夏目「先生・・・このニャンコ先生は・・・『あやかし』・・・妖怪と呼ばれるものの類なんです」

紬「・・・まぁ」

梓「『あやかし』・・・この饅頭ネコが・・・」

先生「にゃんだとこのネコ娘!」

ゴウト「一通り情報が整った所で順に話そう」

先生「さっさと話せ!」

夏目「・・・」

紬「なるほどなるほど」

梓「なにがなるほどなんですか?」

紬「思い当たる節がいくつかあるのよ~」

梓「そうですか・・・。むぎ先輩には隠せて無かった訳ですね」

夏目「・・・」

ゴウト「最大の謎が、どうしてデビルサマナーでもないお嬢さんが我の声が『聞こえる』のかという事」

紬「すいません、デビルサマナーとは?」

ライドウ「・・・」

ゴウト「この男、ライドウはデビルサマナーとして悪魔の関わる問題に携わっている。
    無論、一人では物事を進めぬゆえ、仲魔と行動を共にしておる」

ライドウ「・・・」スッ

梓「マントの下に・・・刀! ピストル!?」

先生「逮捕だ逮捕!」

夏目「うるさいぞ、先生」

紬「うふふ」

梓「?」

ゴウト「そう。それらの武具を隠すためにマントを羽織っておる」

紬「まぁ・・・」

梓「マントって・・・今夏なんだけど・・・学ラン帽が更に暑苦しい・・・」

ライドウ「・・・」

ゴウト「我の声はデビルサマナーしか聞こえないのだ。本来は」

紬「な、なるほどー」

夏目「おれにも聞こえる」

ゴウト「うぬはその『あやかし』と共にしているから、そこは大した問題ではない」

先生「・・・ふむ」

梓「さっきからニャーニャー言ってる黒猫はなにか喋っているんですね?」

紬「そ、そうなの」

ゴウト「『聞こえない』者はネコ嬢のように我の声が鳴き声として耳に入る」

夏目「・・・そうか」

ゴウト「先程、獣の姿からその姿に変化したところをお嬢さんに目撃されたであろう」

夏目「!」

先生「『見た』のだな」

紬「・・・はい」

ライドウ「・・・」

ゴウト「それがきっかけとなり、常識が上書きされたのだと推測する」

先生「・・・確かに。このコム・・・娘には夏目、田沼、タキのような力はない」

夏目「・・・」

ゴウト「変化の瞬間を目の当たりにしても、大抵は勘違いで済ませるはず」

紬「そうですね・・・。色々とおかしな点を『見て』います」

夏目「・・・っ」

先生「マヌケめ」

夏目「先生が油断するからだろっ」

ライドウ「・・・」

紬「私の洞察力が優れているのでは」キリ

ゴウト「悪魔が見えない点だが、これは悪魔が存在するというお嬢さんの常識が一定のレベルを越えていない為」

紬「・・・しょぼん」

梓「?」

先生「なぜうなだれるのだ、悪魔とやらを『見たい』のか?」

紬「い、いえ・・・」

先生「分からんヤツだ」

梓「む・・・」

先生「このネコ娘・・・侮れんな・・・『聞こえない』はずなのだが鋭い」

夏目「ネコが喋るという常識の一定レベル、それがさっきの変身で越えたということ・・・か」

ゴウト「ご名答。我々には自然な事でも、お嬢さん方には不自然であるゆえ、今までは『聞こえなかった』のだ」

ライドウ「・・・」

紬「なるほどー」キラキラ

梓「な、なんですか? いいことでも言われたんですか?」ソワソワ

紬「うふふ、私ねネコちゃんと会話できるみたいなの」キラキラキラ

梓「な、なんと」

「みゃー」

梓「またネコ・・・」

ネコ「みゃー」

紬「ふむふむ」

梓「なんて言ってますか?」

ネコ「みゃ~」

紬「・・・みゃ~って」

先生「そいつはただのネコだぞ」

ネコ「みゃー」

テッテッテ

梓「行ってしまいましたね」

紬「そんな・・・聞こえなかったわ」ガーン

梓「?」

夏目(今のはただのニャンコ・・・)

