ホテル

澪「こういうときってどうしたらいいんだ?」

唯「うーん……警察?」

律「警察に届けられてるか?」

梓「取り間違いですから、空港に連絡してみたらどうでしょう?」

澪「ああ、それがいい」

律「むぎー、頼めるか?」

紬「はい」

唯「憂からもらったハンカチとかあるのにー」

澪「すぐに見つかるって」

梓「そうですよ!」

唯「うん……」

紬「(もしもし?)」

「(はい。こちらラグーン商会)」

紬「(レヴィさんかロックさんはいますか?)」

「残念だけど、今はいないね。どちらさま?」

紬「4.5を支払ったジャパニーズって伝えてもらえれば、わかります」

「ふーん」

紬「では、電話番号を言いますから必ず連絡をしていただけるようにお願いします」

「おっけー」

紬「ところで、あなたは?」

「僕はベニー」

紬「では、ベニーさん、よろしくおねがいします」

ベニー「わかったよ」

紬「よし……」

澪「連絡ついたのか?」

紬「はい。向こうから連絡してくれるようですよ?」

律「やったな!!」

唯「ありがとー!!」

紬「いえいえ……」


ラグーン商会

レヴィ「ったく……姉御も無茶言うぜ……どうやって今日中に探せっていうんだ」

ロック「仕方ないじゃない」

レヴィ「それもこれも全部……!!」

ベニー「レヴィ」

レヴィ「なんだ?」

ベニー「レヴィを名指しで電話があったよ」

レヴィ「誰から?」

ベニー「4.5を支払ったジャパニーズ」

レヴィ「ふうん」

ロック「あの子か……どうしたんだろう」

レヴィ「連絡先は?」

ベニー「これ」

レヴィ「よし……」

紬『……もしもし?』

レヴィ「何のようだ?」

紬『あの……小麦粉、いりませんか?』

レヴィ「いらねえな」

紬『本当に?』

レヴィ「てめえ……なんのつもりだ?ああ?」

紬『上質な物が手元にあるんですよ』

レヴィ「……」

紬『もしかしたら……貴方の所有物になるかもしれなかった……物かも』

レヴィ「おい。今、どこにいる?」

紬『買います?』

レヴィ「それは本当にいいものなんだろうな?」

紬『そうですね。打てば快楽を得られるんじゃないでしょうか?』

レヴィ「……」

紬『500でどうです?』

レヴィ「お前……ゆすろうってか?』

紬『いえいえ……でも、これはそちらにとって大事な物では?』

レヴィ「……」

ロック「レヴィ?」

ベニー「……」

紬『運び屋としてこれを失くすのは、如何なものかと。凋落にも繋がりますし』

レヴィ「てめえ……」

紬『私も友人の鞄を返して欲しいですし』

レヴィ「平沢?」

紬『はい。平沢唯は私の友人です』

レヴィ「なんてこった……」

紬『500がいやなら……450でも』

レヴィ「それは……」

紬『無論、ドルで』

レヴィ「ふざけんな!!!」

紬『なら、仕事は失敗ってことになりますね』

レヴィ「……」

ベニー「オッケーだ、レヴィ」

レヴィ「……」コク

紬『さ、どうします?』

レヴィ「覚悟しろよ?」

紬『え?』

レヴィ「今からてめえにケツ穴を3つほど作ってやるからよ」

紬『……』

レヴィ「いいな?」

ガチャン

ベニー「繁華街にあるホテルだ」

レヴィ「よし。ロック、車だせ」

ロック「どうしたんだ?」

レヴィ「探し物が見つかったんだよ」

