商店街

「おおあたり~!!」カランカラン

唯「おぉ?!」

「はい、タイ・ロアナプラ七泊八日の旅。プレゼントだぁ~」

唯「やったぁー!!」

憂「すごい!!」

唯「えへへ」

憂「これ、何人で行けるんですか?」

「ダブルペアチケットだから四人までだね」

憂「四人か……」

唯「じゃあ……澪ちゃんとりっちゃんとムギちゃんとあずにゃんで四人!!」

憂「お姉ちゃん……」



ラグーン商会

ダッチ「ロック、今から出かけるが何か買ってきて欲しいものとかあるか?」

ロック「んー……平和かな」

ダッチ「そりゃ、大枚叩いても無理だな」

ロック「だね」

ダッチ「じゃ、行って来る」

ロック「遅くなるのかい?」

ダッチ「いや、仕事の打ち合わせだ。そんなにかからん」

ロック「そっか」

ダッチ「留守を頼む」

ロック「わかった」

ロック「……」

レヴィ「ロック、何してんだ?」

ロック「優雅な午後を満喫してたんだよ」

レヴィ「そりゃ、好都合だ。あたしもまぜろ」

ロック「何する気?」

レヴィ「姉御からちょっとした小遣い稼ぎを頼まれたんだよ」

ロック「……バラライカさん?」

レヴィ「乗るだろ?」

ロック「うーん……」

レヴィ「おら、車だせ」

ロック「はいはい。で、どこに?」

レヴィ「空港だ」

ロック「空港?」



空港

唯「いやったぁ!!ついたよー!!」

澪「結構、遠いんだな」

律「でもやるなぁ、まさかくじ引きで海外旅行なんて。ドラマでしかみたことなかったのに」

梓「ところで……」

紬「なに?」

梓「よかったんですか、ムギ先輩だけ自腹なんて……」

紬「うん」

唯「ねーねー、お土産どうする?」

律「はえーよ」

澪「とりあえず、私たちの鞄を取りに行こう」

梓「そうですね」

律「あっちだな」

唯「おー!!すごい!!鞄がいっぱいながれてくるー!!」

澪「ちょ……恥ずかしいから騒ぐな」

レヴィ「……」

ロック「……」

紬「……?」

梓「どうかしましたか?」

紬「ううん」

律「まだかなー?」

唯「まだかなぁ?」

レヴィ「赤いやつだ、いいな?」

ロック「わかってるけど……ダッチに話を通さなくてよかったのか?」

レヴィ「こんなガキの使い、社長の耳にいれるまでもねえよ」

ロック「でも……中身は……麻薬と銃でしょ?」

レヴィ「かてえこと言うな。それより目ん玉くりぬいて、よくみとけ」

ロック「わかった……」

ロック「あ……」

唯「お……」

レヴィ「いけ!」

ロック「う、うん……」

唯「きたきたー!!わたしがいっちばーん!」

律「ずりーぞ!!」

澪「どうでもいいだろ……」

ロック「……」ガバ

唯「あれ?」

梓「え……?」

唯「違ったみたい」

律「あ、きたきた!!これだよー!!」

澪「私のものきたな」

梓「私のもです」

紬「……」

レヴィ「帰るぞ」

ロック「ああ」

紬「……」

唯「きたー!!こんどこそ私のー」

澪「唯のは大きいな」

唯「憂がいっぱいお土産入るようにって」

律(憂の奴……根に持ってるだろうなぁ……いけなかった事)

