―講堂―


ザワザワガヤガヤ

憂「うわぁ~すっごい人が多いね、純ちゃん」

純「ほんとになぁー。先輩たちの劇、すっげぇ。早めに席取りに来てよかったよ」ヒャー

憂「やっぱり澪さんと田井中さんがロミオとジュリエットするからこんなに人が来てるのかな?」

純「かね?秋山先輩はやっぱHTTのボーカルとしてちょっとした人気者だもんな。ファンクラブまであるし」

憂「だね、それ考えるとやっぱこのくらいの人数が劇見に来るのもわかるかも」

どんっ

憂「きゃ!?」

「あ、すいませーん」タッタッタッタ

純「大丈夫?うい」

憂「あ、うん。ちょっとぶつかっただけだから」

純「ったく。こんなに人が多いとこで走ったら危ないっつーの!!ばっかじゃねーの!?」

憂「あはは・・・まぁ、しかたないよ。そんな怒らなくていから、ね?」

純「・・・ういがそう言うなら・・・」

憂「ふふっ。あ、でもさっきみたいに人がくると危ないから」

ぎゅ

純「・・・」

憂「手はつないでおいてね?」

純「・・・だな」

憂「えへへ」ニコッ

純「ははっ」ニコッ

憂「あ、あそこ席4つあいてるよ~」

純「!!」

純「はやく座ろう」ダッ

憂「わっ。ちょっと、純ちゃんいきなり走らないでよぉ!」

純「あ、ごめんごめん」アハハハハ

憂「もう!これじゃあさっきの人のこと言えないじゃん」

純「・・・す、すみません」

憂「まったく!っめだよ、純ちゃん!!」

純「あはは・・・。ま、まぁ、席取れたし、さ。てか、ここでいいかな?」

憂「うん。ちょうど真ん中よりだし、結構いい席だね」ストン

純「余りものには福があるってね~♪」ストン

純「梓に場所メールしとくか」カチカチカチ

憂「♪~」

純「なんか、楽しそうだね?劇そんなに楽しみ?」

憂「うん!!楽しいよ~」ニッコリ

憂「今日はずっと一緒にいられるからね、純ちゃんと」

純「・・・そっか」

憂「純ちゃんは楽しい?」

純「うん、楽しいよ、憂といられてすっごい楽しい」

憂「じゃあ、よかった」エヘヘ

純「だね」

憂「おねぇちゃんの演技も早く見たいなぁ~」

―――――

タタタタタ

梓「はぁはぁ・・・ま、間に合った?」

梓「つーか、人すげぇ・・・」

梓「え~っと、純たちはどこだ・・・?」

梓「あ、おーい純!」

純「お、あずさー!こっちこっち!」

憂「ここだよ~」

梓「すんなり見つかってよかった(座っても手つないでる・・・)」ストン

憂「おつかれさま。喫茶店どんな感じだった?」

梓「あぁ、なかなか結構人が来て、忙しいっちゃ忙しかったよ」

純「へぇ~そうなのか。じゃあ、退屈しなくてすみそうだな」

梓「あ、そっか。2人とも劇の終わりぐらいから当番か」

純「そうそう」

憂「うん。だから、劇の途中から抜けなきゃいけないんだけどね」

梓「なるほどな・・・でも、さっきから人が少なくなってさ」

憂「そうなんだ」

梓「どうしてだろうって当番のやつらとで言ってたんだけど・・・ここに来てわかったよ」

純「?」

憂「あぁ・・・人がこっちに流れてるんだね?」

梓「そうそう、すっげぇ人だな。こんなに劇見に来る人がいるとは」

梓(秋山先輩は緊張してパニくったりとかしてないだろうか・・・?)

純「あ、・・・梓来たことだし、俺ちょっと今のうちにトイレ行ってくる」

憂「純ちゃん、さっきウーロン茶がぶ飲みするから・・・」

梓「あぁ・・・だな、席取りありがとな、行ってこい行ってこい」

純「おう!!正直、かんなりやばかったんだ!!じゃあ、行ってくる」ダッ

梓「・・・・おー。いってらー」

梓「・・・」

憂「・・・」ジー

梓「・・・ん?」

憂「・・・あの」モジモジ

梓「ん?なにかな?」

憂「私も・・・行ってきても、・・・いいかな?」モジモジ

梓「あ、あぁ。席はちゃんととっておくから。平沢さんも行ってくるといいよ」ニッコリ

憂「う、うん!!ごめんね、中野くん、ちょっと行ってくる」タタタタタ

梓「・・・いってら~・・・ははは・・・」

梓「・・・」

ザワザワガヤガヤ

梓「・・・」

梓(こうして俺はいつも1人になるなぁ・・・)

