ある日



唯「みーおちゃん!おはよう!」

澪「・・・あぁ、おはよう」

唯「んー」

澪「どうした?」

唯「澪ちゃん、その腕のむぐっ!?」

律「おっす!唯!だーれだ!?」

唯「むっむんむむー!?(りっちゃんでしょー!?)」

律「おー?聞こえないなー?」

紬「りっちゃん、離してあげて?」

律「おぉ、ムギおはよ」

紬「おはよう」ニコッ

澪「律、そろそろ離してやれって」

律「え?」

唯「」チーン

和「なんか、唯の顔色やばいわよ?」

律「おぉっと。ごめんごめん」パッ

唯「げっほげっほ・・・りっちゃんひどいよー!」

律「和、おはよ」

和「おはよ。今日は早いのね」

唯「無視!?」

紬「朝から唯ちゃんは元気ね」ニコニコ

唯「ねぇねぇ、澪ちゃん」

澪「ん?」

唯「その腕・・・どうしたの?怪我?」

澪「・・・」

律「そういえば唯、宿題やってきたか?」

唯「ううん、りっちゃんは?」

律「お前を裏切るような真似するかよ・・・」キリッ

唯「りっちゃん・・・!!」

和「あんた達・・・」

澪「どうしょうもないな」


・・・

・・・


昼休み



唯「ねぇ」

律「どうした?」

唯「なんで澪ちゃんの腕のこと教えてくれないの?」

律「・・・そんなに気になるなら澪に聞けよ」

紬「私も、実はずっと気になってたの」

澪「・・・」

唯「ねぇ、澪ちゃん」

澪「この能力で、もう・・・誰も傷つけたくないんだ」

唯「」

紬「あ、唯ちゃんのお弁当美味しそうね」

唯「うん、憂が作ってくれたんだー」

澪「無視か」

律「そりゃ今のは無視したくなる」

澪「そうか・・・でも、よかった」ボソッ

律「・・・」

唯「ねぇ、りっちゃんも今日はお弁当?」

律「あぁ、なんてったって早起きしたからな!・・・母さんが!」

唯「そうなんだ、珍しいね!」

律「うるせー!」


・・・

・・・


放課後



梓「・・・」ジー

唯「あずにゃん?」

梓「・・・」ハッ

唯「どうしたの?」

梓「え、えっと・・・澪先輩、その腕」

唯「あずにゃんのケーキ食べていい?」

梓「駄目ですよ!いきなりなんてこと言ってるんですか!」

唯「えへへー」

律「お前らイチャつくなよ」

唯「うん、ごめんね」エヘヘ

紬「否定しないんだ」タラー

澪「ムギ、鼻血拭こうな」

梓「私は否定させてもらいますけどね」

唯「あずにゃんひどいよ!」

梓「ひどくないです、当然です」

唯「えー」

紬「いいのよ、自分に嘘をつかなくても」ニコニコ

梓「嘘じゃないです!」

澪「なぁ」ボソッ

律「ん?」

澪「あれも?」

律「あれ・・・?」

澪「あぁ、今のムギの・・・」

律「あぁ・・・まさか」ハハッ

澪「・・・律って、よくわかんない」

律「悪かったな」

唯「なんの話してたの?」

律澪「え?」ギクッ

唯「あれ?今なんか話してなかった?」

律「あー、唯と梓はお似合いだなって話してたんだよ」

唯「やっぱりぃー?」

梓「律先輩、唯先輩が調子に乗るんでそういうこと言うのやめてください」

唯「えへへー、どんどん乗ってこー!」ギュー!

