さわ子「オオオオオオオオ!!」

澪「きゃあああああ!!」

唯「の、和ちゃん、3本目はないの?」

和「……ないわ。残念だけど」

律「じゃどうすんだよ!」

和「……」

唯「?」

和「……パス1」

唯律「」



さわ子「あっはっはっ! 早くも万策尽きたようね!」

和「くっ……」

さわ子「だいたい私に逆らおうなんてちゃんちゃらおかしいのよ!」

さわ子「さあ、これでトドメ

律「さ、さわちゃん!!」

さわ子「……なによ。今私が最高にかっこいいシーンなのに」

律「あ、あのさー」

律「い、今おいしい紅茶が水筒に入ってるんだけどさ、飲みたくない?」

さわ子「紅茶?」

律「ムギ特製の高級紅茶だよ! ほっぺが落ちるって評判なんだ!」

さわ子「紅茶ねぇ……」

唯「そ、そうそう! 今ならお茶請けにマドレーヌも付いてくるよ! お得だよ!」

さわ子「うーん……。でも今私ミルクティーが飲みたい気分なのよねぇ」

唯「え」

律「み、澪。出番だぞ! 乳出せ、乳!」

澪「で、出るわけないだろぉ……」

和(恐怖のせいで突っ込みに覇気がないわ。18点ね)アチャー


さわ子「なに? ミルクティーはないの?」

唯「うぅっ……」

さわ子「なら仕方ないわね。死になさい」

澪「ひ、ひいっ! 死にたくないよお!」

さわ子「泣きわめいても無駄よ。
    頼りの和ちゃんだってぐぅの音も出ないほど完敗だったじゃないの」

和「ぐぅ」

さわ子「黙らっしゃい」

さわ子「ふっふっふっ。この金棒を使うのも久しぶりね」ブルンブルン

澪「ひいっ!」

さわ子「覚悟しなさい。あっという間にこの金棒の染みにしてあげるわ」

律「ちくしょう……!」

さわ子「次の一撃で今度こそあなたたちは……」

さわ子「木っ端微塵


唯「……私、こんな年増に殺されるなんて嫌だよお!」

さわ子「は?」ピタッ



さわ子「ゆ、唯ちゃん? 今なんて言っ

律「……そうだよ。鬼の女の子って若くてかわいいのが普通じゃないのか……?」

さわ子「……」ビキッ

澪「……わ、私もどうせならラムちゃんとか眠鬼みたいなかわいいやつが良かった……」ブルブル

さわ子「……」ガタガタ

和「確かにこの鬼がビキニ姿で『ダーリン愛してるっちゃ』とか」

和「下半身裸で『私のパンツを知らないか?』とか言い出すかと思うとぞっとするわね」

さわ子「……ガフッ」

和「?」


―――バタリ

さわ子「」

和唯律澪「……あれっ?」




こうして
鬼は自分の身の程を嫌というほど思い知らされ、
その心にマリアナ海溝よりも深い傷を負い
遂に成敗されたのでした

一件落着
和ちゃんとその仲間たちは鬼ヶ島から財宝を持ち帰ることになりました




 し か し




テクテク

律「ようやく一件落着だなー」

唯「ねー」

律「早くみんなの喜ぶ顔がみたいなー」

唯「ねー」

トコトコ

澪「なあ、和」

和「なに?」

澪「ごめんな」

和「えっ?」


――――グサッ!


唯律「!」

和「あっ……あ、あ……ああ」

バタリ

唯「和ちゃん!!」

律「おい、澪! お前

ザクッ!

律「ぎっ」

バタリ

澪「……は、は、はははははは」

唯「りっちゃん!!」

澪「あははははははははははは!!!」

唯「澪ちゃん、な、何を!」

澪「あはははははははははははは!! 死んじゃえ死んじゃえ!!」

澪「和も、律も、唯もみーんな死んじゃえばいいんだ!!」

澪「あはははははははははははは!!」

唯「……!」ゾクッ

澪「みんな死ねば鬼の財宝は、ぜーんぶ私のものだ!!」

澪「一生遊んで暮らせるんだ! もうマドレーヌなんか恵んでもらわなくたっていいんだ!!」

唯「そ、そんなことのためにみんなを……!」

澪「あはははははははははははは!!」

澪「私の愉快な人生に比べたら……お前らの命なんか紙風船より軽いんだよお!!」

唯「ひっ」ガタガタ

澪「じゃあな、唯!!」


――――ザクッ





澪「うあ゛っ!」

ガクッ

唯「……あははっ♪ 太ももザックリ。もう二度と歩けないねー」

澪「ぅあ、ああ……なんで……」ガクガク

唯「残念でしたー。実は私も財宝を狙っていたんだよねー」

澪「なっ……」

唯「私、猫だったの覚えてる?」

唯「"猫かぶり"なんて指先ひとつでちょちょいのちょいに決まってるじゃん♪」

澪「あ……ああ……」

唯「それじゃあ……、バイバイ♪」

澪「……ああ……あ、あ、うわあああああああああああああああああああああ!!!」


――――――――――――――

――――――――――

――――――


かくして
唯ちゃんが鬼の財宝を持ち逃げ
和ちゃんとその仲間たちが再び故郷の土を踏むことはありませんでした


一方、澪ちゃんに刺された和ちゃんは
自身から溢れ出るおびただしい量の血を目の前にして
その意識をゆっくりと手放そうとしていました
しかし、薄れゆく意識の中和ちゃんはひとつのことを悟ります

鬼とは、虎柄衣装に身を包み角を生やした彼らのことなんかじゃない
人の心にこびりついた薄汚くて最も卑しい穢れたモノこそが
紛れもない"鬼"なのだ、と

残念ながら、息も絶え絶えな和ちゃんにはその事実を誰かに伝えることはできません
結果、人類は内に潜む"鬼"に気付けず終いとなりました

ですから
今日もまたどこかで誰かが私利私欲を振りかざす欲深な"鬼"に、その姿を変えているのでしたとさ

めでたしめでたし




おしまい