梓「…」ゴクン

紬「…」ゴクン

梓「あのー」

紬「なにかしら?」ニコッ

梓「今日、みなさんは?」

紬「なんだかよくわからないんだけど、用事があって遅いみたい」

梓「そうなんですか…」

紬「そうなの。用事ってなんだろう」

梓「はぁ…」

紬「…」

梓「…」

紬「あ、クッキー遠慮しないで食べてね?」

梓「あっ、は、はい!?いっいただきます」アワアワ

サクッ

梓(うむ~。きっと高いクッキーなんだろうけど、変に緊張して味がわからない)モグモグ

サクッ

梓(…うすっぺらい味)モグモグ

紬「ねぇ、あずさにゃん」

梓「」ゴプッ

紬「あっ!?ご、ごめんなさいっ!!噛んでしまったわ!?///」カァァ

梓「あっ、い、いえ、…きっ、気になさらずにっ!?」ハハハ

梓(どんなかみかた!?)

梓「で、なんですか?琴吹先輩?」ゴクン

紬「あ」

梓「?」

紬「…あのね」

梓「はい…」

紬「その…私のこと、みんな『ムギ』って呼んでくれてるの」

梓「あー、そうですね。みなさん『ムギ』とか『ムギちゃん』って言ってますもんね」

紬「そ、そうなのっ///」
梓(なぜ照れる!?)

紬「だ、だからね…えっと、その…」チラッ

梓「?」

紬「わ、私のこと…『琴吹先輩』じゃなくって、ね」

紬「む、『ムギ先輩』って呼んでほしいなぁ~って///」ソワソワ

梓「あ、ああ。なるほど…(そんなことか~)」

紬「う、うん///」

梓(それを言うだけでこんなに顔を赤くするなんて)

梓(先輩だけど癒されるなぁ~)

梓(でも……下の名前というか、あだ名で呼ぶのって…浮気に入らないかな?)

梓(あの人の価値観はいまだに理解できないから浮気に入るかどうかがわからない…)

紬「黙っちゃうってことは…やっぱり、だめ…かしら?」

梓「あっ、いえ、……その…」ハハハ

紬「やっぱり、だめよね…」シュン

梓(そんな哀しそうな顔されても~~!?)


梓「……」

梓「えと…、多分だいじょうぶ、なはずなので…いいですよ?」

紬「ほっ、ほんと!?」ガタンッ

梓「えっ!?はっ、はい!?(そんな身をのりださなくても!?)」

梓(顔が近いぃぃいい///)

紬「」ハッ

紬「あ…!ご、ごめんなさいっ、う、嬉しくてつい…///」バッ

梓「あ…い、いえ、大丈夫です(まつげ長かった)///」タハハ

紬「…」

梓「…」

紬「…あの」

梓「はい…」

紬「ちょっと…呼んでみて?」

梓「えっ、今ですか!?」

紬「うん。今がいいな」

梓「えぇ~~~~」

紬「おねがいっ!」

梓「……」

梓「……」

梓「……えと」

紬「うん」

梓「…そ、そのっ…む」

紬「うんうん」ランラン

梓(あれ?なんかものすごく恥ずかしい!!)

梓「むっ、……ムギ、せんぱいっ…///」カァァ

紬「な、なんであずさにゃんが照れてるの!?///」カァァ

梓「いや、自分でもなんかすいません…///」

紬「って、また噛んじゃった///」アウウ

梓「///」

紬「///」

梓(なにこの雰囲気ものすごくキマヅイ)

紬「あの///」

梓「は、はいっ!?///」
紬「もう一度言ってみてもらえないかしら?」

梓「えっ…」

紬「お願いよ、ね?///」

梓(とんでもなくかわいいから首をかしげないでいただきたい)

梓「まぁ、いいですよ」

紬「じゃあ、どんとこいです!!」

梓「なんですか、それは。……えと」

紬「うん!」

梓「む、ムギ…先、輩」

紬「もういっかい」

梓「ム、ギ、先輩」

紬「もっかい」

梓「ムギ、先輩(あ、ちょっとなれてきたかも)」

紬「もう一声!」

梓「ムギ先輩」

梓(あ、スラッと言えた…)チラッ

紬「えへへ。嬉しいな、そう呼んでもらえると」

梓「///」カァァ

梓(笑顔かわいすぎる)

