レイコ「・・・」

夏目「先生、起きてたのか」

レイコ「速いな」

夏目「そうだな。目的地まであっという間なんだろう」

レイコ「どこに停まるんだ?」

夏目「次は・・・金沢だな。到着時刻は・・・20:00か」

レイコ「美味い酒はあるんだろうな」

夏目「先生、その姿でのみに行くのは絶対にやめろよ」

レイコ「どうしてだ?」

夏目「制服着た女性がお酒持っていたらなにかと不都合なんだよ」

レイコ「・・・安心しろ。本来の姿で飲んできてやる」

夏目「山まで走ってくるのか?」

レイコ「どういう意味だ?」

夏目「金沢は都会だぞ。地元でやってきたようにはいかないんじゃないかな」

レイコ「そこら辺にいる低級共を使うさ」

夏目「・・・ハァ」

レイコ「それより飯はまだか」

夏目「まだそんな時間じゃないぞ」

レイコ「退屈だ、行くぞ夏目」

夏目「・・・」

夏目「さすがに列車の中に妖はいないんだな」

レイコ「人里に降りるだけで体力を消耗する妖もいるからな、
    わざわざ乗って移動するヤツもおらんだろう」

夏目「それもそうか・・・」

レイコ「・・・」

夏目(そういう意味では安らげる時間なのかな・・・)

レイコ「この先にはなにがあるんだ」

夏目「えーっと、ここは四号車だから・・・次は食堂車か」

レイコ「飯か」

夏目「違う」

レイコ「もぐもぐ」

夏目「・・・」

レイコ「おい店員、蟹クリームコロッケ追加だ」

店員「は、はい」

夏目「そんなに食べたら金沢の名物食べられなくなるぞ」

レイコ「金沢の名物ってなんだ?」

夏目「それは・・・」

レイコ「もぐもぐ」

夏目「日本海が近いから魚かな」

レイコ「魚なんぞ帰ってからでも食べられる」

夏目「場所によって味が変わったりするんだよ。魚の種類にもよるけど」

レイコ「ふーん」

夏目「・・・先生、車窓見てもつまらなさそうだよな」

レイコ「なにが楽しいのか私には分からんからな」

夏目「・・・」

レイコ「もぐもぐ」

店員「おまたせしました~」

レイコ「ここのメニューおいしいぞ」モグモグ

店員「あ、ありがとうございます!」

夏目「・・・食べ終わったら展望車に行ってみよう」

レイコ「うむ」モグモグ

夏目「ここが展望車か・・・。広くていいな」

レイコ「お、テレビもあるぞ夏目」

夏目「あれは・・・」

愛「・・・」

夏目(松浦愛さん・・・)

レイコ「よいしょ」スト

夏目「先生、テレビでも見る?」

レイコ「今の時間やっているのはニュースくらいか。丁度いい」

夏目「どんな情報を得てるんだよ」

レイコ「天気予報がメインだな」

夏目「漁師かなにかやっているみたいだな」

ピッ

『本日未明、民家を襲撃したイノシシが・・・』

レイコ「・・・猪か」ジュルリ

夏目「・・・」

みらい「あの・・・」

夏目「え・・・?」

みらい「先ほどは本当にすいませんでした」ペコリ

夏目「いや・・・」

みらい「・・・」

夏目(どういえばいいのか・・・気にしないでほしいとうまく言えない)

みらい「・・・」

夏目「気にしないでください・・・」

『先日未明、漁船を襲撃した烏賊の群れが・・・』

レイコ「そんなイカ私が食べてみせようぞ」ジュルリ

夏目「・・・」

みらい「・・・」

秀輝「お、みらいちゃん。仕事中じゃないんだ」

みらい「秀輝さん・・・。はい、いまはオフです」

秀輝「立ち話もなんだから座って話そうよ。いいだろ、夏目」

夏目「あ、あぁ・・・」

秀輝「おーい、愛ちゃーん!」

愛「?」

秀輝「こっちで一緒に話そうよ」

愛「は、はい」

夏目「・・・」

みらい「え、と・・・夏目さんですか?」

夏目「夏目貴志、高校二年です」

みらい「一つ上ですね」

夏目「ふーん・・・」

秀輝「うわ、夏目って飯山みらいを知らないのかよ」

夏目(西村が騒いでいたような・・・)

