「――あずさちゃん」


梓「あ・・・」

「・・・」

梓「むぎ・・・先輩・・・」

紬「・・・?」

梓「・・・っ」

紬「どうしたの?」

梓「いえ、なんだか・・・」

紬「どうして・・・寂しそうな顔をしてるの?」

梓「なんだか・・・胸が一杯になってしまって・・・」ホロリ

紬「・・・」

梓「名前を呼んでくれた事が・・・どうしてか、嬉しいんですっ」ボロボロ

紬「じっとしててね」フキフキ

梓「・・・っ」グスッ

紬「・・・これでよし、ね」ニコニコ

梓「~ッ!」

「まるで長い時間を越えて出会った二人のようなの」

夏目「・・・」

梓「えへへ」

紬「うふふ」

レイコ「・・・」

「・・・あふぅ」

梓「どうして降りてきたんですか?」

紬「展望車から見えたのよ。ギターを背負ったあずさちゃんの姿をね」ニコニコ

梓「そうですか」

夏目「「 ・・・アズサ? 」」

紬「同じ学校に通う、後輩の中野梓ちゃん」

「同じ名前でビックリしたの」

梓「どうも・・・。この人たちも乗車しているんですね」

紬「夏目さんたちはそうだけど・・・」

「私は乗らないよ」

紬「あずさちゃんの知り合いじゃないのね」

梓「はい」

レイコ「夏目、行ってくるからな」

夏目「いや、先生はここに居てくれ。おれが見てくるから」

レイコ「急いでくれよ」

夏目「分かってる」

スタスタ

紬「夏目さんはどちらへ?」

レイコ「私の弁当を買いにだ」

紬「まぁ・・・」

「美希もお腹空いたの」

レイコ「天むす弁当をな」

美希「むすって、おむすび?」

レイコ「そうだぞ」

美希「食べたいの!」

レイコ「やらん」

美希「ケチ」

レイコ「なんとでも言え」

紬「うふふ。それじゃ待っててね、あずさちゃん」

梓「?」

紬「展望車でお茶会を開くの。その時にみんなを驚かせましょう」

梓「いいですね! って事は紅茶を用意するんですね、手伝います!」

紬「一人で平気よ、お喋りしてて~」シャランラ

梓「・・・はぁ」

美希「どうしてため息を吐くの?」

梓「優しくて、参ってしまいます」

美希「へんなのー」

梓「って、あなた誰ですか」

美希「今人気上昇中のアイドル、星井美希だよ☆」

梓「あなたは?」

レイコ「夏目の・・・・・・用心棒だ」

梓「用心棒?」

美希「アイドルって所に食いつくとこなの☆」

梓「アイドルに興味は」

「ちょっと美希ー!」

美希「あ、律子・・・さん!」

律子「置いていかないでよ・・・って、あずささんたちは一緒じゃないの?」

美希「一緒じゃないよ?」

律子「うわ・・・はぐれた・・・」

梓「あっ! 秋月律子!」

律子「そうです・・・けど?」

梓「東京は夜の七時が好きでした!」

律子「はは・・・過去形なのね」

レイコ「それはおいしいのか?」

梓「食べ物じゃないですよ、音楽です」

律子「その曲を気に入ってくれるなんて、結構コアなのね」

梓「声が好きでした」

律子「うん・・・過去形ね・・・」

美希「じゃあじゃあ、ふるふるフューチャーも聞いてくれたよね!?」

