月曜日夜平沢家

憂「お姉ちゃん…梓ちゃん、何かあったか知ってる?」

唯「あずにゃんどうかしたの?」

憂「今日は1日中落ち込んでて…
  話しかけても気付いてないみたいだし、
  部活も休んじゃってたし…」

唯「う~ん…これが、非常に難しい問題が発生してる訳ですよ…」

憂「え!?梓ちゃん何か問題があったの?
  何があったの?私、梓ちゃんの力になりたいから、
  何かあったなら教えて!お姉ちゃん!!」

唯「う~ん…まだ憂が力になるのはちょっと早いと思うから…
  今は、待ってあげて。
  きっといつか、あずにゃんにも、聡くんにもいいようになるはずだから、
  悪いけど、それまでは待っててもらえないかな?」

憂(聡くん?律さんの弟さんだっけ?)
 「うん…お姉ちゃんがそういうなら…私、待つ。」



結局…そのまま2週間ほど経って、梓ちゃんは表面的にはだいぶ明るくなって来ました。

でも、時々一人でふっ、と考え事をして辛そうな顔を見せるときがあります。


律「中野梓はいるか!?」

澪「だから後輩の教室で大声を出すなっての!(げんこつ」

憂「律さん!澪さん!」

梓「あの…私…先輩たちに話せること…ありませんから!!」

憂「あ!梓ちゃん!なんで逃げるの!?」

律「甘いな梓!
  そっちには伏兵を潜ませてあるんだ!!」

紬「ごめんなさいね、梓ちゃん。
  ちょっとお話しするだけだから。」

梓「嫌だ!離してください!う゛ー!!」

律「別にとって食おうって訳じゃないんだ。
  ただ、最近梓、私たち…特に私のこと避けてるだろ?
  だから少し、話をしたかっただけなんだ。」

梓「私、別に先輩に話すことなんてないです。
  私は思ったことを言っただけで、悪いことをしたつもりはないです!」

紬「じゃあ、なんでそんなに苦しそうな顔してるの?」

梓「生まれつきです!」

澪「別に私たちは梓に無理に聡と付き合ってくれって言いたい訳じゃないんだ。
  ただ…あいつは、あれで、結構真面目というか…いい奴だからさ…」

律「だから、断るのでもいい!
  とにかく一度聡とちゃんと話して答えを出してほしいんだ!
  頼む!梓!!」

梓「そんな…そんな風に頭を下げないでください…
  あの…私も…先輩たちを避けてたのは謝ります…ごめんなさい!!」

律「じゃあ…!?」

梓「あの…律先輩。
  私も律先輩に聞きたいことがあります。」

律「なんだ!?
  私に応えられることならなんでも答えるぞ!」

梓「あの…聡くん…最近ギターは練習してますか?
  あの…自惚れだったらごめんなさい!
  聡くんがギターを始めたのって…その…本当はギターが好きだった訳でもないのに
  私に合わせて、始めたのかな…って思って…」

律「いや…初めは、あいつは単純にギターをやりたくて始めたんだと思う。
  それを私たちが勝手に勘違いして…その…おぜん立てしちゃって…」

梓「じゃあ…聡くんはギターを好きになってくれたんですか?」

律「あぁ…でも…あれ以降…何度か部屋で、一人で練習してるのが聞こえてきたけど
  ここ数日は…
  以前はそれこそ毎日練習してたのに…」

梓「じゃあ…もしかしたら、ギターのこと好きじゃなくなっちゃったのかな…私のせいで…」

澪「梓!」

律「そんなんじゃない!
  ただ…一人で、先生もなしだと、どうやっていいのか分からなくて
  壁にぶつかって、苦しんでるみたいなんだ…」

梓「やっぱり私のせいじゃないですか…
  私が聡くんに教えてあげられないから…」

律「いや、本当にそんなつもりはなかったんだ!
  気を悪くしたんなら謝るから…勘弁してくれ!!」

梓「いえ…私の方こそ取り乱してしまって…
  約束ですし、一度…すぐにとはいかないですけど
  自分の気持ちに整理がついたら聡くんと直接会って、
  話をしたいと思います…」

律「ありがとう、梓。」

梓「だから、そんな頭を下げないでくださいよ、律先輩!」

紬「じゃあとりあえず、私たちは、仲直りね。」




今日は日曜日…

ここしばらくはずっと聡くんとギターの練習をしてた…

律先輩は聡くんが壁にぶつかってるって言ってたけど、

どんな壁にぶつかってるんだろう?

私が上げたテキストは順番通りにやってるんだろうか?

これまで私が教えた課題は全部こなしてるだろうか?

いつもみたいに楽しそうに練習してるのだろうか?

…それはできる訳ないか…

どんなことを考えて練習してるんだろう?

壁にぶつかってギターを嫌いになってしまわないだろうか?


どうやら私は今、聡くんがどうしているか、すごく気になってるみたいだ…



梓「律先輩!聡くんはいますか!?」

律「梓…わざわざ来てくれたんだ…
  でも…聡の奴、こんな時に友達と遊びに行ってて…
  ちょっと携帯にかけてみる。話すか?」

梓「いえ!直接会って話します!
  どこにいるかだけ教えてください!!」

律「えっと…商店街のゲーセンにいるみたいだ!」

梓「ありがとうございます!!」

律「商店街の方向わかるのか!?」

梓「……ごめんなさい…教えてください…」

律「聡がいつも行くゲーセンは、こっちだ!
  ここだ、ここに友達と遊びに来てるはずだ!」

梓「ありがとうございます!
  あ…聡くん!!」


そこにはゲームで遊ぶ聡くんがいた。

笑ってる…笑ってるけど…私の知ってる聡くんはそんなつまらなさそうな笑い方なんてしなかった。

出来ないこともあるけど、新しいことが一つできるようにあるたびに

瞳を輝かせて、本当に嬉しそうに笑ってた。

なんでそんなに…生気のない笑い方するの?