愛「・・・知らないんですか?」

夏目「はい・・・。すまない・・・」

みらい「ふふっ。いいですよ」

秀輝「今売り出し中のアイドル飯山みらいなんだぞ」

夏目「・・・うん」

秀輝「アイドルの時と今のみらいちゃんどっちがいいと思う?」

みらい「ひ、秀輝さん・・・」

秀輝「まぁまぁ、聞いてみようよ」

みらい「・・・」

夏目(さっきの売店でのノリはさすがに・・・名取さんの7倍はキツかった・・・)

愛「・・・?」

夏目「今のままがいいな」

秀輝「だってさ」

みらい「・・・」

レイコ「どうして嬉しそうなんだ?」

みらい「えっ、そう・・・見えましたか?」

レイコ「・・・」

夏目「・・・?」

『先月、官邸を襲撃したイナゴの群れが・・・』

レイコ「虫は不味い」

みらい愛秀輝「「「 えっ!? 」」」

夏目「おい、先生!」

レイコ「ん?」

愛「虫を食べた事あるんですか?」

レイコ「あるぞ」

夏目「あ、あれだよ、イナゴの佃煮」アタフタ

秀輝「佃煮か・・・」

みらい「おいしいんでしょうか・・・」

レイコ「佃煮は美味いな。酒のツマミにも」

夏目「わーっ!」

愛「ど、どうしたんですか?」

秀輝「酒・・・」

夏目「酒で煮込んだものって事だ秀輝!」

秀輝「・・・」

みらい「おいしいなら、一度食べてみたいですね」

愛「みらいさんは食べても平気なんですか?」

みらい「はい、そういうのは経験したいです」ニコニコ

秀輝「根性あるな・・・」

夏目「・・・ふぅ」

レイコ「なんだ、さっきから・・・変だぞ」

夏目「先生はしずかにテレビをみていてくれ・・・。ほら、天気予報だ」

『明日の北陸地方の天気は』

レイコ「雨か」

夏目「疲れる・・・」フゥ

秀輝「・・・」

みらい「糸魚川駅に着くみたいですよ、愛さん」

愛「わ、私降りてみます」

秀輝「記念写真でも撮ってもらったらいいよ」

愛「そうですね!」

テッテッテ

秀輝「律にお見舞い品でも買ってこようかな」

みらい「律さんがどうかしたんですか?」

秀輝「風邪をひいてしまってね。今療養中」

みらい「律さんが風邪・・・」

夏目(さっきも出てきた名前だな)

みらい「唯さんの元気がなかったのも律さんが寝込んでいたからですか・・・?」

秀輝「星奈と別れたから・・・じゃないかな?」

みらい「そうですか・・・。マンゴーが売店にあったはず・・・」ブツブツ

夏目「・・・?」

みらい「私もお見舞いに行ってきますので、これで失礼します」

秀輝「うん。後でね」

みらい「はい」

夏目「・・・」

『一年前にホワイトハウスを襲撃したアリの・・・』

レイコ「・・・ふぁ」

ガタン ゴトン

秀輝「減速したか・・・糸魚川駅に到着だ」

夏目「秀輝・・・律って・・・?」

秀輝「あぁ、うーんと・・・軽音部のグループって知ってる?」

夏目「軽音部?」

秀輝「知るわけ無いよな・・・。乗ったばかりだし。そのグループで乗車したうちの一人って事」

夏目「・・・」

秀輝「ソイツが今風邪をひいて寝込んでいるって話な」

夏目「結構好かれているみたいだな」

秀輝「そうだな。律がいないとヴェガ内はしずかだ」

夏目「・・・」

秀輝「貸しを減らす為にも、俺も見舞い品を買ってくるよ」

夏目「貸しを作ったのか?」

秀輝「まぁな。じゃあ後でな」

夏目「あぁ・・・」

レイコ「・・・くー」

夏目(やっぱり年上に軽く口を訊くのは変な感じだ)

レイコ「・・・すー」

『10年前の今日、火星を襲撃した・・・』

ガタン ゴトン

プシュー

夏目「先生、起きてくれ先生」

レイコ「・・・くー」

夏目「そっとしておくか・・・」

夏目「糸魚川・・・」

サヤサヤ

夏目(いい風が吹くな、夕陽も綺麗だ)

チリンチリン

夏目「鈴虫・・・」

夏目(旅をしてきた妖はこんな景色を見てきたのだろうか)

夏目(旅立っていった妖はこんな景色を・・・)

