―――――

澪「・・・」

スタスタスタ

澪「・・・あ」

律「あ・・・」

澪「・・・」

律「・・・」

律「もしかして・・・待ってた?」

澪「・・・」

澪「・・・うん」

律「そっか・・・」

澪「・・・」

律「・・・帰る?」

澪「・・・うん」

スタスタ

律「・・・」

澪「・・・」

律「・・・泣いたのか?」

澪「・・・なんでそんなこと訊くんだ?」

律「目が赤い」

澪「・・・」

律「・・・あと、お前、泣くと目の下んとこ、こすりまくるクセあるから・・・目の下も赤い」

澪「・・・うっ・・・」

律「・・・」

澪「・・・だって・・・」

律「だって?」

澪「りつが・・りつが・・・うっえええ・・・・」ポロポロ

律「ばっ!?お、おまえ、いきなり何泣いてんだよっ!?」

澪「り、りつがぁあ・・・」ポロポロ

律「ん?俺がなんだよ?まぁ、俺が悪いのはわかってるけどさ。とりあえず泣き止めよ・・・な?」

澪「ち、ちがう・・・り、りつは悪くなくて・・・わ、わたしが・・・グスッ・・・わたしが・・・わがままだから・・・
  香水とかバカなこと言って素直に謝れないから・・・」ポロポロ

律「んー・・・香水・・・?」

澪「だって、・・・り、つ覚えてないんだろ・・・?」グスグス

律「・・・」

律「・・・え?」

律「香水って・・・あぁ・・・なんだよ・・・」

澪「?」

律「あのさ、澪」

澪「うん・・・?」グスッ

律「なんつーか、話してる内容と、お前ら3人がグダグダ匂いがどうたら言ってるのから推測してるだけだから
  俺の記憶違いだったら笑ってくれてかまわないんだけどさ、そのさ」

澪「?」

律「・・・あの時の香水って、いま澪がつけてるやつと違うよな?」

澪「」

澪「へ?」

律「え?いや、だから、さ。その・・・高1の夏に約束したときの匂いと今の香水って違うよな・・・って?」

澪「・・・」

澪「え?」

律「あの時の香水っぽい匂いだけど、・・・あれってたしかベースの練習してるときにヘッドぶつけて落として割ってなかったっけ?」

澪「・・・」

澪「・・・」

澪「・・・あ」

律「だよな?」

澪「え・・・?え・・・、っていうか・・・りつ・・・・覚えててくれてたのか・・・?」グスッ

律「まぁ、・・・約束したし。なぜか俺の誕生日だけど。
  つーか、お前、似てる香水の匂いでくるって反則だと思うけど、それってありなの?まぁ・・・気づけてよかったけど・・・」

