澪「・・・」
澪「・・・はぁ」
澪「・・・今日も律は立花さん、迎えにいってるのかな・・・きっと、そうだよね・・・」
澪「・・・なにやってんだよ・・・ばか律・・・」
澪「・・・」
澪「たぶん、立花さんは・・・律のこと・・・好きなんだろうな・・・」
澪「りつ、優しいからなぁ・・・高校1年生のときも唯とかムギに優しくて、最初ヤキモチやいちゃったし・・」フフフ
澪「・・・」
澪「私のこと・・・嫌いになっちゃったのかな・・・?」
澪「・・・」
澪「・・・はぁ、こんなんじゃダメだ・・・勉強集中できないな・・・なんか甘いもの食べたい」
澪「甘いもの・・・プリン・・・アイス・・・ケーキ・・・なんか違うな・・・」ウーン
澪「あ・・・ストロベリーシュガーミルク・・・飲もうかな」
澪「でも、あれいつも1人で半分しか飲めなくて律に飲んでもらってるし・・・」
澪「・・・いや!!律がいないからってなんだよ!!私は私が飲みたいもの食べればいいんだ!!」
澪「律なんか・・・律なんか・・・!!!あぁ、もうっ!!!」
澪「・・・冷蔵庫に1本あったっけかな・・・?」
澪「・・・ない」
澪ママ「あら?澪ちゃん、冷蔵庫でなにか探しもの?」グビグビ
澪「あ、ママ・・・。ストロベリーシュガーミルクってジュース、1本冷やしてたんだけど、知らない?」
澪ママ「ストロベリーシュガーミルク・・・?」グビグビ
澪「あ・・・」
澪ママ「・・・あ」ゴクン
澪「・・・」
澪ママ「・・・これ?」
澪「そうです・・・」
澪ママ「飲む・・・?もう半分も残ってないけど」
澪「いや、いいや・・・買ってくる」
澪ママ「今から?こんな時間に1人で危ないわよ?りっちゃんパシッたら?」
澪「ぱし・・・ママはいったい律のことなんだと思ってるんだよ・・・」
澪ママ「え~~?現在進行形かつ将来的な・・・私の下僕・・・かな?」テヘッ
澪「」
澪「ママのばかっ!!律は下僕じゃないっ!!」
澪ママ「でも、澪ちゃんとりっちゃんって、ぱっとみの印象、お姫様とその召使よね」
澪「」
澪ママ「ってこないだりつママンと2人で話て笑ったわ」フフフ
澪「律のお母さん!!そこは笑わないで!?」
澪ママ「そういえばりつママンに聞いたけど、最近りっちゃんと仲良くないんだって?」
澪「っ・・・!!ま、ママには関係ないだろ!?」
澪ママ「だって。最近澪ちゃん元気ないから心配なんだもん]
澪ママ「それでそれとなくりつママンに聞いたらりっちゃんも元気ないっていうし・・・」
澪「・・・律も・・・」
澪ママ「ダメよ、仲良くしないと。りっちゃん、優しくてかっこいいんだからぼーっとしてたら誰かにとられちゃうかもよ?」
澪「・・・・・・わ、わかってるよ・・・そ、それくらい・・・」
澪ママ「あ、あと佐々木さんからなんか意味深なメール届いたんだけど内容聞く?」
澪「だ、だれだよ・・・・その佐々木さんって・・・初めて聞く名前だけど・・・」
澪ママ「まぁ、なんというかー、ちゃけー、メル友っていうかー、バリ仲いいママ友っていうかー」
澪「ママ、そのしゃべり方、やめろって言っただろ・・・?」
澪ママ「やだ澪ちゃん、ちょっとふざけただけじゃない、そんなに怖い顔でにらまないで」ホホホ
澪「ったく・・・で、なんだよ、意味深なメールって教えてよ、気になる」
澪ママ「えーどうしよっかなーママ困っちゃうっていうかー澪ちゃんをちょっといじめたくなるっていうかー
かわいい子ほど旅させたくなるってかー、でもこれ見たら澪ちゃんの機嫌悪くなることこの上ないしー」
澪「」イライライライラ
澪ママ「どうぞ」すっ
澪「・・・どうも」