サヤサヤ

夏目「・・・」

小麦「なーにたそがれてんの夏目君!」

夏目「え・・・?」

小麦「夕陽を見てシミジミとしていましたね~」

夏目「いえ・・・」

小麦「なにが見えんのー?」

夏目「・・・」

小麦「あ、ごめんねー、うるさくしちゃって」

夏目「・・・」

小麦「あれ、お姉さんは?」

夏目「紹介してないのに・・・どうして・・・」

小麦「あはは、あたし新聞部だから情報集めるの得意なのー」

夏目「・・・」

小麦「夏目貴志、17歳、高校二年生。姉のレイコと松本から乗車」

夏目「!」

小麦「私の名前は伊東小麦18歳。仙台からエレナと一緒に乗車! 日本から世界へ旅立つの!」

夏目「せ、世界・・・」

小麦「さっき一緒にいたのは相棒のエレナ・ユーリ・ノーディス。アメリカ出身の18歳。
   愛用のビデオで世界を撮る事が夢だって!」

夏目「へ、へぇ・・・」

小麦「私もついていくんだ!」

夏目(どう返せばいいのか・・・)

小麦「海外なんて行った事無いから、楽しみだよ~」

夏目「・・・」

小麦「夏目君はどこまで行くの?」

夏目「阿蘇駅まで・・・」

小麦「そっかぁ~、長い旅になるねー」

夏目「・・・」

小麦「金沢の観光先って決まったー?」

夏目「まだです・・・」

小麦「そんなら売店で観光ガイド売ってるから買ったらいいよ!」

夏目「そう・・・します・・・」

小麦「ありがとね、話に付き合ってもらっちゃって。そんじゃーねー」

テッテッテ

夏目「・・・エネルギー溢れてるな」

チリンチリーン

夏目(鈴虫の音が聞こえないくらい・・・話に集中していたのか・・・)

「みたかさっきの小娘」

夏目(妖たちが会話しているのか・・・)

妖A「ひっひっひ、写真に写ってやったわい」

妖B「そう簡単に写ったりしないもんじゃろうに」

妖A「いやー、あの娘はなにやら憑きやすかったからのぉ」

妖B「そうかいそうかい」

夏目「おい・・・」

妖A「人の子っ!?」

妖B「わし等の姿が見えるのか!?」

夏目「誰の写真に写ったって?」

妖A「あ、あっちの娘じゃ!」

妖B「ぎゃあああ逃げろー」

スタコラサッサ

夏目「あれは・・・松浦さんと・・・軽音部・・・だっけ・・・」

みらい「そうですよ」

夏目「うわっ」ビクッ

みらい「あ、ごめんなさい」

夏目(びっくりした・・・)

みらい「さとみさんも一緒ですね」

夏目(さっき車掌さんと一緒にいた人か・・・)

みらい「一緒に行きませんか?」

夏目「え?」

みらい「あの輪の中に入るんです。きっと楽しいですよ」ニコ

夏目「・・・」

みらい「・・・行きましょう?」

夏目「・・・いや」

マネージャー「そこでなにをしている、みらい」

みらい「あ・・・」

夏目「?」

マネージャー「なんだ貴様は?」

夏目「・・・夏目といいます」

マネージャー「僕はみらいのマネージャーをしている望月将人。あまりみらいに近づくな」

みらい「ま、マネージャー!」

夏目「・・・」

将人「まったく・・・あのガキといい、あのグループといい・・・変な影響を与えやがって」ブツブツ

みらい「・・・!」

夏目「・・・」

将人「行くぞ、みらい」

みらい「・・・」

夏目「・・・飯山」

みらい「・・・?」

夏目「行かないのか?」

みらい「あ・・・」

将人「なにをしている、みらい」

夏目「・・・楽しいんだろ?」

みらい「・・・はい」

将人「貴様、邪魔をするな」

夏目「・・・」

みらい「すいません、今は失礼しますっ」ペコリ

将人「フンッ」

夏目「・・・」

チリンチリーン

夏目(妖相手なら少しは話が出来るのにな・・・、人相手だと勝手が違う・・・)

サヤサヤ

夏目(先生が気になるから戻るか・・・)

レイコ「・・・くー」

夏目「まだ寝てる・・・」

『ビッグバン時に襲撃を・・・』

prrrrrrrrrr

夏目「30分の停車だったんだな」

レイコ「・・・む?」

夏目「先生、寝るなら個室で寝ないか?」

レイコ「そうだな・・・ふぁ」

夏目「行こう」

レイコ「なにかあったのか?」

夏目「・・・いや、なにもないよ」

ガタン ゴトン


4