平沢家

唯「ただいまー憂ー」

憂「あ、おかえりなさい。お姉ちゃん」

クーガー「今帰ったぞー」

憂「クーガーさんもおかえりなさい」

憂「なんて言うと思ってたんですか!? な、なんでうちに……」

唯「私が呼んだんだよ。一緒に晩ご飯食べようって」

クーガー「そういうところです!」

憂「ちょ、ちょっとぉ……もぅ」

クーガー「いや、突然ですみません。確か……うりさん」

憂「ういですっ!」

クーガー「そうかそうか、父母は旅行に」

唯「うん。いつまでも新婚気分を忘れないようにするためなんだって」

クーガー「旅はいい」

唯「え?」

クーガー「ゆり、俺はこう思うんだ旅は素晴らしいものだとその土地にある名産遺跡暮らしている人々との触れ合い
     新しい体験が人生の経験になり得難い知識へと昇華するしかし目的地までの移動時間は正直面倒!
     だが俺ならばこのお・れ・ならば破壊的なまでに短縮できるだから俺は旅が好きさだァい好きさァーー!」

憂「話ズレていってますよ。はい、どうぞ」

唯「わぁ~! シチュー!」

クーガー「おっほほー! 俺は家庭的な女も十分過ぎるほど愛せるのさ! うりさん!」

憂「ういです……」

唯「なんで憂には敬語のままなの?」

クーガー「ん? それもそうか。だがしかしうりさんには敬語の方がしっくりきてな」

唯「なんでだろうねー」

憂「もう好きにして……」グスン


憂「クーガーさんは前はどこにいたんですか?」

唯「ほら、学校とかどこに住んでたのかとか!」

クーガー「そうだなぁ……」

クーガー「神奈川県、かな」

憂「え、神奈川? ていうか、かなって……」

クーガー「そそ、神奈川、神奈川」

唯「学校はー?」

クーガー「学校はHOLD……つーことでいいかな!」

憂「え、え?」

クーガー「そんな前の話なんかどうでもいいじゃないですかァ。俺は過去を振り返らない主義なんです」

クーガー「振り返る暇があるのなら、テメェの前に向かって突き進む方が時間を無駄にしない~、ね?」

憂「はぁ……」

唯「そんなに生き急いでたら早死にしちゃうよー」

クーガー「ハッハハハハハッ!! 違いないな! 安心しな~俺はこれでも残りの時間を有意義に自由気ままに過ごしてるのさ」

唯「?」

クーガー「にしてもこの土地はいいー。平和と安全が約束されている」

唯「神奈川はそんなに酷かったの?」

クーガー「いやまぁ、酷いっちゃ酷いが、俺は嫌いじゃなかったぜ」

クーガー「そこには刺激が溢れている……ッ! 強い奴、弱い奴、そしてこの俺『速い』奴!」

憂(神奈川……うーん)

クーガー「ああ、付け足そう! ゛強くて゛『速い』奴で」

唯「あ、憂! そういや聞いてよ~。さっき私が車に撥ねられそうになったときクーガーくんがドカーンってやって助けてくれたんだよ!」

憂「ど、どかーん? ていうか撥ねられそうになった!? だっ、大丈夫なの!? お姉ちゃんっ」

唯「うん! それもこれも、クーガーくんのおかげなんだよ」

クーガー「いんやァ~」

憂「お、お姉ちゃんをっ、ありがとうございました……!」

クーガー「いいえ~」

クーガー(しっかし、あの場でアルターを使うべきではなかったか……? だが、まぁ)

クーガー「ダチのピンチにゃ背に腹は代えられんわなー! ハハハハッ」

憂「クーガーさん?」




唯「じゃあね~クーガーくん。また明日学校で!」

クーガー「ああ、ゆり。うりさんもまた明日ァ……」

憂「ういです。もしかしてわざと間違えてるんですか?」

クーガー「んーなーわけないでしょう~。俺が人の名前を覚えるのが苦手なだけですよ」

唯「えー、そんなのダメだよ」

クーガー「まぁまぁまぁまぁ! それじゃあな」

スタスタスタスタ…



唯「ね、クーガーくん面白いでしょ!」

憂「うん、まぁ……」

唯「どうしたの? 憂、さっきから難しそうな顔してる」

憂(うーん、なにか思い出せそうな気がするんだけど……)




