律「なあ澪」

澪「なに?」

律「もう、どこにも行かないよな?」

澪「えっ?」

律「もうどこにも行くな!」

澪「り、律」

律「もう嫌なんだよ!澪がいない毎日なんて!」

律「もうどこにも行くな!ずっとここにいろ!」

澪「ちょっと落ち着けって」

律「澪!」ガバッ

澪「わっ」

律「もう私たちの前から勝手にいなくなるな」ギュッ

澪「・・・」

律「これからはずっと一緒だ」ギュウ

澪「律・・・」

律「ありがとう、澪」

律「帰ってきてくれて」

澪「・・・」

律「今日は寝かせないぞ」

律「とことん付き合ってもらうからな」

澪「はいはい」

律「じゃーん」

澪「お菓子?」

律「そう!パジャマパーティーだ!」

澪「今でも言うのか?パジャマパーティーって」

律「うっ、うっせー」

澪「あ、お酒まである」

律「まあもう22歳だし付き合いで飲む事もあるのさ」

澪「律も大人になったなー」

律「まあまあ澪もほれ」

澪「しょうがない、付き合ってやるか」

律「いえーい!」

澪「かんぱい」

律「かんぱーい!」

律「それでさ、その時唯がさ・・・」

澪「唯も変わらないなー」

律「ムギはこの前バイトで・・・」

澪「うんうん」

律「梓も心配してるぞー、澪先輩澪先輩ってさ・・・」

澪「梓も梓のまんまかー」

律「あ、そういえば中学の時さ・・・」

澪「あったあった」

律「小学校の作文の時も・・・」

澪「パイナップルの真似~って言ってさ」

律「そうそう・・・」

律「そんでさ・・・」

澪「うん」

律「懐かしいなー・・・」

澪「そうだな」

律「これからはもっともっと楽しい思い出・・・」

澪「・・・」

律「ん・・・」

澪「・・・」

律「・・・」スースー

澪「・・・」

律「澪・・・」スースー

澪「・・・」

澪「律」


冬が私を呼んでるから―――


朝起きると澪の姿は無かった

まるで昨日の事が夢だったみたいに

律「雪・・・」

1月15日、澪の誕生日

またこの日に澪は雪のように消えた

何も言わずに

また


律「・・・朝ご飯でも食べるか」

何故かそれほど動揺は無かった

きっと心のどこかでこうなるような気がしてたから

今度こそずっと一緒にいられるって自分に必死に言い聞かせて

それで考えないようにしてた

澪がいなくなるのが怖くて

ちゃんと澪の事見てなかったんだ

逃げたんだ、悪い予感から

もうずっと離さないって誓ったのに

私は大馬鹿だ

律「あ、メール」

唯『帰省中だよね?みんなでどっか遊びに行こうよ!』

律「・・・」

律「行くか」

何も考えたくない

昨日の事も

唯たちの事も

何も

律「えっとマフラーは」

何も考えず無意識に出かける準備をする

この家にいても仕方ないと思ったから

考えるって事から逃げたかったから


駅前

唯「あ、りっちゃんだ」

紬「りっちゃん遅刻~」

梓「もうほんとに律先輩は」

考えまいとすると余計に考えてしまう

澪の事

唯「こっちに気づいてないね」

紬「こっちよ~」

梓「流石に遠すぎて聞こえないんじゃ」

何も考えないで足を動かす

胸が苦しい

光がまぶしい

何も分からない


澪の事は唯たちには言わない事にした

澪が私だけに会いに来てくれた

その事に何か意味があるんじゃないかと思ったから

それに

言葉にしてしまうともう二度と会えないような気がしたから

だから私は・・・

律(雪か・・・)

雪が降ってる

冬が澪を連れて行ったような気がして

無性に腹が立った

いや

違う

男「でさ、その女が子供出来たから結婚してくれ!なんて言ってきてさあ」

女「え~こわ~い」

男「だろ?誰の子かも分かんねえからバックレたんだよ」

女「マジ~?キャハハ」

男「ほんと勘弁してくれって感じだよな~」

違うんだ

違うんだよ

大切な一番の親友

でも

唯「おーいりっちゃーん」

律「おー」

紬「おはよ~」

梓「早くしてくださ~い」

そうじゃない

律「今行くって」

そうじゃないんだ

私はただ

澪の事が


好きだったんだ



冬が私を呼んでるから



おしまい