律「あ、でも気づいたの・・・今なんだけど・・・・さ」アハハハハ

澪「・・・」

澪「・・・」

澪「・・・っううぅう」ポロポロポロポロ

律「えぇ!?ちょっ!?なんでまた泣くんだよっ!?」

澪「だって、だって・・・わ、忘れてたのかと思ってて・・・」ポロポロポロ

律「いや、忘れてたのは忘れてたんだけど・・・ていうか、いや、マジで匂い違うのに気づけってのが無理ゲーっていうか」

澪「りつ・・・あの、その・・・、その、な?」グスグス

律「なんだよ・・・」

澪「だいすきだ」グスッ

律「・・・」

澪「もう・・・私のこと、律はきらいになっちゃったかもしれないし・・・。立花さんのこと好きかもしれないけど・・・」

澪「でも、私・・・りつのことがやっぱりすき」ポロッ

律「・・・」

律「・・・うはぁ・・・」

澪「?」ズズッ

律「ったくお前が先に言ったら、もっとうすっぺらくて情けなくなっちゃうでしょーが・・・」ゴシゴシっ

澪「んっ!・・い、いたいよ・・・りつ・・・?」グスッ

律「そのさ」ゴシッ・・・ゴシッ・・・

澪「ん・・・?」

律「大好きだよ、他の誰よりもいちばん澪がだいすき」

澪「・・・」

律「俺でよかったら、・・・また付き合ってほしい。・・・どうかな?」

澪「・・・・ほんとに?」

律「さすがの俺でも冗談でこんなこっぱずかしいこと、道で言ったりはしないかな・・・?」

澪「私でいいの・・・?」

律「むしろ、澪じゃないとだめなんだ。逆に、澪は、俺でいいの?もっといいやつはきっと世界にたくさんいると思うけど」

澪「・・・うぅうう」ポロッ

律「・・・」

澪「りつじゃないと・・・やだ・・・」

律「・・・」

ぐいっ

澪「わっ・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

律「・・・」

澪「・・・」

律「・・・帰るか」

澪「・・・」

澪「うん・・・」

―――――
トボトボ

律「・・・」

澪「・・・」

律「・・・て」

澪「・・・」

ぎゅ

トボトボ

澪「・・・」

律「・・・」

澪「りつ」

律「ん?」

澪「・・・ストロベリーシュガーミルク飲みたい」

律「却下」

澪「え~~、・・・・のみたい」

律「最近飲んでないから・・・却下」

澪「・・・いじわる」

律「また今度な」

澪「ばか・・・」

澪「でもすき」

律「・・・」

律「・・・あほ」


27通りめ 姫子と澪と律 終わり



─────

律「ちぃ~す、和!」

和「お、来たか…」

梓「どもです」

律「あれ?純は?」

和「さぁ。まだ来てないけど」

律「あれ?今日は劇の練習も衣装のカンケーでないし
  部活もムギと唯が忙しくて休みにしたから、放課後すぐスタジオって昼にメールしたよな?」

和「梓何か聞いてないのか?」

梓「いえ…、むしろ、純から『梓、おめー遅れんなよ!』ってドヤ顔で言われましたけど」

和「連絡とかきてないか?」

律「俺にはきてないぞ」サッ

梓「俺にも来てないですね」サッ




ピリリリリリ


律「おわっ!?びっくりした!?」

和「いや、驚きすぎだろ……」

梓「あ、純から電話ですね」

律「なにぃ?出ろ!すぐ出ろ!!」

梓「言われなくても出ますって……もしもし」ピッ

梓「おい!純!もうみんな揃ってるぞ!!なにやってんだ、バカか!?先輩怒ってるぞ!?」

律「いや、別に怒ってはないけど…」

和「まぁ、相手に罪悪感を感じさせるにはうってつけの言葉だな」

梓「お前今どこに……へ?学校?もしかして平沢さんに捕まったか?この色ボケがっ!!!」

和(……嫉妬か?)

律「うぉ!?梓どなるなよ、うるせーな、ちょっとかわれ」バッ

梓「……あ、ちょっと先輩にかわるわ」

律「もっしー、俺だよーん」

和「きめぇ」

梓「『だよーん』って…そりゃフラれるわ」

律「純、今日はどした?うん?うん。うん。
  あー…ゴニョゴニョ…憂ちゃんが…なるほどなー。そりゃ仕方ないな……」ウーン

和「…憂に捕まったのか」

梓「らしいです…」

梓(俺と違って、律先輩はやっぱ柔軟性が高いっつーか、周りのことよく見てるよな)

梓(頭ごなしに純にどなっちまった…後で謝っとこう…)

梓(……先輩は、律先輩のこういうとこにホレたのかな?)

律「じゃあ、今日はお前は練習来なくていいから。
  あ、でもちゃんと練習はしとけよ?おう。じゃあ、またなー」ピッ

律「ほい、梓ケータイサンキュー」スッ

梓「あ、はい」

和「純は今日来ないのか?」

律「おう。まぁ、憂ちゃんのための特別休暇みたいなもんだな」アハハハハ

和梓(純……うらやま)

律「さ、今日は3人だけどはりきって練習しよーぜっ!」


─────

ジャ-ン

律「ぐは……」ガクッ

純「ちかれた…」ウヘェ

和(この2人……なんか似てるな)

純「和先輩、だいたいミスなく弾けるようになりましたね。ってか、上達はやいっす」

律「ほんとに、和はすっげーうまくなったよな」

和「まぁ、やると言った以上は迷惑かけられないしな」

梓「全体的にもだいぶ揃うようになってきましたもんね」

律「おぅ!なかなかいー感じなんでない?」グビグビ

和「おい、律!!ここ飲食禁止だって!!」

律「おぉう!わりーわりーすぐ近くに置いてたからつい」ヘッヘッヘッ

純「つーか、またそれ飲んでる……律先輩それ好きですね」

和「よくそんな甘ったるいもの飲めるよな…飽きもせずに毎日……」ウワァ

律「へいへい。なんとでも言ってくれ」

ゴクッ

さわ子「あら、でもこれおいしいじゃない」

律和梓純「」

さわ子「ストロベリーシュガーミルクね……。
    りっちゃんが好きなら今度から買い占めようかしら」フフッ

梓「って!なんでまたさわ子先生がいるんですかっ!?」

さわ子「『また』って何よ!『また』って!梓くんひっどーい!」

律「センセーのがひっでーよ!俺の勝手に飲むんじゃねー!もう飲めねーだろーがっ!?」

さわ子「なんでよ?」

律「へ!?だ、だ、だ、だって!か、か、か、間接キッ……///」プシュー

さわ子「ふふっ。相変わらずりっちゃんはウブね~。もう飲まないならもらってもいい?」

律「か、勝手にしろよ!?///」

梓(やっぱ照れてる律先輩ってきめぇな)

