ジャー

和「さ、あとは寝るだけね」


――ギシギシ


和「!」

和「い、今なにか物音が……」


ガヤガタ


和「やっぱり!」

和「……ひょっとして」


ギシギシガタガタ


和「……泥棒!?」



ギシギシアンアン

和「……怪しい物音はこの部屋からね」

和「ふすまが空いてる……」

和「……ジー 」


梓「あっ……そ、そこは汚いですよぉ!」

紬「ふふふ。梓ちゃんに汚いところなんてあるわけないじゃない♪」


和「……」

和「……なんだレズセックスじゃない。心配して損したわ」

和ちゃんはクールでした


和「はぁ……。お盛んね」

和「……あら?」


梓「ギシギギシ 」

紬「アンアアン」


和「?」

和「なんか……布団がボロっちいわ」

和「私の部屋には高級ベットがおいてあるのに……」

和「……」


ガララッ

和「プロレスごっこに熱中してるところ悪いけどちょっとお邪魔するわね」

紬「ひゃっ!?」

梓「にゃっ!?」

和「ちょっと2人に聞きたいことがあるんだけど」

紬「な、なにっ♪……かしら?」ギシギシ

梓「なんでも答えますよんっ♪」アンアン

和「とりあえず腰を振るのを止めて」


和「あのね」

和「私の部屋に比べてこっちの部屋がボロ過ぎると思うの」

紬「!」

梓「そ、そんなことありませんよ! 気のせいですよ、気のせい」

和「じゃあムギ、その藁の束はなに?」

紬「えっ? あっ……そ、その」

和「……やっぱり」

和「私がふかふかベットで寝てる隣で2人は藁の上で寝てたのね」

紬「ち、違うの和ちゃん!」

梓「そうですよ! こ、これは最近流行りのハイジごっこです!」

和「苦しい言い訳はいいから」

梓「あっ、いや……」

和「それで、これはいったいどういうことなの?」

紬「……そ、それは―――



紬ちゃんの説明は要点残してはしょっちゃうと一言でまとまってしまいました

鬼に財産をとられた

この地域は基本的に富裕層の居住区でしたが
2ヶ月ほど前、鬼ヶ島から鬼がやって来て人々から金品をせしめあげたのです
そのため 、この地域は貧民街と化し、もれなく紬梓家の家計も火の車となりました

しかし、2人には幼い和ちゃんがいました

和ちゃんには辛い思いをしてほしくないという1つの願いのために
紬ちゃんと梓ちゃんは自らの生活を切り詰めることにしたのです

倹約に倹約を重ね、和ちゃんに贅沢をさせてあげました
影で自分たちが極貧の生活を送っていることを気取られることのないように


紬ちゃんの説明を聞いて、和ちゃんは黙っていました

肩を震わせることも
唇を噛み締めることも
手のひらを握りしめることもせず
ただただ黙っていました

そんな風に一切の感情を見せることなくたった一言だけを言いました


    「そうなんだ。じゃあ私、鬼ヶ島行くね」






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