梓「それじゃあ、タクシーでも拾ってホテルまで行きましょう」

澪「ああ、そうだな」

律「というか、タイ語って話せるか?」

梓「辞書もあるのでなんとか」

唯「しゅっぱーつ!!」


ラグーン商会

レヴィ「ちょろい仕事だったな」

ロック「ダッチに知られたら、小言を聞く羽目になると思うけど」

レヴィ「んなケツの小さい奴があたしの上に立てるかよ」

ロック「……」

トゥルルル

レヴィ「電話だぞー」

ロック「全く……はい、ラグーン商会」

バラライカ『はぁい、ロック。おつかれさま』

ロック「あ、バラライカさん」

バラライカ『と、労いたい気持ちはあるんだけど……それは返す物を返してもらってからにするわね?』

ロック「は?」

バラライカ『ロック?私が頼んだのは、戦争の道具と金を運んでくる粉だったはず。でも、私の手元にあるのは、夢心地な糞ガキが千鳥足で運んでそうな物ばかり』

ロック「あの……話が見えないんですが……」

バラライカ『中身が違う。どこにやったの?』


―――

唯「ヘイ、タクシー」

キキッ

運転手「……」

澪「えっと……荷物は……」

梓「日本語は通じませんよ」

律「タイ語だ!タイ語!!」

唯「ハロー?」

律「それ英語だろ?!」

唯「だめ?」

運転手「ハロー」

澪「おぉ?!通じた!?」

紬「ふふ……ここは英語で大丈夫よ」

梓「そうなんですか?」

紬「(荷物をトランクにいれたいんですけど?)」

運転手「(オーライ、今あけるよ)」

唯「ムギちゃんかっこいい!!!」

澪「すごいな」

紬「(ところでここはどんな町?)」

運転手「(どんな町だって?一言で言えば一年間掃除してない便所よりも最悪な場所だな)」

紬「(どういうことです?)」

運転手「(ここでは犯罪が正義に変わる、無法地帯だ。平和ボケしたやつから脳みそ垂れ流していくような場所さ)」

紬「(どうもありがとう)」

運転手「(で、乗ってくか?)」

紬「(いいえ。この車内からは糞の匂いがするから遠慮します)」

運転手「(はっ。いってくれるね)」

ブゥゥゥン

梓「あ、あれ?」

澪「おい!!タクシーいっちゃったぞ!?」

紬「いいの。さ、やっぱりせっかく来たんだから、歩きながら行きましょう?」

唯「うん!そうだよね!!歩いてこその旅行だもんね!!」

唯「なんか面白いものがいっぱいあるねー」

澪「そうだな」

梓「あの……律先輩?」

律「どした?」

梓「気がついてますか……なんか銃らしきものを持ってる人がちらほら……」

律「んなわけないだろー、どこの西部劇だよ」

梓「でも……」

紬「……」

唯「あ、これおいしそうだよ!!」

澪「おいおい……勝手に―――」

「―――」ダダダッ

唯「え?」

「―――」ガバッ

唯「あ……あぁー!!!」

梓「引ったくり!!!」

澪「どろぼー!!!」

律「まて!!」

紬「!?」

唯「あー!!憂にもらったのにー!!」


「へへ……やったぜ!」ダダダッ

レヴィ「―――なんであたしまで死刑宣告されねーといけねえんだよ!!」

ロック「連帯責任でしょ?」

レヴィ「お前がどんくさいからだろ?」

紬「(そこの人!!その人を捕まえて!!!)」

レヴィ「(あ?―――いくらで?)」

紬「(1!)」

レヴィ「(5だ)」

紬「(3!!)」

レヴィ「(わかった!4.5な!!)」

レヴィ「―――ヘイ!ここで引ったくりとは随分と小さなことしてんな?」

「だ、誰だ!?」

レヴィ「いいから、それ渡せ?額でタバコが吸えるようになるぜ?」

唯「なんていったの?」

紬「ん?助けを求めたの」

澪「そんな風には見えなかったけど……」

律「なにはともあれよかった……」

梓「はぁ……もう、唯先輩!!気をつけてください!!」

唯「ご、ごめん……」

レヴィ「おら……さっさとしろ」

「ちっ……」

レヴィ「よし。いい子だ」

ロック「はい。どうぞ」

唯「どうも……あれ?日本語?」

律「日本人?」

ロック「うん。観光かな?」

紬「……」スッ

レヴィ「……サンクス」


澪「はい。そうなんです」

ロック「ガイドさんとかはいないの?」

梓「個人で来たんで」

ロック「こんな場所に?」

澪「え?」

律「どういうこと?」

ロック「あ、えっと……」

レヴィ「ロック、行くぞ」

ロック「あ、ああ」

唯「ロック!?かっこいい……」

ロック「あだ名みたいなものだから」

レヴィ「早くしろ!!」

ロック「はいはい………じゃあ、観光……気をつけてね」


ホテル

唯「ついたぁー」

澪「ふぅ……いきなりアクシンデントにあったけど……」

梓「これから先が不安です」

律「ま、なんとかなるって」

紬「……」

梓「どうしました?」

紬「ううん……なんでも」

梓「……?」

唯「さてと……着替えを……」ガチャ

澪「この後、どうする?」

律「うーん……うまいものでも食べたいけど……」

梓「この辺にありますかね?」

唯「あー!!!!」

澪「ど、どうした?!」



ホテル・モスクワ

バラライカ「ようこそ」

レヴィ「姉御、別にあたしらはさぁ……」

バラライカ「言い訳は結構。欲しいのは結果だけ。そして、その結果は我々が求めていたものではない」

ロック「あの……中身は?」

バラライカ「これだ」

レヴィ「これ……服か?」

バラライカ「旅行者の鞄のようだな」

ロック「旅行……」

バラライカ「ご丁寧に名前まである」

レヴィ「ロック」

ロック「あ、ああ……平沢唯……かな?」

バラライカ「お前たちはこの者の鞄を間違えてここへ持ってきてしまった。さて、どう落とし前をつける?」

レヴィ「とりあえず、その平沢とかいうやつを探せばいいんだろ?」

バラライカ「よろしく……期限は今日中でね?」


ホテル

唯「私の着替えが……小麦粉になっちゃった……」

澪「な、なんだこれ?」

紬「……?!」

梓「こっちにもなにかありますよ……鉄ですね……なにかの部品でしょうか?」

律「まさか。間違えたのか?」

澪「だろうな……だからあれだけ確認しろって……」

梓「またトラブルですか……」

唯「だって……」

紬「……見せてくれます?」

唯「え?」

紬「……」

唯「どうしたの?小麦粉でしょ?」

律「麻薬だったりして」

澪「怖いこというな」



ダッチ「―――張さん」

張「来たか」

ダッチ「で、仕事って?」

張「探してもらいたい物がある」

ダッチ「ほう……海底に沈んだ宝箱の類か?」

張「ある意味、そうだな。最近、空港を素通りする馬鹿がいるらしい」

ダッチ「へえ……」

張「そいつが誰なのか、バラライカと一緒に探っているところなんだが、一向に足取りが掴めなくてな」

ダッチ「物は……薬か?」

張「あと兵器だ」

ダッチ「おお、そりゃ怖い。ここに兵器をもってくるなんざぁ、死にたがりのファンキー野郎か、勉強不足の甘ったれだ」

張「だが……姿を見せない。甘ったれを装った切れ者かもしれん」

ダッチ「どっちにしても危険には変わりねえな」

張「ならこんなとこにいないで、海の上でゆっくりとフィッシングでもしていろ」


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