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律「ち、ちょっと休憩…」ゴロン

梓「あ!律先輩!寝っ転がるなら汗拭いてからにしてって言ってるのに…床が汚れる…」

律「あ、わりぃわりぃ。後でちゃんと拭いとくから」グダッ

梓「まったく……」

梓(まぁ、でも。たしかに疲れるよな…劇の練習に、部活に、そしてその後でバンド練習…の後で……)

梓「よく身体もつなぁ」

律「ん?なにか言ったか?梓」

梓「いえ、なにも」

律「ふーん。つーか、疲れてる俺より床が大事か。なぁ、おい」ゴクゴク

梓「うわぁ…またそんな甘ったるいもの飲んで……」

律「また無視かよ……。あと俺がこれ飲む度にいちいちうっせーよ!」

梓「女々しいんだから。さっさと泣きついて鼻水垂らしながら謝ればいいのに」

律「なんのことかなー梓くん」ニコッ

梓「それよりさっきの俺の演奏どうでした?」

律「…あぁ、演奏?まぁ、付け八重歯にしてはいい線いってんじゃねーの?」

梓「付け焼き刃な、付け焼き刃」

律「」

律「う、うっせ!わざとだよ、わざと!つーか、またお前、タメ口……」

梓「あー、さーせん。なんか律先輩相手だとタメ口がついうっかりポロッと」

律「ったく…まぁ、別にいいけどな」

梓(じゃあ言うなよ…)

律「なんかもう、お前、俺の弟みたいな感じだし」

梓「……」

律「な、なんだよ、なんか言えよっ!こっちが恥ずかしいだろーがっ!!」

梓「いや、……」

律「なんだよ」

梓「まぁ、兄貴がいたらこんな感じなのかなと、少し思ったり…思わなかったり……」

律「えっ……」ガバッ

梓「あっ……いや、そのっ」モジモジ

律「……」

梓「……」

律「な、なんなんだよ!?この妙なふんいきは!!きっめーよっ!!俺らちょっときっめーよっ!?」アタフタアタフタ

梓「ででで、ですね!?さて、練習しましょう!!練習練習!!」アタフタアタフタ

律「あ、・・・そ、そういえばさ、梓」

梓「なんですか?」

律「その、な、えーっと・・・その・・・俺、昨日み」モジモジ

梓「モジモジして気持ち悪い。はやく言ってくださいよ」

律「」ムカッ

律(久しぶりになんだかイラッときちまった!絶対こいつには教えん!!)

梓「いきなり黙らないでくださいよ。気になるじゃないですか」

律「お前、唯に告白とかしないのか?」ニヤッ

梓「」

梓「・・・え?」

律「へ?いや、だって、お前ってば唯のこと好きだろ?」

梓「え・・・?」

律「いや、なにを驚いているんだか知らないけど、お前態度でッバレバレだからな?な?」

梓「」

梓「本当・・・ですか?」

律「本当ですよ♪まぁ、唯は気づいてないけどな」

梓「よ、よかった。・・・気づいてないなら本当によかった」ホッ

律「・・・え?なんで?気づいてたほうが告白とか楽じゃね?」

梓「うわ、その考え方・・・やっぱ律先輩ゲスいですね」

律「」

律「な、なんだよ!?うるっせーな、お前ら2人ともして俺のことゲスいとかいうな!!」

梓「2人・・・?」

律「あ、いや、・・・なんでもねーよ」

梓「ったく・・・。まぁ、でも、先輩にばれてないならよかったです」

律「だから、なんでだよ」

梓「いや・・・だって・・・」

律「?」

梓「平沢先輩・・・他に好きな人がいるみたいなので」

律「」

律「その話・・・マジで・・・・?」

梓「いや、確信はないですけど、たぶんそうだと思います(つーかお前だよ)」

律「マジかよ・・・。てか、なんで唯は俺にそのこと教えてくれてないの?」

梓「はい?ていうか、万が一人に教えたとしても律先輩には絶対教えないと思いますが」

律「うわっぁああああ・・・・俺・・・唯のこと信じてたのに・・・そんなに俺って人間として信用がないのかぁああああ!!!?」ワアアアアアアア

梓「?(なんでこんなに先輩は驚いてるんだろう?)」

律(あれ?唯って梓が好きなんじゃなかったの?ねぇねぇ?
  あの時俺に言ってたのって嘘だったの?俺、唯に嘘つかれてるの?え?人間ってこわいっ!!!)

