律「いつか澪にも良い人見つかるって」

澪「嫌だ! 律がいい!」

律「残念ながら、もう私は人妻なのよ」

澪「それでもいい!」

律「私がよくねぇ」

澪「うぅ……この世は灰色だ……」

律「はぁ……」

澪「お酒だけが私の味方だよ……
  酔っている間だけは律に捨てられた辛さも忘れさせてくれる」グビグビ

律「捨てたって……。今でもこうやって会って話してるだろ」

澪「じゃあ、今夜はとことん付き合ってもらうぞ!」

律「ああ、ごめん。ちょっと私当分のあいだアルコールはだめなんだわ」

澪「え?」

律「ちょっとさ、今日産婦人科に行ってきたんだ」

澪「そ、それって……」

律「うん、3か月だって」

澪「そ、そっか……」

律「まぁ、澪は飲んでくれてもいいよ。話だけならとことん付き合うから」

澪「で、でも。お腹の子に響くといけないから、今日は早く寝たほうが」

律「お、気遣ってくれるんだ」

澪「うん、そっか……ふふっ」

澪「律もお母さんか」

律「なんだか照れるな」

澪「名前はどうする?」

律「そうだな~」

澪「私と律の子だから『みつ?』それとも『りお』がいいかなぁ」

澪「あ、でもどっちの名前も軽音部!って企画物のAVに出てきそうでちょっとアレだな」

律「私と旦那の子だからな」

澪「この浮気者っ!!」

律「なんでそうなるんだ」

澪「どうしても産むっていうのか!?」

律「当たり前だ」

澪「そうなったらますます律と旦那さんとの絆が深まり
  私とは更に疎遠になっちゃうじゃないか~」

律「そんなことないってば、澪とはいつまでも友達だよ」

澪「なんか振られた気分になる台詞はやめろ~」

律「せっかくそんな美人に産んでくれたのに
  それを生かし切れないのは勿体無いとは思わないのか?」

澪「嫌だ、律しかいないもん」

律「そう言われてもなぁ」


律「そんなに私がいいのか?」

澪「うん」

律「あ、そうだ。だったらさ、あいつとかどうだ?」

澪「誰?」

律「聡だよ」

澪「聡か」

律「我が愚弟ながら、そこそこ誠実だしさ、澪も昔から知ってるしそれなら大丈夫だろ?」

律「何よりも私と血を分け合った兄弟だし。ただ正直オススメするのは気が引けるけど」

澪「まぁ、それは私も考えなかった訳じゃないけど……」

律「お、じゃあいいじゃん。
  ちょっと聡には勿体無い気もするけど、澪がその気ならなにも問題は……」

澪「いや、だけどまだその時じゃない」

律「は?」

澪「もし、本当に私がヤバい年齢になって、誰からも見向きされなくなったとき」

澪「その時のみが聡の出番だ」

澪「だから、律が実家に帰省した時には聡に言っといてくれ」

澪「私の許可なしに勝手に誰かと結婚するなよってさ」

律「お前は他人の弟をなんだと思ってるんだ」

澪「どうにもならない時の最後の手段」

律「非道い奴だな」

澪「もしかしたら、私と結婚出来るかもしれないんだぞ!? 聡にとっちゃ本望だろ」

律「聡、可哀相に……」

澪「まぁ、それも律が旦那さんと別れて、私だけを構ってくれさえすれば全部解決することだから」

律「だから、それはもう諦めろ」

澪「なんでだよぉ~」

律「初子が出来て、今まさに幸せの真っ只中ですし」

澪「私と子供どっちが大事なの!?」

律「子供」

澪「ちょっとくらい迷えよ!?」

律「って言われても」

澪「そんなに旦那さんとの子供が大事か!」

律「そらそうだ」

澪「うぅ……子供……その子供のせいで、律が縛られて私のものじゃなくなった……」

律「ちょ……あんまり怖いこと言うなよ」

澪「こうなったら……」

律「お、おい……いったい何を」

澪「うっ……。オエェェェェェェェェッ!!!!!!」ビチャビチャ

律「汚ねぇ!!」

澪「うぅっ……」

律「あ~あ、もう何やってんだよ……。ほらタオル」

澪「うぇっぷ……」

律「飲むペースが早すぎるんだよ。いい加減自分の酒量の限度もわかってるだろ」

澪「そうじゃない……」

律「ん?」

澪「私も、出来ちゃったかも」

律「は?」

澪「律との子供」

律「……」

澪「妊娠初期にもよおす吐き気とかけて、吐瀉物で部屋を汚してしまった私の申し訳ないという気持ちと解く」

律「そ、その心は」

澪「りつわりぃ~」

律 ガシガシ!!

澪「や、やめろ! 悪かったってば! だから腹はやめろ! 私の赤ちゃんがっ! うっぷ!」

律「おっと、これ以上やると更に大惨事を引き起こすことになってしまう」

澪「はぁはぁ……」



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