いつもと変わらない朝
ただひとつだけ、いつもとは違う朝
この世界に平沢唯は、いない
紬「ん・・・」
琴吹紬は目を覚ます
毎日浴びていたはずの朝日がとても懐かしいものに思えた
紬「よく寝たわ~」
彼女はこの世界に戻ってきた
平沢唯のいない世界に
紬「さて、学校に行く準備しなくっちゃ」
琴吹紬はいつもと変わらぬ日常に戻っていく
なつかしい放課後に
平沢唯のいない放課後に
――――
憂「それじゃ行ってきまーす」
憂「って誰もいないんだけどね」
憂「お父さんもお母さんも居ないとさびしいな、やっぱり」
憂「一人っ子だから余計にね・・・」
平沢憂の一日は始まる
マンボウが向かい合った柄のマフラーを巻いて、誰もいない家をあとにする
平沢唯のいない世界で、彼女は今日も歩き出す
憂「あったかいな~・・・このマフラー・・・」
憂「・・・」
紬「おはよう、みんな」
澪「おはよ、ムギ」
律「今日のお菓子はなんだろな」
澪「練習するんだ練習!」
紬「今日はマドレーヌよ~」
律「やったー!澪は練習するらしいからあたし2個ね!」
澪「私も食べる!」
紬「あらあら」
和「ほらそろそろ先生来るわよ」
澪律紬「は~い」
さわ子「はいそれじゃHRを始めまーす」
憂「おはよう」
梓「おはよ憂」
純「今日も寒いね~」
憂「うん、でもマフラーあったかいから」
梓「そのマフラーかわいいよね」
純「でも憂が買いそうな柄じゃないよね、そのマフラー」
憂「そんなことないよ~これ気にいってるんだよ?」
憂「・・・」
憂「うん、このマフラー気にいってるんだ」
梓「?」
純(なんで2回言ったの?)
紬「じゃあまたね」
澪「またな」
律「また明日!」
梓「失礼します」
平沢唯は消えた全員を元に戻した
自分以外は全員居る世界
皆が楽しく暮らせるならそれでいい
自分のいない世界でも皆が幸せなら自分も幸せ
そう思い彼女はこの世界から消えた
願わくば、誰も自分の事で悲しまないで欲しいと思いながら
最後にこの世界の全員を愛おしいと思いながら
最愛の妹を想いながら
平沢唯は、消えた
憂「じゃあね」
純「うん!それじゃ」
しかし平沢唯はあの夢を終わらせた訳ではない
世界は戻ってもあの夢は消えなかった
消えなかった夢はどうなるのか
どこから来てどこへ行くのか
そもそもあの夢はなんだったのか
平沢唯はそのことを知らないまま、世界から消えた
澪の自宅
澪「ふわあ・・・そろそろ寝ようかな」
澪「・・・」
澪「・・・」スヤスヤ
澪「・・・」
澪「・・・?」
澪「ここどこ?」
気がつくと私は真っ白な空間に一人でいた
唯「究極の選択!」
ほんとにおしまい
最終更新:2011年12月16日 20:49