―――――広島駅


律「結局見つからなかったな。・・・ってことは、まだ降りてないってことでいいのかな」

夏目「・・・」

夏目(そろそろ発車時間だけど・・・タキたちも戻ってきているのかな・・・)

律「ヴェガに戻って・・・お」

唯「りっちゃーん!」

澪「りつー!」

梓「律せんぱーい!」

紬「りっちゃーん!」

律「はは、あんな大声で呼ばれたら照れるな」テレテレ

夏目「・・・」

唯「澪ちゃんの言うとおりだね!」

澪「意外と単純なんだ」

梓「意外でもないですけど」

律「・・・?」

紬「機嫌直った?」

律「ご機嫌取りかぁーー!!!」

唯「まぁまぁ、ほれアイスをどうぞ」

律「別に機嫌悪くしてたわけじゃないぞ・・・」バリッ

澪「輪から外れて寂しいかと思っていたんだけど・・・。一応食べるんだな」

律「寂しくなんてないですよ・・・はむっ」

梓「夏目と一緒だったんですね」

夏目「先・・・タキは居なかった?」

澪「せん・・・?」

梓「さっきまで一緒だったけど・・・」

紬「あら・・・? どこへ行ったのかしら・・・」

夏目(静花さんたちのこと・・・)チラッ

律「がりがり」フルフル

唯「アイコンタクトしたよっ!」

澪「な・・・!」

梓「へぇ・・・」

紬「まぁ・・・」

律「そんなんじゃねえやい」ガリガリ

唯「じゃあなにさっ! 今の合図は!」

澪「心で会話したのか。いつの間にそんな信頼を得た・・・律!」

梓「タキがいるくせに・・・」ボソッ

紬「うふふ」

夏目(なんだろう・・・このグッタリ感は・・・)

クー「おーっい! 見送りに来てやったぞ~!」

透「夏目さ~ん!」

律「透はかわいいな~」ホンワカ

唯「そうですな~」ホンワカ

昇「俺たちもヴェガが発車した後の列車で帰るんだ」

夏目「そうなのか・・・。わざわざありがとう」

昇「いいって、これくらい」

夏目(不思議な縁だな・・・)

美咲「楽しかったね、コウさん」キラキラ

コウ「はい」

梓「・・・」

澪「この一団はすごいな」

紬「そうね・・・!」

夏目(確かに・・・バラエティー溢れている・・・)

クー「おまえらは次どこへ行くんだ?」

唯「博多だよ~」

クー「博多ねぇ~。よく分からんが頑張れ」

律「なにを応援されたんだ」ガリガリ

透「ラーメンがおいしいんだよ、クーちゃん」

昇「あ、透!」

クー「ラーメンだって!?」キュピーン

昇「これから帰るんだからな」

クー「ここまで来たんだから博多にも行こうぞ~昇ぅ~」スリスリ

昇「父さんが待っているんだから帰らないと」

クー「・・・む、それはしょうがない」

紬「残念ね~」

コウ「はい」

美咲「コウさんも行きたかったの!?」

コウ「はい」

昇「意外だ・・・」

澪「どうして巫女姿なんですか?」

コウ「お仕事ですので」

澪「神社のお仕事?」

昇「あ、いや気にしないで下さい」アセアセ

唯「一生懸命誤魔化そうとしてますな!」

律「そうですな! 気になりますな!」

夏目(物の怪から護るって言ってたな・・・)

梓「先輩方、そろそろ時間ですよ」

紬「分かったわ」

クー「どれに乗って帰るんだ?」

唯「こちらにございます」

律「丁寧だな」

クー「うむ、案内せい」

唯「さささ、どうぞ」

透「見てみたいな、コウちゃんも見に行こうよ」

コウ「・・・はい」

美咲「・・・」

昇「ふぅ・・・。色々と大変だ」

夏目「同じ景色が見るもの同士、大変だな」

昇「分かってくれるのか・・・」

美咲「?」

昇「でもさ・・・」

夏目「楽しい」

昇「うん」

美咲「た、楽しいんだ・・・! やっぱりそうよね、あんな美少女二人と同棲していたら人生楽しいわよね
   じゃあどうして私を今回の旅行で誘ってくれたの!? うぅ・・・高上の真意がみえないー!」

