ガチャ

レイコ「なんだ、寝ているのか」

夏目「」スヤスヤ

レイコ「私も」

どろん

先生「寝るとするか・・・ふぁ」

夏目「」スヤスヤ

先生「腹が減っているせいか調子が悪いな・・・・・・それとも・・・酒が足りんか・・・?」ウトウト

先生「ぷー、ぷー」

夏目「」スヤスヤ

・・・

・・・・・・

『うっそつきー!』

『まーた夏目がウソをついたー!』

夏目『ウソじゃないんだ! そこに居るんだよ変なのが!』

『変なのってなんだよー!』

『なにもいないじゃないかよー!』

夏目『危ないから行くな!』

『あー、もういいや。さっさと行こうぜー』

『公園行こうぜ公園!』

変なの『うーひひひひひっひ』

夏目『やめろー!』

『なんだよコイツ・・・』

『いいよもう、いこいこ』

変なの『ひーひひひひ』

シュゥゥウウウウ

夏目『あ・・・、どこかへ行ってしまった・・・』

夏目『なんだ・・・悪さをするわけじゃなかったのか・・・』

夏目『・・・っ・・・なんだ・・・っ・・・ぅっ・・・』

ポタッ ポタッ

夏目『あめっ・・・ふってる・・・』

『違うわ。あなたが泣いているのよ』

夏目『・・・っ・・・うぅっ・・・ひっく・・・』

『動かないでね・・・』

夏目『え・・・?』

『あなたが泣いているのは悲しいわ』

夏目『・・・ぐすっ』

『ほら、動かないで』

夏目『・・・うん。・・・お姉さんは誰?』

『最近出会ったばかりだから、私が誰か分かるはずよ』

夏目『・・・っ』

『・・・これで、よし。・・・どうして泣いていたの?』

夏目『・・・あの子達が危ないと思って・・・声を出したけど・・・信じてもらえなかったんだ』

『・・・』

夏目『でも・・・なんともなくて・・・よかったって思ったら・・・涙が出てきて・・・』

『安心したのね。あなたは優しい子ね』

夏目『違う・・・。言葉が届かなくて・・・っ・・・哀しくなったんだっ・・・』

『私にはあなたの声が届くわ』

夏目『ウソだっ!』

『うふふ。本当よ~』

夏目『ぜったいぜったいウソだ!』

『ウソだよ』

夏目『――ッ!』

・・・・・・

・・・

夏目「ッ!」

先生「ぷー、ぷー」

夏目「・・・なんだ・・・なにか『居る』のか・・・?」

先生「ぷー」

夏目(おれの心を探られたような・・・いやな・・・感じだ・・・)

先生「ぷー、ぷー」

夏目「起きてくれ先生」

先生「ぷー」

夏目「憑かれているのか聞きたかったけど、大丈夫なのかな・・・」

コンコン

夏目「・・・?」

コンコン

夏目「ノック・・・? だれだろ・・・」

ガチャ

夏目「はい?」

澪「部屋にいたのか」

夏目「?」

梓「むぎ先輩が紅茶淹れてくれたから、展望車に来て」

夏目「・・・」

梓「顔色が悪い・・・」

澪「そうだな・・・どうした?」

夏目「いや・・・。なんでも・・・。分かった、行くよ」

澪「・・・うん。そうだ、お姉さんの個室は何番かな?」

夏目「え、あ、・・・おれが連れて行きますから先に行っててください」

梓「うん。・・・あとはエレナさんたちですね」

澪「そうだな。それじゃあとで」

夏目「・・・はい」

バタン

夏目「・・・もう一度顔を洗うか」

先生「ぷー、ぷー」

夏目「先生、起きろ」ユッサユッサ

先生「ぷー、ぷー、ぷー」

夏目「的場の矢を受けたときと同じ感じがする・・・。都会の人ごみで相当疲れていたのかな・・・」

先生「ぷー」

夏目(的場という妖祓いが放った矢を受けた先生は、
    怪我の治療の為に数日間眠り続けていたことがある・・・)

先生「ぷー、ぷー」

夏目「・・・それと同じなのかな」ナデナデ



―――――展望車


紬「あら」

夏目「!」

唯「いらっしゃーい」

紬「らっしゃーい」

澪「屋台か」

夏目(夢に出てきたなんて・・・なんか恥ずかしいな・・・)

澪「お姉さんは?」

夏目「休んでいます。少し疲れたみたいで・・・」

秀輝「先生が? 意外すぎる・・・」

夏目「そうだな・・・」

さとみ「・・・」ジー

夏目(さとみさんの視線が痛い・・・)

