「……い…いや……」

「………」

無言のまま、あたしを睨み付けてくる

表情も………怖い……

押さえつけられた左手も力が込められて痛い……

なんなの……?


「痛………!?」

なんとなく、お嬢様の顔があたしの顔に向かって近づいてる感じが………


「いや……ちょっとまって……」

ザッ!

右手でお嬢様の顔を押し退けようとしたが、一瞬にしてお嬢様の左手に抑えられ…………

ギシッ


え?

ちょっと?

え?

これ、ヤバいんじゃない?

これ、さっきまでの雰囲気と違う………


マジだ……

お嬢様………マジだ!!





「痛い……手が痛いです…………お姉様………」



「………アニスちゃん………かわいい……………」


怖い………

怖い怖い怖い………



「アニスちゃん……」

「……え……?」


また、目が近寄ってくる


いや……

その目は………嫌だ……

怖い……


「いや………あ………いや……嫌!嫌だ!嫌だって!ちょ!!あ!」


「………静かに……」


「あ………」


黙ってしまった……

いや、黙らされた……

口を封じられた……

お嬢様の………唇で……



ただ塞がれてるだけじゃない………

入ってくる……入れらるてる…………

舌が……


「…んん………ふぇ………んくぅ……」


あ………また胸……触られてる………

手がいつの間にか解放されてる………

でも、もういいや……

なんか、もういいや……


「むぐぅ………………ふぁ………ひぃ!?」



え?
なに?
どこ触られたの?

あ………

スカートの中………


あ………

「え………い……や、やだ……いや……だめ…あ…」


「……大丈夫だから…」


あ……いや………いや!

ダメ!

そこは、まだ早い!

あたし、そんなの……


や、だめ!!

なんかくる……

頭が…………


「あ……だめ………もう………だめ………!!」


いや!!

………あ……


なんか………凄く気持ちいい………


スッキリする…………



「……はうぅ………」


あ………なんか………

濡れてる……


「あらあら………。
凄い事になってますね……」

「……え?
……………ぇえ!?」



え!?

やだっ!!

濡らしてる!

ドロワやスカートや布団が………


「!?……あ、あ……」

「予想以上にかわいらしかったので……………つい。でも、気持ち良かったんですね……」


「ふぁ……ふぁあああ~!!!」


「え?あの………アニスちゃん……?」


「お姉様のバカぁ!アニス、怖かった!!なんでこんな事するのぉ!?」

「……………。」


ギュッ


「ふわぁあっ!?……」

「かわいかったから………アニスちゃんが……」


だからって、抱きしめて済まそうたってそうはいかないわ………

アニスちゃんにこんなに恥をかかして……

でも、完全な嘘泣きじゃない……

お嬢様の顔はマジで怖かったし………

それが元に戻った安堵感やら緊張の糸が切れて、ドバッと涙が溢れてきた……



「それに………お姉さんだから、多少は強引にしなきゃ……って思って……」


「………ぐすん……お嬢様の姉妹に関する概念はおかしすぎます……」


「ごめんなさい……」


「…………もう寝むりたいです!」

「分かったわ。もう何もしないから………」

「………え?この布団を使うんですか?」

「え?何か問題でも?」

「いや………あたしが濡らしちゃったし……」


「私はむしろ、アニスちゃんの匂いが染み付いてて、寝心地が良くなったと思うんですけど………」



この人………

やっぱり頭オカしい!!


……………さて

昨晩、あたしは熟睡していた

なんか寝る前に冷や汗を掻き過ぎたせいか、ぐっすり寝れた……

この人の横で……

「…………zzz」

気持ち良さそうにすやすや寝てるし……

あたしが寝ている間に何かしてたんじゃ………



でも、寝顔はかわいい………

癒される………

昨日、あんな雌豹だったとは思えない……



あれ?

………なんか下の方がむずむず………


「………はぅあ!?」


しまったぁあああ!!!

マジでこの布団で寝てたのかぁ!?

あ!!
しかもまだ濡れたまんまの服まで着てるし!

ドロワとか、肌触りがぬめってしてめっちゃ気持ち悪い!!


「んにゃああああ!!!」

絶叫の中、あたしは布団を飛び出す……

服を脱ぎ捨て、昨日お嬢様の持ってきた服の中から別の服を選んで着た……


「うへへ……あたしってばマジでかわいい~♪」

鏡にうつる自分の姿に酔いしれる事30分……

………だって、

ホントにアニスちゃんってばかわいいんだもん♪



「……う~ん……」

「はがっ!?………」

ベッドから声が………



………寝返りをうっただけのようだ………


今の内だ!!

