送ってきたよ」

エリ「わすれもの、かぁ……なんだか、かっこいいね」

信代「残念だったね、春子」

春子「あのバイクは姫子の大切な相棒ってことで、諦めるよ」


そう言って爽やかに笑う表情に、名残惜しさは微塵も感じなかった。


いちご「……」

風子「……」


いちごちゃんが少しだけ嬉しそうなのは気のせいかな?


和「どうしたの、風子」

風子「え?」

和「いちごの顔を見ながら口元が緩んでたわ」

いちご「……え」

風子「えっと……」


みんなの視線が集まる。誤魔化すのは大変だろうから、直接言ってみよう。


風子「姫ちゃんが北海道に行くことがそんなに嬉しいのかなぁ~って」

いちご「……!」


顔色が変わった。図星のようです。


信代「姫子もわざわざ、今まで頑張って来たことを棒に振らなくてもいいのにねぇ~」

エリ「そうだよねぇ~」

春子「うんうん~」

いちご「ちょっと……な、なに?」

和「そういうことね」

風子「茨の道を選んだ姫ちゃんに敬慕を、ね」

いちご「ち……ちが……違う」

風子「私も尊敬するよ。すぐ決断しちゃったから」


すぐに旅の続きを決断した、立花姫子。
彼女が友達だということが誇りに思える。


いちご「だ、だから、違うって……」

エリ「触れてはいけないことだったら、答えなくてもいいんだけど」

風子「?」

エリ「わすれもの、って……なにかな」

598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 13:28:12.23 ID:WmJAPMKKo



エリさんが真剣な表情で問いかける。


和「……」

信代「わすれもの、ね……」

春子「余程のモノだよね……」

いちご「……」

エリ「……」

風子「……それは」


みんな、今日まで姫ちゃんを心配してきた。

北海道から帰ってきてからの落ち込みようは尋常じゃなかった。

私たちは隣にいることしかできなくて。

ここにいるみんなも、それには触れないでいてくれた。

あの時の姫ちゃんを知っているのは私だけ。

北海道に住む三人にはそれとなく伝えているけれど、核心に迫ることは伝えていない。



あの闇の深さは姫ちゃんと私しか知らない。



風子「とても、言いづらいんだけどね」

和「……」

エリ「そ、それだったらべつに……」

いちご「……うん」

春子「まぁ、風子が良いことだと思っているなら、それでいいか」

信代「そうだね」

風子「……」


でも、私は言うからね、姫ちゃん。


和「……どうしたのよ」

風子「ふふ、……ヒントはね~、ブーケだよ」

エリ信代春子「「「 ブーケ? 」」」


そう。結婚式で渡されるブーケ。

私の予知は当たるよ、姫ちゃん。

599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 13:30:12.83 ID:WmJAPMKKo



夏香「あの時のブーケの話?」

風子「なっちゃん……」


背後から話しかけてきた幼馴染。


夏香「英子連れてきたよ」

英子「みんな、こんばんは」

信代「こんばんは、新婚さんに夏香」

夏香「うーん……、幸せの後に呼ばれると変な感じ」

エリ「久しぶり~」

和「結婚式以来ね」

英子「うん、久しぶり」

春子「3ヶ月か、長かったような短かったような」


英子ちゃんと夏香ちゃんは小さい頃からの付き合い。

あの、守れなかった約束を交わした二人。

今でも一緒にいられるのが嬉しい。


英子ちゃんの苗字が変わったのは3ヶ月前の、ジューンブライド。


和「どうだった、ハネムーンは?」

英子「よかったよ」

エリ「まぶしっ!」

信代「神々しい!」

春子「幸せオーラ出てる!」

風子「あはは」


ここにいる私たちが参加したのは、英子ちゃんの結婚式。

英子ちゃんの花嫁姿は綺麗だった。

嬉しくて、嬉しくて、少しだけ泣いてしまった。

600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 13:31:55.02 ID:WmJAPMKKo



