8月12日


夏目「」スヤスヤ

柊「起きろ、夏目」

夏目「んー・・・」

柊「だらしない顔をしおって。動き出したぞ」

夏目「っ!」ガバッ

ゴチン

柊「~っ!」

夏目「いっつ・・・わ、悪い・・・柊」

柊「これが噂の攻撃翌力か」ヒリヒリ

夏目「?」

柊「早く部屋を出ろ」

夏目「そうだっ」



―――――食堂車


紬「まぁ、それでは蔵にはそのようなものが?」

多軌「はい。祖父が集めた曰く憑きの物がいつくかあるんです」

澪「聞こえない聞こえない」ガクガクブルブル

梓「朝から怪談話ですか・・・」モグモグ

律「女の子がする話題じゃねえな」モグモグ

レイコ「そのハムくれ。代わりにザーサイをくれてやる」

唯「だ、ダメだよっ!?」


夏目「え・・・」

柊『どうした?』

夏目「動き出したって・・・朝食取りに動いたってこと?」

柊『そうなるな』

夏目「うん・・・」

秀輝「夏目、一緒に食べようぜ」

夏目「あ、あぁ・・・」

店員「何になさいますか?」

秀輝「パンセットで。夏目は?」

夏目「フルーツセットを、お願いします」

店員「かしこまりました~!」

秀輝「フルーツって・・・」

夏目「柊も食べるかなって・・・」

柊『気をまわすな。妖は食べなくても平気なんだ』

夏目「・・・そうか」

秀輝「なんだって?」

夏目「妖は食べなくても平気なんだってさ」

秀輝「へぇ・・・って、先生はどうなるんだ?」

柊『だから太るんだ。たぬきだるま』

夏目「ふふ」

秀輝「・・・よかった」

夏目「?」

秀輝「いや、なんでも。・・・あ、北上さん」

緑「・・・?」

秀輝「一緒に食べない?」

緑「・・・いいわ。邪魔するわね」

秀輝「どうぞどうぞ」

夏目(空いてる席あるのに・・・)