梓「あーもう!///」

律「私達に遠慮しなくていいからな?」

唯「うん!」

梓「むしろ私に遠慮してください!・・・っていうか」

唯「ん?」

梓「澪先輩、腕・・・」

唯紬「・・・」ギクッ

梓「怪我ですか?」

澪「・・・」

梓「先輩?」

澪「あぁ・・・梓も『見える』側の人間だったんだな・・・」

梓「はい?」

澪「この戒めのことさ。・・・ごめん、わかってたことだよな。この、軽音部に入ったときから」

梓「あの」

澪「梓にも全ての事情を話すときがきたということか・・・」

梓「さ、そろそろ練習しましょう」

紬「それがいいわ!」

澪「・・・いいな、これ」

律「他にもっとやり方はなかったのか」

澪「誰のせいだと思ってるんだよ」ボソッ

律「・・・ごめん」

澪「別に、いいよ」

律「・・・さてと、練習するか」

唯「りっちゃんまで練習って言うのー?」

律「おー?唯こそ、嫁さんが練習したいって言ってるんだから同意してやれよ」アハハ

唯「嫁!いいね!あずにゃん嫁だね!」

梓「いえ違いますけど」キッパリ

唯「私そろそろ泣いていいかな」


・・・

・・・


帰り道



律「・・・」

澪「・・・」

律「・・・ん」スッ

澪「うん・・・」スッ

ギュッ

律「手・・・」

澪「ん?」

律「冷たい」

澪「あぁ、血が足りないせいだよ」

律「え・・・マジ?」

澪「冗談だって」

律「さすがにわかりにくい」

澪「ごめん」

律「いや、謝るのは私の方だし」

澪「そんなこと・・・ない」

律「それに、今日澪に変な嘘つかせちゃったし」

澪「・・・」

律「あの能力がどうとか」

澪「わかってる。頼む、あの話はしないでくれ」

律「もう既に思い出したくない過去か」

澪「あぁ」キッパリ

律「でも、まぁ・・・」

澪「なんだ?」

律「ああ言ったお陰で、明日からは誰もその包帯について聞いてこないだろうな」

澪「あぁ、そう思ってああ言ったんだ」

律「澪ってたまに大胆だよな」

澪「大胆にもなるさ。バレたら・・・きっとお終いだ」

律「・・・」

澪「・・・」

律「ごめん」

澪「さっきも言っただろ、律は悪くないよ」

律「でも・・・!」

澪「ねぇ、りつ」グイッ

律「え?」











澪「・・・」

律「・・・」

澪「私は、後悔してないから」

律「澪、道端でキスはちょっと・・・///」

澪「駄目だったか?」

律「・・・私は、構わないけど」

澪「・・・なら、いいだろ」

律「澪がこんなことするなんて思ってなかったから、ビックリしただけだ」

澪「そうか・・・そうだな。私も自分でビックリしてる」

律「今日は早く寝ろよ」

澪「・・・そうだな、ちょっと疲れてるのかも」

律「・・・それじゃ、また明日な」

澪「あぁ。またな」


・・・

・・・


帰って来てから彼是一時間程経っただろうか。
ベッドに横たえた体を起こす気にはまだなれない。

制服が皺になってしまう。
わかってはいるけれども、どうにも体が動かなかった。
仰向けのまま左手を天井に伸ばす。

「……。」

まだ、律の手の温もりが残っているような気がして。
今度は左手から視線が離せなくなる。

「……。」

このところ、帰ってきてからはこんな風に無気力状態が続いている。
正確な原因は私にもわからない。

律のせいか。
答えはバツでもあるし、マルでもある。
少なくともきっかけは律にあると思う、でも全て律が悪いかと言われるとそうでもない。
結局、私はあの日からどこかおかしくなってしまったんだという結論に至る。
だけどおかしくなるまでの過程を考えることができない。

「…面倒だ。」

そう、面倒だった。
私は…私のことを考えるのが億劫になっていた。

「律に逢いたい。」

その言葉は届くわけもなく、私はただ包帯を巻かれた右腕をいとおしげに抱えたまま眠りに就いた。
-あぁ、なんて不恰好なんだろう
眠りに就く直前にはきっとそんな事を考えていた。



・・・

・・・


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