夏香「あんまり来てないんだね」

和「というより、まだ予定時間の30分前だから。まだ来てないのが正しいのよ」

夏香「え? だって、風子が……」

風子「凱旋門どうだった?」

英子「凱旋門だったよ」

夏香「ふぅにまた騙された!?」

信代「あたしらも騙された口だから……」

いちご「うん……」

春子「意味があるのかね、この時間って」

風子「30分も1時間も変わらないよ」

夏香「ふぅと私じゃ時間感覚違うから!」

英子「まぁまぁ」

夏香「まったく……騙されたことが悔しいんじゃなくてさぁ」

風子「たくさんおしゃべりできるよ」

夏香「うるさいっ」


小さい頃によくやったやりとり。
私がなっちゃんをおちょくって、英子ちゃんがそれをなだめる。


瀬織「はい、オレンジ二つ」

風子「ありがとうございます」

夏香「……もしかして、そのオレンジって」

風子「英子ちゃんとなっちゃんの分だよ。どうぞ」

夏香「勝手に決めないでくれる?」

風子「英子ちゃんはお酒呑めないでしょ。なっちゃん運転手だから、オレンジかなって」

夏香「なぜオレンジ、一択なの……」

エリ「大変だね……」

夏香「……全然変わらないから、慣れてるけどね」

信代「凄いね、夏香……」

風子「ノートルダムはどうだった?」

英子「そうそう、パリでね……」


デジタルカメラを取り出して操作をしている。
パリの写真を見せてくれるのかな。


英子「ほら、見て」

風子「あ――」


凱旋門を背景に、英子ちゃんと、懐かしい顔と、見知らぬ二人と――



バタンッ



「  たのもぉー!! 」

601 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 13:33:36.38 ID:WmJAPMKKo



ドアが勢いよく開かれた。


マスターである瀬織さんが何事かと驚いている。


噂をすれば、影。



風子「みんな、ノーリアクションね」

エリ「ど、どうして?」

和「簡単に許してはいけない、ってことね」

信代「そうだね、そうしよう」

春子「今まで連絡よこさなかったアイツが悪い」

英子「ふふっ」

風子「英子ちゃんは隠れてて」

英子「うん」

夏香「……なるほど」



「あ、あれー?」


困惑気味の彼女に、私たちは懐かしさを抑えつつ、初対面であるかのような反応をする。



風子「えっと……?」


「わたしだよん!」


和「どちら様ですか……?」


「だからー! わたしだよん!」


信代「わたしだよ、と言われても……」


「え……」


春子「……いや、誰?」


「……」


エリ「……ッ……ブフッ」




エリちゃん、耐えて!



「し、失礼しました……」



バタン


602 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 13:34:42.30 ID:WmJAPMKKo



英子「あれ……?」

春子「やりすぎたかな」

信代「悪乗りが過ぎたね」

和「いいのよ」

夏香「和は容赦無いね」

瀬織「ちょっと、なんなのあの子は」

風子「同級生です。様子見てくるね」

いちご「うん」



笑って近づいてくると思っていたんだけどな。


ドアをこっそり開いてみる。


その彼女は黒猫と対話をしていた。


風子「……?」


「おい、出てくる次元を間違えたんじゃねえのか」

黒猫「ニャー」

「じゃあどうして、私の顔を知らないんだよ」

黒猫「ニャー」

「いや、だってさ、そうとしか考えられないじゃんか」

黒猫「ニャ」

「んー?」

黒猫「ニャ、ニャ」

「そうか。……そうだよなぁ」

黒猫「ニャー」

「……とにかく、間違えたわけじゃないよな?」

黒猫「ニャ」

「わたしが桜が丘高校に通っていない、という次元に出たわけじゃ――」

風子「りっちゃん、猫語が分かるの?」

律「うわぁあ!?」

風子「猫と会話していたよね?」

律「な、なんだよ! 私が誰か分かるのかよ!」

風子「うん」

律「じゃあ挨拶くらい――」

潮「久しぶり~風子~!」

風子「あ、潮ちゃん! 久しぶり!」

潮「結婚式以来だね……って! 律!?」

律「……うん」

603 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 13:35:43.48 ID:WmJAPMKKo