静花「私も失礼しますわね」

夏目「・・・あ」

静花「それで、今日の様子はどうですの?」

夏目「?」

静花「紬さんのことですわ。昨日倒れましたでしょう」

緑「・・・どう?」

夏目「見たままですよ」

秀輝「・・・」

静花「・・・ふむ」

緑「・・・」

秀輝「駅の医者を呼びに行ってくれたの静花さんですよね」

静花「・・・そうです」

夏目「・・・」

菜々子「はいよ、パンセットにフルーツセット。・・・はぁ」

静花「人の顔をみるなり・・・失礼極まりないウェイターさんですこと」

夏目「え・・・」

菜々子「どうみたって女だろっ、夏目のリアクションもおかしいだろ!」

夏目「す、すいません」

静花「どうして、正しい反応をして怒鳴られるのか分かりませんわ。ねー?」

菜々子「なにが、ねー? だよ。誘導してんじゃないよ、まったく。緑は注文した?」

緑「えぇ」

菜々子「それじゃ失礼しまーす」

静花「ちょっとお待ちなさい!」

菜々子「・・・なんですか」

静花「私の注文がまだではないですか、ちゃんとオーダーを受けなさいな!」

菜々子「へいへい」

静花「まったく・・・。では、モーニングセットを一つ」

菜々子「勝手にメニュー作るな!」

夏目「ふふ」

静花「では、カニ御膳を」

菜々子「いいのか、本当に用意できるぞ」

静花「あら?」

菜々子「あら? じゃないよ。準備ができるからメニューに載ってるんだからさ」

静花「そうですか。では、モーニングセットをお一つ」

菜々子「はいはい。朝食セットね」

スタスタ

秀輝「いやいや、いつものことですけど、いいコンビネーションですね」

夏目(そうか・・・?)ゴクゴク

静花「そうですか? あの方は存在がイレギュラーですから相手にするのが疲れますわ」

柊『どっちもイレギュラーだな』

夏目「ブフーッ!」

秀輝「おいこら!」

緑「ちょっと・・・!」

静花「なんてことを・・・!」

夏目「す、すいません!」

――・・・


秀輝「夏目、広島に午後4時着だ」

夏目「分かった」

秀輝「神の島もどこか分かるだろ?」

夏目「うん、知ってる」

秀輝「・・・よし。琴吹さんには絶対洩らさないように心がけろよ」

夏目「うん」

秀輝「と言ってもさ、現場には誰が行くんだ?」

夏目「おれとタキ。琴吹さんは必須で・・・」

秀輝「俺も行くぞ」

夏目「うん。ありがとう」

秀輝「琴吹さんには軽音部に任せようか」

夏目「そうだな」

秀輝「律に伝えておくよ。来るようにさ」

夏目「・・・」コクリ

多軌「おまたせー。夏目くん」

夏目「そんなに待ってないよ」

多軌「そう?」

夏目「あぁ」

秀輝「・・・ちっ!」

律「まぁまぁ、みっともないぞ今のおまえ」ポンポン

秀輝「知ってるよ!」シクシク

夏目多軌「「 ? 」」

紬「カーット~!」

梓「え、映画監督じゃないんですから」

紬「澪ちゃんが来たわ。それではテイク2、スタート!」

澪「みんな、おまたせ」

律「そんなに待ってないよ、澪さん」

澪「・・・」

律「あぁ」

澪「・・・」

律「ふふっ、君を待っている時間さえも至高だと感じてしまう。
  君が存在してくれることが僕がここにいる理由になるんだ」

澪「・・・」

律「さぁ、乗りたまえ。今日の為に用意してもらった、宇宙ロケット」

梓「律先輩、ツッコミがないからめんどくさくなりましたね」

律「あの星に君を届けて、そこに住む異世界人を驚かしてやろうじゃないか。
  え? どうして驚くのかって・・・? それは・・・君の美しさにさ!」キラキラ

澪「・・・いい天気だ」

紬「りっちゃーん! 置いてくよ~!」

律「おぉい、監督!!!」ビシッ

唯「わたしは聞いてたよ」

律「触れろよ! 放置すんな!」ギャー



―――――異人館


多軌「これが異人館・・・」

静花「美しい町並みですわ」

紬「はい、美しいですね」

唯「おや?」

梓「どうしたんですか?」

唯「むぎちゃんの様子が・・・」

梓「むぎ先輩・・・?」

紬「なぁに?」

梓「な、なんでもないです」

唯「むぎちゃん・・・もしかして・・・」

紬「なにかしら~」ニコニコ

唯「な、なんでもないだす」

静花「美しい町並みに加えて眺めも良くて・・・」

澪「憧れますね」キラキラ

律「乙女スイッチ入ったかー」

静花「古い町並みでありながら、どこか新しくてそれでいて懐かしい」

夏目「・・・」

静花「神戸という所はそんな街ですわ」

澪「うんうん!」

梓「共感しているみたいですね」

夏目「あ、北上さんも来ていたんですね」

緑「・・・えぇ」

秀輝「面白いよね、ここ」

緑「列車の中でも歩き回っているみたいだけど、観光地でもそうなのね」

秀輝「・・・」

紬「そうです!」

梓「せっかくの旅ですからね、色々と景色をみておきたいです」

多軌「海が見えるよ夏目くん!」

夏目「ほんとだ・・・」

多軌「ほんとに綺麗な町並みだね・・・」

夏目「いい景色だな・・・」

紬「・・・録画」ジー

梓「なにをしているんですか?」

紬「まるで映画に出てくる恋人同士のような雰囲気だから、録画してるのよ」ニコニコ

梓「さっきのもそれだったんですね、ってカメラ持ってないじゃないですか」

紬「心に録画しているのよ」ジー

静花「想い出のフィルムは無限ですわね」

紬「おぉ・・・」ジーン

澪「律、言ってみて」

律「こ、心のモニターに焼き付けるぜ」

秀輝「解説が必要だな」

律「唯、言ってみ」

唯「心という大空を羽ばたくのさ」

緑「あっちにお土産が売ってるみたいね」

梓「そうですね、憂と純に買っていこうかな」

多軌「誰も評価というか・・・。唯さんにコメントをしないんですか・・・?」

秀輝「ツッコミとかね・・・」

梓「しなくていいよ」

唯「あずにゃん、冷たいよ。わたしも冷たくするからね」ブー

梓「あの流れだと私に回ってきそうだったので・・・すいません」

静花「賑やかでいいですわね~」

紬「そうですね~」

唯「あずにゃん、お店まで走って行こうよ」

梓「・・・えぇー」

多軌「心底嫌そうだね、中野さん」

梓「梓でいいよ。タキって呼んでいい?」

多軌「・・・うん!」

夏目「・・・」

柊『それでいいんだ、夏目』

夏目「・・・」

柊『わざわざ考え込んでヤツを喜ばせることは無い』

夏目「・・・うん。そうだな」

柊『おまえ一人では危険だっただろうな』

夏目「・・・」

多軌「改めてよろしくお願いします!」

梓「うん」

紬「はいは~い」ニコニコ



―――――ヴェガ

ガチャ

先生「戻ったか」

夏目「先生、どうして来なかったんだ?」

先生「おっ! それはお好み焼きだな!?」

夏目「そうだけど・・・」

ヒノエ「私と話をしていたのさ。昔の話さ」

柊「・・・」

夏目「・・・」

ヒノエ「楽しんで来いと言っただろう」

柊「あの娘は楽しんでいたぞ」

先生「おまえは楽しめなかったのか」

夏目「いや、楽しかったよ」

先生「そうか」モグモグ

夏目「・・・」

prrrrrrrr

ヒノエ「この音はなんだい?」

先生「知らんのか、発車の音だ。覚えておけ」モグモグ

柊「偉そうに・・・」

夏目「・・・」

プシュー

ガタン ゴトン


夏目(追い出された・・・)

多軌「どうしたの?」

夏目「辛気臭い顔してるから出てけって追い出された・・・」

多軌「確かに・・・」

夏目「・・・」ハァ

多軌「ね、ね! 娯楽者へ行きましょう!」





店員「いらっしゃいませ、遊んでいかれますか?」

多軌「は、はい!」

店員「メダルコーナー、ビデオゲームコーナー、UFOキャッチャーがございます」

多軌「夏目くんはどれやりたい?」

夏目「・・・そうだな、UFOで」

多軌「私久しぶりにやるの、小さい頃にいくつか取ったのよ」フフン

夏目「へぇ・・・」

多軌「あ、信じてないでしょ。よぉーし、見ててね」

チャリン

多軌「あのぬいぐるみを・・・」

ウィーン

ガシッ

夏目「掴んだ」

多軌「腕は衰えていないみたい」

夏目「上手だな・・・」

多軌「そのままそのまま」

夏目「・・・あ」

多軌「ゲットー♪ 次は夏目くんね」

夏目「・・・やったことないけど」


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