さわ子「わーい、りっちゃんの飲みかけー!間接キスね!」

律「やっぱ返せ!全力で返せ!!」

さわ子「やーよ。もうもらっちゃったもの。私のものは私のもの。りっちゃんのものは私のものよ!」フフンッ

律「うるせーよっ!」

純「相変わらず神出鬼没だなぁ、さわ子センセーは…」

和「もういきなりさわ子先生が現れるの、大概慣れてきたけどな」

純「たしかに」

律「ったく。で、今日は何しに来たんだよ」

さわ子「りっちゃんつめた~い。でも、それがいい。もっと罵って~」ハウ~ン

律「」

梓「はは……というか、本当に今日はなんで?」

さわ子「今日はね、寸法測りに来たの♪」

梓「はい?」

純「寸法って、何のですか?」

さわ子「何って、あなたたちがバンド演奏するときの衣装のよ」

律和梓純「……」

律和梓純「衣装!?」

さわ子「そうよー衣装よー」

和「衣装……着るのか?律」

律「へ?いや……俺は制服でいいかなって思ってたけど」

梓「俺も制服かなって思ってました」

純「俺も俺もー」ハイハイハーイ

さわ子「まぁ、あなたたちなら顔もいいし、制服でもいいと思うけど、
    でも、せっかく舞台に立つんだから私が作っちゃおうって思ったの♪」

和「ほぅ……」

律「せ、先生……俺今なんかすっげーかんd」ジーン

さわ子「あ、別に身体に触りたいとかあわよくば揉んだり
    胸押し付けちゃおうとかは思ってないから、本当に思ってないからね!ね?」

律「あ、今すぐスタジオから出てってください」

さわ子「や~ん。澪ちゃんにフラれたりっちゃんこわ~い」キャピ

律「」

純「あ、でも、俺衣装着てみたいも!そーゆーの着たことないし!」

さわ子「あら、ありがとう。こないだ憂ちゃんに校内で抱きつかれてた純くん」

純「」

律和梓(……抱きつかれてただとぉ!?)

律「世の中理不尽だなぁ、梓よ」

梓「お前が言うなと言いたいところですが、同感ですね。なんで純みたいなのに平沢さんは抱きつくんだか」

和(……俺は何かを言ったら紬に悪いから何も言わないでおこう)ウンウン

さわ子「とりあえず、私は勝手に寸法測るからみんな練習続けなさい」サワッ

律「尻をさりげなくさわんじゃねーよ!そろそろ訴えるぞ!?」

さわ子「やめて!訴えられたら私、りっちゃんと結婚式あげられなくなっちゃうじゃない!?」

律「」

律「もうわけわからん…」ガックシ

和「律って、意外とモテるよな」

梓「あれって、モテてるうちに入るのか?」

純「・・・さぁ」

梓(でも、平沢先輩も……律先輩が好きなんだろうし)

梓(やっぱ律先輩はモテてるのか……?)

和「あ、そういえば、律。がっくししてるとこ悪いんだが」

律「あん?なんだよ」

和「そろそろ参加の書類提出してくれないと、衣装どころか俺ら文化祭で演奏出来ないんだけど」

律「……へ?」

梓「ちょっ!?律先輩!?また書類提出してないんですかっ!!」

律「え?え?俺、出してないっけ」ガサガサガサ

純「うわーいきなりバッグあさりだしたーフラグ立ちまくりー梓に殴られる5秒前!」ケラケラ

律「やかましーぞ、純!……え、えーっと、…たしか出しはずのような」


律「…それでも何かをしなきゃいけなくて出しそびれたような……」ガサガサガサガサ

律「……あ、プリントあった……」

ペラッ

和「すっごいクシャクシャだな」

律「あはは……わ、わるい。でも、持ってただけでも奇跡じゃね?これ」アハハハ

梓「秋山先輩がいないとすぐこれだよ」

律「み、澪はかんけーねーだろっ!?てか、提出出来なかったのにはちゃんとわけがあんだよっ!」

梓「なんですか?わけって。一応聞いてあげますよ」

律「ほ、ほら、ここっ!」ピッ

梓「ん……?」ジー

和「あぁ……」ジー

純「そういや、俺ら決めてませんでしたね」ジー

律「だろ?俺1人じゃ決めらんねーし、みんなに訊こうと思って忘れてたんだよ」

和「いや、忘れんなよ」

梓「さすが律先輩ですね」

純「和先輩が言ってくれなきゃ俺ら出場できなかったのか…」

梓「ていうか、もう本番まで1週間なのに書類大丈夫なんですか?」

和「……そこは俺がなんとかしてるから大丈夫」

純「さっすが生徒会長!」

律「うぐっ。わ、忘れてたのは悪かったよ。
  でも、とりあえずこれ決めなきゃ提出できないからさっさと決めちまおーぜ!何にする?」

梓「いきなり言われても…」

さわ子「乙児組なんてどうかしら」

律「却下だ。即却下だ」

さわ子「りっちゃんのいじわる~」ブーブー

律「まぁ、急に言われても思い付かないだろうから、明日までに考えてくるよーに」

和梓純「うえーい」


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