梓「・・・」シーン

美希「聞いてないの? 時代遅れなの」

梓「でも、りっちゃんさんは引退したはずではなかったですか?」

律子「うん。二年前にね・・・。今はプロデュース側に回っているわ」

梓「そうなんですか」

美希「無視はダメなの!」

レイコ「・・・遅いな、座って待つか」

スタスタ

律子「・・・あの人、中々の逸材ね」キラン

梓「・・・」

美希「このチビネコちゃん失礼極まりないの」

梓「チビネコ・・・?」キョロキョロ

美希「あなたの事を指しているんだよ?」

梓「・・・フッ」

美希「鼻で笑われたの!」

律子「美希を軽くあしらうなんて・・・」

梓「むぎ先輩まだかな」

美希「むぅ・・・全然会話にならないの」

律子「あなたもヴェガに乗ってるの?」

梓「そうですよ」

律子「それじゃあ・・・。飯山みらいを知ってるわね?」

梓「はい。東京駅でみかけました」

律子「?」

梓「私ここから再乗車するので、みらいの事はよく知らないんです
  唯先輩と一緒に居るから悪い子ではないと分かりますけど・・・」

律子「・・・そう」

美希「みらいって誰なの?」

律子「ちょっとね・・・」

「律子さ~ん」

「りっちゃーん」

律子「よかった・・・。一緒にいたんだ」

美希「見つけるの遅いの」

「ミキミキが走って行っちゃうからだよぉ」

「よかったぁ」

律子「真美とあずささん、どこへ行ってたんですか?」

あずさ「ちょっとお買い物を~」

真美「お腹すいちゃって」

梓「むぎ先輩まだかな」キラキラ

美希「これだけのアイドルを無視するなんて、いい度胸なの」

夏目「・・・わるい、先生」

レイコ「どうして手ぶらなんだ」

夏目「売り切れていたんだ・・・」

レイコ「私の腹はどうするんだ」

あずさ「お腹空いているんですか?」

レイコ「そうだ」

あずさ「それなら、お礼におむすびどうぞ」

レイコ「うむ」

夏目「先生、遠慮しろよ」

あずさ「いいですよ~。夏目さんの案内でここまで来られましたから」

夏目「・・・ありがとうございます」

真美「気にする事ないよん! 夜食は控えなきゃいけないよね、やっぱり」

あずさ「そうね~、危なかったわ~」

律子「せめてフルーツにしてほしいわね」

美希「ねぇねぇ、おむすび余ってないかな」

あずさ「ごめんなさいね美希ちゃん、もう無いの」

レイコ「もぐもぐ」

美希「うぅ・・・残念なの」

紬「おまたせ~、大賑わいね」

梓「あ、本当だ・・・人が増えてる」

美希「視界に入ってなかったみたいなの」

梓「まだいたんだ」

美希「屈辱的なのぉ!」

真美「ツインの子とミキミキは相性悪いみたいだねぇ」

梓「・・・」

美希「・・・」

レイコ「どっちもネコ娘だからな」モグモグ

梓「ネコ娘・・・って・・・」

美希「初めて言われたの」

律子「まぁ、美希は性格柄否定はできないけどね」

夏目「先生も人の事言えないじゃないか」

紬「人の事・・・」ジー

夏目(まずい・・・琴吹さんの前では控えよう・・・)

