8月14日



紬「永遠に続く二人の関係・・・」

梓「それはどんなに幸せなことでしょう・・・」

澪「・・・」

律「・・・」

唯「ふぁあ~・・・」

紬「そういう人を見つけられたらいいわね~」

梓「そうですね~」

澪「さて、そろそろ移動したいんだけど・・・」

律「あれ、むぎと梓の会話に乗らないのか?」

澪「・・・そういうのは卒業したんだ」

律「ウソ吐くなよ」

澪「ウ、ウソじゃないぞ」

律「澪も憧れているんだろ」

澪「・・・ふんっ」

多軌「おはようございます」

澪「おはよう、ゆっくり眠れた?」

多軌「はい、ぐっすりと眠れました。澪さんはどうですか?」

澪「昨日夏目から貰った薬・・・なのかな、アレを飲んだおかげか体が軽くなったよ」

律「ソーマな。効き目バツグンだなー」

唯「・・・そなの?」

多軌「唯さんは眠たそうですね」

唯「うん・・・」ネムネム

澪「タキ、夏目は?」

多軌「そろそろ降りてくると思うんですけど」

律「えーっと、今日の予定は、とりあえず海の中道でイルカショーを見て」

澪「宇宙テーマパーク! スペースワールドだっ!」

律「今からそんなテンションで大丈夫かよ・・・」

澪「最後の観光都市なんだぞ!」

律「はいはい。むぎと梓はまだ語り合ってんのか・・・?」

多軌「?」

唯「愛についてだよ」

梓「比翼連理ですか・・・」

紬「言葉そのものといった感じだったわ」

梓「どういう意味を持っているんですか?」

紬「雄雌それぞれ目と翼が一つづつなのね」

澪「ヒィッ!」

紬「怖い話じゃないのよ、澪ちゃん」

澪「そ、そうなのか・・・?」

紬「えぇ。常に一体となって、お互いの翼で飛ぶ空想上の生き物なの。
  男女の仲が睦まじい例えよ」

澪「・・・おぉ」

梓「ふむふむ」

多軌「昨晩に出会った二人のことですね」

紬「そうなの」

多軌「憧れますよね」

律「タキは素直だな」ウンウン

澪「・・・」

律「それはそうと、どうして駅前に集合なんだよ?」

多軌「あ、えーっと・・・。待ち合わせみたいでいいかなぁと・・・」

律「またホームに戻るから二度手間なんだけども」

多軌「す、すいません・・・」

澪「?」

律「まぁ、待ち合わせって点ではいいかもな」キラン

澪「なにか企んでいるな・・・」

唯「あ、貴志くん来たよ~」

夏目「・・・お待たせしました」

律「今来たところだから、気になさらないで」

夏目「? そうですか」

律「さ、行きましょう」ウフフ

夏目「え、えっと・・・?」

レイコ「・・・わざわざ姿を変えなくてもいいだろう」ブツブツ

多軌「ニャンコ姿では色々と・・・」

レイコ「ふぅ・・・めんどうだな・・・」

律「まぁ! 夏目さんその人は誰よ!」

レイコ「む?」

夏目「?」

律「私というものがありながら・・・!」

梓「律先輩はなにをしているんですか?」

澪「小芝居だ。ヒマなんだろう」

紬「・・・なるほど」

律「夏目さんは私のものよ!」

夏目「・・・」

澪「よく顔を見ろ、姉弟以外にどう映るというんだ」

唯「貴志くん・・・」ポロッ

バサッ

梓「唯先輩までこの小芝居に・・・」

紬「観光ガイド落としたわ」ヒョイ

律「新たな女ね! どういうこと!?」

唯「どういうことなの!?」

夏目「今日も夏の空が高くて爽やかなので・・・」

澪「回答がおかしい」

律「なんてこと・・・!」

唯「夏だからってそんな・・・!」

レイコ「んー・・・!」ノビノビ

唯「今すぐ決めて欲しいよ! この三人の中から誰を選ぶの!?」

律「・・・飽きたな」

唯「そうだよ! 飽きる前に・・・え?」

律「すまん、ここからどういう展開に持っていけばいいのか分からん・・・」

唯「えー・・・」

梓「唯先輩、色々と損をしましたね」

澪「・・・」ハァ

紬「まぁ、そうなの」ニコニコ

風音「はい。楽しかったですよ」

ピノ「ピピッ」

梓「風音も揃いましたね」

澪「あとは・・・」

律「そーだ、アイツにも同じようにやってみようぜ」

唯「今度は途中で止めたらダメだよー?」

律「というか、誰を選ぶかまでだな」

唯「おっけ~」

レイコ「・・・」

夏目(・・・あ、来た)