澪「いったいどんな内容・・・・」
澪「・・・」
澪ママ「率直に聞くけど・・・りっちゃんにふたまたかけられてる?」
澪「・・・いや、別に・・・律は立花さんがバイト帰りに1人で危ないからっていって送ってるだけだし・・・」
澪ママ「立花さんっていうんだ・・・その子」
澪「・・・同じクラスなんだ。最近、律と仲良くなったっていうか・・・」
澪ママ「そうなんだ。りっちゃん、あいかわらず女の子に優しいのね」
澪「まぁ・・・」
澪ママ「でも、だれかれかまわずに優しくてもだめなのよ、人間って。そういうとこ、まだまだりっちゃんは青二才ね」
澪「・・・」
澪ママ「青臭いっていうか・・・もうイカ臭いっていうか、あら私ったらなにをぶはははは」
澪「ママに律のなにがわかるっていうんだよっ!!!」
澪ママ「み、みおちゃん!?」ビクッ
澪「『律が優しい』って言ったって、ママが知ってる律なんてそんなの律のうわっつらだけだろ!?」
澪「わかったように律のこと悪く言わないでよ!!ママのばかっ!!」ダッ
澪ママ「み、みおちゃん!?ど、どこいくの!?」
澪「ママに飲まれたからストロベリーシュガーミルク買ってくるんだよっ!!」ダッ
澪ママ「あ、あぶないわよ、こんな遅くに!?」
澪「うるさいっ!!」
ドアガチャバターン
澪ママ「つぅう~~耳にくるわね、この音。家のうめき声ね。ドアは静かに閉めなさいって言ってるのに・・・まったく」
澪ママ「まぁ、若気の至りなんていうけどね」
澪ママ「澪ちゃん傷つけたら、いくらなんでもしょうちしないんだからね、りっちゃん」
澪ママ「一生奴隷の刑ね!!」フフフ
―――――
律「」ブルッ
姫子「どうしたの?」
律「いや、なんか唐突に寒気が・・・?」
姫子「風邪・・・?」
律「なんだろ、よくわかんないや」
姫子「大丈夫?」
律「あぁ、大丈夫大丈夫。でさ、澪のやつがさぁ~そこで俺の頭をまたたたいて~」
姫子「・・・あ、あのさ」
律「ん?なんだ?」
姫子「その・・・いつもバイト帰りに送ってくれてありがとね?」
律「え?なんだよ、いきなり~。そんなこと面と向かって言われたら照れるっつーの!やめろやめろ」ハハハ
律「それに今日はストロベリーシュガーミルクおごってもらったし!むしろこっちがありがとうだって!」
姫子「・・・いつもそれ飲んでるよね?ストロベリーシュガーミルク。好きなの?」
律「ん?あぁ・・・好きっていうか・・・なんていうかな・・・俺、本当は甘いもの好きじゃないんだ」
姫子「え?そうなの?でもそれって、甘いジュース系の中でも結構甘いほうだよね?」
律「あぁ・・・そうなんだけど・・・なんというかなぁ・・・んー立花さんって口堅いほう?」
姫子「たぶん・・・口は堅いほうだと思うけど・・・」
律「まぁ、別に誰かに言われても支障はないんだけどさ・・・これ、誰にも言うなよ?」
姫子「う、うん。なにかな?」
律「ストロベリーシュガーミルクさ、」
姫子「うん」
律「澪がすきなんだよね、ほら、あいつ、甘いもの好きだからさ!」
姫子「・・・あ、あぁ・・・」
姫子「そ、そっか・・・秋山さんが・・・好きなんだね・・・」
律「そうそう。でさ、自分が買ったんだから全部自分で飲めばいいのにあいついつも半分飲んで余すんだよ」
姫子「へ、へー・・・そうなんだ・・・」
律「で、結局俺に押し付けてくんのね!『残したらもったいないから飲んで』って。だったら買うなってはなしなんだけどな」ハハハ
姫子「・・・じゃあ、秋山さんのために?」
律「うーん・・・まぁ、なんというか、いきなり飲まされてもさ、
