トクトクトク…
さわ子のグラスに蕎麦焼酎が注がれる。
管理人「さ、どうぞ!」
さわ子はもう一度、芳香を楽しんだあと、
グラスを口につけ、焼酎を口に含む。
さわ子「!!!!」
あの甘い香りと蕎麦の薫香が直接に口の中に広がり、
さらに淡いチョコレートの香味が加わる。
アルコールが適度に舌を刺激し、非常に心地良い。
のどごしは少しずつ端麗感が広がっていく。
さわ子も若いなりに様々な酒を飲んできたが、これほどのものは始めてだ。
さわ子は非常にだらしない表情をしている。
軽音部の面々にコスプレをさせている時のような…
唯(おいしそぉ…)
梓(飲んでみたい…ハッ…未成年の飲酒は…ブツブツ)
管理人「ゴクッ…」
その場の全員は、さわ子の表情で、どのような味なのかを理解した。
管理人「…」
管理人はかなりいける口だ。
このままここに居ては絶対に、口にしてしまうだろう。
管理人「すいません斎藤さん!あとよろしくお願いします!」
そう言うと、懐中電灯と○○地区自警団と刺繍された薄手のベストを手に取り、
玄関のほうへ出て行ってしまった。
さわ子「ほわわぁぁぁ…///」
さわ子「極楽に片足つっこんでるようだわ…」
律「う、うまそう…」
聡「ねえちゃん…オレも飲みたい…」
澪「こらっ…聡まで…」
サウルウァの醸す薫香は、より強く居間に立ち込める。
紬「うぐっ…」
紬は吐き気が強くなり堪え難くなっていく。
斎藤「お嬢様!」
斎藤もこの薫りに強く魅き寄せられるが、紬への忠誠心が勝る。
斎藤「山中先生、私はお嬢様を寝室にお連れしますので…」
さわ子「あっ!了解でーす!」
さわ子は斎藤にそう答える。
紬と斎藤が消えたあとも、それを意に介さぬように、さわ子は酒を飲み続ける。
さわ子「これがあるなら当分彼氏いらないわ…」
唯「じゅるり…」
律「う~…」
和「一杯くらいなら…」
澪「そう…だな…」
梓「和せんぱいまで…ゴクッ…」
唯「さわちゃん!ちょっと頂戴!」
唯は傍らの湯飲み茶碗のお茶を一気に煽ると、
空になったそれをさわ子に突き出す。
さわ子「ゆいちゃーん、未成年は…」
さわ子「まっいいか、今日ぐらい。」
そういうとさわ子は両手で一升瓶を持って、唯の湯飲み茶碗に蕎麦焼酎をついでやる。
唯の湯飲み茶碗のなかで焼酎が、なみなみと揺れている。
唯はそれを口に持っていき流し込む。
※未成年の飲酒は法令等で禁止されています。
未成年の飲酒は心身に重篤な悪影響をもたらす恐れがあるので
絶対に止めましょう。
唯の口の中に得も言われぬ香味が広がる。
唯「おっおいすぃぃぃ!!!」
梓「もう我慢できない!先生わたしもっ!」
律「ちょうだいっ!」
憂「一杯ください…///」
さわ子はその場の全員についでやる。
律「かぁーっ…ウマい!」
澪「すごくおいしい…」
梓「お父さんこういうの毎日飲んでるんだ…ずるい…」
聡「うまっ!」
和「先生ももう一献どうぞ♪」
さわ子「サンキュー!」
居間の面々はどんどん酒を飲んでいく。
けれどその割には、一升瓶の減りが遅い。
律「あっカラオケあるぜ!やろうやろう!」
さわ子「いいわねぇ♪歌本見せてー!」
憂「ひっく。」
梓「きもちい~!」
唯「おいしい…」
唯は思う。
アヴェスターにある、神に捧げる霊酒『ハオマ』とは
まさにこのようなものだったのではないかと。
神々を羨ましく思う。
そこで唯の意識は途絶えた。
最終更新:2012年09月23日 00:17