唯「ペロペロ」

澪「ペロペロ」

唯「澪ちゃん気が合うね」

澪「唯はチョコミントなんて歯磨き粉の味がするとか言って食べないと思ってた」

唯「チョコミントおいしいよ」

澪「ふふ」

「あのー」

澪「ん?」

「ZTT社の方ですよね」

唯「そうですよ(ハァト」

「遠いところご苦労様でした、私秘書の三浦と申します」

澪「すすすいません、唯っ早くアイス食べろ」ペロペロペロペロ

唯「うん」ペロペロペロペロ

茜「どうぞゆっくり食べていいですよ」


チョコミントを食べ終えた唯と澪は担当の三浦茜に案内されエレベーターに乗る(ハァト


唯「背おっきいですねえ」

茜「あははよく言われますよ、小さい方が可愛くて憧れるんですけどね」

唯「澪ちゃんよりも大きいよ」

澪「そうだな(胸でかいな)」

唯「髪の毛は何かキャンペーンの宣伝ですか」

茜「いえ、これ地毛なんです」

澪「め、珍しいですねピンク色なんて」

茜「何なんでしょうねホントに」

唯「でも似合ってますよっ可愛いです」

茜「ありがとうございます」ニコッ

唯「あだ名はデビちゃんで決まりですね」

茜「?」

ピッピッピ

茜「社長室は103階です、少々お待ちください」

澪(直接社長と会うのかよ)

唯「103階だって澪ちゃん、一時間くらいかかっちゃうのかな」

澪「高速エレベーターなんじゃないか」

茜「5秒もかかりませんよ」

茜「当社のエレベーターは従来のワイヤーロープによる滑車式ではなく
高圧縮したガスを爆発させる勢いでぶっ放すタイプなんです、社長が考えたんですよ」

澪「あ、危なくないんですか」

茜「大丈夫です、ただ発射時に約16Gの引力と
停車時に500kmのスピードで真上に打ち上がろうとする慣性が働きます
踏ん張ってくださいね」

澪「踏ん張るって」

唯「なんか楽しそう!」

茜「いきますよサン、ニ、イチ

澪「まtt

茜「ゴウトゥヘル!!」ドォン

唯澪「ぐぇあ!!!」

澪「肩が・・」

唯「膝皿割れた・・・」

茜「平沢さん秋山さん着きますよ!脚を肩幅の1.5倍開げて
腰を落とし膝を心待折り前かがみに、脇を締め
四股を踏む姿勢になって」

茜「足裏全体から気を放出させ床板に吸付けるように」

唯澪茜「ふんっ!!!!!」ドォン

茜「着きました」

澪「出来るもんだな・・・」

唯「案ずるより横山やすしだね」

茜「デーブスペクター好きなんですか」

唯「そんなに」

もしかしたら限界というものは語彙として意味を持つだけで
実は存在しないのではないか
澪ちゃんはそう思った

茜「ここが社長室です」

唯「わあ、室内に噴水がある」

澪「すごいな」

部屋の中央には噴水とそれを囲む大理石で作られた泉が据え付けてあった

唯「誰もいないね」

茜「社長、ZTT社の方がお見えになりました」パンパン


ゴゴゴゴゴゴゴゴ

三浦茜がどこに向かってなのか2回手を叩く
すると目の前の設置してある泉がグラグラと振動し
唸りをあげたのである

ザザザザザザザザザ

円形の泉に一直線の裂け目ができたかと思うと
そのすき間はドンドン広がり、水は下へ滝のように
流れ落ちていった

唯「マジンガーZみたい」

ウィーン

プシュー

婆「・・・・」

茜「お疲れ様です」

出てきた婆は腕を組み仁王立ちしている
何も喋らない
この人が社長なのか

澪「あ、あの今日は

唯「お婆ちゃん!」

唯は婆の元へ駆け寄る

茜「平沢さん?」

唯「お婆ちゃん私だよっ平沢唯だよ!分かる?」

澪「おい唯、何言ってるんだ失礼なことは

唯「近所の駄菓子屋のとみお婆ちゃんだよ、
小さい頃よく通ってたんだー」

澪「そ、そうなのか」

茜「確かに社長は個人経営の駄菓子屋から始まり経済活動の域を広めて
今に至る訳ですが」

唯「うわー本当に久しぶりだね、嬉しいな」ニコニコ

澪「日本ってやっぱり小さいんだなあ」

茜「よかったですね社長」

澪(でも知り合いなら話もいくらか円滑に済みそうだな)ホッ


しかし秋山澪のささやかな期待は一瞬にして打ち砕かれることになる


唯「お婆ちゃん!私ZTT社っていうところで働いててね

バシッ

とみ「汚い手で触るなゴミが」

かつて唯の手を優しく包んでくれたその手には十指すべてに
ギラギラと下品な光を放つ宝石の指輪がはめ込まれていた

はなはだしくも私は大金持ちのエリートですとアピールしているような
その姿、態度は唯の知るとみとは大きくかけ離れている

そう、唯の知るとみは死んだのだ
目の前にいるのは悪魔に魂を売った金の亡者
私利私欲をひたすら追求する拝金主義者、
煩悩に溺れ囚われる欲深くも利己的でがめつく貪欲で
カネをむさぼる強欲な銭ゲバ
とみはクソババアと化していた