紬「あら……?」

澪「どうした?」

紬「切れちゃった……」

唯「見つかったの?」

紬「ちょっと……まだ……」

律「なんだよー、何があったんだよー」

梓「あの……」

紬「仕方ない……」

澪「……?」

紬「(もしもし?)」

「(何者だ?)」

紬「(バラライカさんはいらっしゃいます?)」

「(何者かと訊いたが?)」

紬「(琴吹紬って言えばわかりますよ。いいから、早くして)」

「(あ、ああ)」

バラライカ『どうも』

紬「お久しぶりです」

バラライカ『あら、大人っぽい声になったわね。そろそろ、こっちの世界に来るのかしら?』

紬「いえ。まだまだ尻の青い小娘なので、もう少し外界に揉まれてからにします」

バラライカ『揉まれるのはお尻だけにしときなさいね?』

紬「心得てます」

バラライカ『それで何の用かしら?』

紬「えっと、ラグーン商会に命を狙われることになったので、15000で護衛を頼めないでしょうか?」

バラライカ『何のパーティー?面白い?』

紬「さあ……でも、貴方が参加してくれれば、花火の一発は上がるでしょう?」

バラライカ『あははは。それはないわね。数十発はあがるわ』

紬「なら、お願いしようかしら」

バラライカ『でも、私まで参加しちゃったら仮面舞踏会ではなくなるわよ?』

紬「そんな紳士淑女の催しなど期待してません。ここは昔から変わっていないようですし」

バラライカ『これでもがんばってるほうよ?』

紬「数年ぶりに来てみれば、路傍の草からタクシーの運転手まで腐りきってるじゃないですか。以前のほうがまだ安全でした」

バラライカ『おや。町に出れば罵声と銃弾が飛び交っていたあの頃のほうがよかったの?』

紬「危険だとわかる分には安全でしたね。下手に観光地にしようとしないでください」

バラライカ『それは旅行会社に言って欲しいわ』

紬「とにかく、護衛をお願いします」

バラライカ『でも、その金額だと下っ端の腕も動かないわ』

紬「……」

バラライカ『とっくに調べはついている。最近、金回りがいいらしいな?』

紬「……」

バラライカ『その金はどこで回っている?』

紬「貴方の頭の中じゃないですか?」

バラライカ『はっ……ホテル・モスクワは容赦しないぞ?なんの断りもなしに、特産品を輸入してこないでもらえるか?』

紬「それはお父様に言ってほしいですね」

バラライカ『では、お前の体を利用するまでだ』

紬「……」

バラライカ『娘と財界での地位……重いのはどちらか?』

紬「ダイエット中なので私のほうが軽いかもしれませんね」

バラライカ『あははは!!!そうか、そうか』

紬「ですから……」

バラライカ『だが、容赦はせん。見せしめだ」

紬「……」

バラライカ『言い残したことはあるか?』

紬「……っ!!」

ガチャン

唯「どうしたの?」

澪「顔色が悪いぞ?」

紬「……みなさん、今からどこか食べにいきましょう」

梓「あの……なにかあったんですか?」

紬「いいから!!急いで!!」

律「お、おい……」

紬「早く!!」

澪「わ、わかったよ」

唯「そんなにお腹すいてるの?」

律「でも、この辺の飯っていったら……」

梓「ラーメンぐらいでしょうか?」

紬「―――伏せて!!!」

唯「え―――」

ドドドドドドドド!!!!!

