────────────

いままでありがとう、お姉ちゃん。
お姉ちゃんの役に少しでも立ちたかったけどやっぱりだめでした。

お姉ちゃんは私のことが嫌いだけど、私はお姉ちゃんのことが大好きでした。
お姉ちゃんの気持ちを分かってあげられなくて、本当にごめんなさい。
お姉ちゃんは私が居ない方が楽しいって言うので、
お姉ちゃんが楽しく生きていけるように私は消えようと思います。
これで少しはお姉ちゃんに好きになってもらえたらなぁ……なんて。

ごめんなさい、お姉ちゃん。

おばかな妹より

────────────



憂(車いっぱい通ってるなぁ)

憂(あのトラックの前で飛び降りようかな……)

憂(……私を轢いたら運転手さん逮捕されちゃうのかな)

憂(場所変えよ)

憂(駐車場からもらっちゃった…重い石)

憂(縄でくくりつけて……っと)

憂(日の出だ……綺麗だなぁ)

憂「ふ~……」

憂(これでみんな幸せになるんだ……お姉ちゃんも)

憂(いち、に、さんで飛び込もう)

憂「いち、に…」


「う~~い~~~!!!」


憂「…」



唯「見つけた……なにやってんの?」

憂「ご飯は冷蔵庫に入ってるから……」

唯「え?帰ろ」

憂「えへへ~♪」

唯「?」

憂「ありがとぉ」

唯「憂!?」

憂「ごめんなさい……お姉ちゃん」


ザバンッ


唯「憂っ!?」


ブクブク


唯「た、助けなきゃ!!」

唯「待ってて!憂!!」ヌギヌギ

唯「って脱いでる場合じゃなかった」


ザバンッ


唯(うい…どこ……)ブクブク


憂(…な、なんでお姉ちゃんが……!?)

唯(憂~…どこ~)

憂(ここだよ!お姉ちゃん!!)

唯(どこ~…)


憂(…だめだぁ……)

唯(憂!どこ~!)


憂(あぁ…お姉ちゃん……そんな顔しないで……)

唯(憂~!!)


ブクブク


唯「ぷはぁ!」

唯「……憂が」

唯「…」




天国

憂「ここは…?」

天使「天国です」

憂「天国!?」

天使「はい。あなたは自殺したので本来は天国にはこれませんが、生存中に極めて優秀な成績を収めたのでここへ案内しました」

憂「それは……ありがとございます」

天使「ではこちらへどうぞ」

憂(なんか凄いなぁ……)



天使「神です。失礼の無いように」

憂「か、神!?」

神「よくきた、憂よ」

憂「は、はぁ…」

神「そちは生存中によく姉を慕い、敬い、よく働いた。望みを一つ叶えてやろう」

憂「望み……」

神「そう。何でも構わん。生き返る、転生する、そんな望みすら叶えてやる」

憂「私は……」


憂「お姉ちゃんが一生幸せに暮らしてくれること……」

憂「それが、私の望みです」


神「ほっほっ、面白い子だのぉ」

憂「そ、そうかなぁ」

神「……あくまで自分は後回しか?それで本当に良いのか?」

憂「はい」

神「どうしてそこまで姉にこだわる?」

憂「お姉ちゃんに……?」

神「そうだ」

憂「お姉ちゃんだから……お姉ちゃんが大好きだから……」

神「ほお?」

憂「お姉ちゃんのおかげで毎日が楽しかったから……」

神「あのような酷いことを言われてもか?」

憂「……それは私がいけなかったから」

神「姉が受験勉強をせず、友人と、しかもお前の同級生と、不埒なことをして」

憂「…」

神「それを注意したお前のどこに責められる要素がある?」

憂「それは……」

神「お前の姉は地獄に落ちるべき浅ましい人間に見えるぞ?」

憂「そ、そんなことはないですっ」

神「そうか。なぜだ?」

憂「それは……その」

神「お?」

憂「お姉ちゃんは私に色んなものをくれたからっ」

神「例えば?」

憂「えっ……ホワイトクリスマスとか」

神「とか?」

憂「えっと……」


憂「お姉ちゃんのそばにいるだけで私は幸せだったからっ!」

憂「お姉ちゃんが大好きだからですっ!!」


神「…」

憂「あ…えっと……」

神「何気ない日常に有り難みを感じるのはそう簡単なことではない」

憂「はぁ…」

神「もうよい。色々と聞いて悪かった。そちの望みを叶えてやろう」

憂「ありがとございます」

神「一度叶えた望みは後から変えることはできない。本当に、これでいいのだな?」

憂「…」

憂「…はい」

神「よろしい」




──────
───


憂(ん……)

憂(私の部屋?)

唯「……zzz」

憂「お姉ちゃん……」

唯「…ぅぃ……ぁー…」

憂(ふふ、何の夢見てるんだろう)


唯「ん……」

憂「あ、お姉ちゃん…」

唯「えっ……憂!?」

憂「うん!」

唯「んもー!!先に寝ちゃうんだもん!」

憂「?」

唯「これ!!」


『合格』


憂「え……」

唯「憂のおかげだよっ!」

憂「お姉ちゃん……」

唯「憂も一年後だよ!」

憂「うんっ!!」


唯「…憂~」

憂「なぁに?お姉ちゃん」

唯「私ね、今がいっっちばんっ!楽しいよ」

憂「…?」

唯「憂はどお?」

憂「私も楽しいかなぁ~」

唯「こうしていられるのも憂のおかげなんだよ」

憂「え?」

唯「ずっとこのままがいいなぁ」

憂「わたしも」

唯「んふ、でもね~……そうもいかないよね、多分」

憂「…」

唯「いいのいいの、今は今で楽しいから!」

憂「うん…」

唯「未来もきっとなんとかなる。今楽しかったらそれでおーけー!」

憂「ふふっ……相変わらずお姉ちゃんはお姉ちゃんだね」



お姉ちゃんの幸せ。私の幸せ。
これからどうなるかはまだ分からないけど、今こうやっていること、
これが私の望み通りなら、私はとても幸せになれたんだと思います。
お姉ちゃんのおかげで。


おわり



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/01(水) 23:51:36.46 ID:rYQH6kIGO


唯ちゃんが幸せになるためには憂ちゃんが必要だったって解釈でおk?
とりあえず乙


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/02(木) 00:01:37.30 ID:ghVRVsJU0


>>38
その通りです

読んで頂きましてありがとございました
おやすみなさい


最終更新:2011年11月13日 00:35