梓「まぁ、っつーわけで、俺は平沢先輩に告白はしません。迷惑かけたくないし・・・」

梓「傍にいられるだけでいいんです・・・こんなうすっぺらな思いでも伝えたらきっともう一緒にはいられないだろうから」

律「・・・梓」

梓「・・・・・・」

律「・・・・・・」

律(あ、雰囲気おもっ!俺こういうのムリだわ。もうこの話をやめてしまおう。梓のためにも俺のためにも・・・!!)

律「てか、さっきの俺の演奏どうだった!?」

梓「あ、全然ダメでした」ニコッ

律「」

梓「やっぱ基本がおろそかになってると全然ダメですね」

律「」

梓「つーわけで、明日までにこれやってきてください」ドサッ

律「なに・・・これ・・・」

梓「基本のレッスン本です」

律「いや、それはわかるんだけど・・・『猿でもわかる基本練習本』って書いてあるからな」

律「って!猿て誰だよ!?」

梓「・・・」スッ

律「話の流れでわかってたけど無言で指指すんじゃねーよ!!」

梓「まぁ、音楽なめてもらっちゃ困るってことですよ、律先輩」ニコッ

律「このスパルタ野郎・・・!!!」

梓「だって、純に教えてもらってる真鍋先輩のほうが上達はやいじゃないですか」

律「そ、そりゃそーだけど・・・でも・・・」

梓「・・・劇の練習も、楽器の練習も付き合いますからがんばりましょうよ、律先輩」

梓「言い訳はいくらでもできるんですから」

律「梓・・・」

梓「練習始めましょうか」

律「・・・・・・」

律「くっそ~~~!!やってやろうじゃねーっか!!!やるぞ!!梓」ガッ

梓「その粋です。じゃあ、いきますよ。1、2、3、4」


─────

律「さて。お前ら考えてきた?」

和「タンスの上のアインシュタイン」

梓「The・monkey」

純「はるまき!」

律「……」

律「アインシュタイン、猿に春巻……」

律「お前らそれ……マジか」

梓「純、春巻好きだもんな」

純「おう~♪」

律「ぜんっぜんダメダメじゃねーかよォ!」

和「そういう律はどんなの考えてきたんだよ」

律「カチューシャとゆかいな仲間たち」

純「はるまき!」

梓「うわ…ゆかいな仲間たちって俺らのことですか?」

律「当たり前だろ?」

和「おまけみたいだな、なんか」

さわ子「センスないわね~。まぁ、それがりっちゃんのいいとこなんだけどねっ!」

律和梓純「」

律「今日も来たのかよ…」

さわ子「来ちゃった」テヘッ

さわ子「あ、今のなんだかおしかけ女房っぽいセリフじゃない?」キャッ

律「ははは・・・今日はしょっぱなからテンションたけーなぁ、おい」

和「センスないのは律だけですから。俺たちを一緒にしないでくださいよ、さわ子先生」

梓(真鍋先輩は律先輩のこと言えないと思う)

純「はるまき!」

律「いいと思うんだけどな、カチューシャとゆかいな仲間たち」

和「それを言うなら俺のタンスの上にアインシュタインが最高だろ」

梓「てか、どんな状況ですかそれ…」

純「はるまき!」

律「つーか、和ってたまに唯みたいなこと言うよな。さっすが幼馴染み」アハハハ

和(……紬と考えたんだけど)

純「はるまき!」

梓「この4つの中なら俺のThe・monkeyが1番いいですね」

和「猿…」

律「今時『The』をバンド名につけるとか…お前ちょっと生きる時代違くね?」

梓「うっさいです。ロックはやっぱ『The』がつかないと」

純「はるまき……」ショボーン

律「てか、猿ってなんだよ」

梓「あ、それはほら」スッ

律「だから当たり前のよーに俺を指差すなっ!?」

純(明日憂に春巻作ってもらおー)

