唯「よっしゃー!
  これで完璧なはずだよ、えいしゃおらぁー!!」ガチャコン!

梓「……もう、何も言うまいですよ」

律「梓もこれで一歩、真の軽音部に近づいたわけだ。喜べ」

梓「何ですか、真のって…。
  そんなの近づきたくありませんよ。それじゃ、電源付けますよ」ポチッ

唯「あれれー?あずにゃん、今度は青一色だよ」

律「うーん、おっかしいな。 本体も逆さにしてみるか?」

唯「なるほど! 了解だよ、律っちゃん、私に任せて!」グイッ

梓「………せいっ!」ブン

スパコーン!

唯「はふぅん! な、なに…あずにゃん。上靴で叩かないでよぉ」

律「またさらに一歩…。末恐ろしい部員だぜ」


梓「いちいちツッコんでたらキリがないんで。
  とにかく逆さに振るのはダメです。今度こそ壊れちゃうでしょ」

唯「えー。でもそれじゃどうすればいいのさ、あずにゃん」

梓「…あ、そだそだ」ポンッ

律「ん? どうしたんだ梓。何か閃いたのか」

梓「いえ、閃いたっていうか。
  純のウチでやってた時に、カセットに息をフーフーしてたような気が…」

唯「フーフー? おかしな佐々木さんだね。
  カセットにフーフーしなくても別に熱くないのに」

梓「鈴木ですよ。いや…でも今思えば、あの息をフーフーって…」

律「そ、そうか!? そうだよ梓! 佐々木の方法を使えばいいんだよ!」

梓「鈴木ですよ! まさか、純の方法って、カセットに息を吹きかける事により…」

律「あぁ、そのまさかだ! 息を吹きかける事により…」

唯「…え? どうしたのさ二人とも!?」


律・梓「口から噴出す風圧で、
    本体に触れることなく接続部のホコリを取り除けるんだ(です)よっ!!」



唯「な、なんてだい!?
  そうだよ、それなら本体もカセットも振動を与えて壊す恐れがないよ!」

梓「いやいや…、純に助けられたよ。
  まさか、あの無意味に思える行動にも重要な意味があるなんて」

律「あぁ、まったくだぜ。
  でも、その些細な行動をしっかり記憶していた梓もたいしたもんだ」

梓「ふふっ、おだてても何も出ませんよ」

律「私は本当の事を言ったまでさ…」

唯「な、なんだかズルイよ!
  私も褒めてよ律っちゃん! んじゃ私がこの本体にフー…」

サッ!

梓「……なんだか嫌な予感がするので私がやります」

唯「ぶーぶー。あずにゃんの才能に嫉妬しちゃうよ!」

梓「なんの才能ですか…。それじゃいきますね…せーのーっと」スーーッ…

フーフー


律「よし、それじゃスイッチを入れるぜ。覚悟はいいか二人とも…」

唯「うん。任せたよ律っちゃん、これできっと映るはずだよ!」

律「よいっしょっと…!」ポチッ

ブォォォォォン……!

梓「あ、凄い。本当に映りましたね。……あれ?」

唯「凄いよあずにゃん! カラーだよ、色がいっぱい付いてるよ!
  カラー一杯だよ……、でも。
  …なんの統一性もなくメチャクチャに並んでるだけにしか見えなくて、
  目がチカチカするよぉぉぉ!!?」ゴロゴロゴロ!

梓「ちょっと、映っただけで、
  どれだけテンション上がってるんですか!? 落ち着いて下さいよ!」

律「うーん…。映ったはいいけど、どう見てもゲームが出来るような画面じゃないよな」

梓「そうですね。私が見たのはもっと綺麗で、タイトル画面が表示されてたんですよ」

唯「目がぁぁ! 目がチカチカするよぅ!」ゴロゴロ

梓「うーん…、でも一応、
  画面が映ったんだから前進はしてるんですよね」

律「そうだな。吹き込みが足りなくて、
  まだ端子にホコリが残ってるのかもしれないな」

唯「ふ……ふふ…。そ、そういう事なんだ…ね。ぜぇ…ぜぇ…」フラフラ

梓「少しは落ち着きましたか?
  唯センパイ、ほらお茶でも飲んで下さいよ」サッ

唯「ありがとうあずにゃん…!
  でも、その原因はあずにゃんだったんだよ…ゴギュゴギュ」

梓「わ、わたしですか…? どういう事なんですか」

唯「あずにゃんのその小さな身体じゃ…ゴギュゴ……ブッパンー!!」ビチャチャ

梓「あ、コラっ!! 飲みながら喋るからそうなるんですよ、もうっ!!」

律「ヤバイ、ファミコンに掛かったら一発で壊れちまうぜ!
  梓、はやく雑巾とか拭くものを!」

梓「は、はいぃぃ!」ダッ



唯「ゲッポ…ゲッポン…。
  あずにゃんや…、モノを飲みながら喋ると危ないね」フキフキ

梓「知ってますよ! それで、さっきは何を言いかけたんですか」フキフキ

唯「そうそう、それだよ!
  あずにゃんの小さな身体じゃきっと肺活量が足りなかったんだよ!」

律「なるほど、それは一理あるかもな。
  小さい風圧でいくら長い間吹きかけても、取れないホコリはあるもんな」

梓「だったら……、一気に全てを吹き飛ばすほどの風圧が必要って事ですか」

唯「そう! その通りなんだよ! あずにゃんはついてるねぇ、
  ここにはあずにゃんのより年上のセンパイがいるんだから!」グイッ

梓「まぁ、それは否定できませんね…。
  中身はともかく、外見なら唯センパイの方が大きいですから」

唯「そういう事なんだよ! というわけで次は私が吹くよ。いいよね律っちゃん!」ビッ

律「ん? いいぜ、私と唯は年齢一緒だし、どっちがやって同じだよ」

唯「よーしぃ! それじゃ二人とも待っててね! 準備してくるからさ!!」ダッ

バッタン!

タッタッタッタッタ……

梓「え!? あ、ちょっと。どこ行くんですか唯センパイ!!」

律「さてさて、んじゃちょっと休憩でもするか。飴食うか? 飴」

梓「な、なんなんですかその落ち着きようは…?
  どっか行っちゃいましたよ唯先輩!」

律「まー、別に今に始まった事じゃないからなぁ。お前もいずれ慣れるさ」

梓「慣れたくないですよ…。ま、別にそんな唯も嫌いじゃないけどけど……」

律「だったら大丈夫だ。
  あれだけ振り回されてそんな事言えるんなら、また一歩近づいたわけだ」

梓「真の軽音部ですか…? 完全に私の理解の範疇を超えてますよ」

律「いずれ分かるさ…。ほら、飴食え、飴」ヒョイ

梓「まったくもう…」モシャモシャ



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