ゴウト「では、今まで説明した事を踏まえて実験をしてみよう」

夏目「実験?」

先生「なにをするんだ?」

梓「実験?」

紬「・・・わくわく」

ライドウ「・・・」

ゴウト「ぬし、もう一度獣の姿になってみてくれ」

先生「獣!? 高貴である私を!」

夏目「・・・どうして?」

ゴウト「そこのネコ嬢の常識を上書きしてみる」

先生「拒否だ拒否!」

紬「あら・・・」

梓「?」

紬「あずさちゃんもネコちゃん達の言葉が『聞ける』かもしれないわ」

梓「いいですね、むぎ先輩に無礼を働いたらすぐ分かりますから」ジロ

先生「だから拒否だ! 断固だ断固拒否!」

ゴウト「お嬢さんとネコ嬢の常識は異なるゆえ、その線を図りたいというのもあるのだ」

先生「・・・」

夏目「・・・」

先生「・・・なるほど。この状況をすんなり受け入れたコム・・・娘だ。ネコ娘が受け入れられるか見ものだ」

夏目「先生っ! 安易な気持ちで行動するなよ! 断固はどうした!」

先生「安易ではない」

どろん

斑『娘の器を図るのだ』

梓「饅頭ネコが消えた!」

紬「あら・・・?」

夏目「・・・・・・。琴吹さん・・・『見える』?」

紬「い、いいえ・・・」

ライドウ「・・・」

斑『この小僧は『見える』ようだな』

ライドウ「・・・」コクリ

梓「お、落ち着け・・・私・・・」

紬「そ、そうね。唯ちゃんはどこかしら」

梓「唯先輩たちは京都に到着するころだと思います」

紬「そうね。澪ちゃんも映画村から直接金閣寺へ向かうそうだから」

梓「さとみさんもいるんですよね」

紬「えぇ、約束したものね」ニコニコ

梓「はい。みなさんと金閣寺を見物です」

紬「ちょうど夕方になるから夕陽で美しいでしょうね」

梓「楽しみですね!」

ゴウト「見事に日常へ戻っていった様子」

斑『・・・ネコ娘にはそのクロネコの声が『聞こえていない』のだな』

夏目「あぁ・・・」

ゴウト「お嬢さんにも獣姿であるおぬしの声が『聞こえていない』ように受け取れる」

斑『一定の線が曖昧だなめんどくさい』

どろん

レイコ「・・・ふぅ。そろそろ飯だ夏目」

梓「うわっ、夏目のお姉さん! どこから!?」

レイコ「ずっといたさ」

ゴウト「ほぅ、人にも化けるのか。珍妙なこと」

レイコ「おまえがいうな」

梓「あれ・・・?」

紬「やっぱり先生さんとは姉弟じゃなかったのね」

夏目「・・・・・・はい。ウソを吐いて・・・すいませんでした」

レイコ「・・・」

紬「いいのよ~。今は理解できるけど、前なら理解できなかったでしょうから
  誤魔化さないといけないものね」

夏目「・・・っ」

レイコ「・・・」

ゴウト「ところで・・・」

夏目「・・・?」

ゴウト「右足を気にしておるようだが?」

夏目「京都に着いてから痛むんだ」

ゴウト「承知した。ライドウ」

梓「・・・!」

ライドウ「・・・」スッ

夏目「それは・・・?」

ゴウト「宝玉という。力を取り戻す薬だ」

夏目「薬?」

ゴウト「うぬはこの土地に力を吸われているようだな」

紬「そんなことがあるんですか?」

ゴウト「稀に聞く。体力の減少からくる力の漏洩・・・体力が戻ればそれも無くなるであろう」

夏目「そうか。ありがとう」

ゴウト「この京都、不思議な力が溢れておる。仲魔4体同時召喚でも容易いようだ」

ライドウ「・・・」スッ

レイコ「ん?」

ゴウト「ソーマだな。どうしてそれを渡すのだ?」

ライドウ「・・・」

ゴウト「受け取ってくれ。うぬの力も減少していると見受けられる」

レイコ「よく分からんが、いただいておこう。後で使ってやる」

夏目「うわ、体中に力がみなぎるようだ」

ゴウト「それはよかった」

梓「ふ、普通に喋ってる・・・!」

紬「あずさちゃんもゴウトちゃんの声が聞こえるの?」

梓「き、聞こえます」

ゴウト「ほぅ、越えたようだ」

レイコ「ちっ」

夏目「・・・」

ゴウト「それでは帰るとするか」

ライドウ「・・・」コクリ

梓「おぉ・・・」

紬「最後に質問していいですか?」

ゴウト「なんでも答えましょう。お嬢さんのためなら」

紬「まぁ・・・」ポッ

梓「・・・」

レイコ「ネコ娘、あのやりとりはいいのか」

梓「どこに非があるんですか?」

レイコ「ちっ」

紬「ライドウさんは・・・その・・・」

ゴウト「気にすることはありませんよ。口数が少ない男ですから」

紬「寡黙なのね」

梓「高校生?」

ライドウ「・・・」コクリ

夏目「歳が近いのか・・・」

紬「どちらへ帰られるんですか? 異次元?」

ゴウト「帝都です。この時代には帰る場所がありませんので・・・」

梓「異次元ってなんですか」

夏目(帝都・・・時間さえ越えて出会ったのか・・・)

紬「色々と、ありがとうございました。理解できたのもゴウトちゃんの説明のおかげです」

ゴウト「いえいえ、お嬢さんの為ならなんでもいたしましょう」

梓「・・・」

レイコ「表情が歪んだぞ」

梓「ずっとこんな軽い口調だったのかな・・・」

ライドウ「・・・」

ゴウト「我も勉強になったゆえ、京都に来て良かったと思うところ」

紬「・・・そうですか」

ゴウト「それでは、失礼致します」

ライドウ「・・・」

ゴウト「どうした、ライドウよ」

ライドウ「・・・」スッ

ズドーン!!