梓(まぁ、わずらわしくなくていいんだけどな)

梓「・・・それにしても、人が多い」

梓「・・・」ボー

梓(唯先輩、演技大丈夫かなぁ・・・)ボー

「でさー、やっぱ今の生徒会長と唯先輩って中学校の時付き合ってたらしいんだよ」

梓「・・・」

梓「・・・へ?」

梓(つーか、この声って、どっかで・・・)チラッ

梓「・・・あ!!」

「お前、それマジで?」

「マジマジ!!中学が同じやつから聞いたから、ホント!!」

「へ~。でも。『付き合ってた』ってことは今はもう付き合ってないのか?」

梓(1年のときに唯先輩に告ってフラれてたやつじゃねーか!!)

「ん~。なんか、そいつの話だと高校入ってから別れたらしいぜ」

梓「・・・」

梓「・・・そうなんだ」

梓(・・・じゃあ、もしかしてあの時先輩が『好きな人がいる』って言ってたのは)

梓(真鍋先輩のことだったのか・・・)

梓「精神的に年上・・・確かに、真鍋先輩のことだよな・・・当てはまりすぎてる」ハハハ

梓(でもって、今は律先輩かぁ・・・)

梓「・・・俺、本当にあの人の眼中にないんだな」

「でも、ちょっとそういうの知りたくなかったなー」

「まぁな。でも、今付き合ってるやついないみたいだし、俺にもまだチャンスはあるってことじゃね?」

「1回フラれたやつがなに言っちゃってんだよ、ばーか」ケラケラ

「うっせーよ、ばーか。希望は簡単に捨てちゃいけねーんだよ」ケラケラ

梓「・・・」

梓「ははは・・・(秋山先輩が言ってた通りだ)」

梓(平沢先輩って結構人気あるんだな・・・かわいいし、あたりまえか・・・)

梓(気持ちを伝えないって決めたのに、そばにいられるだけでいいって思ったのに)

梓(・・・なんか、すっげーモヤモヤする)

梓(自分勝手すぎて嫌になる・・・俺って、こんなに嫌なやつだったんだな)

梓「・・・」

梓「先輩は、俺が好きなわけじゃないのに」ボソッ

純「あずさー、わりわり!」ハァハァ

憂「ま、間に合った」ハァハァ

梓「あ、・・・純、と平沢さん・・・」

純「いやー、トイレまで混んじゃってて大変だったわー」ストン

憂「ねー、劇間に合わないかと思っちゃったよ」ストン

梓「へー・・・そっか・・・」

純憂「?」

純「梓、なんかあった?」

梓「へ?なにもない、けど・・・?」

純「そっかー。なんか、さっきより元気なくね?な、うい」

憂「うん。なんだか、ぼけーってしてる」

梓「あー・・・ちょっと、喫茶店で張り切ったからそれの疲れが出てきたかな?」ハハハ

純「ふーん。まぁ、劇の最中にねるようなヘマはすんなよなー」キシシシシ

梓「おめーじゃあるまいし、そんなことはしねーよ」ハハハハ・・・

さわ子「やっぱ見所はりっちゃんよね~。まぁ、澪ちゃんもたしかにかっこよかったけど」フンフンフン

梓「」

さわ子「ね、そう思わない?梓くん」

梓「いつのまに隣に・・・!!」

さわ子「ほら、梓くん!!集中よ!!集中!!りっちゃんくぁいいからね!!」フンフンフン

純「あれ?さわ子センセーいつのまに!?」

憂「あれほんとだー」

純「あいかわらず、神出鬼没だな」

「そういえば、この劇ってロミオとジュリエットを演じてる性別が逆なんだっけ?」

「秋山澪っていうファンクラブ出来てる人がロミオらしいぜ」

「ふーん、かわいいのか?その娘」

純「あそこの人たち、秋山先輩のこと知らないんだなーおっくれてるーー」クスクス

憂「純ちゃん、人のこと笑っちゃだめだよ?」

「で、ジュリエット役が男ってか、きんめぇ~~~!!!」 

「えーまじでかよー、唯先輩がジュリエットじゃないのかよー」

梓「・・・」

梓(また唯先輩の名前・・・)