秀輝「お待たせ~」

律「お気になさらないで」ウフフ

秀輝「・・・」

唯「秀輝くん・・・! おでこの広いその人は誰なの・・・?」ポロッ

バサッ

多軌「・・・」ヒョイ

秀輝「行こうぜ、夏目」

夏目「あぁ・・・」

律唯「「 負けたっ!? 」」

澪「小芝居だと気づいた上でスルーだ」

梓「さすがですね・・・」

紬「うふふ」

澪「似合わないぞ、律」

律「今更そのツッコミですか!!」



―――――海の中道・マリンワールド


レイコ「帰らないのか?」

秀輝「うん。・・・最終駅に着いてなにがあるわけでもないけど
   これだけは途中で降りちゃいけない気がする」

レイコ「・・・」

秀輝「ありがとな、夏目」

夏目「え?」

秀輝「誘ってくれなかったら、今日は一人でブラブラしているだけだった
   文字通り一人ぼっちだ」

夏目「・・・そうか」

秀輝「北上さんは降りてしまったけど、俺の結末は中途半端になりそうだけど、
   ここで帰るのはやっぱ違うからな」

夏目「・・・うん」

チャーララチャラ♪

レイコ「なんだ?」

秀輝「イルカショーの始まり~」

夏目「みんな、前の席に座っているけど・・・。先生は行かないのか?」

レイコ「・・・行くか、ガキじゃあるまいし」フンッ

紬「わくわく」

『みなさんこんにちは~!』

律唯紬「「「 こんにちはー! 」」」

『うふふ、最前列のお姉さん達は元気いっぱいですね~!』

律「あはは、いやいや~」テレテレ

唯「元気だよ~」テレテレ

紬「元気で~す」テレテレ

アハハハハ

澪「・・・っ」カァァ

梓「せ、先輩方・・・注目を集めてます・・・」カァァ

多軌「う・・・っ」カァァ

風音「・・・始まるんですね」ウキウキ

紬「風音さんも楽しみなのね」ウキウキ

ピノ「ピッ」

風音「はいっ! 家は木に囲まれた山でしたので、とても新鮮です!」

多軌「あっ、目の前の台にイルカが!」

梓「うわっ!」

唯「お、おぉ! 大きいよ!」

律「すっげえ」

イルカ「キュキュイ」

『みなさん、応援よろしくお願いしま~す!』

紬「頑張れ~」パチパチパチ

唯「ふぁいと~」パチパチパチ

梓「華麗に泳ぎますね」

律「見ろっ! あっちにいたと思ったらもうあっちにいる!」

澪「あっ・・・! うわ!」

多軌「凄いジャンプ力・・・!」

唯「ふぉぉ・・・!」

風音「気持ちよさそう・・・!」

ピノ「ピピッ」

レイコ「あんなにはしゃげるか」

夏目「・・・そうだよな」

秀輝「あはは」

レイコ「・・・」

夏目「すごいな、水の中を泳ぐスピード」

秀輝「広大な海の中を泳ぐと気持ちがいいだろうな」

レイコ「皮肉か?」

秀輝「いえいえ、ここにいるイルカはみんなから応援されて、飼育員のお姉さんから愛されてる。
   羨ましいだけですよ」

レイコ「クク、つまらなくなったなおまえ」

秀輝「・・・そうですか」

夏目(そういいながら面白がっているじゃないか・・・先生・・・)