紬「ふふっ///」ニコッ

梓「ははは~///」ニコッ


―――――

律「あの2人を2人っきりにさせたらどうなるのか見てみたけど」

澪「な、なんかものすごく見てるこっちが恥ずかしい雰囲気になったな///」カァァ

唯「」

律「おーい、ゆいー大丈夫かー」ユサユサ

唯「ううぅう…な、なんとか…」ゲソッ

澪「梓がムギを『ムギ先輩』って呼ぶのって、そんなにショックなのか?唯的に」

唯「……そうみたい」

律「意外と独占欲強いんだなぁ。そうは見えないけど」

唯「私もまさかこんなに自分が独占欲強くて嫉妬深いだなんて思ってなかったよ…」ガックシ

澪「まぁまぁ。唯、呼び方変わっただけでさ、梓の唯に対する思いは変わらないって」ナデナデ

唯「そうかな?澪ちゃん」

澪「……あー」シセンソラシ

律「いや、そこはちゃんと目を見て『そうだぞ』とか言ってやれよ」オイッ

唯「ぐすん」

澪「な、泣くなよ!?い、いや、その、大切なことだから、いい加減なこと答えたら駄目だなって思ってさ!?」ワタワタ

唯「まぁ、ウソ泣きだけどね!」シテヤッタリ

澪「」

律「たはは。まぁ、ムギだって唯と梓が付き合ってるの知ってるんだしさ、ただ素直に『ムギ先輩』って呼ばれたかっただけだろうしさ…」

ぽんっ

唯「ぬふっ?」

律「『ムギ先輩』って呼ぶくらい許せるくらいに寛大になってやれよ、唯」ナデナデ

唯「え…え、えと…そ、その」ワタワタ

律「あん?別にいいだろ?『ムギ先輩』くらいさ、澪なんてファンクラブできてんだぞ?」ナデナデ

律「少しはこっちの気持ちも考えろよ、つーさー」ナデナデ

唯「い、いや、うん。あのね、『ムギ先輩』って呼ぶのはいいんだけど、その、ね?」ワタワタ

律「ん?なんだよ」ナデナデ

唯「頭なでられると、澪ちゃんの視線が痛いのです、はい」タハハ

澪「」ジー

律「」

律「あっ」

唯「多分、澪ちゃん撫でてる癖なんだろうけど、他の人にはやらないほーが、いいかな?なんて…」エヘッ

律「あ、あの、澪!?唯の言う通り、澪の頭なでてる癖で、なっ?」ワタワタ

澪「へー、そっか。そっか。じゃあ、お前は癖で他のやつの頭も撫でちゃうんだな」ヘー

律「い、いや、そんなトゲトゲしい言い方されなくても」

律(こいつはこいつで見た目のまま嫉妬深いなぁ!おいっ!!)