美希「同類にしないでほしいの」

梓「そうですよ」

美希「むむぅ・・・」

律子「まぁまぁ。・・・あの、飯山みらいはまだ乗っていますか?」

紬「・・・はい」

律子「あ、私・・・秋月律子と言います。みらいとはちょっとした知り合いといいますか」

あずさ「みらい・・・飯山みらいちゃん?」

律子「そうですよ、あずささん」

あずさ「・・・」

夏目「?」

レイコ「うまいうまい」モグモグ

美希「おいしそうなの」

紬「みらいちゃんになにか・・・?」

梓「むぎ先輩・・・?」

律子「事務所を辞めたと聞いて気になっていまして」

紬「・・・」

梓「りっちゃんさんがどうして・・・?」

律子「事務所絡みで色々あってね」

梓「・・・」

紬「展望車にいますよ。こっちです」

スタスタ

美希「律子・・・さんの様子が変なの」

夏目「・・・」

レイコ「ここで食べてるからな」モグモグ

夏目「あぁ・・・」

紬「展望車にいますよ。そこから覗けるかと」

律子「・・・」

真美「おぉー、楽しそうですな」

あずさ「みらいちゃん・・・」

律子「・・・」

梓「唯先輩と仲がいいみたいですね」

紬「えぇ、唯ちゃんが勇気を与えているわ」

律子「勇気を・・・」

あずさ「律子さん、いいのですか・・・?」

律子「はい・・・。必要なのは私じゃないですから」

紬「・・・」

梓「唯先輩・・・またエアギターやってる・・・」

真美「そのネタいただき」メモメモ

あずさ「・・・楽しそうに笑っていますね」

律子「・・・はい」

紬「唯ちゃんはそういう雰囲気を生み出してしまうんです。天性ですね」

律子「・・・」

紬「あ、あずさちゃん」キラン

梓「了解です」ガサゴソ

真美「それってギターだよね?」

梓「うん」

美希「ここで演奏するなんて、迷惑なの」

梓「美希に聞かせる為じゃないから」

美希「むぅ!」

紬「うふふ」

真美「それじゃどうして出したんさ?」

夏目「・・・」

梓「むぎ先輩がエアギターを弾くから、それに合わせて音を出すという事」

真美「おぉ、以心伝心ですなぁ」

紬「嬉しいわ」スッ

梓「えへへ」スッ

パァン

真美「まさか、ここでハイタッチが見られるとは・・・。すごい」

美希「大したことじゃないの」

梓「やけにつっかかるなぁ」

夏目「出会いが悪かったみたいだ・・・」

美希「そういうこと・・・なの」

紬「ある意味仲がいいってことよね」

あずさ「そうですね~」

梓「・・・」

美希「それは違うの・・・って、どうして否定しないの、アズサ!?」

梓「むぎ先輩の言葉を否定するわけ無いでしょ」

美希「そんなこと知らないの!」

真美「ミキミキのペースが乱れまくってますな」

律子「私がここから覗いた事、内緒にしていてくれませんか?」

紬「・・・理由がおありのようですね」

律子「はい。今のあの子にはあの場所が必要ですから」

あずさ「・・・」

真美「んー?」

美希「・・・」

紬「あずさちゃん、合図をするから来てね」

梓「はい・・・?」

紬「みんなを驚かせる為に演出してくるわね」ニコニコ

梓「はい!」

紬「それでは失礼します」

律子「ありがとうございました」

紬「いえいえ」

美希「あふぅ」

真美「そろそろ眠たくなってきたよ」

律子「悪いわね、つき合わせちゃって」

美希「戻って寝るの~」

あずさ「・・・」

律子「行きましょう、あずささん」

あずさ「はい・・・」

夏目(展望車・・・いや、飯山をみていたのかな・・・)

梓「おやすみなさいです」

律子「えぇ、おやすみ」

真美「バッイバーイ」

あずさ「おやすみなさ~い」

夏目「・・・」

美希「そのギターに私のサイン書いてあげようか、価値がうなぎ昇りなの」

梓「音がよくなるわけでもないから、いいよ別に」

美希「アズサ嫌い! ベーっだ」

梓「なぜか嫌われた・・・」

紬「あずさちゃーん」ヒソヒソ

梓「は、はい」

テッテッテ

美希「・・・」

夏目「行かないのか?」

美希「ちょっと羨ましいの」

夏目「?」

美希「尊敬する人と仲がいいって、素敵な事なの」

夏目「・・・」

美希「それじゃ、おやすみぃ」

夏目「あ、明日の朝、名古屋城でHTTFが演奏するって」

美希「なにそれ、よく分からないの」

夏目「Fはフューチャーだって」

美希「???」

夏目「秋月さん・・・だっけ、聞いてみたら分かると思う・・・」

美希「みらいって事・・・かな」

夏目「うん」

美希「分かった。バイバイ」

テッテッテ

夏目「秀輝まで混じってる・・・松浦さんも・・・よかった」

夏目(今日はもう寝よう)


レイコ「・・・くー」

夏目「先生、先生」ユッサユッサ

レイコ「む・・・?」

夏目「個室に戻るぞ」

レイコ「うむ」

どろん

先生「ぷー、ぷー」

夏目「寝ぼけるなよっ!」キョロキョロ

シーン

夏目「誰もいなくてよかった・・・」フゥ


ガチャ

バタン

夏目「よいしょ」

先生「ぷー、ぷー」

夏目「今日も一日大変だったな・・・」

カチッ

モゾモゾ

夏目「・・・」

先生「ぷー、ぷー」

夏目「おやすみ・・・」



2日目終了--------


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