さわ子「そこの男2人!!りっちゃんの女装のかわいさにひれ伏しなさい!!」

梓「先生ちょっとだまって!!」


ふっ


純「お!暗くなったー!!」

憂「あ。はじまるのかな?」

梓「・・・」

さわ子「さて!楽しみましょうかね!!」フンフンフン

梓「・・・」

ざわざわざわがやがやがや

ざわざわがや

ざわ・・・

・・・

・・



『ただいまより、3年2組の演劇「ロミオとジュリエット」を上演を始めます』



29通りめ ジュリエットとロミオ 続く



澪『あの人はあまりに美しい、賢い。賢いまでに誠実だ』

澪『あの人は男を愛さないと誓った。
  その誓いのせいで、こうしてこの話をしている俺は話にならないほど、生きる屍だ』

純「すっげぇ~。秋山先輩、うめぇ・・・」

憂「純ちゃん、静かに!」メッ

さわ子「男役のみおちゃんもいいわねぇ・・・」ウットリ

ちか『どうだろう?いっそ、その人のことを忘れてしまっては』

澪『それなら忘れる方法を教えてくれないか?』

ちか『きみに目に自由を与えるんだ。そして、他の女のもつ美しさをよく見さえすればいい』

澪『くはは・・・君はなにもわかっていない。
  そんなもの、俺がいっそうあの人の魅力を思い知ることになるだけだ』

澪『すぐれた美女とやらを俺に見せるがいい。その美しさが何の役に立つというのだろう』

梓「・・・」

澪『ただこの俺が、そのすぐれた美女よりもさらにすぐれた人を思い出すだけだ』

澪『思い出して、さらに忘れることが難しくなるだけだ・・・』

梓(・・・唯先輩)

ちか『このキャピュレット家恒例の宴会にこの国に存在するすべての美女とともに、
   きみが愛してやまないうるわしのジュリエットも出席する』

ちか『行きたまえ、きみも、そのとらわれの目で、あの人と俺が教える顔を見比べてみたまえ』

澪『・・・』

ちか『きみの愛しい人をカラスと思えるようにしてやるよ』

梓(たしかに俺は人目ぼれだった)

澪『・・・やれるものならやってみろ。そのような偽りにくらむのなら、この涙など炎となればいい』

梓(きっかけは不順で、誰にもいえない)

澪『わが恋人より美しい人だと!!あまねく太陽にどんなに目がくらんでも』

梓(だけど・・・)

梓(新入生の歓迎ライブではじめてあの人を見てからずっと)

澪『俺の目はこの世の最初から輝いているあの人の太陽のような輝きから目を離せない』

―――――

佐藤『ばあや、娘はどこ?』

純「お・・・!!ついにくるか!!!」

憂「かな?」

さわ子「~~~~~く、く、くるわよくるわよ!!」

梓「せ、先生・・・おちついてください」

梓(というか・・・律先輩の衣装姿って俺結局見てないなぁ。どんななんだろう)

純「笑う準備はできてるぜ!!」

憂「あはは・・・」

三花『まぁ、さきほどお呼びしたのにまだおいでにならない!!
   まったく・・・どこにいらっしゃるのやら』

梓(純みたいに笑うやつがたくさんいて、劇が失敗・・・なんてことはない・・・よな?)

三花『ジュリエットさまぁ~~~~!!!』

純憂さわ子梓「くるっ!!!!」

律『なぁに』ヒョッコリ

「え、あのジュリエット、身長たかくない?てか、声・・・」ヒソヒソ

「ジュリエットかわいいね」ヒソヒソ

「あれで男かよ・・・・みえねぇな」ヒソヒソ

「かわいい・・・」

「でも、そこらへんのより全然かわいいね、ジュリエット」ヒソヒソ

梓(あれ?笑いがおこらないでむしろ・・・)

純「・・・え、り、律先輩・・・普通にかわいい。それに演技もうめぇ・・・」

さわ子「でしょでしょ!?純ちゃん、私をもっとほめていいのよ?ほらほら」コモーン

憂「田井中さんほんとうに女の子みたい・・・しぐさとか・・・すっごいかわいい」

梓「・・・」

さわ子「どうしたの?梓くん、口開いてポカーンとしちゃって」

梓「あ、いえ・・・まさか、これほどとは思ってなくて・・・」

律『好きになってみせましょう。見て好きになれるものなら』

さわ子「梓くんまで・・・。どいつもこいつもりっちゃんを見くびりすぎなのよ」ッタク

律『でも、私の矢が届く範囲はお母様のお許しが届かせてくれるところまで』

さわ子(まぁ、りっちゃんが努力を人に見せたくないタイプだからなのかもしれないけど)

梓(律先輩・・・すげぇ・・・ほんとうにすげぇ・・・)

律『それより先へは進みません』


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