ダッ!

律「聡!!クソッ………音の出所は………」


ガタッ…ダン………バタ……


律「………リビングか!?」ダッ



バタン!

律「どうしたんだよ聡!!お前旅行に行っ……………て………………」

律「…………聡?」


聡「助け……姉ちゃ……逃げ………あぁ………」

律「さ、さとしぃぃい!?!?ぶわあははははははwwwww何ごっこだそりゃ!?!?wwwwwwwww(布団で身体中を包んで天井からぶら下がってるwwwwwまるでてるてる坊主みたいだwwwwww)」

聡「逃げっ……ねーちゃ……ガハッ……逃げ……」


律「………ん?(よく見たら布団全体が湿って………)」

律「いや待て、この部屋中に充満した匂い……」

律「これって……………アルコールか!?」

律「一体なぜ………なにが………」

聡「コホー…………コホー…………ねーちゃん………頼むから………逃げて……………」

律「さ、聡!!今降ろしてやるからな!!」

聡「!!だ、ダメだぁがが!!!やめっ……ダメ……」

律「な、なんでだよ!?なんかお前の様子もおかしいし!!」

律「い、いいから、今降ろしてやるからまってろって」

聡「き、きちゃ………ゴフォッ……ダメだ………」

ピィィン

律「……え」

バシャァァァァァ!!