紬「大村さんも先生と呼ぶのね~」

秀輝「あ、うん・・・」

夏目(どうしいよう・・・恥ずかしい感じだ・・・)

律「空いてるから、秀輝の隣な」

夏目「は、はい」

秀輝「本当だ、顔が赤い・・・風邪か・・・?」

夏目「え・・・?」

澪「りつ・・・」

律「いやいや、完治してから接触してるからそれはないだろ」

紬「ふんふふ~ん」コポコポ

梓「楽しそうですね・・・。カップを配りますね」

紬「あ、まって」

梓「?」

さとみ「どうしたの?」

紬「うふふ、みんなちょっとまってね」ゴソゴソ

みらい「ふむふむ」

夏目「飯山はなにを読んでいるんだ?」

みらい「仕事を探しています!」メラッ

夏目「し、仕事?」

秀輝「フリーのアイドルでも知名度はあるんだから、使ってくれるところがあるかもしれないってさ」

夏目「へぇ・・・」

唯「むぎちゃん、それはなに?」

律「おいマネージャー・・・みらいに関心持てよ・・・」

紬「みんな目を瞑ってね」

「「 ? 」」

唯「ゲームするんですな?」

紬「そうですな」

澪「なにをするんだ?」

紬「いいから~♪」

律「よし、みんな目を瞑れ」

秀輝「なにやら面白そうだ」

さとみ「うん」

みらい「あ、唯さんこれを見て・・・。あれ、どうして目を瞑って・・・?」

律「みらいも目を瞑りなさい」

みらい「は、はい」

梓「・・・みなさん目を瞑りましたか?」

律「いや、秀輝が瞑ってねえ」

秀輝「なんで分かるんだよ」

律「見たからだよ」

秀輝「律も目を開けてるってことじゃないか」

梓「お二人、しずかに目を瞑ってください」

律秀輝「「 はい 」」

夏目(なにしているんだろう・・・)

紬「いいわよ~」

唯「なにかしたの?」

紬「しました」

澪「いつの間に・・・?」

紬「みんなちゃんと目を瞑っていたわ。あずさちゃん、配ってくれないかしら」

梓「はい」

夏目(なにをしたんだろう・・・)