次の日

さわ子「それじゃあHR終了。みんな授業に遅れずにね」

さわ子「それと、クーガーくんは後で私のところに来なさい」

「はーい」

ガヤガヤガヤガヤ…

律「……」

紬「りっちゃんどうしたの? さっきからクーガーくんのことジロジロ見たりして」

クーガー「俺に気があるな」

律「違うよ! ばか!」

クーガー「おーふー……手厳しぃー」

澪「ままま、まさか律っ、ほんとに……」

律「あーっ、だから違うって言ってんだろー!」

唯「りっちゃん! 応援してるよ!」

クーガー「俺も全面的に協力しよう、りく!」

律「もぉーやぁー!!」


紬「そういえば昨日のニュース見た?」

律「ん、ああ。また通り魔だろ? おっかないよなぁ」

澪「通り魔……」ガクガク

律「澪もこんなになっちゃうくらいだし」

クーガー「ほう、通り魔」

唯「1ヶ月前ぐらいから急にでてきたんだよ」

クーガー「ほー……」

律「なんか浮かない顔だな? まさか心当たりがあるとか……」

クーガー「……昔の話だ」

クーガー「愛車に乗って一人気ままに旅を続けていた俺なんだがな道中かよわい女性がアレーなんて悲鳴をあげつついわゆる
     やられ役みたいな奴に追いかけられてるのを見たんで俺の中にある正義感が沸々と湧きあがってきたし
     かよわい女性を助けるのは精神的にも肉体的にもお礼があるかなと思って
     最速で登場したわけだなんせ俺はグッドスピードだからなそれにやられ役の男たちが
     俺に向かって何かを言おうとしてきたんだが最速であることを信条している俺は会話もせずに奴らを蹴り飛ばして最速で女性を助けることに成功したのさ
     そしたらか弱い女性が俺にお礼を言ってチュ~の一つでもしてくれることかと思ったらいきなり怒り出してよ、
     よくよく聞いてみたらやられ役の男達は彼女のツレで鬼ごっこして遊んでたらしいんだよおいおいそんな誤解をまねくような遊びをしてるんじゃないと思ったけど
     最速を信条としている俺は即座に謝って即座にとんずらしたわけだがツレの男たちはなーんとヤーさんでな仲間を集めて俺を追いかけてきたもんだからさあ大変、
     食うや食わずの逃亡劇が始まってぇーの……」

律「誤魔化すにしてもなげぇよっ!!」



澪「そういえばクーガーくんさわ子先生に呼び出されてなかった?」

クーガー「おっと、俺としたことが。すっかり忘れていたー情けない」

紬「はやく行ってあげたら?」

紬「って、あら? いない……」

唯「さっすがクーガーくんだね~!」

律「おかしいだろ! あいつの速さは常人レベルじゃない!」

唯「じゃあクーガーくんは人間じゃない? うちゅーじん?」

紬「ああ! だからサングラス!」

澪「いや、それはどうかな……」

律「……なぁ、みんなであいつの正体明かしてやろうぜ」

澪「はぁ、お前も宇宙人説か?」

律「そうかどうかは別として、あいつ……謎だらけじゃないか」

紬「謎の転校生! なんかいいわね~」

唯「ワクワクするね~!」

律「お、おぉい……」




クーガー「いやァー、すみません。最速の俺が女性を待たせてしまうなんて」

さわ子「……どうして呼び出されたかは、わかっているでしょうね」

クーガー「はて」

さわ子「アルター能力を街中で使用することは極力避けろという命令をあなたは受けたはずよ」

さわ子「……使ったわね。そして見られた」

さわ子「ただでさえアルターは危険なものとして見られている。まぁ、この地ではこの力もあまり知られていないからいいとはして……」

クーガー「長くなる話ですか? 私は会話は大好きですが長話は大苦手でして」

さわ子「ふざけないでちょうだいッ!」シュッ…

スカッ

さわ子「!?」

クーガー「ハハハハハ! 誰も俺の速さには追いつけない。ね?」

さわ子(こいつ……調子に乗って……ッ!)


さわ子「いい!? 命令は絶対よ!」

クーガー「ん~……縛られることは嫌いだが、しようがないですね」

さわ子「とにかく、あなたはあなたの任務をこなしなさい」

クーガー「その際にアルターの使用が余儀なくされた場合は」

さわ子「……許可します」

クーガー「了解了解。わかりましたぁー……えっと」

さわ子(まったく! なんなのこのふざけた男は!)

さわ子(ジグマールもよくこんな奴に任務を任せられたわねッ……ストレイト・クーガー)

さわ子(゛向こう側゛を垣間見た男か。どうだか)

クーガー「私の顔になにかついていますか? いやだなァもうっ、あなたのようなお美しい方にそんなに見つめられたら私、もォー!!」

クーガー「あ、それから私のワガママ……聞いていただけませんか?」ニコニコ

さわ子「はぁ……?」



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