本当に甘ったるくてきついんだよ、これ。後から胸焼けしてくるし。だから、普段からならしてるっていうかなんていうか・・・な」ヘヘヘ
姫子「そっか・・・。そんなに思われてうらやましいな、秋山さん」ボソッ
律「ん?なんか言ったか?今」
姫子「えっ?あ、ううん。な、なんでもないよ・・・ホントに・・・なんでもない・・・」ハハハ
律「そっか。立花さんも今度飲んでみなよ、これ。めっちゃ甘めーから。
でも、澪いわく、これ飲んだら集中力がアップするらしいぞ!俺にはいっさい効き目ないんだけどな」ケラケラ
姫子「田井中くんは優しいね」
律「おおう!?な、なんだよ、い、いきなり!?そんなほめたってなにもでねーぞ!?」
姫子「前からね、ずっと思ってたんだ。おんなじクラスになったとき・・・ううん。高校1年生のときからずっと・・・」
律「へ・・・?高校・・・1年のとき・・・?」
姫子「うん。接点はなかったんだけどね、けいおん部で1人だけ男子でさ、どんな人なんだろうって思ってて。・・・女の子3人の中で男子1人ってさ、最初あんまりいい印象なかったけど」
律「・・・あぁ、それはよくいわれます、主に男にだけど」
姫子「でも、1年生のときの文化祭のときに初めてけいおん部の演奏みてさ、田井中くん、ドラム叩いてて
・・・秋山さんはベース弾いてて、琴吹さんはキーボードで、唯はギター弾いてて」
姫子「男子1人だけなのに、全然違和感がなかったんだ。4人でいることがすっごく自然に見えて」
姫子「『どうしてそこまで詳しく知らない人なのに、外見とかそういうので勝手に悪い印象を植え付けちゃったんだろう』って思ってさ」
姫子「そうだな・・・あの頃からきっと・・・自分でも知らない間に・・・」
律「た、立花・・・?」
姫子(でも、・・・田井中くんには秋山さんがいるから・・・ダメだ・・・こんな気持ち・・・あきらめなきゃ・・・)
姫子「きっとさ、田井中くんはけいおん部の女の子だけじゃなくてさ、私にしてくれたみたいに女の子みんなに優しいと思うんだ」
律「そうかな・・・あんま、自分で自分のこと優しいとか・・・思ったことないし。
てか、むしろ、澪にはいつも怒られてるから優しくはないと思うけどな」
姫子「ううん。優しいよ、田井中くんは十分優しいよ。でもね、それを自覚してないっていうのにはきっと理由があるんだよね」
律「理由ねぇ。つーか、そこまで優しいって連呼されて言われたことないから
若干恥ずかしくなってきてるんですけど・・・俺、ほんとに優しくないからね?」
姫子「田井中くんと秋山さんってずっと一緒にいるんだよね?」
律「へ・・・?あぁ・・・まぁ、小学校からの幼馴染だしな。ほとんど大半の時間一緒に過ごしたっていってもまかりまちがってないっていうか」
姫子「きっとさ、秋山さんと一緒に長いこといたから、もう自然になっちゃってるんだよ、女の子に優しくすること」
律「・・・」
姫子「秋山さんって、小さいとき、こわがりだったり人見知りだったりとかしてた?」
律「あぁ!それはめっちゃめっちゃあたってる!!てか、いまでもまだ怖がりだし、人見知りするけど昔ほどじゃねーもん!!」
姫子「ならなおさらだよ、田井中くんが優しくなるのも」
律「へっ?」
姫子「小さいときにそんなに臆病な女の子がそばに居たら、自然に覚えちゃうんだよ、女の子に優しくする方法」
姫子「むしろ、秋山さんが嫌がることはしないっていうかさ。
秋山さんが嫌がることは他の女の子にもしないって無意識にもう脳のインプットされてるんだよ、田井中くん」
律「そんなもんですかねぇ・・・自分じゃまったく自覚ないけど・・・」
