澪「何を言っているんだ?」

唯「テレビで見たんだけどね、今れんりつ聖剣てのが流行っているらしいよ」

澪「聖剣じゃなくて政権な。それに流行ってない」

唯「え~、そうなの。ところで連立政権てなに?」

澪「わからないで言っていたのか。まったく」

唯「それでなんなの? 教えてよ、澪ちゃん」

澪「連立政権ていうのは簡単にいえば大臣をやらせる代わりに一緒のグループになろうってものだ」

唯「だいじん?」

澪「う~ん。ある分野に関して何かしらの権限を持った偉い人といえばわかりやすいかな」

唯「お~、面白そう」



唯「ということで澪ちゃん、連立政権を組みましょう!」

澪「嫌だよ。唯と連立を組んで何のメリットがあるんだ?」

唯「はい。毎日の宿題が楽になります!」

澪「唯のだ・け・な!」

唯「それならかわいい格好ができます!」

澪「コスプレじゃないか!」

唯「え~。どうしてもダメ?」

澪「ダメ。連立政権てのはお互いにメリットがなくちゃダメだ」

唯「澪っぺのケチんぼ」

澪「ケチでけっこう、コケコッコー」



紬「私と連立組むのは嫌かしら、唯ちゃん」

唯「おお、ムギちゃん。大歓迎だよ!」

澪「おいおい、ムギ正気か?」

紬「だって楽しそうですもの。私、子供の頃こういう遊びしたことなかったの」

澪「どこを探してもそんな遊びしている子供はいないぞ」

唯「それではムギちゃんを大臣にしてあげましょう!」

紬「ほんとうっ! ありがとう、唯ちゃん!」



澪「それでなんの大臣なんだ?」

唯「大臣は大臣だよ」

澪「あのな、唯、さっきも言ったとおり大臣てのは”ある分野”の権限を持つ人だ」

唯「ふんふん、それで?」

澪「財務大臣とか農水大臣みたいに何かがつかないとダメだ」

唯「え~、ドラクエはただの大臣だよ」

澪「あれは中世ヨーロッパをモチーフにしたファンタジーだろ!」

唯「それじゃあムギちゃんを太政大臣にします」

紬「わ~、ありがとっ。太政大臣なんて琴吹家の歴史が始まって以来、私が初めてだわ」

澪「唯の口から太政大臣なんて出たことは驚きだがそれもダメだ」

唯「なんで? 社会ではらたいらのきよしって人が太政大臣になったと習ったはずだよ」

澪「平清盛な。なんだそのクイズの最終問題で全部賭けられそうな名前は」

唯「そうそう。そのたいらのきのもり」

澪「清盛! 太政大臣は昔はあったが今はない役職だ」

唯「え~、いいじゃん。おなじ日本なんだしさ~」

澪「その頃は連立政権なんてもなかったぞ」

唯「ぶう」



紬「それなら私は食料大臣として入閣するわ」

唯「それなにをする大臣なの?」

紬「唯ちゃんのためにいっぱいお菓子を持ってくる大臣」

唯「よろしくお願いしますっ」

紬「うん!」

澪「おいおい、唯がもらうばっかりでムギに見返りが何もないじゃないか」

紬「唯ちゃんが私のお菓子をおいしく食べてくれるだけで私は嬉しいのよ」

唯「お腹いっぱい食べます」

紬「期待しているわね」

澪「ムギがそれでいいならいいけど……」



律「なになに? 何か面白いことしてんの?」

紬「りっちゃん。あのね、私ね食料大臣になったの」

唯「私とムギちゃんは連立政権を組んだのです!」

律「へー、そりゃ楽しそうだな」

澪「ホンキか、律。唯が考えたままごとだぞ」

唯「ムギちゃんはお菓子をいっぱい持ってきてくれるのです」

律「え、マジ? わたしも連立組む、組む」

唯「りっちゃんは何大臣になりたい?」

律「う~~~~ん、難しいな……あ、お笑い大臣なんてはどうだ?」

唯「お笑い大臣?」

律「面白いことを言って唯総理大臣を楽しませる役目でございます」

唯「おお、それはいい考え! りっちゃん隊員にお笑い大臣を任せます」

律「任されよう」

紬「これで三人になったわね」

唯「うん!」

律「三人? すると澪は入ってないのか?」

唯「澪ちゃんはね、連立なんてものに興味がないんだってさ」

律「へ~、そうなんだ~」

澪「な、なんだよ。くだらない遊びしても楽しくないんだろ」

律「ううん、べっつに~。そうか、澪は仲間はずれか~。”三人”で仲良くやろうな」

澪「うらやましくなんかないんだからな」



梓「ふへー、今日は日直で遅れてしまいました。すみません先輩方」

律「お、梓。いいところにきた」

梓「なんですか。顔がやらしいです。なんか企んでますね」

律「いやいや、ただ梓とも連立を組もうと思ってな」

梓「連立、なんですか、それ?」

唯「知らないの、あずにゃん! 仲良し同士で組んでグループをつくることだよ」

梓「連立自体は知っています。
  その連立が何で今関係あるのかを聞いています。あと唯先輩のはずいぶん曲解した認識です」

唯「う、あずにゃんまで澪ちゃんみたいに手厳しい」

紬「あのね、けいおん部でも連立を組んでもっと仲良くなろうという話になったの」

律「そうそう、私がお笑い大臣で、ムギが食料大臣」

唯「私が掃除大臣です! えっへん」

梓「田井中先輩と琴吹先輩のは言葉から何となくイメージできますけど、
  唯先輩、掃除苦手じゃないですか……」

澪「唯は総理大臣だ」

唯「そう、そのソーリー大臣」

梓「謝る大臣みたいになってますよ。
  それにしても唯先輩が総理大臣。掃除大臣よりも想像できませんね」

唯「あずにゃん酷いよ~」

梓「それで澪先輩は何大臣なんですか?」

澪「わ、わたしは」

唯「澪ちゃんは連立に入っていません」

律「そうなんだってさ、一人がいいらしいよ」

梓「そうなんですか。何となく経緯もわかります」

律「それで梓はどうするんだ?」

梓「わたし……ですか?」

唯「もちろん連立組むよね!」

梓「唯先輩が総理大臣というところに不安が……」

紬「お菓子もついてくるわよ」

梓「お菓子は別に……」

律「いやいや、ムギ本人が嫌がっているのに無理に誘っても仕方ないよ」

梓「まだ嫌だとも言っては……」

律「でも残念だな。梓も澪と一緒に仲間はずれで野党連合か」

梓「連立組みます」

唯「やったあ」

梓「それで私は何をすればいいんでしょうか?」

唯「えっとね………あずにゃん何ができる」

梓「いきなり丸投げですか。そうですね……ネコミミ大臣とか」

唯「…………」

梓「あ、ダメですよね。すみません、くだらないこと言って」

唯「ううん。すごくいい」

紬「私もとってもいいと思うわ」

律「梓はネコミミ大臣に決定」



紬「皆でおいしいお菓子食べましょうか」

唯「やったあ」

澪「もしかして私だけ仲間はずれ」

律「あっれ~、どうかしましたか、澪さん?」

澪「ど、どうもしないさ。さびしくなんかないんだからな」

律「そうですか。それじゃあ私たち連立与党はあっちで楽しくやりますんで」

梓「あ……このお菓子本当においしいです」

唯「うんうん、いつもよりおいしい」

紬「そう? よかったわ、気に入ってもらえて」

澪「うわ~ん、私も入れてくれ~」




fin