――・・・


梓「海へ行きましょう」

律「なにを言い出した、この子」

多軌「どうして?」

梓「泳ぎたいから!」キラキラ

澪「ダ、ダメだぞ梓っ!」

梓「今なら・・・! こう! スイスイ泳げそうなんですよ!」

唯「気のせいだよ、あずにゃん」ポン

多軌「イルカに魅せられた少女・・・」

風音「それでは、私はこれで・・・」

ピノ『失礼しますわ』ピピッ

紬「残念ね・・・」

風音「誘ってくれてありがとうございました」ペコリ

紬「・・・うん。ゴロウちゃんによろしくね」

風音「はい」

夏目「・・・」



―――――スペースワールド


澪「おぉ・・・! おぉー!!!」キラキラキラキラ

律「さて、海に行くか」

梓「なにを言っているんですか、ここまできて」

律「・・・こんにゃろ!」グリグリ

梓「いたたた!」

唯「わたし達ね、東京の後楽園と、名古屋のスパーランドにも行ったんだよ~」

多軌「・・・そ、そうですか」

紬「あら、タキちゃん・・・もしかして」

多軌「な、なんでしょう・・・?」

澪「遊園地に来たの初めてなのか!?」キラキラ

多軌「は、はい」

秀輝「へぇー、それじゃ新鮮な体験ができて楽しめるね」

律「なんだこのポジティブは」

秀輝「今の俺はポジティブでいなくちゃいけないんだよ」

律「・・・そうだな」

秀輝「しんみりさすな」

夏目(もちろんおれも初めてなんだけど・・・)

夏目「先生は来たことある・・・わけ無いよな」

レイコ「興味ない」フンッ

多軌「ちょっと・・・ドキドキするな・・・」ドキドキ

澪「か、かわいい」キュルルルリン

梓「さ、行きましょう」

律「あっちに案内板があるぞ」

唯「楽しみだよ~」ルンルン

スタスタ

紬「・・・」キョロキョロ

秀輝「琴吹さん?」

紬「は、はい?」

秀輝「どうしたの? もうみんな行ってしまったけど」

紬「静花さんたちはまだ来ないのかなって・・・」

秀輝「昼過ぎに合流だから、まだ来ないと思うよ」

紬「・・・そうよね」

秀輝「あのさ・・・」

紬「うん・・・?」

秀輝「その・・・、えっと・・・」

夏目(秀輝・・・?)

紬「?」

秀輝「俺と琴吹さんは稚内から乗ってるでしょ?
    もうそろそろこの旅も終わりを迎えるわけで・・・」

紬「・・・うん」

秀輝「どう・・・思っているのかなって・・・」

紬「どう・・・?」

秀輝「この旅の轍を振り返って・・・さ」

紬「・・・」

夏目(琴吹さんと秀輝の二人だけなんだ・・・。この長い旅をしてきたのは)

秀輝「・・・」

紬「まだ、分からないわ」

秀輝「・・・そっか」

紬「大村さんは?」

秀輝「正直、俺も同じ」

紬「うふふ」

秀輝「あはは、ごめんね、変なこと聞いて」

紬「ううん。・・・でもね」

秀輝「?」

紬「りっちゃんが教えてくれたことがあるの」

秀輝「律が・・・?」

紬「『ヴェガに乗車した人たちとティータイムが過ごせたんだ』って」

夏目(それは中野も言っていたこと・・・)

紬「私、紅茶の淹れ方を教えてくれた人を忘れてしまったの」

秀輝「・・・」

紬「その人のおかげで、この旅をより深く楽しめることができて
  より一層輝かしい想い出にしてくれたの」

夏目「・・・」

紬「小さい頃の想い出だけど、とても大切なのに私は忘れてしまっているの・・・。
  それはとても悲しいことだと思っていた」

秀輝「思っていた・・・んだ・・・」

紬「うん。あずさちゃんが言ってくれたの
  『変わった自分がそこにいるのなら、忘れたことにはならない』」

夏目(今ならその言葉の意味が分かるかもしれない)

紬「思い出せなくて、胸を少し痛めるけど・・・。
  この旅の中で過ごした時間はかけがえの無いものには変わりないの。
  だから・・・。その宝物を大事に持っていれば、きっといつか・・・その人と出会える気がする」

秀輝「!」

紬「ちゃんと終わりまで前を向いていきたいの。
  だから、もう少しだけよろしくね、大村さん」

秀輝「・・・うん」

紬「うふふ」

夏目(敵わないな・・・)

梓「どうしたんですか?」

紬「なんでもないの、なにに乗るか決まった?」

梓「それが・・・、唯先輩と澪先輩が対立してしまって」

紬「あらあら」

梓「むぎ先輩も加わってください」

紬「うん!」


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