「ム・・・? 戦闘デハ無イノカ」

ゴウト「どうして召喚するのだ?」

夏目「獅子?」

ライドウ「・・・」スッ

レイコ「なんだ、私になにかあるのか?」

ゴウト「うむ。詳しくは分からんが、なにか思うところがあるらしい」

紬「なにがあるのかしら?」

梓「クロネコの声が聞こえても分からないことだらけです・・・」

紬「そうよね・・・。ゴウトちゃんというのよ、あずさちゃん」

「我ト別レルト言ウノカ?」

ライドウ「・・・」コクリ

ゴウト「うむ、どうやら不吉な予兆といったところか」

レイコ「私か?」

ゴウト「聖獣シーサーという。うぬらを守護してくれよう」

紬梓「「 シーサー? 」」

夏目「そこにいます。獅子みたいな狛犬みたいな姿をしています」

紬「まぁ・・・」

シーサー「マテ、マグネタイトノ無イコヤツラニ我ノ力ヲ使イコナセマイ」

ゴウト「そう言うな。悪魔と戦うわけではない、守護を頼んでいるんだ」

シーサー「我ハ力ヲ求メ故郷ヲ後ニシテイル、用ガ済ンダノナラ帰ラセテモラウ」

ゴウト「役目を終えたらそれでいいだろう」

レイコ「おい、話を進めるな。大体私に守護など必要ない」

ライドウ「・・・」スッ

夏目「琴吹さん・・・?」

ライドウ「・・・」コクリ

紬「え?」

梓「?」

シーサー「イイダロウ。ダガ必要ナ時ダケダ。馴レ合ウツモリハ毛頭ナイ」

シュッ

夏目「消えた・・・」

ゴウト「ヤツは守護神として崇められている聖獣ゆえ、表立って動くことはそうない」

ライドウ「・・・」

レイコ「・・・」

ゴウト「長居しすぎたようだ、行こうぞライドウよ」

ライドウ「・・・」コクリ

紬「それでは~」フリフリ

梓「最後まで喋りませんでしたね」

紬「重要なことしか口にしないお人なのよ」ウンウン

レイコ「・・・」

夏目「あ、ライドウに聞きたいことが」

ライドウ「?」

ゴウト「?」

夏目「その格好暑くないのか?」

ライドウ「・・・暑い」

ゴウト「喋った!」

紬「ゴウトちゃんうなだれていたわね」

夏目「説明はほとんどゴウトが行っていましたから」

梓「・・・重要なとこすら喋らなかったんですよね」

レイコ「・・・」


唯「おーい! あずにゃんやーい!」

律「むぎー!」


紬「あ、お~い!」

夏目「秀輝も一緒だったのか」

秀輝「駅前で会ってな、夏目たちも居るとは思わなかった」

梓「あとは澪先輩とさとみさんですね」

律「澪は一緒じゃないのかよ」

紬「小麦さん達と映画村へ行ったのよ~」

唯「映画村!?」

夏目「平沢さん・・・?」

梓「唯先輩のテンションが変ですね・・・」

律「唯はいつもこんなんだろ」

唯「澪ちゃんまだですかな!」

レイコ「騒がしいヤツだ」

澪「おーい、みんな!」

さとみ「おまたせー」

梓「二人一緒に来ましたね」

紬「みんな揃ったね、それでは行きましょう~」

澪「夏目たちも一緒に行くのか?」

夏目「金閣寺に行くんですよね? 行ってきた帰りなのでおれたちは失礼します」

唯「そっか、残念だよ!」

秀輝「先生たちはどこへ?」

レイコ「比叡山だ」

秀輝「ふー・・・ん・・・」

夏目「それじゃ後で」

紬「じゃあね~」フリフリ

梓「金閣寺ですかぁ・・・」ワクワク

紬「あずさちゃんは冷静なのね」ニコニコ

梓「むぎ先輩がいなかったら今頃頭がパンクしてると思いますよ」

紬「うふふ」

澪「なんの話をしているんだ・・・?」

律「秀輝、行くぞー」

秀輝「う、うん」

律「なんだよ、夏目んとこ行きたいなら無理して私らに付き合うことないぞ?」

秀輝「いや、金閣寺へ行くよ!」

さとみ「そうね。車掌さんにも頼まれたものね」

秀輝「うん」

律「なにを?」

秀輝「マスコミ対策」


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