姫子「自覚なくても、優しいもん、田井中くん」
律「まぁ、自覚のある優しさなんて、ただの押し付けがましい恩売りみたいで俺は好きじゃないけど。
そういうの見てるのもやられるのもなんかつらいし嫌だし」
姫子「自覚がないからこそ、その優しさがつらいときもあるんだけどね」
律「うーん。なんだか難しい話だなぁ・・・」
姫子「そっか・・・田井中くんはもう全部、秋山さん中心で廻ってるのか・・・」
律「・・・ん?」
姫子「ねぇ、田井中くん」
律「なに?立花さん」
姫子「あのさ・・・(これでもう最後にしよう)」
姫子(だから・・・ちょっとだけごめんね?秋山さん)
――――――
澪「はぁ・・・結局またKコンビにまで買いに来ちゃったよ」
澪「・・・くらい・・・」
澪「・・・」
澪「・・・は、はやくかえろうっ!!」ダッ
―――――
姫子「ちょっとさ、今まで黙ってたんだけど」
律「お、おう・・・な、なんだよ・・・・(あれ・・・なにこの雰囲気)」ドキッ
律(え?ドキってなんだよ、ドキって!?くそっ純が変なこというから妙に意識するっていうか・・・)
律(ままままま、まさかねー立花さんが俺のこと、そんな、まっさかー)ハハハ
姫子「私、ね、その実は」
律「お・・・おう」ゴクッ
姫子「暗いの怖いから、手つないでほしいんだけど」
律「へっ!?」
姫子「ん?」
律「あ・・・いや・・・な、なんでもない・・・(ほ、ほらやっぱりな、俺がモテるわけないんだってーの!!)」
律(・・・心配して損した)ハァ
律(・・・ん?手って・・・この場合つないでもいいのか?)
姫子「だめかな?」
律「えっ?あれ・・・?どうなんだろう・・・?だめ・・・なの・・・かな?」
姫子「田井中くんが、ダメなら、私、我慢するからいいんだけど」
律「・・・(えぇ~~~)」
律「・・・」
律「・・・あ、いや、その・・・うん・・・まぁ・・・たぶん手は大丈夫だと思うかな、うん」
姫子「ほんとう?」
律「あ、・・・お、おう!だからそんな顔すんなよっ!」
律「手ぐらいな、ほら、こここ、こうやって、簡単に握れちゃうっての!!」ハハハ
ギュ
姫子「・・・あ」
律「ははは・・・な?」
姫子「あ・・・う、うん。そうだね・・・」
律「・・・ははは」
姫子「・・・」
律「・・・か、かえるか!?」
姫子「あ、う、うん・・・」
―――――
澪「うぅううう・・・暗くて、こ、こわい・・・り、りつぅううう・・・」テクテク
澪「・・・い、いや・・・だめだ・・・律に頼っちゃだめだ・・・私が勝手に出かけたんだから・・・」テクテク
澪「く、暗い・・・・・・や、やっぱちょっと、む、無理かも・・・・・・ん?」
澪「あ・・・あれって・・・」
―――――
律(・・・)
律(なんだろう・・・今までこんなこと思ったことなかったのに・・・)チラッ
姫子「・・・」
姫子「・・・ん?どうしたの?」
律「えっ!?あ、い、いや、な。なんでも。た、立花って、手、ちっさいんだな。澪となんかちがうなぁって思って」ハハハ
姫子「あ、え、あ・・・そ、そうかな・・・」
律「あ、と、・・・あ、う、うん」
姫子「・・・」
律「・・・」
律「・・・」
律(手つないだら・・・罪悪感が・・・ひどい・・・)
―――ドサッ
律「・・・ん?今、なんか音した?」
姫子「したけど・・・私たちなにも落としてないよね・・・?」
律「でも、たしかに音が・・・後ろから・・・なにかおとした・・・か・・・」クルッ
律「あ・・・」
姫子「どうしたの?」クルッ
澪「・・・」
律「・・・澪」
もうちょい続く10通りめ
最終更新:2011年12月09日 05:23