さわ子「ふっふふ~ん♪」カキカキ

律「って何勝手に書いてんだっ!?」

さわ子「あなたたちセンスないから私が書いちゃった」フフッ

純「なんて書いたか見せてください」

さわ子「はい、どうぞ」ペラッ

律「ったく、……HTTのときといい…勝手に決めんなよなー」ブツクサ

梓「……まぁ、カチューシャとゆかいな仲間たちよりはいいかも」ジー

和「まぁ、……い、いいんじゃないか?(俺よりセンス高いな・・・)」ジー

純「俺はなかなか好きですよ、これ」ニコッ

さわ子「ふふ、ありがと、純くん」ニコッ

律「たくっ…なんて書いたんだよ」ジー

律「なになに……?」

律「……」

梓「まぁ、みんな初めて挑戦することばっかりですし」

純「足並み揃えてる感じがしていいですね」ヘヘッ

和「律、どうかな?俺たち3人はいいと思ってるけど」

律「みんながいいなら……俺もこれがいい、かな?」

さわ子「素直じゃないわね~りっちゃん。気に入ったってちゃんと言っていいのよ?少し頬を赤く染めながら」

律「いや、頬は赤く染めねーけど……ま、まぁ、…ありがとな、さわちゃん」

さわ子「」

律「な、なんか反応してくれないとはずかしーんだけど…。さわちゃん?」

さわ子「りっちゃんにお礼言われたら私、妊娠しちゃう!」

律「」

さわ子「でも、りっちゃんと澪ちゃんヨリ戻しちゃったからもう私りっちゃんのお嫁さんになれない!」

律「ちょっ!?」

梓「へー。ヨリ戻したんですか」

純「よく許してくれましたね、秋山先輩」

和「俺らにそういう報告はないんだな、お前」

律「いや、ちょっとまって。ちょっとまって」

律「さわちゃんはなんで・・・そのこと知ってるのかな・・・?あははは・・・?」

さわ子「だって、りっちゃんと澪ちゃんキスしてたから」

律「」

梓和純「……」

律「あはは…あーもう…頭痛が痛いっつーか…はは。あれ?3人とも顔がすっげーこえーけどどうしたのかなー」アハハハハ

和「さわ子先生」

さわ子「ん?なにかしら和ちゃん」

和「和ちゃ……」

梓「それっていつのことですか?」

さわ子「んー……1週間くらい前かしらね?」

純「あー…たしかそれくらいに律先輩無断で練習休んで和先輩が呆れてた」

律「あはははは……」

和「あー、なるほどね。あの日がそうだったのか」

梓「『具合が悪いから練習来れない』だなんて嘘ついて」

律「い、いや!その、言おうと思ったよ!?思って話かけたりしたけど……けどさ!」

律「お前ら、俺の話聞いてくれないじゃん!!」

梓和純「……」

梓「言われてみたら」

和「たしかにこの1週間妙に律に話かけられてたな…」

純(律先輩……なんか切ないっす)

律「だろ?だろ!?俺は話そうと思ったけどお前らが聞いてくれなかったの!だから俺は悪くないっ!!」

梓(でも、ヨリ戻したってことは……平沢先輩……大丈夫かな……?)

和「まぁ、とりあえず仲直りできてよかったな」

さわ子「私としてはこのままりっちゃんが私のモノになることを望んでたんだけどね」

律「なりません」

さわ子「りっちゃん……!そんな冷たい目線で私を見るあなたが私、大好きだったわ……!!」ハァアアアアアアアンンン

律「おい、これどうにかしろよ、梓」

梓「先輩がどうにかしてくださいよ。てか、さりげなく告白されてますけど」

純「教師と生徒の恋愛関係か……」ゴクリ

律「いや、恋愛関係じゃねーから。唾飲みこむなよ!?向こうからの一方通行だからな?純」

さわ子「りっちゃんの…………ばかっ!!」

さわ子「でもすきっ!」ダッ


梓「とうとう走っていってしまいましたね」

律「……」

純「あの人、黙ってたら美人なのに色々損してる」

律「ま、まぁ……あの変態教師のことは置いといて…」

律「練習するぞー!!!」

和梓純「おー!!」


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