梓「どうぞ」

さとみ「ありがとう」

梓「はい、どうぞ」

唯「センキュー」

梓「・・・」スッ

律「うむ。よい働きであった」

梓「どうぞ」

澪「ありがと」

梓「みらい、今は遊ぼう」

みらい「そ、そうですね」

梓「はい、夏目と大村さん」

夏目「ありがと」

秀輝「さーんきゅ」

さとみ「それで、なにが始まるの?」

紬「配られたカップの中に一つだけこれを入れました」ジャン

唯「そ、それは!」ドドーン

梓「ジャムですね」

律「なんだ・・・ジャムかよ・・・」

澪「なにを期待しているんだ」

紬「それと、・・・もう別のカップにはこれを」

さとみ「それは・・・、甘そうな缶ね」

夏目秀輝「「 う・・・ 」」

律「ストロベリー☆ロマンス・・・」

梓「なんですかそれ」

紬「金沢駅でもらったの」

梓「そうなんですか・・・また夏目の顔色が悪くなりましたけど」

夏目「胸焼けが・・・」

秀輝「あぁ・・・」

澪「・・・甘かったな」

みらい「反応からすると、ジャムは当たりで、ストロベリー☆ロマンスははずれでしょうか?」

梓「そうみたい・・・」

唯「ふふ、どっちに当たってもわたしは当たりですな」

紬「お召し上がれ」

律「いつもなら遠慮なんてしないが・・・」

澪「あぁ・・・」

梓「いただきます」ズズーッ

秀輝「躊躇一切無しだな・・・」

夏目「・・・」

唯「あ・・・いつもの味だよ~」

みらい「・・・私のもいつもの味です」

さとみ「うん。普通が一番よね」

澪「・・・うん、いい香りだ」

律「落ち着く味だ・・・」マッタリ

紬「あら・・・? あとは夏目さんと大村さんね」

秀輝「・・・」

夏目「・・・」

梓「遠慮しているんですか?」

秀輝「いや・・・。いただきます」ズズーッ

夏目(中野が飲めば分かるって言ってたけど・・・)チラッ

梓「?」

夏目「いただきます」

秀輝「あ、普通の味だ・・・。おいしい」

さとみ「それじゃあ・・・」

夏目「・・・ぐっ」

澪「ロマンスが当たったようだ」

梓「ジャムは誰ですか?」

紬「私ね」

唯「自分に当たった~、ずるいよ!」

梓「でも、配ったのは私ですよ」

澪「むぎ・・・手前のカップに入れたな」

紬「うふふ」

梓「なるほど、それはそのまま残るというわけですね」

紬「実はね、ストロベリー☆ロマンスとジャム以外のカップに睡眠薬を入れたの」

澪「・・・なにを言っているんだ」

紬「みんなが起きたときには、最終駅に着いているわ」

律「どれだけの量だよ」

紬「うふふ、本当よ~」

唯「うーん・・・。ウソだね!」

紬「ウソです!」キッパリ

夏目「・・・」

さとみ「・・・変なことを言うのね」ズズーッ

律「まったくだ」ズズーッ

秀輝「おいしいな。優雅なひと時だ」

みらい「はい。温かいです」

梓「とっても落ち着きますね」

紬「このジャムも金沢でいただいたの」

澪「い、いつの間に・・・」

梓「誰からですか?」

紬「あら、名前聞いてなかったわね・・・。夏目さんとよくお話をしていた方よ」

澪「あぁ・・・」

夏目「・・・」

梓「あ、ピノ」

ピョン

ピノ「ピピッ」

さとみ「名古屋の演奏中に飛び入り参加したリスね」

ピノ『ご主人様もあの曲を気に入っていたのだわ』

夏目「・・・!」

ピノ『その顔は・・・あなた『聞こえる』のね』

夏目「!!!」

ピノ『うふ、面白い人をみつけたわ』

「ピノってばまた!」

紬「あら、風音さん」

風音「度々すいません」

ピノ『ご主人様~!』ピョン

風音「もう・・・だめでしょ? 勝手に飛び回っちゃ」

ピノ『申し訳ないのだわ』ピピッ

紬「本当に謝っているみたいね~」

みらい「はい。可愛いです」

夏目「ふふっ」

唯「?」

風音「?」

澪「和んだのか?」

律「夏目って乙女だな、顔に似て」

夏目「女顔」ガーン

秀輝「そうは言ってない・・・いや、言ったか」

風音「私、名古屋から乗車した岩泉風音といいます。こっちは友達のピノ」

ピノ『よろしくなのだわ』ピピッ

夏目「夏目貴志です」

風音「それでは・・・。失礼します」

ピノ『失礼するのだわ』ピピッ

スタスタ

夏目(ピノも妖の類なのかな、前に会った子狐のような・・・?)


夏目「ごちそうさまでした」

秀輝「ごちそうさま」

紬「いえいえ~」

澪「ゆっくりしていかないのか?」

夏目「先生が・・・」ハッ

さとみ「お姉さんが、気になるのよね?」

澪「・・・ふむ」

律「シスコンか」

澪「こらっ」バシッ

律「・・・」ヒリヒリ

夏目「・・・」

秀輝「落ち込むな。間違ってはないだろ」

夏目「秀輝・・・!」

秀輝「あはは、それじゃね、みんな」

唯「はいよー」

紬「は~い」

夏目「おい」

秀輝「傍からはそう見えるのが自然だろ?」

夏目「・・・」

秀輝「というか、実際そうだろ」ニヤニヤ

夏目「・・・はぁ」

秀輝「あはは」

夏目「・・・それで、食堂車で北上さんと一緒になっただろうけど、どうだった?」

秀輝「強引に話題変えたな・・・。・・・俺の話なんて馬耳東風だよ。確かに中身の無い話をしていたからなぁ」

夏目「・・・」

秀輝「話題も尽きたんで、インテリぶって『最大多数の最大幸福』の話をしたんだけど、それに食いついてきたんだ」

夏目「・・・」

秀輝「少数の犠牲の上に成り立つ多数の幸せ、それを優先する。という大まかな持論を展開したんだけど」

夏目「・・・反発された?」

秀輝「うん。『そんな世界つまらないわね』で一蹴された。・・・そう言うなり去っていったよ」

夏目「へぇ・・・」

秀輝「その後、定義を変えるんだけどさ、それでも『つまらない』で返されそうで何もいえそうにない」

夏目「・・・」

秀輝「波長が合わないな・・・って感じた」

夏目「少数の犠牲がないと生まれない幸福が気に入らなかったんじゃないかな」

秀輝「・・・なるほど」

夏目「それじゃ、あとで」

秀輝「・・・あぁ」


25