今が楽しいんじゃないの?

ゲームが好きだから、ギターの練習もサボって遊びに来てるんじゃないの?

律先輩は練習はサボってばっかりだけど、いつも楽しそうに笑ってた。

なのに、聡くんはなんでそんなつまらなさそうに笑ってるの?


全身の毛穴が開いたような気がする。

こうなると私は、自分でも止められなくなっちゃうんだ…




 「 田 井 中 聡 ― っ ! ! 」



気付いた時には大声が出ていた。

「あ…梓さん…?」

「誰?」

「田井中の知り合い?」

ゲーセンの喧騒が一瞬静まる。


「今の聡くんは楽しいの!?

ここでゲームをすることが!

なのになんでそんなつまらなさそうな顔してるの!?

ギターは…もう好きじゃなくなったの!?」


「………」

「ギターは、好きです!今でも!

でも…俺一人ではやっぱりダメです…

俺にはギターを教えてくれる人がいないと…俺はダメなんです!」


「甘ったれるなー!

好きなんでしょ!好きならなんであきらめるの!?

好きならちょっと一回くらいうまくいかなくて食い違いがあってもあきらめられないよ!?

初めから、ダメなんだからとあきらめるくらいなら、好きとか言うなー!!」


「……俺は…

俺は今でも好きです!!

あきらめてなんかいません!

その為にはもっともっと梓さんに付き合ってもらわないといけないんです!

でも、俺、中学生だから…子供だからって諦めてました!!

でもやっぱり、あきらめられません!

好きなんです!!

俺と!付き合ってください!!」


「~~~~~!!

じゃあ、私は聡くんと付き合います!

だから、ずっと好きでいて!!

ずっとあきらめないで、私と一緒に歩いて行って!!」


「ありがとうございます!!」




『おぉぉぉぉぉ』

ゲームセンター内に歓声が上がり

続いて拍手が巻き起こる。

澪「おい律!これ、どういうことだ!?」

律「澪!?いや…梓が聡と直接話したいというから案内してきたんだけど…」

紬「なんだか、すごいことになっちゃった!」

唯「むぎちゃん、その割には嬉しそうだよ?」

紬「そういう唯ちゃんだって…」

唯「りっちゃんも澪ちゃんも、笑ってる
  あ、あずにゃんと聡くんはゆでダコみたいに真っ赤になって
  周りの人から冷やかされてる。
  あれみんな友達なのかな?」

律「いや~どう考えても見ず知らずの人ばっかりだよ。
  でも…みんな歓迎してくれてるんだよ。」

澪「全く何やってるんだか…
  まぁ、収まるところに収まったんなら、それでいいのかもしれないけど。」




―――その後

「田井中~今日は“梓さん”とは一緒じゃないのかよ?」

聡「ギターの練習は学校が終わってから!
  だからそれまで会えないんだよ!」

律「すっかり人気者だね―」

聡「ま…まぁ…」

澪「あんな大勢の前で告白したんじゃあ、
  このあたりの人はもう、みんな知ってるんじゃないか?」ww

聡「勘弁してよ…澪姉…」



梓「~♪」

憂「ねえ梓ちゃん。」

梓「どうしたの?」

憂「聡くんと付き合うことになったの?」

梓「ぶっ!?
  …なんで知ってるの!?
  唯先輩から聞いたの?」

憂「ううん。
  クラスの子が梓ちゃんが聡くんに告白されたところに居合わせたらしくって、
  その話題で持ちきりだよ!」

梓「…(//////」

憂「真っ赤になっちゃった。
  うん。いいと思うよ。
  私は聡くんのことよく知らないけど、
  今の梓ちゃん、とっても幸せそうだもん。」



結局、私たちの周りの人、殆どに私と聡くんが付き合ってるって知られちゃったみたいです。

お父さんやお母さんもどこから聞いたのかそのことを知っていて

家に帰ってからも冷やかされっぱなしです。

おかげで、私たちはどこに行っても一緒にいても

みんなに祝福してもらえます。

でも、私と聡くんが並んで歩いてるのを見て

「お人形さんみたいでお似合いね」って言うのはダメです。

私は聡くんのギターの先生で高校生で、お姉さんなんですから!

多分、聡くんはすぐに身長も伸びて私を追い越しちゃうでしょう。

もしかしたらギターの腕も?

でも、その時は、これまで私が先生でお姉さんとして支えてきたけど

今度は聡くんに支えて貰って、二人で頑張っていけると思います。

みなさん、祝福してくださって、ありがとうございます。



                                       ~ F i n ~




141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/22(火) 01:44:48.11 ID:kruTBv7n0

お付き合いくださいましてありがとうございました。

途中連投関係で投下忘れもありながら、何とか完結させることが出来ました。

帰る途中に告白シーンだけ思い浮かんでどうやったらそこまで持ってけるかな―…って
酔った勢いで始めたはいいんですが、
これ…どう見てもあずにゃんはそんなこと言わない!…ですよね(苦笑)

ずっと書きながらなので投下もくたびれましたが
お付き合いいただきありがとうございました。





おまけ

澪「この間久々に聡に会ったんだけど
  ずいぶんでかくなってたな。」

律「もう190に届こうという位だからな。
  中学の頃は私よりも背が低かったのに。」

梓「そのことで…ちょっと相談があるんです…」

紬「どうしたの?」

梓「あの…すごくはずかしいんですが…」

唯「どうしたの?あずにゃん!」

梓「キスをするとき背が届かなくて困ってるんです!
  彼の方からはできるのに私の方からは届かなくて!」

一同「勝手にやっとれ!」