夏目「?」

昇「・・・あ」

斑『お前には見えるようだな』

昇「はい・・・まぁ・・・」

ヒノエ『力はそんなにないみたいだね』

昇「弟の透の方が強いんです」

美咲「誰と話をしてるの・・・?」

昇「え! あ・・・なんでもないよ!?」

美咲「???」

多軌「おまたせ夏目くん!」

夏目「先生のお守りありがとう、タキ」

多軌「いえいえ、・・・でも、どうして妖の姿になったんだろう・・・?」

斑『コイツの力を見たかっただけだ』

昇「・・・俺?」

多軌「?」

夏目「・・・」

斑『あの空幻狐が護るほどの力を見たのだ』

どろん

先生「・・・が、大したことはなかったな」

昇「あはは・・・」

夏目「・・・」

ヒノエ『護りたい理由は力だけじゃないみたいだね』

昇「・・・」

多軌「・・・よいしょ」ダキッ

先生「あ、こらっ!」

夏目「ぬいぐるみは大人しくしていなきゃダメだぞ」

先生「む・・・」

美咲「??????」



―――――ヴェガ


紬「あら・・・?」

梓「どうかしたんですか?」

紬「タキちゃんが持っているそれ・・・」

多軌「この人形がどうかしましたか?」

先生「・・・」

紬「どこかで見た覚えが・・・」

夏目「・・・」

ヒノエ『術は完璧のはずだね』

クー「無論だ。そう容易く解けないぞ」

梓「気のせいですよ。こんな顔しているんですから」

先生「・・・」

梓「見つけたら印象に絶対残るじゃないですか」

紬「そうね・・・。気のせいね!」

唯「変な人形~!」

律「人の人形になんてこと言うんだ、唯・・・」

多軌「可愛いですよ」スリスリ

先生「・・・」

澪「・・・」

律「可愛いものに目がない澪が無反応ですな」

車掌「みなさん、出発しますよ」

唯「はいよー!」

紬「次は最後の都市ね」

梓「最後まで行けるなんて」キラキラ

律「嬉しそうだな、梓は」

澪「あれ、でもどうして乗り続けたんだ・・・?」

紬「あら・・・?」

唯「そういえば・・・」

律「えっと・・・あれ、なんでだっけ・・・?」

夏目(琴吹さんが妖に関わったから・・・だけど、その記憶は無い・・・)