律「!?!?!?ゲホッ……ゲホ……なんだこれ……酒くさい…」

律「………なるほど、紐が引っ張られると天井にセットしてあったバケツが回転して下にいる私にぶっかかるシステムか」

律「おい聡!こんなくだらないいたずらの為によく頑張ったな!!あっははは!!」

梓「いたずらなんかじゃないです!」

律「はいぃぃ!?」ビクッ


梓「こんばんは!律先輩!!」

律「あ………梓!!!なんで!?なんで私ん家に!?ええ!?」

梓「律先輩!!ゲームスタートです!!」

律「おい待て!待て待て待て中野!!なんの事だよ!?」

梓「全く、驚きましたよ!!私の予想よりはるかに早く律先輩が帰ってきちゃったから準備に忙しかったです!!」

律「おい……梓、お前何言って…」

律「………!!」

梓「気づきましたか!」


『梓が失踪した理由を考えてみてください』


律「純ちゃん……今日は学校に来てないのに…なんで梓が失踪した事知ってたんだ…」

梓「純にはゲームの準備のための時間稼ぎをしてもらいました!」

梓「大変だったんですよー律先輩!律先輩の御両親を移動させるの!」

律「は?………は?」

梓「私はまず、律先輩の後輩として律先輩のおうちを訪ねました!」

梓「すると聡君が出向かえてくれました!」

梓「私はひとまず律先輩の部屋に入れてもらいました」

梓「律先輩のお母さんがおやつを部屋に持ってきてくれたので、あらかじめ用意していたスタンガンで気絶させました!」

律「なっ!!!」

梓「次に、なぜか知らないけど家にいたお父さんが、異変に気づいて部屋に向かってきました!なぜ平日なのに家にいるんでしょう!」

梓「すかさず私はスタンガンで気絶させました!!」

梓「そして聡君を脅して手紙を書かせました!家族で旅行に行ったということにしてなるべく不自然さの無いように書いてもらいました!」

梓「そして聡君も電気ショックです!」

律「…くっ!!」

梓「大変でしたよ!!今御両親はお風呂場で寝てます!」

梓「お風呂には大量のアルコールを張ってあります!アルコールが充満してます!」

梓「ちなみにほかの部屋にもアルコールが充満させてありますよ!律先輩一家で酒豪だったのが幸いしました!」

律「なんの目的で…?」

梓「もちろんこの部屋もです!!ただし、他の部屋ほどではありません!」

梓「そして聡君をアルコール浸けにした布団でぐるぐる巻きです!天井から釣るしましたです!疲れました!」

梓「ホントは他にも色々ギミックを仕掛けたかったんですけど、律先輩が帰ってきちゃったので出来なかったんです」

梓「さあ律先輩!ゲームしましょう!!」


律「な、なんだよそれ!!ふざけるなよ!!こんな事して……!!」

梓「律先輩は私の予想通りアルコール浸けになりました!」

梓「今からもう少しでこの家の部屋のどこかに火がつきます!」

律「……はぁ!?なんだそれ!!」

梓「どこに火がつくのかはお楽しみです!ていうか私にもわかりません!」

律「だ、だったら今ここでお前を抑えて火種を奪う!!」

梓「私を抑えても無理ですよっ!」

律「!?」

梓「時限式に火種がついていきますから」

律「そんな…!」

梓「私もタイマーをばらばらに配置したので、どこから着くか知らないんです」

梓「…ゲームのルール説明を続けますね!」

律「無茶苦茶すぎるよこんなの……!!」

梓「律先輩にはこれから家族を救ってもらいます!」

梓「当然家の中はアルコールで満たされてるので、外まで運ぶことになりますが…」

梓「家族の方を全員救えたら律先輩の勝ちです!頑張ってください!」

梓「ヒントとしては!!布団ぐるぐる巻きの聡君は重量もあるので後回しのほうがいいですね!それじゃスタート!」

律「ふざけんなあ中野ォォオォオオォォォ!!!!逃がすか――――」


ボォォオォォオ…


律「な、なんだ!?」

梓「どこかの部屋に火がついたみたいですね」

梓「はやくしないと家族みんな焼け死にますよ?私なんか追ってていいんですか?」

律「ぐうっ!!!!ちくしょお!!!!!」ダッ

梓「……さよなら、律先輩」ニヤリ



ゴォォオォォォオォォォォオォオォォォォオ


律「クソッ!!クソッ!!もう燃え広がりはじめた!!」

律「糞中野の言う通り聡は後回しだ!!」

律「あの部屋はアルコール量も少なめみたいだし…しばらくもつはずだ!!」


ガラガラ

律「お父さん!!お母さん!!(千尋風)」

律「グッ…!!わりいお父さん!!お母さん先に連れてくよ!!」

ズル…ズル…

律「ハァ……ハァ………(クソォ…風呂場から玄関まで距離がありすぎる……でも、玄関以外の出入口は部屋と直結してる…)」

律「(万が一その部屋に着火したら……ダメだ、リスクは冒せない!!)」

ゴォォオォォォオォォォォオォオォォォォオ

律「ハァ…………ハァ………もう……すぐ……だ………(重い…人間一人を一人で引きずるのは想像以上に辛いぞ……)」


ギャァァァァァアァァァァァァアァァァァァァアァァネェェェエェェェェチャァァァァァァン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


律「!?!?!?さ、聡!?なんだ!?まさか、リビングに着火したのか!?!?」ダッ



バァン

律「聡!!!」

律「は……………!?」

律「なっ!?なんで………?この部屋まだ着火してない…」

律「着火してないのに………なんで……」


聡「ァァアアァァアァアァアァァアアァァアァアァア!!!!!!!タスケテェエェエェェェエエェェエェ!!!!!!!!!」

律「なんで聡が燃えてるんだ……?」


律「!!!!!(聡の釣るされてるロープ!!あれも燃えてる!!あれにもアルコールが染み込ませてあったんだ!!)」

律「(あのロープ!!よく見たら他の部屋にも繋がってるじゃんか!!!)」

律「(つまり…ダイナマイトの紐みたいに…くそぉ!!)」


律「なぁぁかのぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!てめえはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

聡「ァァアアァァアァアァアァァアアァァアァアァアァァアアァァアァアァア!!!!!!!!!!!」ゴオォォ

律「聡!!い、今助けてや……………!!!!」

律「(私もアルコール浸けなんだぞ!?聡は身体中ぐるぐる巻きにされたアルコール布団ごと燃えてる!手を出したら私まで!!)」

聡「ァァアアァァアァアァア!!!!!!!」

律「………そうだ!!水をかければ!!水道の水!!!!」


ドゴンッ

聡「ァァアアァァアァアァア!!!!!!」

律「!?さ、聡!!(釣るしてあったロープが燃え尽きて聡が地面に落ちた!!!)」

ゴオォォォオォォォォオォオォォォォオォオォォォォオ

律「………ぁ……あぁ………地面はアルコールで!!!!!!」

炎が一気にアルコール浸けの部屋の中に燃え広がる
律は無我夢中で廊下へ飛び出す
部屋の中からわずかに聡のうめき声が聞こえた


律「ハァ……ハァ………そんなっ……ハァ……ハァ……嘘だ……聡ィィイィイイイ!!!!!!!!」

律「くそぉ!!くそぉ!!く……」

目の前には運び出した母親が横たわっていた
燃えていた
廊下が燃え始めていた


律「……………あぁ……そんな……………」

律「…………お父さん運ばなきゃ…………」



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