澪「うわぁ?!!?」

梓「きゃぁぁぁぁ!!!!」

レヴィ「―――見つけたぞ、糞ガキども」

ロック「君たちは……!?」

律「な、なんだ……?」

レヴィ「ほら、はやくその鞄を渡しな」

紬「……」

唯「おー!?!?おぉぉ!?!?」

梓「ひぃ……」

澪「な、なんだ……今の……」

律「銃……?!」

レヴィ「早くしろ。こっちの首もあぶねえんだ」

紬「あの……」

ロック「なんだい?」

紬「……言い値で構いません。私たちを安全な場所に運んでもらえませんか?」

レヴィ「てめえ……」

ロック「どういうこと?」

紬「悪い人たちに追われてるんです」

ロック「悪い人?」

レヴィ「ピーターパンにでも頼んどけ」

紬「相手はフック船長よりも恐ろしいから、貴方に頼んでるんです」

レヴィ「あのなぁ……一度でもあたしをコケにした奴からの依頼なんて死んでもうけねえっつーの!!」

ロック「その相手は……?」

紬「それは……」

唯「あれ?なんか外にいっぱい車がとまってるよ?」

レヴィ「はぁ?」

澪「な、なんだ……何がおこってるんだぁ……?」

梓「あ、なんか人が出てきました」

律「なあ……なんかやばい気が……」

レヴィ「気が合うな、デコガキ。あたしもだ……」

紬「ホテル―――」

レヴィ「ロック!!!部屋からでろ!!!!」

ロック「な、なにぃ!?」

レヴィ「どっかのくそったれがミサイル構えてやがる!!!」

ロック「はぁ?!」

紬「もう来た……!?」

唯「にげてー!!!」

ドォォォォォン

「よし。死体を確認するまで安心するな」

「はっ!」

「……」スタスタ

レヴィ「―――やってくれたな、この早漏がぁ!!!」ドォン

「ぐわ!?」

レヴィ「走れ!!ロック!!」

ロック「みんなこっち!!」

唯「なにこれ映画の撮影?!」

澪「もうかえりたーい!!!」

梓「どこの西部劇なんですかぁー!!!」

律「死ぬー!!!」

「まて!!」

紬「……!!」

レヴィ「とまんな!!はやくいけ!!」ドォン

ロック「みんな!!はやく、車に乗って!!」

唯「あー……お財布……」

梓「この際、諦めてください!!」

レヴィ「ちくしょう……なんでいつもこうなるんだ!!」ドォン

「にがすなぁ!!」ドドドドド

ロック「レヴィ!!早く!!」

レヴィ「わかってるよ!!」ドォン

「うて!!」ドドドド

澪「はがぁ!?」

律「澪?!」

紬「な……!?」

澪「あぐぅぅ……!!!」

梓「きゃぁぁぁ!!!」

ロック「レヴィ!!早く!!一人、撃たれた!!」

レヴィ「うっせえ!!―――ガキのお守りは絶対にしないからな!!早くだせ!!」

ロック「これからどこに行く?」

レヴィ「それは向こうに訊け。天国までドライブすることになったかもな」

ロック「それは……」

律「澪!しっかりしろ!!」

澪「あぁ……い、たい……」

紬「……」

唯「病院!!病院!!!」

梓「はやくしないと……!!!」

レヴィ「うっせえ!ガキの面倒なんてだれがみるか!!!」

律「な……」

澪「うぅぅ……!!」

ロック「どうする?」

レヴィ「まだ追ってくる……くそが……!!」

紬「……」

レヴィ「とりあえず姉御に連絡しよう。物は手に入れたんだしな。流石に守ってくれるだろ」

レヴィ「姉御か!?」

バラライカ『どうかしたの?慌ててるけど』

レヴィ「慌てるに決まってんだろ?こっちは正しいことしてんのに、殺されそうなんだぜ?」

バラライカ『魔女裁判にでもかけられたの?』

レヴィ「ぞっとしねえな」

バラライカ『それはともかく……物は?』

レヴィ「ある」

バラライカ『ありがとう。ついでに他の積荷もこっちに持ってきてくれるとうれしいわ」

レヴィ「他の……いや、鞄しかないけど?」

バラライカ『拾ったでしょ?子猫を5匹』

レヴィ「どうすんだ?」

バラライカ『猫って爪を切らないと壁で爪を研いで、傷つけちゃうでしょ?だから、爪でも切ってあげようかと思って』

レヴィ「ふーん。わかった。とりあえずこいつらを姉御に渡せばいいんだな?」

バラライカ『ええ、よろしくね』

ロック「なんだって?」

レヴィ「行き先は決まった。ホテル・モスクワだ」

紬「?!」


3