唯「わあんっとみお婆ちゃんが糞ばばあになっちゃったよう」

とみ「騒ぐな猿」

澪(こ、怖い)ガクガク

茜「社長、お知り合いなんじゃ・・・

とみ「あー?」

唯「よく見てよっ」

とみ「じー」

茜「どうですか」

とみ「知らねwww」

唯「あぁんもう」

とみ「触るなっつてんだろうがクソ猿が!!」ドンッ

唯「ぎゃひい」ドシンッ

澪「ゆっ唯」

茜「社長!お客様になんてことをっ」

とみ「ほじほじ」

唯「いたた」

茜「大丈夫ですか?」

唯「平気だよ・・・それよりお婆ちゃん」

唯「これ」

財布から紙切れを取り出す

唯「私が小さいときに道端で転んで泣いてたら


---

幼唯『ぎゃわあああああああああん』

とみ『あらあら転んじゃったの、痛かったねえ』

幼唯『ぎゃわああああああああああああああああああああん』

とみ『ほら、飴あげるから泣き止んで』ニコッ

---


唯「おばあちゃんアメくれたよね」

唯「私嬉しくてあのとき貰ったアメの包み紙ずっと持ってるんだあ」

唯「一生の宝物だよ」ニコッ


とみ「・・・・・」


とみ「いやマジで誰だよお前」


澪「・・・という企画を進めていまして、
是非ともとみーズ様に力を貸していただきたいと思っております」

とみ「すやー」

澪「」

茜「・・・」ツンツン

とみ「すやー」

茜「・・・」パシンッ

とみ「いってえな」

茜「社長として以前に人としてのマナーがなっていません」

とみ「ソイツはどうなんだよ」

唯「すやー」

茜「・・・」

澪「バカッ!唯起きろ!」ユサユサ

唯「うーん・・ハッ」


澪「・・・という企画を進めていまして、
是非ともとみーズ様に力を貸していただきたいと思っております」

茜(頑張って・・)ドキドキ

とみ「フン」

澪「ど、どうでしょうか」ドキドキ

とみ「露命をつなぐ上で必要欠くべからず食べ物に不要なおまけを付ける、ゆとりの証明だな」

唯「でっでもねおばあちゃん

とみ「帰れ三ちゃん企業が」

とみ「あたしのオフィスにこれただけ有難く思え、それだけでいい土産じゃねえか」

澪「うう・・」

茜(ZTT社・・・)カタカタktkt

とみ「安心しな会社に手を出したりはしないさ、
価値のない獲物に興味はないんでね」

唯「お願いしますよおばあちゃああああん」

とみ「我に触れるでない」

茜(・・・!?)ktkt

茜「社長」ヒソッ

とみ「あーん?」

茜「今ZTT社様のことを調べていたのですが、


茜「最近あのムギ豚カンパニー様との交友があったみたいですよ」ヒソヒソ

とみ「!?」


茜「更に言うと、平沢さんの妹さんがそのムギ豚カンパニー指揮官琴吹紬様の
専属秘書だと

とみ「どけっ!」ドンッ

茜「痛っ」

三浦茜のパソコンをぶん取ったとみは常軌を逸した
尋常ではないスピードでキーボードを叩く

カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ

指に装着している指輪の宝石が掠れ合い、けたたましい軽音が室内に響く

カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカ
カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカ
カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカ
カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカッ

澪(どうしたんだろう)

唯「おばあちゃんすごーい!キーボードマスターで一位とれるんじゃない」

とみ「うっせえ話しかけんなブスが!!!」ktktkt


カタカタッッッターーーーーン


しーん



とみ「ほんまや・・・」

とみ「あのムギ豚カンパニーを」


しーん


澪「あの・・」

とみ「おい」

澪「は、はい!」

とみ「もう一度初めから説明しろ」


澪「・・・という企画を進めていまして、
是非ともとみーズ様に力を貸していただきたいと思っております」

とみ「・・・・」

澪「お、お願いします!どうか私たちZTT社に力を貸してください!」

唯「お願いしますっ」

澪と唯は席を立ち深々と頭を下げる












パチパチ

パチパチ

パチパチパチパチ


拍手が聞こえた
私と唯は頭をしずしずと上げる

とみ「パチパチパチパチ」パチパチ


とみが手を叩いていた
頬に一筋のしずくが流れている
とみは泣いていたのだ

カネを喰らう修羅のようだった顔は
優しく微笑み、悟りを開いた仏の表情になっている


とみ「私は大切な何かを過去へ置いてきてしまっていたようです」


涙を流し菩薩の笑みを浮かべるとみはまるで、
試練を与え克服した私たちを褒めたたる慈愛に満ちた母親のようだった


とみ「あなた方ZTT社様はソレを忘れず胸に刻んでいたと同時に
私に教えてくれました」

とみ「小規模ながらも懸命に力を尽くすその姿」



とみ「感動しました」

とみ「平沢さん秋山さん、役に立てるかどうか分かりませんが
私たちとみーズが全力でサポートしましょう」


澪「あ・・・ああ」

澪唯「ありがとうございます!!!」


とみと澪は固く手を握る
まさにとみーズとZTT社が同盟を結んだ瞬間だった


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