おじさん「……」
おじさん(あの頃は楽しかったなぁ……)
おじさん(あいつ元気にやってるのかな)
おじさん(今会ったら……あいつに怒られるよなあ)
おじさん(ENKOなんかして……)
澪「おじさん? もうダンジョンの出口だけど……」
おじさん「ああごめんごめん」
澪「……あれ? 画面が暗くなった」
セシル「なんだ?」
ゴルベーザ「カイン……帰って来い、カイン……」
澪「えっこれって」
おじさん「カインをもう一度操ろうとしているんだ!」
セシル「カイン!」
ローザ「しっかりして!」
カイン「だいじょうぶだ……」
澪「カイン……!」
澪(そうだよ、もうカインは操られたりしない!)
カイン「おれは しょうきに もどった!」
ドカッ!
セシル「うっ!」
クリスタルを うばわれた!
澪「カイーーーン!?」
――――
おじさん「あちゃー今日も時間かぁ」
澪「はは、カインが……」
おじさん「澪ちゃんカイン好きだねえ。僕もカイン好きなんだよ」
澪「でもまさか2度も裏切るなんて……」
おじさん「そこがカインだよねえ」
澪「うう……」
おじさん「それじゃあまた明日ね♪」
澪「はい」
数日後
澪「今日はなんとかカインの目を覚ませてあげたい」
澪「……」
澪(私、早くゲームがしたいって思ってる……おじさんと一緒なのに)
澪(おじさんが悪い人じゃないってわかるけど、それでも元はえ、えっちな事をするために集まってるんだよな)
澪(なのに私は何やってるんだろう……でも……)
おじさん「澪ちゃーん!」
澪「どうも」
ラブホ内
おじさん「ちょっと時間遅いけど平気?」
澪「はい」
おじさん「いやー今日も暑くて汗だくだよ。先にシャワー浴びてくるね」
澪「それじゃあ私レベル上げしてます」
おじさん「よろしくー」
シャワアアアア……
澪「カインがいなくなっちゃったからパーティの攻撃力が弱い……カイン……」
澪「まさかまた裏切るなんて……いきなりだったもんな」
澪「……あ、れ?」
ガチャ
おじさん「ふぅ」
澪「あれ? あれ?」
おじさん「どうしたの?」
澪「※ディフェンダーが無くなってる……」
おじさん「え……」
※ディフェンダー:剣、高い攻撃力に加え装備すると防御力がアップする。その上アイテムとしても使用可能で○プロテスの効果がある。非売品。
○プロテス:白魔法、防御力が上がる。
澪「ももももしかして別のお客さんがプレイして※ディフェンダーを、こ、コ、ココラッシュ、しゅて、捨てちゃったとか……?」ガクガク
おじさん「そんなまさか……あっ! そういえばディフェンダーはカインに装備させてた……」
澪「ああっ!? ど、どうしよう……」
おじさん「残念だけど、再開する時には別の装備をつけてるよ。つまりディフェンダーはもう……」
澪「そんな……苦労して強敵を倒してようやくゲットしたのに……」
おじさん「おまけにディフェンダーより弱い武器を持って帰ってくるんだ……」
澪「……」
おじさん「……」
※ディフェンダー:剣、カインの装備可能武器で2番目に攻撃力が高く、最強武器よりも命中率と防御力アップの面で優れる。また、最強武器との攻撃力差は殆どない。
澪「……」
おじさん「……そういえば。僕も最初にプレイした時にカインにディフェンダーを取られちゃったんだ」
おじさん「装備を外すのすっかり忘れていたよ」
澪「……」
おじさん「ははは……」
澪「……っぷ」
おじさん「ははっ」
澪「あはははっ」
おじさん「はっはっはっ」
澪「ぷふ、ふふふ……あははははっ!」
――――
澪「まさかゴルベーザがセシルのお兄さんで、ゴルベーザ自体も操られていただけだったなんて」
澪「てっきりラスボスだと思っていたのに。だけどこれでカインも正気に……」
カイン「やっと、自分の心を取り戻す事が出来た……今更許してくれとは言わんが……」
澪「カイン……また操られたり……しないよな?」
カイン「……その時は遠慮なく俺を斬るがいい!」
澪「……やっぱりかっこいいよ、カイン」
――――
澪「ついにラストダンジョン手前まできましたね」
おじさん「ディフェンダーはなくなっちゃったけどね」
澪「……」
おじさん「……」
澪「くすっ」
おじさん「(笑)」
おじさん「ラストダンジョンは結構大変だった記憶があるなあ」
澪「そうなんですか。夏休み中にクリア出来るかな」
おじさん「8月ももうすぐ終わりだもんね。澪ちゃん勉強とか大丈夫なの? ……って僕がいつも誘ってるんだけどね」
澪「勉強は普段からしてるし夏期講習にも行っているので。でも学校が始まったら忙しくなるかも……」
おじさん「そっかー。それじゃあもう会えないかな」
澪「あ……」
おじさん「変なこと聞くようだけどさ、澪ちゃんて僕以外の人とENKOした事あるの?」
澪「ふぇっ!? な、ないですっ!」
おじさん「やっぱり。そんなことするような子に見えないし、話してると余計にそう思ったよ」
澪「え?」
おじさん「おじさんから誘っておいてあれだけど、今日でもう会うのやめようか」
澪「え……」
おじさん「僕も思い出したっていうか、しょうきにもどったっていうか」
おじさん「このゲームやってたら色々とね……」
おじさん「僕はただ話し相手が欲しかっただけなのかもしれない。寂しかったのかな、はは……」
おじさん「それで今日まで拒否しない君に甘えてた……かな。僕もカインと一緒さ、なんちゃって(笑)」
澪「おじさん……」
おじさん「ただし彼は恥を知る男だ。僕も見習わなくちゃいけない」
おじさん「結局お金も澪ちゃんがいらないって言うからあげてないけど、やっぱり迷惑かけた分だけでも」
澪「……ぁ、あのっ!」
おじさん「ん?」
澪「……まだ、クリアしてないじゃないですか」
おじさん「えっ?」
澪「ここまでプレイしてクリアしないなんて、嫌ですよ……」
澪(あれ何言ってるんだ私)
澪「私、夏休みであと1日空いてる時間がありますから、だから」
おじさん「でも1日じゃあクリアは難しいよ」
澪「……ひ、ひっ、ひと晩でも、ですか?」
おじさん「み、澪ちゃん……。わかった、それじゃあもう一日だけおじさんに付き合ってもらおうかな」
おじさん「何だかんだ言っておじさんもFF4が好きだからね」
最終更新:2012年09月11日 08:19