澪「あのさ、律」

律「な、なんでしょうか…澪さん…」

澪「1週間私にさわらないでね」ニコッ

律「」

唯「どんまいです、りっちゃん。私、澪ちゃん見てたら自分の独占欲そこまでじゃない気がしてきたよ」ウンウン

律「こんなのってないよ」

澪「お前が悪いんだ、ばか律!」


―――――

梓「なんだか外が騒がしいですね」

紬「ほんとね。あ、お茶のおかわりいるかしら?」

梓「あ、お願いします、ムギ先輩」

紬「ふふっ、クッキーもまだあるから食べてね」

梓「はい。ありがとうございます」

紬「」ニコッ

梓「」ニコッ


3通りめ 紬と梓 終わり



律「……」ポケー

紬「お茶飲む?」

律「……うん」

紬「じゃあちょっと待っててね」

律「……あぁ」ポケー

紬「……」

紬「空見て楽しい?」

律「……うん、楽しいよ」

紬「……そう」

律「……」

紬「はい、どうぞ」

トンっ

律「……あんがと、ムギ」

紬「どういたしまして。お菓子も食べてね?」

律「ん」ズズッ

律「…ふぅ。やっぱムギのお茶っと落ち着くな」ヘヘッ

紬「そうかな?そう言われるのは嬉しいかも。ありがとう」フフッ

律「そっか。嬉しいか」

紬「うん、とっても」

律「それはよかった」ズズッ

紬「……」

紬「ねぇ」

律「ん?なんだ?」

紬「また澪ちゃん呼び出し?」

律「……なんでそう思うんだ?」

紬「あからさまに落ち込んでる人が私の前でお茶飲んでるからかな?」

律「そっか。落ち込んでるようにみえるか?」ヘヘッ

紬「うん」

律「そっか」ズズッ

紬「……」

紬「大丈夫?」

律「当たり前だろ?高校入って何回目だと思ってんだよ」

紬「私が知る限りでは18回目よ」

律「マジでか!?」ガバッ

紬「数えてたからね。飛び起きるほど驚いた?」

律「あぁ…ちょっと…」ガタンッ

律「ったく。トイレの芳香剤みたいにフェロモン振りまきやがって…」

紬「数えてなかった?」

律「そんな女々しいことしたくないっての…」ズズッ

紬「女々しいことなの?」

律「さぁ。今思い付きででた言葉だから」

紬「そうなんだ。…なんで数えたくないの?」

律「数えたら自分が惨めに思えてきそうだから」

紬「別に惨めなんかじゃないでしょ?」

律「そっかな?」

紬「澪ちゃんと付き合ってるのは他でもなく、あなたなんだから」

律「……そっかぁ」

紬「……『告白されに行くな』とか言わないの?」

律「言ったことないよ」

紬「どして?」

律「……澪が『ちゃんと告白してくれる人にはちゃんと誠意で返したい』っていうすんばらしい考えの持ち主だって知ってるから」

紬「澪ちゃん、めんどくさいね」

律「そう。めんどくさいんだよ、あいつ…ったく」

律「でも、あいつはあいつのものだからな。誰のものでもなくて…」

律「だから…勝手に好きにすればいいんだ」

紬「…お茶おかわりいる?」

律「うん。たのまぁ…」

律「梓こないなぁ…」

紬「日直だったっけ?」

律「うん。そうメールきてた」

紬「…そう。日直にしては遅いね」

律「ん…」ズズッ

律「なぁ、ムギ」

紬「なに?」

律「澪がさ」

紬「うん」

律「澪が呼び出される日って、必ず空がきれいなんだ」

紬「そうなの?」

律「そうなの」

紬「へぇ~」

律「まぁ、考えてみりゃたしかにな。誰も雨の日のどんよりした雰囲気の中で告白なんてしたくないってな」ハハッ

律「やんなるよ、まったく…」

紬「いいじゃない。天気くらい晴れさせてあげれば」

律「なんで?」

紬「澪ちゃんは断るってわかってるんだから」

律「……断るってわかってるか」

紬「そうでしょ?」

律「そうかな?」

紬「そうに決まってるじゃない」

律「なら、いいんだけどね」ズズッ

紬「澪ちゃんのこと好きじゃないの?」

律「好きだよ」

紬「ならもっと自信持ちなよ」

律「澪のことは好きだけど…でもさ、ムギ」

紬「なに?」

律「たとえば、今澪に告白してるやつのがさ、澪のこと、もっと好きかもしれないし」

律「それに比べたらここにある気持ちなんてうすっぺらかもしれない」

律「でもって、今よか、澪のこと幸せにしてあげられるやつかもしれないじゃん?」

紬「そんなことないと思うけど…」

律「でも、そんなことあるかもしれないだろ?」

紬「まぁ…」

律「そこは否定してほしかったな」

紬「わがまま」

律「はいはい。どーせ無い物ねだりのわがままっすよ」ズズッ

紬「素直じゃないなぁ~」

律「いまさらいまさら」

律「はぁー…」

紬「唯ちゃんも遅いね」

律「掃除長引いてんじゃね?」

紬「かな?」

律「多分」

律「なぁ、ムギ」

紬「なにかな?」

律「澪にフラレたら付き合ってよ」

紬「本気で言ってるの?」ムッ

律「いや、冗談だけど…」

紬「冗談でもそんなこと言っちゃだめよ?」

律「へいへい。今の内緒な?」

紬「澪ちゃんに?」

律「澪にもあれにも。てか、忘れて。今話してたこと全部」

紬「誰にも言わないよ」

律「さっすがムギさん。話がわかる」ヘヘッ

紬「元気でた?」

律「……少しは」フム

紬「澪ちゃんに八つ当たりしたらだめよ?」

律「わかってるよ」

律「……あーあ」ノビー

律「くそいい天気だ」ハァ


―――――

澪「……」トボトボ

澪「……」トボトボ

澪「……あ」

律「今日は遅かったな。もうみんな帰っちゃったよ」

澪「うん。ごめん。……待った?」

律「ぜんっぜんっまってないっ!!」フンス

澪「…なんだそれは」クスッ

律「腹減ったから牛丼食べてこーぜ」スタタ

澪「えぇぇ…牛丼って…」スタタ
律「……」タタタ

律「嫌なら、どっかの誰かのとこいっちまえ」タタタ

澪「……」タタタ

律「……」タタタ

澪「……牛丼食べる」タタタ

律「………」タタタ

律「………ん」タタタ


4通りめ 紬と律 終わり



3