ヒノエ『・・・』

クー「・・・」

多軌「・・・」ギュウ

先生「・・・」

梓「最後まで行かないのはもったいないからじゃないですか、もう二度とない時間ですよ?」

紬「そうね・・・」

車掌「そろそろ時間になります。乗り遅れないでくださいね」

律「あ、車掌さん」

車掌「なんでしょう?」

律「静花さんはまだ降りてませんよね?」

車掌「はい」

律「そっか・・・。よかった・・・」

唯「ん?」

律「いや、なんでも・・・。挨拶しようぜ」

澪「そうだな」

紬「クーさん、お元気で」

クー「あぁ、おまえたちは中々面白かったぞ」

紬「まぁ、嬉しいです」

澪「面白いのは律と唯だけです」

唯「わたしも!?」ガーン

梓「自覚してください」

律「喜んでいいのか・・・?」

透「お姉ちゃんたちもバイバイ」

唯「バイバーイ」

律「兄弟仲良くな」

透「うん!」

コウ「お元気で」ペコリ

梓「はい、そちらもお元気で」ペコリ

律「丁寧っ!」

美咲「不思議な縁でしたね」

澪「そうですね」

美咲「残りの旅路・・・頑張ってくださいね」

澪「ありがとう。あなたも、がん・・・ばっ・・・」カァァ

美咲「?」

クー「どうして顔が赤くなったのだ?」

澪「いえ・・・その・・・」プシュー

律「美咲、ソイツと仲良くな!」

昇「?」

美咲「えっ!?」ボフッ

澪「り、りつ・・・直球すぎるだろ・・・」プシュー

クー「なるほどな~」

紬「うふふ」

昇「なんだろ?」

夏目「さぁ?」

先生「トウヘンボク共め」

多軌「ぷふっ」

紬「それでは、またどこかでお会いしましょう」

クー「あぁ、何度でも会ってやってもいいぞ。おまえたちならな」

紬「? それでは~」

律「ほら、早く乗り込め~!」

唯「はいよーっ!」

澪「しずかにしろ」ヤレヤレ

紬「うふふ」

梓「それでは」

美咲「バイバイ」フリフリ

コウ「ごきげんよう」

昇「じゃあね~」

透「バイバーイ!」

クー「おい、斑」

先生「にゃんだ?」

夏目「?」

クー「曲者がおるな」

先生「なにを言っている?」

クー「じきに分かるさ。本当はもっと奢らせてようと思っていたのだぞ?」

先生「では、なぜたかってこなかった」

クー「あの連中は面白い、それでチャラになったのさ。・・・これだから人は嫌いになれんのだ♪」

先生「・・・」

クー「じゃっあな~」

タッタッタ

先生「・・・ふん、思わせぶりなことをいいおって」

夏目「・・・」

多軌「乗らないの?」

夏目「秀輝を待ってるよ。あっちも気になるから」

多軌「分かった。夏目くんの部屋でいいのね?」

夏目「あ、あぁ・・・。鍵を」

多軌「うん。先に行ってるね」

夏目「・・・うん」

風音「夏目さん・・・?」

夏目「お帰り。ピノは一緒じゃないんだね」

風音「ただいま・・・。はい、今は部屋にいますよ」

夏目「・・・そうか・・・。あ、来た」

prrrrrrrrrrr

秀輝「乗り遅れる所だった~」

風音「どうしたんですか?」

秀輝「ちょっとね。みんな乗った?」

夏目「・・・あぁ、北上さんは?」

秀輝「あっちから乗車してるでしょ」

夏目「あ、本当だ」

風音「出発ですよ」

秀輝「うん・・・。アディオース広島~」

夏目「・・・」

プシュー

ガタンゴトン

ガタンゴトンガタンゴトン

夏目「いいことあったのか?」

秀輝「・・・え?」

夏目「なんか頬が緩んでるから」

風音「・・・そうですね、全体的に嬉しそうな表情してます」

秀輝「あー・・・」

夏目「・・・」

秀輝「お好み焼き食べてきた」

風音「昨日の夜はそんなに気に入っていたという感じではなかったですけど、
    ・・・実は好きになったんですね」

秀輝「・・・うん」

夏目「ふふっ」

秀輝「・・・なんだよ」

夏目「一緒に食べたからだろ?」

秀輝「う・・・」

風音「誰とですか?」

夏目「ヒントは同時に乗車した人」

風音「・・・あ」

秀輝「面白がってないか、夏目」

夏目「面白いよ。秀輝がうろたえているところとか」

秀輝「・・・ふんっ、じゃあな」

スタスタ

風音「ふふ、照れてますね」

夏目「・・・うん」

風音「ピノが気になるので戻りますね」

夏目「あぁ、ピノたちによろしく」

風音「は、はい」

夏目(小熊が乗っているなんて・・・変ではないか、妖も乗っているんだから)

ガチャ

先生「戻ったか」

ヒノエ「お帰り」

多軌「」スヤスヤ

夏目「タキ・・・?」

先生「あちこちではしゃいでいたから疲れているのだろう」

ヒノエ「寝かせてやりな」

夏目「・・・うん」

先生「おまえは帰らんのか」

ヒノエ「歩いて帰るのもいいが、夏目と一緒にいてやるさ」

夏目「・・・」

多軌「」スヤスヤ


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