潮「うわ! レアな人がいるよ、慶子!」

慶子「……あ! 本当だ!」

律「よ、よぉ……。久しぶりぃ……」

慶子「わ~……。すごーい……」

潮「うわ……律だぁ……」


三年生の時同じクラスだった潮ちゃんと慶子ちゃん。

珍獣を発見したようなリアクション。


律「な、なんだよ」

潮「喋ったよ!」

慶子「バカにしすぎだから」

潮「あはは」


私はドアを開いて中へ促す。


風子「マスターに飲み物頼んでね。お酒もあるよ」

慶子「うん。分かった」

潮「風子が幹事なんでしょ?」

風子「そうです」

慶子「お疲れ様。今日は楽しもうね!」

風子「うん!」

律「……」


中へ入っていったのを確認してドアを閉める。


律「いや、私も中に入れろよ……」

風子「ペットの持ち込みは法律で禁止されてるよ」

律「此処、国営なのか……?」

黒猫「ニャ」

律「だから、おまえは帰れっての!」

黒猫「ニャー!」


ケンカしてるみたい。

それは意思の疎通が出来ているという証拠。


アカネ「律さんだ」

三花「あ! ホントだ!」

まき「わぁ……」

とし美「…………本物だ……」

律「え、えっと……その……」

風子「エリちゃん、先に来てるよ」

アカネ「うん。ありがとう」

604 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 13:37:58.24 ID:WmJAPMKKo



三花「りっちゃん! 世界周ってたって話、後で聞かせて!」

律「お、おう……」

まき「わ、私も聞きたい」

律「え、ええぞ……」

とし美「それじゃ、後でね~」

風子「マスターに飲み物注文してね」

アカネ「うん」


そして、ドアを閉めます。


律「だからな、私を中に入れろと言っている」

風子「断ると言ったよ」

律「今初めて聞いたよ!」

黒猫「ゴロゴロゴロ」

ちか「可愛い~!」

美冬「風子さんの飼い猫?」

風子「ううん、りっちゃんの猫だよ」

ちか「可愛いね君~!」

黒猫「ゴロゴロゴロ」

律「隙だらけだな」

黒猫「!」


サッ と、後ろへ跳ねてちかさんの手から逃れた。


ちか「あ、おいで~」

黒猫「ニャッ」

美冬「どうしたの、あの仔」

律「硬派気取ってんだよ」

風子「アキヨさん、マスターに注文してくれればいいからね」

アキヨ「うん」

律「挨拶くらいするべきだろ!?」

アキヨ「久しぶり」

律「いえーい、アキヨ、久しぶりー!」


りっちゃんの笑顔を見ることなく歩いていった。


律「くっ……」

ちか「これが律さんかぁ」

美冬「実物でみたの初めてだね」

律「五年前にほぼ毎日見てただろ……。痛いぞ、ちか」

ちか「えへへ、ごめんね」


本物を確かめるかのようにバシバシと叩かれていた。

605 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) 2012/09/30(日) 13:39:09.73 ID:WmJAPMKKo



律「ほら、入ろうぜ」

ちか「ねぇ、どこを歩いたの?」

律「聖地巡礼だから、秘境とかじゃないぜ?」

美冬「タージマハールとか?」

律「……そっちじゃないけどな。シヴァ寺院っていう有名な場所に行ったんだ」


話をしながら中に入ろうとしている。

それを阻止する。


風子「国際法に触れるので、ペットの立ち入りは困ります」

律「そうか。分かった」

美冬「あれ?」

ちか「入らないの?」

律「風子が入れてくれないんだよ。後でなー」

ちか「うん、後でね」

美冬「聞かせてね」


静かにドアを閉めます。


律「……」

風子「……」

黒猫「……」


膠着状態が続く。


律「ほら、帰ってろよー」

黒猫「ニャ~」


拒否するかのような間延びした鳴き声。


「こんなところで、何をしてるんですか?」

風子「黒猫を連れてきたのりっちゃんが」

「律さんが?」

律「ん? おぉ! 梓!」

梓「……」

律「……?」

梓「……変わりませんね、律さんは」


軽く鼻で笑うかのような表情の梓ちゃん。

それだけで、嬉しさをひた隠しにしていることは、5年の付き合いで分かる。


姫子「グッド・ラック」 46

最終更新:2012年10月02日 10:54