早くここから逃げないと!

アニスちゃんの体は将来アニスちゃんを(金銭的な意味で)幸せにしてくれる運命の王子様のものなんだから!!!

こんな女が夜な夜な自分の不埒な欲求を満たす為に使われる玩具なんかじゃないんだからね!!


…………ちょっと小腹が…………

あ、昨日料理した時、材料がまだいっぱい余ってたような………



なんか食べていこか……

ん?

「うわっ。なんか、この場に似合わない写真立て……。安っぽ……」


なんで広いのリビングのこんな目立つところに……


あ、お嬢様
……と同じ服をした他の女が4人……

制服?軍服?……あ、学生服なのかな?


でも、お嬢様以外は幸薄そうなのばっか……

こいつなんてアホまるだしの面してる……

このカチューシャは……なんか意地汚そう……

こっちの背の高いのはカッコよさそうなのに、なんでこんな恥ずかしそうな顔してんの?写真が恥ずかしい?……実はシャイ?

………んでこいつはダメだ!黒髪ツインで童顔!?
アニスちゃんとキャラかぶりを狙ってんの!?

まぁ、どうせアニスちゃんの方が、若くてピチピチですよぉ~だ!



でも………お嬢様は幸せそうな顔してるな……

でも、なんか板を叩いてるように見える?
白黒白黒……ピアノ?




………って、こんな事してる場合じゃない!!

さっさと何か食べ物……




ふと、あたしは思いだしてしまった

昨日、料理を美味しそうに食べていたお嬢様の顔を…………


「…………」


と、いうわけで

アニスちゃん特製シチュー完成~♪


………なんでこんな時に本格クッキングを……

でもでも~
キッチンに立って豊富な食材を目にしたら、どうしても腕をふるいたくなるのが乙女の性~、て感じ~?


………一応……お嬢様の分も作っておいた

だって……ほら
一晩こんな豪邸に泊めてくれたわけだし………

でも、昨晩ベッドの中で体で払わされたような…

むしろ、おつりをよこせ!


「あらあら、かわいいエプロン姿ね~。朝からいいものを見せてもらいましたわ。」


「でっしょ~。アニスちゃんは何を着てもかわ……」



はぅあ!?

お嬢様が起きてきた!!

しまった!
絶体絶命!!



「はわわわ………。お早うございます……お姉様…」


「いい匂いです~。朝ご飯。作ってくれてたんですね~。」

「あ、がぁっ……は、はい!そりゃもー、お姉様の為に心を込めて作りました!!」


「あらあら。では、早速いただこうかしら?」



あう~

イオン様、あたし何かいけない事をしたんでしょうか?

もう、あたしには救いはないのでしょうか?



「朝起きたら手料理を作ってくれるなんて……
アニスちゃんはお嫁さんみたいですね?」

「あは、あははは……」


「あら、おいしい。すごくおいしいですわ!」

「………はい。ありがとうございます……」


眠り薬でも入れとけば、隙を作れて逃げれたかもなのに………

……い、いや!

何を言ってるの!?

今日こそ、お金持ちのお父様にあたしを紹介してもらわないと!
もう親族やらなんでもいい!!
あたしは!その為に昨晩だって……!


「ホント、アニスちゃん。本当にお嫁さんになってくれたら、いいですのに…」


「へ?……え!?ホントですか!?」

え?何々!?

あたしを誰かに紹介してくれるの!?


「…私の……かわいいお嫁さんにしちゃいたいです……」


「………はい?」


………はぁ……

なんだ冗談か……

そりゃあんたが男だったら

ベッドの中で既成事実になってるんだから
脅してでも 婚約に持ち込ませるわよ!


「無理ですよ~。お姉様は女の子なんですよぉ~?お嫁さんになる側ですぅ~。」

「あら?でも……、確か同性婚ってものがヨーロッパにはあると聞いたのですが………」


「どーせい?」


「おなじ性別同士の結婚でも、法的に認める………というものです。」




……………ん?


何?


あたしの中に何かが走った………


「…………それって、つまり財産も共有するんですか!?」

「?……ええ。法的には婚姻となるので………」




あたしが玉の輿を狙う理由………

お金の為!
お父さんやお母さんを楽にするため!
自分のため!

その為にならキチガイペドロリ伯爵や野蛮国の鬼畜王、箱入り馬鹿お坊っちゃん、言ってしまえば大佐とでも結婚する覚悟があった………


あたしの、オールドランドでは同性の婚姻なんて、法的にはおふざけ程度の話だった………


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